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ミステリの祭典

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makomakoさんの登録情報
平均点:6.18点 書評数:862件

プロフィール| 書評

No.762 5点 炎舞館の殺人
月原渉
(2021/09/16 19:41登録)
 私は本格推理小説が好きです。そしてこのシリーズは本格推理小説であることは間違いないのですが、推理ゲームのためにここまで人間をバラバラにしたりして楽しむといったお話にはちょっとついていけませんでした。
 何でもよいから刺激があって殺しをゲームを楽しむというお話はちょっとね。
 本格物でもあまりにもひどい人間が登場するのは好みではないのです。ことに主人公たちがそんな風だとちょっと引いてしまいます。
 それでも本格物が好きなのでなんだかんだと言ってこのシリーズを出るたびに読んでいたのですが、今回でやめようかな。


No.761 7点 硝子の塔の殺人
知念実希人
(2021/09/12 13:15登録)
 久しぶりに読んだ新本格推理小説でした。こんなお話はなかなかできそうもない。ある意味凄いです。
 これが面白いと感じる人はかなりの推理小説マニア(というよりおたく)でしょう。
 本格物は人間性が欠けるとか真実味がないといった批評をいつも受けるものですが、これはその筆頭に挙げられそうです。
 とんでもないシチュエーション。そして推理小説おたくとしか思えない名探偵を自称するとんでもない女。こいつは人間の心が全くない。ちょっとしゃべるとすぐ脱線して推理小説の世界にはまり込んでしまう。
 こういた会話が理解できるには登場人物があげる推理小説を読んでいないといけません。
 推理小説マニア以外はバカらしくてやってられないと思うに違いありません。
 本サイトは多くが推理小説が好きな方が投稿しておられると思いますので、評価が高いのは当然でしょう。
 私も相当好きな方ですが、それでもちょっとやりすぎだなあと思うところは多々ありました。  
 それにしたも忙しい医師の仕事をこなしながらこんなすごいことをやってのけるとは。同業のものとして尊敬いたします。


 
 
 


No.760 6点 死香探偵 連なる死たちは狂おしく香る
喜多喜久
(2021/09/12 12:56登録)
 死体の香りが食べ物のように感じるといったとんでもない体質の男の子潤平と香りの科学者風間が主人公です。題名の死香探偵というと潤平が探偵ように見えますが、どちらかというと風間が探偵役を務めます。
 第2弾でも同じような傾向のお話が続きます。
 巧みなストーリーで飽きることはない。ただしこんな感じのお話はある意味いくらでも作れそうで作者にとっては楽?そうですが、そのうち飽きてしまいそうではあります。
 潤平君が成長することによりお話の幅ができてくることを期待しましょう。


No.759 6点 潮騒のアニマ
川瀬七緒
(2021/09/02 16:53登録)
 前作の書評でも書きましたが、このシリーズはパターンがはっきりしていて、まずとんでもない状態の遺体が発見される。それに対しての死亡時刻や状況についての検討が味丸が、法医昆虫学者の赤堀と従来の検証による推定時刻や状況が食い違う。いろいろやって最後には意外な犯人が登場。そしてめちゃくちゃな大活劇が展開される。毎回こんなことしていると赤堀さんはそのうち死んでしまうぞと心配していたら、なんと作品の中でも警視庁の岩楯がちゃんと心配してくれていた。
 こういった内容なので安心して読めるともいえるが、容易にマンネリ化してしまうことも否めないでしょう。
 作者の巧みな話の進め方と登場人物の奇抜さにより読んで十分に楽しめますが、先が見えているような気もしないではない。
 次の作品も出ていますが、この先読むかどうかは微妙です。
 でも赤堀さんが気に入っているので、きっと読んでしまいそう。パターンが変わっているとよいな。


