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ミステリの祭典

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itokinさんの登録情報
平均点:7.28点 書評数:345件

プロフィール| 書評

No.305 9点 ジャッカルの日
フレデリック・フォーサイス
(2014/12/29 20:59登録)
映画を見ていくつかの決定的場面を覚えているので、小説で感動できるか疑問だったが、なかなか大したもので殺し屋とそれを追っかける警察の駆け引きはサスペンスそのもので結果が分かっていても秀逸だ。読み応え十分と言っておこう。


No.304 7点 古い骨
アーロン・エルキンズ
(2014/12/01 18:40登録)
それほど多くない登場人物だが人間関係と名前を覚えるのに手間取った。それにしても数十年たった骨からでも確信に近い真実が判るのにはびっくり、骨の分析という地味な題材からこれほどふくらみを持たせ物語が書けること、丁寧な書き方で疑問点はすべてつぶしていき読者を納得させる、又、人物のキャラの描き方がユーモアと温かみもあって好感が持てた。大きな山は見られないが、謎ときの好きな人、古典の名作ということで読んでみる価値あり思う。


No.303 9点 ジェノサイド
高野和明
(2014/11/20 12:42登録)
アフリカ、アメリカ、日本で物語が同時進行するスケールの大きな物語なので展開が興味深かったがいずれも全編迫力満点で構成、表現力に感心させられた。オリバーストーン監督の近代史を全編テレビで見たがその時、少なからずアメリカという大国の正義の戦争にに衝撃を受けたが、一人の人間に巨大な権力を与えることがいかに危険かということを高野さんも指摘されてるんだなと思った。スケールが大きすぎるので一部ご都合主義も見えるが一読をお勧めする。(推理協会賞受賞作)


No.302 7点 シリウスの道
藤原伊織
(2014/11/04 19:18登録)
広告業界にこのような過酷な競争があるとは知らなかった。専門用語に途惑うこともあったがそれを上回る面白い展開でスリル十分で後半の盛り上げは素晴らしい。続編を考えていたのか、この方が読者の胸に残ると考えたのか今は知る由もないがこのラストは少し残念な気持ちです。


No.301 8点 ひまわりの祝祭
藤原伊織
(2014/10/22 18:07登録)
さすが東大文学部卒、この人は頭がいいなあ、初っ端から読者を引き込む力、緻密な計算された展開、まるで翻訳ものを読んでるようしゃれた会話など久しぶりに堪能しました。最後が少し悲しいのでこの点数としました。私も主人公のような性格になりたかったなあ(凡人には無理か)。


No.300 7点 蔭桔梗
泡坂妻夫
(2014/10/15 13:43登録)
短編集で表題作が直木賞受賞と聞くが、どれも同等で未熟な僕には作品の本当の良さが解らない。しかし、いずれも、ラストの切れ味が素晴らしく男女の秘めた情愛が心に残るのは確かこれらがいい作品と評価されるのかな・・。


No.299 9点 リヴィエラを撃て
高村薫
(2014/10/09 13:21登録)
物語の構成、組み立て齟齬のない緻密な描写、長編にもかかわらず最後まで盛り上げる力どれをとっても1級品、日本人でここまでかける作家はそう居ないないと思われる高村さんの実力を知らされる作品です。


No.298 7点 シェエラザード
浅田次郎
(2014/08/14 13:17登録)
浅田さんの作品は、いつも楽しく読ませてもらってますが今回はスケールが大きすぎ、また戦時中に(物品のない時代)にこのような豪華客船作れるはずがない、また輸送の行先の設定に無理が考えられる等、物語の展開にいまひとつ共感が得られなかった。
しかし、最後まで読ませる力はすごいですね。


No.297 9点 黒い家
貴志祐介
(2014/08/14 12:43登録)
貴志さんの作品は、どれを読んでもはずれがなく大ファンですが、これは初期の作品でホラー大賞受賞とのこと、やはり並の人とは違いますね。今まで読み忘れていたのが信じられない。


No.296 5点 どんどん橋、落ちた
綾辻行人
(2014/05/01 20:37登録)
単なる謎解きは、頭の悪い私には合わない、もちろん犯人を当てろと言っても謎を解く気にもならないしたがって犯人もわからない。
とにかくこうゆうのは、私には合わない。好きな人には失礼だがこの点数とさせてください。


