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ミステリの祭典

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野良犬の値段

作家 百田尚樹
出版日2020年12月
平均点7.67点
書評数3人

No.3 7点 メルカトル
(2026/05/04 22:30登録)
突如としてネット上に現れた、謎の「誘拐サイト」。
<私たちが誘拐したのは以下の人物です>
という文言とともにサイトで公開されたのは、
6人のみすぼらしい男たちの名前と顔写真だった。
果たしてこれは事件なのかイタズラなのか。
そして写真の男たちは何者なのか。
半信半疑の警察、メディア、ネット住民たちを尻目に、
誘拐サイトは“驚くべき相手"に身代金を要求する――。
日本全体を巻き込む、かつてない「劇場型犯罪」が幕を開ける!
Amazon内容紹介より。

誘拐サイトの第一発見者、フリーライター、新聞社、TV局、出版社、誘拐犯、警察等の多視点から描かれ、登場人物は夥しい数に上ります。しかし群像劇という訳ではなく、飽くまでエンターテインメントに徹しています。社会派の様相も呈しています。残念ながら文体としては会話文が多く、その分重厚さに欠けるのが気になるところではありますが。

誘拐物によくある警察と誘拐犯との駆け引きはあまり見られず、終始警察が誘拐犯の罠に翻弄されるという形が取られています。個人的には第一部より第二部の方が面白かったですね。特にホームレスへの拷問シーンとその背景にあるものは心に突き刺さりました。ここが私にとってはクライマックスであったのではないかと思っています。
世論を巻き込んでの劇場型犯罪、読み応えも十分で、特にエピローグは良かったです。多くの読者に受け入れられる納得の一冊だと思います。

No.2 8点 蟷螂の斧
(2026/03/27 16:23登録)
ホームレス6人が誘拐された。犯人はマスコミの各社(新聞2社、TV2局)に身代金を要求した。身代金など支払う義務もないマスコミの対応は?…。SNSを含む劇場型犯罪で、マスコミの裏事情も明かされ楽しめました。構成も上手いし、最後の一行も決まっている。

No.1 8点 makomako
(2022/06/19 07:55登録)
 この作品は非常に興味深い内容を含んだ、エンターテイメントと思います。
 作者はマスコミやSNSなどでずい分話題になったことがありますが、その経験をもとにSNSによる犯罪や影響、そして大新聞社やテレビ局の偽善、欺瞞などをじつに分かりやすく描いているものと言えます。
 誘拐、身代金要求など卑劣な手段を取ること自体全くよろしくないのですが、社会のある意味でごみ扱いされているホームレスが自分たちを不当に陥れた社会へ挑戦する姿を見ていると痛快になってくるのように描かれています。それに対してマスコミやSNSの建前主義の対応。そしてホームレスたちは神のような予測能力で見事に手玉に取ります。こんなすばらしい能力があったらホームレスにならないような気もしますが、まあ小説なのですから。
 人を感情だけで不当に陥れることができるような構造となっている現代社会への作家たる作者の反論とも感じられます。作者のすごいところはこの小説が実に面白く読みやすくかけているところなのでしょう。読後感もとても良い。
 

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