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ミステリの祭典

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あびびびさんの登録情報
平均点:6.33点 書評数:669件

プロフィール| 書評

No.369 8点 狂気のモザイク
ロバート・ラドラム
(2014/04/12 23:55登録)
最愛の恋人を自らの意図で殺害してしまったアメリカの秘密諜報員マイケルは、それを機に引退した。絶望の中、当てのない旅を続けていると、イタリアのローマでその恋人と出会ってしまうのだ。だが彼に会うなり恐怖と悔蔑の表情を浮かべた彼女はすぐに姿を消してしまう。

何がなにやら分からなくなったマイケルはそれから彼女を追跡の旅を始める。しかし、追えば追うほどその背後に潜む黒い陰謀が浮かび上がり、それは核戦争を起こしかねないほどのレベルにになってしまう。

アメリカで本を出すたびにベストセラーになったラドラムが、世界的ミリオンセラーを記した一冊だと言うだけあり、全編にわたって手に汗を握る迫力。今度映画化される予定らしい。


No.368 6点 ヒッコリー・ロードの殺人
アガサ・クリスティー
(2014/04/05 19:52登録)
学生中心の下宿屋で盗難事件が頻発。ミス・レモン(ポアロの秘書)の姉がそこに勤めており、ポアロは講演と言う形で様子を見に行くが、その後2度の殺人事件が起こり、事態は一挙に緊迫する。

確かに登場人物か多く、何度も登場人物の欄を見返したが、警察が個人面談をするようになってから人物像が明らかになり、事態が呑み込めてきた。最後の犯人のアリバイ作りは良くある手ではあるが、ある意味虚を突かれて感心した。


No.367 5点 悪魔の涙
ジェフリー・ディーヴァー
(2014/04/05 18:26登録)
おそらく真の犯人はケネディ市長の○○だろう…と予想していたが、これはそのために用意されていた人物で、うまくだまされた。相変わらずのどんでん返し連発で、それにはもう慣れてしまったが、しかし銃撃犯はあまりにも不死身すぎる。

街を歩いても目立たない、誰も振り返らない男…と言う設定だが、あれだけ派手に人を殺し、FBIに包囲されても俊敏に脱出するなんて、とてもイメージできなかった。


No.366 4点 危険な隣人
笹沢左保
(2014/03/28 13:05登録)
医療過誤で夫を亡くした女性は、その原因となった医者夫婦、看護婦に復讐を誓いながら時間の経過にその意識も薄れつつあったが…。

なんとその家族がマンション隣の豪邸に引っ越して来たのだ。それでまた復讐の炎に火が付いた。いろいろ考えた挙句、その息子を誘拐し、心理的に苦しめる作戦に出たが…。

ある意味火曜サスペンス劇場にぴったりの内容。楽しめたが、ほとんどが予想通りでさしたる謎はそんざいしなかった。


No.365 5点 夜歩く
ジョン・ディクスン・カー
(2014/03/22 19:36登録)
(ネタばれの可能性あり)、首切り、整形、密室殺人と、題材はそろっている。怪しげな雰囲気はデビュー作から満載だった。密室の種明かしは「はあ?」と言う感じで肩透かしを食ったが、しかしあの犯人が一気に首を切り落とすなんて…と追求したくなるのはカーがどれだけ好きかによる。

題名と内容がぴんとこないけど、この題名は想像力をかきたてる。


No.364 5点 青列車の秘密
アガサ・クリスティー
(2014/03/14 13:25登録)
いわゆるブルートレインで起こる殺人事件。アメリカの大富豪の娘が南仏海岸へ向かう途中で殺される。ミステリ的状況が良いし、幾多の謎もある。そしてやや不可思議な恋愛ストリーも…。

いろいろな要素をたっぷり詰め込んで興味津々だったが、いかんせんポアロの切れ味が悪すぎた。一旦幕を閉じてからの解決は何度かあったが、これはブレーキが利きすぎて全体的につまらなくなってしまった。


No.363 8点 フランス白粉の秘密
エラリイ・クイーン
(2014/03/13 11:42登録)
おもしろかった。これが推理小説!という流れが楽しめる。なぜ死体をデパートのショウウィンドウに隠さなくては行けなかったか?という必要性には感心した。

細かいことを言えば無理強いしたところもあるが、犯人が現場に帰るごとく行動するのも心理的に興味を持った。好みの問題だろうが、自分の中では国シリーズの中でも高評価です。


No.362 6点 忘られぬ死
アガサ・クリスティー
(2014/03/09 12:51登録)
どこかで聞いたようなストリーだと思ったが、「黄色いアイリス」の中の作品を焼き直ししたものだったのか?

