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ミステリの祭典

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江守森江さんの登録情報
平均点:5.00点 書評数:1256件

プロフィール| 書評

No.976 4点 踊る大捜査線スペシャル
君塚良一
(2010/07/20 13:46登録)
映画公開で人気再燃なのか図書館でも貸出中でフジテレビの再放送前には読めなかった。
ドラマ・スペシャル2本に最初の映画を合わせて繋げたノベライズだが、少々の心情描写が追加されただけな内容だったので3本共再放送で観た後では単なるおさらいにしかならなかった。
それでも、踊る大捜査線が面白いドラマだった事が再認識出来て良かった。
映画での小泉今日子の怪演は特筆物だと思う。


No.975 5点 警部補 矢部謙三
福田卓郎
(2010/07/20 08:20登録)
「トリック大感謝祭」の一環で「TRICK」のスピンオフとして放送されたドラマのノベライズ。
主人公が矢部になり連発される鬘(ズラ)ネタはもとより、本家をマニア寄りなお笑い系にシフトした作品で、ミステリとしての寄せ集め感も本家同様。
細かな笑いのツボが合えば当然楽しい(警視総監=帰ってきたウルトラマン、私的には更に怪人二十面相など)
ミステリとしては唯一、二本のコードがある時限爆弾の解除での新たな結末の提示(もっとも、突き詰めれば4通りしか組合わせはないのだが)は笑撃的だった。
笑いに関しては、ジックリ味わえるノベライズも楽しい。


No.974 4点 美女消失
安達瑶
(2010/07/20 07:56登録)
権力に媚びず女を誑し込む悪漢刑事シリーズの第五弾。
肩の凝らないVシネマ的小説シリーズで、新作に期待していたが、エロシーンの激減に加えてミステリーとしても対中国の海上防衛小説になり面白みが激減してしまった。
美女消失のタイトルもミステリ的な謎ではなくサスペンスの味付けだった。
悪徳刑事ネタが底をついてきたのなら、次作はマンネリ&ベタ(&エロ)に徹し切り、ラストを飾って終了が良いだろう。


No.973 7点 キサラギ
古沢良太
(2010/07/20 07:39登録)
マニアには隠れた名作ミステリー映画と評判の「キサラギ」のノベライズ。
脚本原作はテレ朝「相棒」等の脚本で知られる古沢良太で、ノベライズは相田冬二。
自殺と判断されたD級アイドルの一周忌にオタク的なファンが一室に集まり、本当に自殺だったのか?を侃々諤々する。
徐々に、集まった人々の素性が明かされながら反転する展開は、正に推理合戦の趣向で面白い。
個性派俳優で固めた映画の演技も見所満載だが、映画を元に先まで展開したオリジナルな結末のノベライズも捨てがたい。
映画とセットだとより楽しめる。


No.972 4点 探偵物語
小鷹信光
(2010/07/20 07:19登録)
作者は、一般男性にはフランス書院文庫(独身時代にはお世話になった)での官能小説翻訳家としての顔が一番お馴染みだろう。
しかし、ミステリー分野では、刑事コロンボや数多のハードボイルド作品の翻訳を手掛ける第一人者として知られている。
そんな作者がテレビドラマを企画して、松田優作主演でヒットを飛ばした。
それが本作だが、ドラマと平行出版されたオリジナル原作なので(ドラマは飛び飛びにしか観ていない)内容は違うらしい。
日本が舞台だが、海外テイストなので好みから外れている。
更には、松田優作が思い浮かぶが、松田優作は「太陽にほえろ!」のジーパン刑事が一番だと思っているので微妙な読書になり残念でもあった。
※余談
数年前、この作品のパチンコ台で大勝ち(4万発・20箱)した事が思い出された。


