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ミステリの祭典

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ビブリア古書堂の事件手帖6
栞子さんと巡るさだめ

作家 三上延
出版日2014年12月
平均点5.55点
書評数11人

No.11 5点 まさむね
(2017/09/15 23:26登録)
 今回の題材は全編にわたって「太宰治」であります。個人的には太宰治は嫌いではない、というか本当は好き。なので、もっと楽しめてもよかったような気がするのですが、「面白くないわけではなかったのだが…」というのが、読後の率直な印象でしたね。
 太宰にまつわる薀蓄も楽しかったし、一応の反転も嫌いではないのです。一方で、恐らくは、一般人の感覚と凄くかけ離れた方々(栞子譲や五浦クンも例外ではない)が多すぎることが一因だと思うのですが、心の片隅に「何だかなぁ~」って部分を持ちながら読み進めたことも事実。私の心が荒んでいただけという可能性も否定できないのですが。
 採点はこの辺りで。

No.10 5点 羊太郎次郎吉
(2017/01/21 06:46登録)
美人本馬鹿親子が日陰の身だという事実が判明。
でも骨董品が好きとか人のものでも奪いたいって気持ちは愛人やってる人の気持ちと似てるような気がするので納得。

No.9 4点 風桜青紫
(2016/01/26 23:04登録)
うーん、微妙……。4の乱歩のときも思ったが、割と好きな作家が取り上げられているときはなんか釈然としない思いが残る。別にこれを読まんでも、そこらへんで太宰治の小説をテキトーに買って読んだほうが、よほど太宰の人間性について分かるし、ずっと充実した読書時間を送れる(ライトノベルと太宰を比べるのもどうかとは思うけど)。そういうわけで、太宰のエピソードを使って作品を盛り上げようという考えはいかがなものかと思ってしまうのだ。栞子さんも太宰好きらしいけれども、作中の人物たちの太宰への感想が中学生の投げやりな読書感想文みたいで、どうにも熱さが伝わってこない。そもそも太宰の作品を楽しんでもらいたいんだったら、『駈け込み訴え』のオチをさらっとばらしちゃダメではないか。「うねるような告白に胸がひりひりした」じゃないよ大輔くん。さらっとラストシーンをばらした栞子さんを恨まなきゃいかんでしょう。『断崖の錯覚』なんぞよりこっちのほうがよほどミステリ小説っぽい楽しみかたができるのに……。

ミステリとしても4、5に比べて弱く、作品を支えられるほどではないです。一応のメイントリック(?)である本の消失についても見当がつきやすいので、カタルシスは得づらい。短編ならばいいのだろうけど。それにしても犯人の栞子への思いがなんともわからない。「栞子さんがたくさん本を読んでて悔しい!」って……。だったらあんたも本を読めばいいだけやん。そもそも本をたくさん読んでるからって劣等感を抱く気持ちが意味不明である。『こころ』で先生が語った「いくら本を読んでいてもえらいと思えなくなったのでね」という言葉を噛み締めてほしいものだ。

田中くんと大輔くんの妙なやり取りとか、それなりに見所はあったので、まあ、4点ぐらいで。最終章はどう決着をつけるのやら……。

No.8 6点 HORNET
(2015/08/14 11:14登録)
相変わらずの安定感。巻を重ねてもクオリティが落ちず、安心して購入することができる。
今回はまたもや太宰の稀覯本を巡る謎解きストーリー。ミステリとしてだけでなく、こうした文学に纏わるサイドストーリーが楽しめるのも本書の魅力。太宰って、本当に近年の作家で、直に親交や接触があった人がいるというのがなんかすごいなって思った。
どうやらもうすぐ本シリーズは終わりらしい。最後まで読み切ろう。きっと最後は栞子さんと母親の確執中心だろう。

No.7 6点 虫暮部
(2015/05/20 10:43登録)
 謎の構造としては面白い。が、私には稀覯本を求めて右往左往したり刑事事件を起こしたりするキャラクターが愚者にしか思えない。割に合わないことしてるな~という感じ。
 古書店は稀覯本に価値があるという価値観を率先して支えている筆頭なわけで、栞子さんも広義の共犯者というか、自縄自縛に陥り気味、といった印象である。

No.6 6点 白い風
(2015/05/04 20:43登録)
やっぱりこのシリーズは読んでいてワクワクしますね。
本の知識以外に恋愛も加わって全体の膨らみも出てきましたからね。
いい意味で登場人物がすべてつながりが出てきて面白い!
悪く考えると都合よくつながり過ぎる!とも言えますけどね(笑)
あと1,2巻で完結らしいのがちょっと寂しいかな?