No.295 9点 蒼穹の昴
浅田次郎
(2014/05/01 20:26登録)
中国、落日の清朝時代の歴史サスペンス.西太后を中心とした皇室の権力争い、宦官への壮絶な体験、科挙でトップへの競争、中国の切り取りを狙う欧州諸国、日本の動き等、壮大なスケールで描くまさに浅井氏の感動的筆力に脱帽しました。あの時代の中国のあり方、西太后のイメージ、歴史観も少し変わりました。勉強になりました。


No.294 8点 災厄の町
エラリイ・クイーン
(2014/03/10 19:33登録)
中盤までは状況説明で退屈したが、事件が起きた以降はスピード、盛り上がりも出て、特に裁判の場面は秀逸。また、クイーンの出現で謎だった箇所がうまく解き明かされ構成の素晴らしさに引き付けられました。


No.293 8点 後巷説百物語
京極夏彦
(2014/02/18 09:29登録)
またもや京極ワールドに浸りました。大人の童話というか途方もない物語なのだが違和感がなく引きずり込まれました。登場人物もそれぞれ個性があり特に百助さんはいいですね。時代も明治初期と珍しく興味深かったです。短編集で全て出色ですが、「赤えいの魚」「五位の光」「風の神」が心に残ってます。


No.292 5点 水の眠り 灰の夢
桐野夏生
(2014/01/18 19:55登録)
犯人が早い段階で推測できるのと物語の節々で設定に違和感が有りまたそれほどスリルもサスペンスも感じられなかった。最後の盛り上がりのみ期待したがそれほどでもなかった。採点通りまあ楽しめたというところか。


No.291 8点 成吉思汗の秘密
高木彬光
(2014/01/11 19:07登録)
何十年ぶりかの再読です。その時もこれは有りうるなとショックを受けたが、今読んでも古さを感じない、よく歴史を調べて書かれており当時よりも私自身も歴史の知識も深くなってるはずだが勿論作者は数段上をいっていて違和感を感じずさらに新鮮な気持ちで読ませていただいた。最後のインパクトもこのまとめ方が精いっぱいかなと感じている。


No.290 9点 相棒に気をつけろ
逢坂剛
(2014/01/02 09:18登録)
いやあ、逢坂さんがこんな痛快な作品を送ってくれるとは思いませんでした。短編集ですが、どれも切れ味が鋭くシャレが効いていて続編があれば即飛びつきたくなりました。映画の「スティング」を思わせコンゲーム小説の最高峰でしょう。抜け目のない金のためなら何でもする詐欺師の主人公の上をいく相棒によりペースをみだされきりきり舞いさせられる様はまさに絶妙です。


No.289 7点 セント・メリーのリボン
稲見一良
(2013/12/26 19:05登録)
短編集だが、やはり猟犬探偵が活躍するセントメリーのリボンが一番好きだ。特に奇をてらった筋書きでなく平易で軽いハードボイルタッチは心地よく先を読ます、また愛を包んだ終盤は温かい気持ちにさせます。


No.288 4点 風が吹いたら桶屋がもうかる
井上夢人
(2013/12/22 20:44登録)
一話を読んでこれはいけると思ったんだが、2話以降同じパターンでがっかり、3人のキャラクターも受け狙いに作ったとしか思えずユーモアも薄ぺらく感じた。少し期待外れでした。


No.287 8点 ナポレオン狂
阿刀田高
(2013/12/21 20:02登録)
阿刀田さんの作品は、初めてですが、予想を上回りました。直木賞と推理作家協会賞の2作品を収納した短編集だが、日常普通の生活から狂気の世界に引きずり込まれていく様を無駄のない緻密な計算された文章と竿後の数行で読者をぎょっと言わせる技量は流石だと思いました。特に受賞した「ナポレオン狂」「来訪者」「狂暴なライオン」「白い歯」は、往年のヒッチコックの映画のようにキレがあった。


No.286 8点 シャーロック・ホームズの帰還
アーサー・コナン・ドイル
(2013/12/15 20:28登録)
短編集だがどれも、ホームズとワトソンの生活感が出ていていいですね。100年以上前に連載された当時本当にホームズが探偵としてロンドンに住んでいると思った読者が少なからずいたというがさもあらんと思いました。大きな無理のあるトリックもなく、時には犯人側に立って解決し犯罪に目をつむる、また時には多大な報奨金も平気でせしめる等人間味あふれているのがいいですね。

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