No.971 4点 ダブルイーグル殺人事件
キース・マイルズ
(2010/07/20 06:20登録)
全英オープン殺人事件に次ぐゴルフ・ミステリーの第二弾。
今回は舞台をアメリカに移し、全米の難ホール・名物ホールを18集めて配列した架空のコース(ゴルフファンには夢の舞台)
しかも殺人が殺人を呼ぶ展開に色模様やアクションも加わる娯楽大作(モドキ)になった。
前作同様ミステリーを楽しむよりゴルフ狂向け作品(特に特別解説)なのでゴルフに興味が無いと全く面白くないかもしれない。
さて、主人公のアラン・サクソンだが、過去の実績とはいえ(日本人男子・未制覇な)メジャー・トーナメントの覇者(それも英国人で全英オープン)なのに、何でこんなに落ちぶれた設定なのだろう?(→これがシリーズ最大の謎かもしれない)
日本と違い英国では、一流プロゴルファーとプライベートで一緒にラウンドしてもお礼(以前、ジャンボ尾崎でウン十万との噂があった)を包まないのだろうか?(日本が異常なだけなのか?)
そんな事を考えながら読んだので、ミステリーと違う方向に思考がドンドンそれてしまった。
※余談
酒は嗜む程度、女は結婚以来「嫁一筋」、読書は図書館利用、負ける博打はしない(競馬・パチンコは通算大幅プラス)ので、ゴルフは本当に金食い虫だと思える。


No.970 5点 全英オープン殺人事件
キース・マイルズ
(2010/07/20 02:34登録)
石川遼ジ・オープン(セント・アンドリュース開催)アンダーパー(−2)フィニッシュ記念書評。
英国発祥競技は多々あるが、私的な趣味では競馬とゴルフが双璧。
日本の一般的競馬(馬券)ファンは、フランシスの描く(日本の競馬構造と全く違う)本場英国の競馬には馴染めない(本場のダービーすら地上波放送なし)
一方、日本のゴルフファンには全英オープンは(青木功や石川遼のおかげでテレ朝で開催全日放送され)夏の風物詩にすらなっている。
しかも、この作品の舞台は本年度の開催コースで世界中のゴルファーにとっての「聖地」セント・アンドリュース。
更には、探偵役を(架空の存在ながら)英国人プロゴルファーで過去のチャンピオンに設定しジ・オープンをプレーさせ優勝争いまでさせる。
スポーツ・サスペンスとしてはありきたりな展開だが、ゴルフファンには舞台設定だけで充分楽しめる作品に仕上がった(悲しいかなゴルフに興味が無いと凡作でしかない)
おまけに、ゴルフ狂には翻訳版独自の「特別解説」まであり楽しさ倍増でもある。
※余談
漫画の話だが、ちばてつや作品では「あしたのジョー」と並んで「あした天気になあれ」が大好きで〔全英オープン編〕のゴルフ・トーナメント描写は、この小説より優っていると思う。
※もう一つ余談
英国人の全英オープン・チャンピオンであるニック・ファルドは英国人にはコナン・ドイル(或いはシャーロック・ホームズ)に並びうる国家的英雄なのだろうか?


No.969 5点 さよならドビュッシー
中山七里
(2010/07/17 08:28登録)
「このミス大賞」大賞受賞作で、スポ根風・青春ピアニスト・ミステリ。
火事で全身に火傷を負った少女が天才的な先生を得てピアノ・コンクールに挑戦するスポ根物で、学園内でのイジメやコンクールでの強敵出現などベタベタな展開だが、クラシック音楽が好きなら楽しいだろう。
ハッキリ言ってミステリ部分は完全なオマケでしかない。
※ここからネタバレ要注意!
探偵役(ピアノの先生)の気付きと伏線には見所があるが、大枠のプロットは「犬神家の一族」と「アクロイド殺し」の合成なので褒めたくない。
更に、下らない叙述や「このミス大賞」先輩作家の海堂尊に媚びた表記などはあざとく、削った方が良かったと思う。
エンターテインメントとしてベタなスポ根部分が楽しかったので5点にしたがミステリとしては3点。
まがりなりにもミステリー系の新人賞で「アクロイド」の技法を用いた作品を選考するなんて何を考えているのだろう?!
「トリックの著作権切れ(そんなのナイ)だからバンバン転用しましょう!」って事なのだろうか?


