home

ミステリの祭典

login
こうさんの登録情報
平均点:6.29点 書評数:649件

プロフィール| 書評

No.509 8点 百万ドルをとり返せ!
ジェフリー・アーチャー
(2010/07/21 23:08登録)
 私が中学生の頃テレビで「ケインとアベル」が放送され書店でも全作品揃って簡単に手に入る作家でした。
 今でも軽妙な「コンゲーム小説」というとこの作品が真っ先に思いつきます。国内も未だに「紳士同盟」シリーズくらいしか思い浮かびませんが。
 アーチャーの明るい作品は短編の一部とこの作品くらいですがいずれもさらさらっと読めて楽しめた記憶があります。


No.508 8点 リプレイ
ケン・グリムウッド
(2010/07/21 23:01登録)
 ガイド本の折原一の推薦で数年前に読んだ本です。推薦文の「繰り返し小説の有名な古典」というそのまんまの本でSFに入るかと思います。映画化できそうなストーリーだと思います。
 2人の男女が人生をやり直す小説ですが途中で読者にも「リプレイ」の問題が一目瞭然であり、このままいったらラストはどうまとめるか、というラストの解決に興味がわくのですがそこはあっさりしていて拍子抜けしました。
 あまり人生に対する教訓みたいなテーマでなくストーリーを楽しむ本だと思います。
 結構繰り返しが癖になり個人的には楽しめました。ただいかにも絶版になりそうな本だと思うのに未だに店頭に並んでいるのはある意味驚きです。


No.507 6点 エリアンダー・Mの犯罪
ジェリー・ユルスマン
(2010/07/21 22:51登録)
 ガイド本の折原一の推薦で数年前に読んだ本です。ミステリではなく別世界のSF小説(サスペンス?)で、ナチスものでもあります。
 若い離婚したばかりの女性レスリーモーニングとその祖母エリアンダーモーニングが実質の主人公のIF小説ですが映画化できそうなストーリーで楽しめた覚えがあります。
 ただ現実世界に収束するかと思ったら実際にはそうではなかったのが少し意外でした。
 あまり前情報なしで読んだ方がいい類いの小説ですが裏表紙もかなり前情報を与えているので注意が必要です。 


No.506 3点 カナリヤ殺人事件
S・S・ヴァン・ダイン
(2010/07/19 02:16登録)
 「グリーン家」と「僧正」の次に高校生の頃読んだのですが「なんだこりゃ」と思った作品でした。機械トリックもポーカーも個人的には認められませんでした。当時はクリスティ、チェスタトン、クイーン以外を読み始めた頃でしたが古典の中でもヴァン・ダインの作品はあまり楽しめた記憶がありません。


No.505 4点 わらの女
カトリーヌ・アルレー
(2010/07/19 01:55登録)
 「〇〇小説の古典」としての意義はある作品だと思いますがこの手の作品でカタルシスを得る読者は限られてくるかと思います。個人的にはこの手の作品はあまり好きではありませんが衝撃を受ける方もいるかも知れません。


No.504 7点 ギャルトン事件
ロス・マクドナルド
(2010/07/19 01:51登録)
 20年前の失踪人を財産相続のため探しだすという今では手垢のついた題材がこの作品の依頼内容です。
 マクドナルドらしい血統、血筋をテーマとしていますし最後に真相のひっくり返しもあります。但し登場人物の語られる行動面に納得いかない所が後半部分に何箇所か、何人かあります。ひっくり返される真相も確率的にはかなり低いと思います。そのため最後までよんでもさほど衝撃もなくやられた感じもしませんでしたが結構楽しめました。


No.503 5点 ドーヴァー2
ジョイス・ポーター
(2010/07/19 01:35登録)
 眠れる「不美女」殺しの謎を追う作品ですが動機に期待すると肩透かしを食らう感じです。
 既読作品を読む限りではドーヴァーのドタバタ劇(ファース)は現代日本読者にはあまり受けないかなあと思います。
 なんだかんだで解決しますしドーヴァーよりもっと推理しないひどい探偵もいますしそんなにおかしみも感じません。なので各作品の真相、動機が面白いと思えないと楽しめないかもしれません。個人的にはこの作品はまあまあでした。 