No.5 6点 E-BANKER
(2015/02/26 22:19登録)
大人気ビブリオ・ミステリーもついに第六作に突入。
五浦と栞子さんの仲も進展し、そろそろシリーズも佳境に入ってきた様子だが・・・
果たしてどこまで続くのか?

~太宰治の『晩年』を奪うため、美しき女店主に危害を加えた青年。ビブリア古書堂のふたりの前に彼が再び現れる。今度は依頼者として・・・。違う『晩年』を捜しているという奇妙な依頼。署名ではないのに、太宰自筆と分かる珍しい書き込みがあるらしい。本を追ううちに、ふたりは驚くべき事実に辿り着く。四十七年前にあった太宰の稀覯本を巡る盗難事件。それにはふたりの祖父が母が関わっていた。過去を再現するかのような奇妙な巡り合わせ。深い謎の先に待つのは偶然か必然か?~

「太宰」「太宰」「太宰」づくしの六作目。
前々作の「乱歩づくし」に続く長編スタイルだが、太宰の『晩年』については一作目に登場するエピソードの続編。
・・・というわけで、太宰に対しては特別の「想い」がありそう。

章立てでいうと、第一章『走れメロス』はともかく、第二章の『駆込み訴へ』は初めて聞いた。
作中では栞子さんから太宰についての蘊蓄がいろいろと語られているが、想像していた以上に繊細で神経質な性格だったことが推察される。
それよりも本作一番の収穫は、太宰がミステリーを書いていたということ!
(あまり書くと未読の方の興味を削ぎそうなので敢えて触れないが、今でも読むことはできるのだろうか?)

で、本筋についてだが、長編に変わった分、いつもより腰の座ったプロットになっている印象は持った。
特に終盤はドンデン返しの連続という、まるで本格ミステリーのような展開まで繰り出されており、作者の懐の深さを窺うことができる。
シリーズを通じての謎や伏線もまだまだ読者を引き込むことに成功している、って感じだ。
ただそろそろマンネリ感が出てきたのも事実。
作者あとがきによると、シリーズもあと一作か二作で完結ということで、その辺は作者も思惑どおりなんだろう。

しかし、古書マニアも大変だねぇー
古書ひとつで命まで狙われるわけだから・・・
(相変わらず栞子さん・・・萌えるわー)

No.4 6点 kanamori
(2015/02/08 17:16登録)
太宰治の稀覯本「晩年」を奪うため栞子に危害を加えて逮捕され、現在は保釈中の青年が、再び二人の前に現れる。青年の祖父が持っていた別の「晩年」を探してほしいという依頼に半ば疑念を抱きつつ、俺・五浦と栞子は、もうひとつの稀覯本の行方を追い、ある和本の盗難事件に辿り着く。そして奇遇にも、その太宰の稀覯本を巡る50年前の事件には二人の祖父母も関わっていた----------。

人気ビブリオ・ミステリの第6弾。前々作の江戸川乱歩につづいて、今回は全編が”太宰治づくし”の長編となっている。
太宰に纏わる様々な薀蓄も興味深いが、シリーズ第1作第1話のエピソードも伏線とした、複雑な人間関係が絡む謎と、本の行方、青年の陰にひそむ謎の人物の正体、密室状況の書庫から和本が消えた謎の不可能興味など、多くの謎が重層的に提示され、謎解きモノとしても読み応えがあった。ただ、犯人が仕掛けた小道具にはやや安直な印象がありますが。それにしても、特定の稀覯本に魅せられたマニアの業は凄まじい。長編になると益々そういった狂気じみた面が強調されているように思う。
ふたりの関係進展とともに、遂にシリーズも大詰めを迎えているらしい。次作を楽しみに待ちたい。

No.3 5点 ボンボン
(2015/01/26 23:33登録)
古書好きの人は、皆こんなに自己中で、怖いのか。あっちでもこっちでも貴重な古書をダメにしてしまうとか。狭い世界でみんな親戚とか。それはないだろう、ということが多すぎる。
まあ、実はこういう理由で、と種明かしされてみれば、結構いい話だったりするのだけれど。
誰が犯人か、という面では、次々とトランプをひっくり返すように楽しめた。

No.2 5点 ボナンザ
(2015/01/26 15:33登録)
マンネリや安易なラブコメ展開に陥らないのは地味にすごい。

No.1 7点 makomako
(2015/01/02 17:18登録)
 このシリーズは色々な古書の謎と栞子さんの家族の謎が絡みあって読んでいくものの興味を上手に引きつけています。6冊目ともなるとかなりマンネリ化しそうなのですが、メインストーリーの家族の謎がさらに深まって興味津々となってきました。
 もう1-2冊で終了とのことですが、どんな結果となるかとても楽しみです。本格推理小説と違ってある面どんな流れにでもできそうに思われますが、期待して待っていましょう。

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