No.758 6点 死香探偵 尊き死たちは気高く香る
喜多喜久
(2021/08/29 08:10登録)
 喜多氏の小説は理科系の推理といった様相が強いのですがこれはそちらかというとファンタジー風の設定です。
 勿論探偵としては感情が氷着いたような白衣の科学者で、この人に無理やり操作業務を手伝わさせられるといった設定ですが、主人公はあくまでも死臭を特定の食べ物の匂いと感じてしまうといった特殊能力を持った青年です。
 ちょっとした残り香でもかなり時間が過ぎていても特定の死臭をかぎ分けてしまう。こんな能力があれば犯人を見破ることは簡単にできてしまいそうです。
こういった設定は使い方のよってつまらなくも興味深くもなりそうです。
 作者は上手に使い分けているので興味深いほうが大きく、それなりに楽しく読めました。
 設定が特殊なため新しいお話が比較的簡単に作れそうではあります。すでにシリーズ化されているようなので次作も読んでみましょう。


No.757 6点 メビウスの守護者
川瀬七緒
(2021/08/22 22:13登録)
このシリーズの主人公の赤堀は相当変わったキャラクターでありますが、今回は赤堀に似たような性格を持った人物が登場する。
さらに昔の犯罪の加害者で、本質的に治しようのないような人間も出てきます。
こういった人の被害者となった人や家族は悲惨です。恨むのは当然でしょうが、恨まれた加害者の家族も不幸です。本作品ではこういった解決しがたい重いシチュエーションが下地にあります。本すじはバラバラ事件で腐った死体が発見されるといったお話です。こう書くといかにも重い小説のようですが、実際にはあまり重い雰囲気とはなっておらず、読んで気分が重くなることはありません。
ただちょっとワンパターン気味になってきたかな。


No.756 7点 シンクロニシティ
川瀬七緒
(2021/08/14 19:45登録)
 このシリーズは3作読みましたがいずれもはじめにうじだらけのグロイ描写が出てきて、犯人も被害者もなかなか見つからず、最後は派手の活劇用の場面となり解決するといったパターンのようです。
 法医昆虫学なのですからグロイのはやむを得ないのですが、読むたびに学生時代の法医学口座で死体のスライドを次々に見せられてげんなりした記憶がよみがえります。昆虫はあまり好きでない上に蜘蛛や蛇なども得意でない。
 こういったお話なのに結構面白く読めてしまいました。
 ひどくエキセントリックな赤堀涼子が結構面白い。一緒に活躍する警官たちもなかなか良いですね。さらに小生意気なやつらが痛快にひっくり返されるところも。
 続編が出ているので読み進めましょう。


No.755 7点 本と鍵の季節
米澤穂信
(2021/08/09 09:24登録)
 米澤氏は力のある推理作家であることは間違いないと思いますが、私にとって作品によってかなり好き嫌いがわかれる不思議な方です。
 古典部シリーズなんかは大好き。小市民シリーズは毒が強くてどうも好きになれない。
 この作品は連作で、初めのうちは古典部シリーズの味付けに似通っておりとても気分良く読めましたが、最後に行くに従い作者の毒がじわっと出てきて、ちょっと好みを外れる感じとなりました。
 とは言え、なかなか興味深い内容がしっかりと描かれており、読んで損はない作品であることは間違いないと思います。


No.754 6点 水底の棘
川瀬七緒
(2021/08/06 20:17登録)
 シリーズ最初から読もうと思って買ったのがこの作品。なんと3作目でした。インターネットで購入すると時にこういったミスをしてしまう。
 まあこれから読んでもあまり困ることはないのですが、一応敬意を表して前の作品も購入して読むこととします。
 さてこの作品ですが、昆虫があまり得意でない私にはかなりグロイ所もあります。でもこういった変わった切り口はなかなか興味深いものでした。
 ただ本作品では法医昆虫学者の赤堀さんはかなり活躍するのですが表題となるほどではなく、むしろ警察小説に協力するといった感じでしたね。
 


No.753 2点 名もなき毒
宮部みゆき
(2021/07/20 21:24登録)
 宮部氏の初期の小説は好きでした。どれも興味深く面白かった。
 過去形で書いているのはこのシリーズの「誰か」もかなりいやな感じであったが、本作品は私にとってとても耐えられないほど嫌なやつが出てくるのです。
 途中でやめようかと思ったが我慢して読んでいるとこいつはさらにサイコパスの本領を発揮してますます嫌がらせをしてくる。勿論反省などまるでなし。
 こういった人に実際に悩まされたことがあるため、読んでいて不快なことこの上なかった。
 私にとって読書は最高の楽しみの一つなのですが、こんなに読んで苦痛を味わわされるなんてやってられません。
 もう当分宮部さんの作品は読みたくないな。