No.502 5点 地下洞
アンドリュウ・ガーヴ
(2010/07/19 01:22登録)
 ガーヴの作品はワンパターンですがそれで安心して読める所も個人的にはあったのですがこの作品は既読作品10数作の中では異色作でした。ストーリーの都合上途中で主人公が交代している印象がありますがガーヴ作品の場合(犯人のケースもありますが)主人公に感情移入できないと作品として成功とは言えないと思いますのでその点も十分ではないと思います。
 ラストもかなりの荒唐無稽感があります。


No.501 7点 幽霊の2/3
ヘレン・マクロイ
(2010/07/19 01:15登録)
 「殺す者と殺される者 」が面白かったので続けて読了しました。
 毒殺トリックはちゃちすぎて読者もほとんどの方は知っててもまさかこれだとは思わないでしょう。(この作品がオリジナルなのかもしれませんが)
 真相の方は実際のところ成功するか正直疑問ですしわざわざそんなことをする必要があるのか疑問です。現実世界で同様の成功例も聞いたことがないですが50年代以前のアメリカではそういうこともありえたのでしょうか。ミステリだからその点を追及しなければ作品世界は昔ながらの本格世界で個人的には楽しめました。


No.500 7点 亡命者はモスクワをめざす
ブライアン・フリーマントル
(2010/07/17 02:23登録)
 チャーリー・マフィンシリーズの6作目ですが「消されかけた男」と同様今でも面白いなあと思える作品です。
 この作品の前まではいわゆる逃亡劇でシリーズファンとして当時は楽しみましたがスパイ小説としては「消されかけた男」と比較して面白くありませんでした。諜報部に復帰したこの作品はスケールが大きく楽しめました。
 チャーリーが非常に有能なのが読者はわかっているだけに結果はともかくチャーリーがしてやられるのがこの作品の最大の見所だと思います。
 難点はこの作品だけ読んでも流れがわからないのでシリーズで最低でも1、2、5作目は先に読まないと面白みが味わえないことです。(3,4作目の「呼び出された男」と「罠にかけられた男」はあまり面白くないですし大勢に影響しません。)


No.499 9点 消されかけた男
ブライアン・フリーマントル
(2010/07/17 02:10登録)
 高校生のころリアルタイムで書店で簡単に手に入る作家の一人でした。読み始めたころはちょうど日本を舞台とした7作目の「暗殺者を愛した女」が出ていた頃ですがTetchyさん同様ですが 一作目がこれでどうやってシリーズを続けてゆくのだろうと思った覚えがあります。
 スパイ小説として非常に面白かったです。さえないはずの主人公が実はプロフェッショナルで非常にかっこいいのととにかく英国諜報部の上層部は徹底的に無能に描かれKGBの上層部は有能かつかっこよく描かれておりチャーリーに感情移入させやすくなっています。その上であの結末ですから当時はびっくりしました。今でも楽しめると思えるのはこの作品と6作目の「亡命者はモスクワをめざす」くらいですが当時はこのシリーズそのものが好きでした。


No.498 7点 オイディプスの報酬
リチャード・ニーリィ
(2010/07/15 00:30登録)
 ベトナム帰りのジョニーの視点で語られるサスペンスで父親の若い後妻と共に財産目当てに父親の暗殺を企む、というありがちなストーリーですがいかにもニーリィらしいどんでん返しのあるストーリーとなっています。原題の方が内容にそっていますが題名だけで勘のいい読者には見当がつきやすいのでこの作品についてはまだ改題でいいかなあと思います。ただ改題でもヒントにはなっています。
 邦訳された他作品同様登場人物も少なく読みやすいと思いますが他作品同様探偵役の刑事は影が薄いです。
 ちなみに解説は折原一です。 


No.497 6点 バード・ウォーズ
多島斗志之
(2010/07/15 00:13登録)
 確かに荒唐無稽感の強いストーリーですが個人的には結構好きです。プロット、ストーリー、お決まりのどんでん返しいずれも楽しめますがやはり国際謀略小説に興味がない読者には手を伸ばしにくい題材かなあと思いました。


No.496 5点 情状鑑定人
逢坂剛
(2010/07/15 00:06登録)
 表題作のような心理サスペンスや悪徳警官もの、脳神経学ミステリ(?)といった作者の得意分野の集まった短編集です。結構読み易くさっと楽しめた覚えがあります。