No.968 7点 丸太町ルヴォワール
円居挽
(2010/07/17 01:22登録)
講談社BOX=ラノベ・レーベルと思っていると手が出しづらく、本質がボーイミーツガール・ミステリでラノベ風なのも間違いない。
しかし、何度も仕込まれた叙述、怒涛の反転攻勢で読ませるルール無用な私的裁判の展開、陰の伏線からロジカルに紡がれるフーダニットと裁判のその後は、作中で「ウチらの使う技の一つ一つはもうありふれてて、誰でも知ってるもんや。せやけど、お客さんに見たい夢を見せるのは技じゃなくて腕や。・・・・」と主役の1人に語らせた通りの面白さだった。
ラストのセリフの甘ったるさがモタレたのと、舞台になる京都と京大生(作者&主役達)がさほど好きではないので減点したが満点と遜色ない。
内容と関係ないが、鬼貫警部をフリに鮎川哲也を想起させ「達也が嗤う」で落とすミステリ・マニア的笑い&大三元が揃う麻雀的笑いがツボだったので1点加点した。


No.967 7点 十三番目の陪審員
芦辺拓
(2010/07/15 10:40登録)
陪審制導入の噂と名作映画「十二人の怒れる男」へのリスペクトから、この作品は書かれた(同じオマージュ作品なら薄味な三谷幸喜「12人の優しい日本人」の方が好き)
近未来設定なので無用な蘊蓄は無いが、それでも芦辺拓は芦辺拓で、詰め込み過ぎでクドいのは変わらない。
逆に言うなら(ファンに限定されるが)濃密な読書が楽しめる。
陪審制は否定され、裁判員制度が導入された今でも、設定の妙やプロットは本格ミステリとして時代に流されないパワーがある。
つかみ所の無い名探偵・森江春策だが、今回は凄腕な弁護士として描かれ嬉しい。
好きだか芦辺作品を読むと疲れが襲ってくる(ユンケル飲んで読書に励むなんて・・・・)


No.966 5点 本格ミステリ02
アンソロジー(出版社編)
(2010/07/15 10:14登録)
二年目の飛躍を狙ったのか?やたら分厚いノベルスになった。
短編17・マンガ1・評論3とベストと銘打つならもう少し厳選してほしかった。
その反面、ダラダラと選んだおかげで、普段馴染みが薄く手にしない作家やこのアンソロジーでしか読めない作品が混ざっていて出版意義が生じた。
それでも、図書館の棚に01から09まで、ほぼ貸し出されずに並んでいるのが出版意義の低さを物語っている。
私的には、倉知淳「闇ニ笑フ」を読めた事だけが収穫だった。


No.965 5点 本格ミステリ01
アンソロジー(出版社編)
(2010/07/15 09:55登録)
本格ミステリ作家クラブ発足記念なので力が入っているのは間違いなく、初年度からベスト短編をネットや機関誌的な「ジャーロ」発表のみには出来なかっただろう。
短編13(鮎川哲也に因んで敢えて数合わせしたのか?)に評論3はベストとするには多い。
普段は読まない作家の作品を読めて便利な反面で、作者独自の短編集で読むべきシリーズ作品も多い。
その時代の本格ミステリ・シーンを知る資料としての価値はあるが、今更読み返すほどのものではなかった。
※以降の年度では、このアンソロジーでしか読めない埋もれた作品があるが、この年度は無いと思う(詳細不明)


No.964 4点 帰ってきた時効警察
三木聡
(2010/07/15 09:38登録)
ウルトラマンじゃないんだから「帰ってきた」はないよな!
次は時効警察セブンかエースにでもして再復活だと思っていたが、時効撤廃の壁は厚かった。
めったにTVドラマ出演しない麻生久美子が再度観れるのが嬉しかった。
思い入れのある作品なのか?オダジョーも脚本を書いている。
やっぱりミステリーに主眼がない作品なのでドラマとセットで楽しみたい。
文庫で600ページ程度ほどの内容はないが、随所に笑いのツボがある。


No.963 4点 時効警察
三木聡
(2010/07/15 09:27登録)
ほぼ同一の制作スタッフで、もう直ぐ新ドラマがスタートする。
その番宣で深夜にボチボチと再放送される予定なので、復習&予習でノベライズを読んでみた。
時効が過ぎた事件を趣味で捜査する、緩いコメディ・ミステリーだが、法改正で殺人事件の時効が撤廃された今後は続編は制作しにくいだろう。
オダジョー&麻生久美子の惚けた味が見所の一つで、ミステリーとして優れていた訳ではないドラマをノベライズにしても、ドラマを観ていなければ惚けた味がイメージ出来ない。
悲しいがノベライズ単独では評価は低くなる(よくノベライズする気になったな、と呆れる←読んでる私も同類)
もっとも、ドラマを観ていた私は楽しめたのだが・・・・・。