No.752 5点 名探偵は嘘をつかない
阿津川辰海
(2021/07/16 21:01登録)
 作者の才能を感じる作品ではあります。初出作品だけあって気負いとやりたいこと全部やったるといった意気込みはかえるのですが、とんでもない設定の上あまりにもごちゃごちゃとやりすぎで、私にとってはトーストにバターをべたべたに塗って、はちみつをたっぷり載せて生クリームをのせて砂糖をたっぷりかけたような感じがしましたね。
 はじめは阿津川のあまりの性格の悪さにうんざりし、途中から人間が死ぬのを持て遊ぶ(本格推理は多かれ少なかれこういった傾向にはあるのですが)のは悪趣味以外ない感じもしました。
 しかも長くて読むのが苦痛のところもあったのですが、途中から興味がわいてきて読み通すことができました。変な設定になれたとも言えますが、きっと作者の物語を紡ぐ才能があるからなのでしょう。
 


No.751 6点 あなたの隣にいる孤独
樋口有介
(2021/07/11 13:15登録)
 このお話は途中でとても意外な展開となり、主人公たちが追いかけられている相手も全然予想外。こういわれると本格推理小説と思われますが、そういった感じはほとんどありません。
 息もつかせぬ青春ミステリーと裏には書いてありますが、そういった感じは希薄で、私にはかなり変わった日常生活のお話といった感じでした。
 意外な展開なのに推理するといった要素が希薄で、結構な犯罪なのに日常の謎程度にしか感じない。まあこれはこれでよろしいのですが。
 個人的に好みの作者であり世代も同じため、読んでいて悪くはなかったが、まあ普通だった。インパクトが少ないなあ。作者も私も歳をとってきたせいかもしれません。


No.750 8点 黒牢城
米澤穂信
(2021/06/26 17:44登録)
 歴史推理として力作と思います。
 以前より荒木村重ほどの男が妻子、部下を残して城を放棄して逃げてしまい、その後妻子も部下も殺されたのにひとり生き延びて晩年をけがしてしまったことについてもう一つ納得がいかないところがあったのですが、これは一つの解決ではあります。
 勿論これが歴史の真実か否かは別でしょうが。
 お話は荒木が信長に背いて兵をあげ、それをいさめに黒田官兵衛が単身有岡城へ乗り込み、説得は失敗し村重により土牢へ閉じ込められてしまったところから始まります。
 有岡城内で不可能と思われる事件が次々と起こります。解決がなかなかできない村重は囚われの身である官兵衛に謎を持ち掛ける。すると菅兵衛はあっさりと謎を解いてしまうが完全な回答は発しない。村重も有能なので謎かけでけで答えを見つける。といった出来事が4つほど起きる。ちょうど連作長編といったかたちです。最後は意外な結論となりますが、これはまた読んでのお楽しみです。
 歴史が好きで推理が好きならかなりのおすすめです。


No.749 7点 九度目の十八歳を迎えた君と
浅倉秋成
(2021/06/19 07:29登録)
 これはミステリーというよりは青春ものプラスSF?といったお話でした。
 なかなか変わった設定で実際には絶対ありえないお話なのですが、読んでいくとそんなことはあまり気にならなくなります。作者が巧みなのでしょう。
 「教室が、ひとりになるまで」も同様の設定でしたので比較的違和感がなかったのかもしれません。「教室が」よりは悪意が少なく、気持ちよく読めます。
 作者はこの路線で行くのでしょうか。あり得ない設定が本格物はしょせんありえない設定だからありという方とちょっとねえとする方に分かれそうです。
 私はまあありぐらいですか。読んで面白かったです。