(ネタバレ)あくまでも財産が狙いで、叔母が犯人だろうと狙いをつけていたが、それ以上の展開があったとは…。それも確かに文中で匂わせていて、鮮やかな結末ではあるが、微妙な感じはぬぐえないかも。


No.361 3点 誰の死体?
ドロシー・L・セイヤーズ
(2014/03/02 21:02登録)
英米では、アガサ・クリスティーと並ぶ評価と言う。クリスティーの切れ味には遙か及ばない気がするが、その国の事情とか、ユーモアの違いとか、受ける要素があるのだろう。

(ネタばれ)、死体をあるアパートの窓から投げ入れた必要性が分からない。いくらでも死体処理ができる立場だから他の死体にまぎれさせるのもお手の物じゃなかったのか?と思った。

みなさん高評価の「学寮祭の夜」も記憶に残らなかった。やっぱり作家さんとの相性があるのかな。


No.360 2点 逃げるアヒル
ポーラ・ゴズリング
(2014/02/24 21:06登録)
サンフランシスコの金門橋を眺められる公園で女性が殺し屋(見た目はサラリーマンでその時は正体知らず)を目撃した。本人はすぐに忘れるくらいの日常の一場面(殺人現場ではなく、相手が落し物をしたためにそれを伝えただけ)だったが、見られた方は危機感を抱いた…。

殺し屋は場所を変えて彼女を殺害しようとしたが失敗。それをサンフランシスコ警察の刑事にに悟られる。しかし、「世界一の殺し屋」と自負する男は意地でも彼女を殺害しようと色々な計画を練るが、ベトナム帰りの刑事が彼女と二人三脚でそれを阻止する…。

殺し屋の正体が分かってからはなんの謎もなく、ただ予想通りに終わっただけだった…。


No.359 6点 女には向かない職業
P・D・ジェイムズ
(2014/02/20 01:07登録)
タイトルが秀逸だと思う。この作品をずいぶん盛り上げている。どちらかというと、情景描写がくどく、重い感じがする作風で、少々飛ばし読みしても大丈夫だと思った。

主人公のコーデリア(探偵)は若くけなげで魅力的な女性だが、依頼人がなぜ事件を掘り返そうとしたのか、その心境がイマイチ理解できない。それは傲慢な男だったから…と言われればそれまでだが…。


No.358 5点 象は忘れない
アガサ・クリスティー
(2014/02/15 20:05登録)
女流推理小説家とポアロ…。クリスティーが82歳の時の作品と言う。エルキュール・ポアロの最後の作品で、小説家とポアロとのやりとりは、ある意味クリスティーが楽しんでいるような部分も垣間見られた。

昔、ゾウの鼻を裁縫の時に針山として使っていた(ひどい!)男が、何年も経ったある日、横を通り過ぎた労役の像に鼻から水を浴びせられたと言う…像はその男を忘れていなかったのだ。

人間もそんな記憶が多々ある。心の奥に閉じ込められているその記憶を徐々に呼び起こして、昔の未解決事件を解決するーそんな物語だが、さすがに82歳となれば、切れ味不足のような気がした。


No.357 7点 夢幻花
東野圭吾
(2014/02/10 23:10登録)
夢幻花…。花にはそれぞれのDNAがあり、咲く花の色は決まっている。しかし、花ゆえに色々な色を見たい、楽しみたい。これは植物学者の夢であり、野望だったが…。

アサガオに黄色い花がないと言う。いや、江戸時代まであったのだ。それがなぜ、消えてしまっのか。それを研究していた老人が殺されるが、その動機に夢はなく、ただの現実逃避だった…。


No.356 6点 殺意
リンダ・フェアスタイン
(2014/02/09 13:45登録)
だいたいこのシリーズは文庫本で500ページから600ページくらい。いつも何かしらのテーマがあり、いろいろな分野の中での造詣は深い。

