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ミステリの祭典

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夜行観覧車

作家 湊かなえ
出版日2010年06月
平均点4.29点
書評数7人

No.7 5点 人並由真
(2016/05/25 20:19登録)
(ネタバレなし)
 少し前の、今年のゴールデンウイーク中に読んだ作品の一冊。

 ミステリというよりは、ミステリの要素と形態を導入したストレートノベルという感じの作品で、それはそれでいい。複数視点の話の進め方、錯綜的な人間関係の中から物語世界の実像が浮かび上がってくるあたりなど、十分に達者な作品だと思う。
 ただ最後まで読み進めて、ミステリとしてはもちろん、もう一歩、小説としてもはじけなかったのはちょっと残念。シムノンのノンシリーズものか、エリンの『断崖』みたいな手ごたえを残してくれるか、と期待した部分もちょっとだけあったんだけどね。
 終盤の描写の、ひとりの人間は悪人とも善人とも割り切れないよね、という作者の人間観(というか本書の中でのメッセージ)は悪くなかったけれど。

No.6 4点
(2015/10/13 10:00登録)
作者お得意の家族物です。
デビュー作の『告白』にはもちろんおよびません。ついにここまできたか、という感じさえします。
殺人ミステリーとするなら、その解決は解決らしくしてほしいものです。本題が動機に重点があるとしても、ラストは中途半端すぎる気がします。
超辛口ホームドラマとして読めば6点ぐらいにしていたかもしれませんが、殺人があれば、その殺人がどんなものであっても、やはり期待してしまうので、そんなふうに読むのはむつかしいでしょう。

数年前、テレビドラマを観ました。ラストの真相に拍子抜けはしましたが、その後じっくり考えて、これはこれで問題なし、と納得したものです。原作を、テレビ版と同程度かそれ以上だろうと期待していたのですが。

No.5 3点 kowai
(2014/05/05 18:38登録)
家族白書?でしょうか。。。読み物的にも普通で、らしくありません。

No.4 6点 E-BANKER
(2013/08/16 15:18登録)
今や、次々とヒット作を飛ばす売れっ子となった作者の作品。
TBS系でドラマ化もされたのが本作。

~父親が被害者で、母親が加害者・・・。市内随一の高級住宅地に住むエリート一家で起きたセンセーショナルな事件。遺された子供たちはどのように生きていくのか。その家族と、向かいに住む家族の視点から事件の動機と真相が明らかになる・・・~

相変わらず「湊イズム」というか、作者独特の味を感じる作品。
とにかく、全員一筋縄ではいかない登場人物ばかりが描かれている。
一見まともなようで、「ひばりが丘」という高級住宅地に住むことに固執する母親、その母親にとにかく反目する娘、その二人の修羅場をみて、とにかく無関心を決め込む父親。
そればかりではない、隣人のいざこざに積極的に関与するおせっかいなオバサン・・・etc
まぁ、こういうどこかねじ曲がった人物を書かせると、とにかくウマイ。
(この辺りがウケル理由なんだろう)

序盤から加害者がはっきりしており、一見「動機探し」が本筋に思えるが、結局それについては明確にされないままラストを迎えてしまう。じゃあ「真犯人探し」が本筋なのかというと、それも脇道扱い。
本作の趣旨は、やっぱり「人の心の危うさ」ということになるのではないか。
他から見ると、幸せになる環境が十分に整っているのに、それが決してそうはならない。
エゴ、妬み、自分本位など、「人の心」そのものがミステリアスな存在だもんなぁ・・・

そういうことで、油ののった作者の技を堪能できるレベルにはなっていると思う。
ラストはちょっとモヤモヤが残ってしまうのが玉に瑕だけど。
(結局「観覧車」って、何をシンボライズしているのだろう?)

No.3 6点 シーマスター
(2013/04/03 22:13登録)
確かにミステリーとしては何ということもない構成だし事件の核も目新しいものではないが、相も変わらずイヤになるほど人間臭いリーダビリティでグイグイ引っ張ってくれる。相性もあるだろうが、やはりこの人は文章で読ませる作家だと改めて実感させられる。(ドラマも割りと評判が良かったようだが)

ラストは「拍子抜け」とか「中途半端」という感想が多いようだが、個人的には十分作者らしさが出ているように感じた。


文庫の解説にはいきなり『告白』のネタバラシがあるので未読の方はご注意を。

No.2 3点 白い風
(2010/09/13 17:45登録)
内容は被害者家族より加害者家族のウェートが大きかったかな。
ただ、加害者家族の話では東野圭吾さんの「手紙」との差は大きいと思う。
また、ミステリー度も低く、ラストのどんでん返しも無かったので評価も低めです。
登場人物の多くにも感情移入出来ませんでした。

No.1 3点 江守森江
(2010/07/14 07:20登録)
小説推理連載中に毎月読んでいた。
加筆訂正したらしいが大幅変更はない模様(立ち読みで確認)
三人称表記になり、新鮮さが出たとの評があるが「告白」しか読んでいず、しかも(連載で)先立って読んだので正直分からない。
「告白」レベルで突き抜ければエンターテインメントになるが、そこまでのパワーはない。
事件は起きるが、そもそもミステリーより家族小説の色合いが強い。
私的に全く好みでない作風の侭で終了した。
連載終了時期と単行本出版時期が「告白」の映画公開に合わせ抱き合わせで売ってしまいたい双葉社の思惑がミエミエ過ぎる。
売れる時に売る出版社の姿勢と、やっつけでも仕事をこなす作家に、作品のデキとは関係なく拍手を送りたい(皮肉)

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