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ミステリの祭典

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夏の災厄

作家 篠田節子
出版日1995年03月
平均点7.67点
書評数3人

No.3 7点 TON2
(2013/01/23 18:38登録)
文春文庫
 東京郊外のニュータウンで発生した奇病は、新種のウィルスだった。
 市の保健センターの職員やパート保健師たちの動きを等身大で描いた、パニック小説です。原因がわからないままに次々と感染者が出て、住民や行政が機能不全に陥るさまは、現代生活のもろさを露呈しています。

No.2 9点 touko
(2010/04/05 20:46登録)
篠田節子の作品はほとんど読んでいますが、その中ではこれが一番、癖がなくて読みやすく、万人が楽しめる優等生的エンタメです(なので、コアなファンの間では賛否両論あるんですが)。
典型的なウィルス・パニックもので、海外作品には類似のものが多いですが、個人的にはそれらの中でも一番これが面白かったくらいのお気に入りの作品。
作者の前職(地方公務員)の知識を総動員しているので、ディティールがとにかくリアルで臨場感があります。
海外作品に比べるとダイナミックさや奇想天外さには欠けるかもしれませんが、日本人ならあるある~とついつい頷いてしまう、縦割り行政の弊害、なんだかんだ言って頑張っている市井の真面目な職業人たち、不法投棄等の問題等をうまく絡めながら、謎が謎を呼ぶサスペンスを盛り上げています。
また、どのキャラも現実に似た人を思い浮かべられるくらいリアルかつ好感が持てます。
個人的に保健所のおばさんが、看護士→保健所勤めだった母に似ているので、とにかく親近感が……そのあたりで+1点はしているかも ^^;

No.1 7点 kanamori
(2010/03/22 20:22登録)
南洋の島民を全滅させた新型脳炎が日本を襲う、バイオ・ホラーというよりストレートなパニック小説。
型どおりのヒーローを据えない設定が生き、そのためサスペンスを助長しています。今作は重厚さを抑えた筆致のため、リーダビリティも高め、篠田節子の入門書に最適だと思います。

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