今回はコインなどの収集家にまつわる殺人事件で、エジプト国王に関係する話がメインになっている。女性検事だけに、犯人に狙われるシーンは彼女の動悸が伝わって来そうなくらい切迫しているが、彼女の護衛役?というべき刑事ふたりの個性がこの物語の視野を広げている。


No.355 7点 新版 大統領に知らせますか?
ジェフリー・アーチャー
(2014/02/01 12:56登録)
「英語の分からないウェイター」と指名されて不法入国者がアルバイトであるホテルの一室に行ったが、そこで大統領暗殺の話し合いが行われていた。その不法入国者はある程度英語を理解しており、相手に見破られてしまう。拳銃で足を撃たれながらなんとか逃げのびたその男はFBIに駆け込み助けを求めた…。

そこからFBI捜査官マークとFBI長官のふたりが虚虚実実の駆け引きで大統領暗殺を阻止するが、マークの恋人の父親が首謀者ではないかという疑惑が持ち上がる…。


No.354 7点 カーテン ポアロ最後の事件
アガサ・クリスティー
(2014/01/29 13:11登録)
歴代ボアロ俳優の中では群を抜いていると思うのがデビット・スーシェ。何よりステッキを持って颯爽と歩く姿が素晴らしかった。それが最後の事件は車いすだから物語の流れが重い…。

ホアロとヘイスティングが初めて事件に遭遇したスタイルズ荘で最後の事件となるのはいかにもクリスティーらしい。しかも本当にポアロが心臓病で死んでしまうのだ。それも事件解決を報告することもなく…。残されたヘイスティングは老体に鞭を打って奔走するが、やはりポアロは解決を文書で知らせてくれた。

その中身はとんでもないことが記されていた。ポアロと、ヘイスティングが実はひとりずつ人間を殺していたのだった!


No.353 4点 魔術の殺人
アガサ・クリスティー
(2014/01/26 11:24登録)
アガサ・クリスティーを4,5冊読んでいる人にはすぐに分かりそうなトリック。事件発生の設定からしてその流れだった。さすがに序盤から動機は掴めないが、魔術の殺人と言うほどの神秘的な話ではなかった。

第二の殺人はそれほどの意味もなく、読んでいても勝手にスルーしてしまった。


No.352 5点 冷笑
リンダ・フェアスタイン
(2014/01/20 13:21登録)
ニューヨークでも1.2を争う画廊を経営する大富豪夫人がハドソン川で水死体で発見された。大金が動く絵画の世界で虚虚実実の生活を送っていたデニーズ夫人はどんな事件に巻き込まれたのか?

パトリシア・コーンウェルが絶賛する女性検事シリーズの第3弾。少し長い感じがし、事件に関係のない部分はページも飛ばしたが、全体的に秀作のイメージは持った。


No.351 6点 死者のあやまち
アガサ・クリスティー
(2014/01/13 23:17登録)
真相は驚きだったが、ポアロの苦悩が長すぎて、中だるみ感があった。確かに細やかな伏線は提供されていたものの、すぐに気付くトリックではなく、ほとんど証拠も残されていなかった。

それだけ完璧な犯罪だったわけだが、それでも犯人側から見ればかなり混乱し、綱渡り状態だったわけで、双方を比較するとそのやりとりが面白い。

そういう意味からすれば、ずっと心の中に残る作品かも知れない。


No.350 8点 メービウスの環
ロバート・ラドラム
(2014/01/08 11:11登録)
上下巻の長作だが、圧倒的な筆力でページをめくる手が止まらなかった。「暗殺者」は映画で見ており、それからこの作者に興味をもったが、なるほど冒険、スパイ小説の巨匠と言われているのが良く分かった。

自由財団の代表、ピーター・ノパックがイスラム過激派に捕えられ、元国務省特殊部隊員のポール・ジャンソンが世界各地から凄腕の傭兵を招集し救助することになった。救助不可能の要塞だったが、幸運にも恵まれ、ノパックと、その傭兵を飛行機に乗せたが、なんとその飛行機が視界の中で空中爆発して全員死んでしまう。

ジャンソンはある事情から舟で帰還して九死に一生を得たが、それからテロリストに世界中で命を狙われる。それでも生き延びて「なぜ飛行機が爆破されたのか?」を調べていくうちに、「メービウス計画」なる大きな謎に突き当たる。それは予測不可能な世界的邪悪だった。

作者の遺作だと言うが、その死も邪悪な謎だったと聞いたことがある…。

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