No.748 6点 平凡な革命家の食卓
樋口有介
(2021/06/12 20:56登録)
この作品は初めのうちはちょっといつもの樋口氏の雰囲気と違うと思っていたら、だんだんいつもの軽妙なそして女性が魅力的な展開となり、途中からは私の好きないつもの調子となったので、愉しく読めました。
作者は警察小説が嫌いとのことですが、これって警察小説だよねと思っているうちに、主人公の卯月はどんどん警察官の枠を飛び出しナンパされるわ、その男が好きになってすぐ寝てしまうわ、となかなか面白いこととなります。
続編も出ているとの事なので読んでみましょう。


No.747 6点 教室が、ひとりになるまで
浅倉秋成
(2021/06/05 13:13登録)
こういった現実にはあり得ない設定をあらかじめしておいて、その中での理論的推理?を楽しむといった小説は最近時折見かけます。確かに本格物においてそのロジックとオリジナリティーが重んじられると、ネタ切れとなってしまうことは明らかです。
 こういった条件設定をしておけばある意味いくらでも小説が書けることとなりましょう。
 ただしきちんとした魅力のある設定でないと、誰も入りえない密室に超能力で瞬間移動したなんてことになってしまう。なかなか難しいのかもしれません。
 本書はそう言った面では超能力が極めて制限されており、その中での推理といった設定がきちんと守られているのでまずまず。


No.746 4点 ポストカプセル
折原一
(2021/05/27 07:55登録)
折原氏の作品には手紙を使ったお話がいくつかあります。書き手がわからない、極めて不快な内容、そして複雑な展開からのどんでん返しと本格物として一つの地位を築くに十分と思いますが、私はこういった不安や不快感が強い作品はあまり好きではありません。
従って評価もそれなりに下がるのですが、さらにこの作品は連作ものであり一つの推理小説でもありますので、一つずつのお話をしっかりと読んでいないと最後のどんでん返しがよく分からないということとなります。
私はこういった不快感を伴う話をしっかりと読みたくなかったので適当に飛ばして読んだせいで、最後の展開は理解したと言い難いこととなりました。


No.745 6点 推理小説のようにはいかない ミュージック・クルーズの殺人
宮ヶ瀬水
(2021/05/19 19:49登録)
音楽演奏と推理が交錯しながら展開するお話です。話としては好みの内容です。
 連続殺人がクルーズ船の中で起きる、それ以外にも殺人事件が起きる、最後はそれらが関連してくるといった内容はそのまま書いていけばシリアルな内容となりそうですが、それほど深刻な感じは受けません。
 推理はそれなりに出来上がっています。細かく言うとちょっと無理なところもありますが、まあよいでしょう。
 読んだ感じでは続編が出そうなムードですが、出たら読んでみたいと思わせる内容でした。


No.744 6点 その旅お供します 日本の名所で謎めぐり
綾見洋介
(2021/05/15 07:25登録)
 カクテルとちょっとした謎、そして人との触れ合いを交えた連作小説です。
謎は軽くて小さい。お酒が多少飲めるならカクテルのお話はは読んでいれば飲みたくなりそうです。
 何となく亡くなった北森鴻の小説(好きだったのに)にもあったような感じです。
 感じの悪いものではないので、さっくりと読めます。
 時間つぶし程度に読むなら楽しいです。


No.743 6点 遺跡発掘師は笑わない 鬼が島の証明
桑原水菜
(2021/05/04 07:43登録)
 「ほうらい」の続編が出たと思って読みました。ところがなんとこれは11作目ではないか。当然お話は前のシチュエーションからの続きとなっておいますが、読むのにあまり支障はありません。
 今回は桃太郎関連のお話です。登場人物は笑ってしまうような犬、猿、鶏の名前がついた発掘師たち。さらに二十歳そこそこの女性発掘師(犬飼さん)がかすかな東北訛りがあるとの事だが、バリバリの東北弁。無量は相変わらず「っす」を連発。
 親しみがあるというよりはギャグ効きすぎで軽い感じが否めなかった。
 話の内容については個人的には興味深いところなので結構面白いし、登場人物も実はそんなに悪い人はいなかったりして読後感は良いのですが、私の評価としは若干下がってしまいました。

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