No.495 8点 一瞬の敵
ロス・マクドナルド
(2010/07/14 23:57登録)
 ロス・マクドナルドお得意の家族(家系)の悲劇を扱っている作品です。
 真相は結構予想しやすいですが最後の部分は予想外で楽しめた覚えがあります。読みながら家系図をメモして真相を予想した記憶があります。
 ただ不満点としてはアーチャーに依頼した人物一家特に失踪した娘のこの作品での役割は何だったのだろうという点と人物が多すぎてあまり登場意義のない人物もいることです。 


No.494 3点 プラチナデータ
東野圭吾
(2010/07/14 23:50登録)
 近未来SFミステリといった印象の作品でした。相変わらず読みやすいですしおそらく売れると思いますが個人的には最近の東野作品とは嗜好が合わなくなってきました。
 神楽龍平の秘密は今では簡単に予想されるもので、プラチナデータの真相もいかにもありそうな内容で正直ほとんど予想通りでした。
 自分が楽しめてないだけで面白い作品なのかもしれませんが現時点では加賀シリーズだけが楽しみになってしまっているのが少々残念です。


No.493 10点 東西ミステリーベスト100
事典・ガイド
(2010/07/14 23:37登録)
 1986年出版の国内、国外のアンケートによるベスト100作品を紹介した本です。
 数年後高校生の時この本を手にするまではクリスティ、クイーン、チェスタトン、ドイルくらいしか知らなかったのでこの本で知り合えた作品が多く一番役に立ったガイド本でした。田舎に住んでいた20年以上前は情報も全くなく絶版本はまず読めなかったので隔世の感がありますが国内で新本格派が全く入ってないベスト本としては一番新しいと思いますので新本格前夜の作品に興味がある方は一読することをお薦めします。東野圭吾も乱歩賞受賞直後で一作も入っていません。
 個人的には海外はポケミスなど文庫に入ってない作品があまり入ってない点、国内は特定の作家に人気が集中している点が気になりますが今見れば最大公約数的なオーソドックスな作品が集まっていると思います。
 ちなみに海外は1位Yの悲劇、2位幻の女、3位長いお別れで国内は1位獄門島、2位虚無への供物、3位点と線でした。
 当時は海外作品は結構書店で手に入る作品ばかりでしたが国内作品は半分以上は絶版でした。今ではどちらも全集などが充実して結構手に入りますが国内も国外も当時全盛だった冒険、スパイ、謀略小説に関しては絶版が多いと思います。


No.492 6点 法月綸太郎の冒険
法月綸太郎
(2010/07/06 00:21登録)
 10年以上前に読んだはずですがこの作品集だけさっぱり覚えておらず再読しました。
 個人的には「新冒険」「功績」の方が洗練されて出来が良いと思いました。「死刑囚パズル」も伏線は事前に提示されていますが「入れ替わり」が可能なのかどうか実際には微妙かなあと思いました。とはいえ純粋パズラー短編集としてパズル崩壊はともかく「新冒険」「功績」共々楽しめました。
 図書館シリーズは軽い作品ですが他の皆さん同様私も結構好きです。 


No.491 6点 殺さずにはいられない
小泉喜美子
(2010/07/06 00:12登録)
kanamoriさんの書評を見て読んでみました。ひょっとして以前の短編集の抜粋なのか既読の「またたかない星」とも2編重複がありましたし表題作も更に後発の「太陽ぎらい」にも収録されているため既読でした。
 作品集自体は洒落ており小泉喜美子らしさを楽しめますが作品の重複は事前に確認した方が良いかもしれません。


No.490 6点 Wの悲劇
夏樹静子
(2010/05/31 00:27登録)
 書かれたのが80年代でもこの設定は流石に古めかしいですが個人的には楽しめた覚えがあります。
 元々裏切り者が出なくても古典ならともかく80年代なら大分杜撰な隠蔽工作だと言わざるを得ませんし全員一致で隠蔽工作をする展開も説得力に欠けますし何より真相の構造は興味深いものですが非現実的だなあと思わせられます。法律的な問題もそこまで思い至らない登場人物への突っ込みどころはあります。
 ただ作品としては館で起きる昔懐かしい殺人事件として楽しめた覚えがあります。
 確かに忠実に映像化したら結構楽しめるテレビドラマになりそうな作品だと思います。

649中の書評を表示しています 141 - 160