No.962 4点 完全犯罪研究部
汀こるもの
(2010/07/14 18:51登録)
新シリーズで継続するのか単発なノン・シリーズかは作者次第で不明だが、一部タナトス・シリーズにリンクするも、お魚蘊蓄が無いのでスッキリしている。
少しだけ大人目線な学園ミステリ風ラノベで、部員と顧問の女教師が、こまごまと事件を起こし解決しながら、最初の謎?を解決して終わる。
それでも、ミステリだと思って読むと腹が立つので要注意。
ミステリのマニア談義やらプロファイリング手法なんかは緩いながらも楽しく読める。
キワモノなので気になる方だけ読めば良い。


No.961 4点 ナポレオン狂
阿刀田高
(2010/07/14 18:18登録)
ひねた作品ばかり(鮮やかよりモヤモヤ)でもう一つスッキリしない。
表題作は面白かったが評判ほどではない。
ほとほと直木賞とは相性が悪い気がする。
本日、テレ東でドラマが再放送された推理作家協会賞・短編賞受賞作「来訪者」なんかスッキリしない作品の極みかもしれない。
残念ながら嗜好から外れた作品集だった。


No.960 2点 ブレイズメス1990
海堂尊
(2010/07/14 08:05登録)
小説現代連載時は1990ではなく1991だったが、内容が膨らみ過ぎて1991年の話は次作持ち越しらしい。
「ブラックペアン1988」の続編になるシリーズで、作者の作品に共通でリンクしている。
前作でも非常にミステリー色は薄かったが、今作は純然たる医療エンターテインメントになった(ポリシー通り2点)
モナコでのギャンブル場面や公開手術場面は作者のファン以外でも楽しいだろう。
しかも、作者の主張も抑えられ面白さを追求している。
別作品ではジェネラル速水に帯同する花房が、このシリーズでは主役の世良と付き合っているので、ファンには一番気になる所だろう。
作者を追いかけているかどうかで面白さが違うだろう作品なので一般小説としての評価も3〜6点と幅を持たせたい。


No.959 3点 吸血鬼あらわる!
楠木誠一郎
(2010/07/14 07:32登録)
作者は、なんちゃって歴史ミステリー、それもジュヴナイル作家らしい。
息子が図書館から借りて読んでいたので、次に読ませて貰った。
乱歩の少年探偵団レベルの話を期待したら雰囲気はそのままに解決はなんちゃってミステリーだった。
小学生相手なら、こんな作品でも良いのだろうか?
名探偵コナンも観る今の小学生には通用しないと思うのだが。
息子もシリーズの次作品は借りて来ないだろう。
本来なら最低レベルの2点だが雰囲気だけは好きだったので3点にした。


No.958 3点 夜行観覧車
湊かなえ
(2010/07/14 07:20登録)
小説推理連載中に毎月読んでいた。
加筆訂正したらしいが大幅変更はない模様(立ち読みで確認)
三人称表記になり、新鮮さが出たとの評があるが「告白」しか読んでいず、しかも(連載で)先立って読んだので正直分からない。
「告白」レベルで突き抜ければエンターテインメントになるが、そこまでのパワーはない。
事件は起きるが、そもそもミステリーより家族小説の色合いが強い。
私的に全く好みでない作風の侭で終了した。
連載終了時期と単行本出版時期が「告白」の映画公開に合わせ抱き合わせで売ってしまいたい双葉社の思惑がミエミエ過ぎる。
売れる時に売る出版社の姿勢と、やっつけでも仕事をこなす作家に、作品のデキとは関係なく拍手を送りたい(皮肉)


No.957 6点 笛吹けば人が死ぬ
角田喜久雄
(2010/07/13 21:14登録)
※但し書き
表題作のみを書評対象にしています。
表題作のドラマ化作品(日本探偵作家クラブ賞受賞作シリーズ)が今日テレ東で再放送され、読みたくなり図書館に赴いた。
都合良く表題作を収録した大活字本があったので表題作のみを読んで来た。
被害者・実行者・探偵までも操り、自分は法的な裁きを受けない凝ったプロットの作品。
ドラマ(一時間物)は、過去と現在の少女(老婆)を野村真美→南田洋子が魅力的に演じ、原作に負けない良作だった。

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