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ミステリの祭典

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幻想運河

作家 有栖川有栖
出版日1996年04月
平均点5.58点
書評数19人

No.19 5点 バード
(2020/04/27 15:36登録)
空間的に隔てた大阪、アムステルダム両所で起こったバラバラ死体遺棄事件、という本格色の強そうな本作。当然本格よろしく、探偵役があっと驚く真相を解明するものだと思って読み進めたら、まさかの真相を明示せずに終了。
悪いとは言わないが、「そう来たか」という感じ。
異国の地で暮らす者同士の親しいようで他人事な距離感を描いた一つの物語としては面白かったが、私が有栖川さんに求めているのはこういう話じゃないんだよね。

本作は(私の基準だと)解釈を読者に委ねすぎだと思う。
例えば、
・遥介の超能力
・水島の殺害方法(恭司の推理は証拠無し。余談だが恭司が主張したアリバイトリックは上手い手と思えなかった。)
・水島殺害の動機(美鈴の予想だけ)
・美鈴の自殺理由
などである。登場人物の見解が述べられているものもあるが、いずれも予想の域を出ない。もちろんあえて語らないことで物語に深みを出す作戦なのだろうが、全体的にもう少し白黒つけて欲しかった。

No.18 4点 ボナンザ
(2019/12/15 22:08登録)
確かに異色作。どうとでも解釈できる真相はともかく、それ以外のドラック描写なんかもうまいとは言い難い。

No.17 8点 虫暮部
(2017/06/16 12:33登録)
 法的にどうあれ、私はドラッグを試したいとは思わないな~。ところで、詩人が自殺するエピソードはなんなの?

No.16 8点 ボンボン
(2017/06/04 13:44登録)
巧い。これは寓話的に描かれた社会派なのだろうか。なんて恐ろしい。ひどく哀しい物語だ。この若い人たちは、なんでここまで自壊してしまったのか。哲学を語り、芸術を楽しんで、自由に暮らしているように見えるのに、いやに乾いた感じの不安感や人恋しさのようなものが全編を覆っている。オウム真理教の事件の影響を受けていると作者があとがきに書いているが、なるほどなあ。
さて、ミステリとしては、出だしから終わりまで、誰と誰が誰をどうしてしまうのか、色々な組み合わせを考えながら追いかける面白さがまず一つ。
そして、バラバラ殺人の本質とは何かについて、考えさせられた。これは目から鱗。
作中作については、暗示的な効果を出すのが役割なのかと思いきや、本編とそれほど関係せず。(バラバラ殺人関連のせっかくの発想を、本筋と全く関係なくてもいいから無駄なく使いたかったのかな。)しかし、わざと拙く綴った昭和の幻想怪奇小説的な魅力たっぷりで、嫌いじゃない。
新しい文庫の表紙も「肉色の薔薇」。薔薇、薔薇とバラバラ殺人て、ダジャレってことでいいの・・・?

No.15 5点 測量ボ-イ
(2009/09/18 07:19登録)
本格ミステリと銘打っていて、結論がハッキリしないのは僕
の好みではないので、採点するとこうなっちゃいます。
でもこの作品、スト-リ-、人物描写、いろんな表現など、
氏の作品とは思えないですね。異色作である事は確かです。

No.14 3点 こう
(2008/11/09 23:04登録)
 作者の狙いどおりの作品だとは思います。裏表紙にしっかり断り書きがかいてあっても有栖川作品だからと手にとったものの個人的には合わなかった覚えがあります。論理的な説明、解決を作者に期待する読者には到底合わない作品でしょう。間違いなく異色作でしょう。成功作、失敗作かはわかりませんがあとは読者の相性だと思います。

No.13 4点 いけお
(2008/05/25 22:20登録)
違う人の作品のよう。
普段とは真逆に無駄が多く、ロジカルでも無い。
賛否両論だと思うが、個人的には否だった。

No.12 4点 spam-musubi
(2008/03/16 01:28登録)
読むのに時間がかかった(=引き込まれなかった)。
作中作がなくても筋立てに影響がないのでは?

No.11 9点 vivi
(2007/06/01 02:12登録)
ノンシリーズなのですが、非常に楽しめました。
ご本人は本格ミステリの範疇に入らないとおっしゃってますが、伏線もきちっと張ってあってミステリとして十分楽しめました。
さらに、作品全体が醸し出す不安定な空気。
それが読者に幾通りもの読後を与えるようで、うまい!と思いました。

No.10 4点 バファックス
(2004/07/03 01:58登録)
字の演出に好感が抱けない。

No.9 3点 Yuri
(2002/07/26 00:18登録)
話がよくわかりませんでした。私の読む力が足りないとも言われるかもしれませんが、私も「読者の努力に頼る」度合いが高い気がします。

No.8 9点 ナツ
(2002/06/01 23:22登録)
今まで読んだ中で私が一番犯人に感情移入した作品。『バラ』がとても効果的。切ない。こんなミステリーがあってもいいと思います。

No.7 4点 或人
(2002/05/18 10:45登録)
ミステリではないのでしょうが、『ミステリでは無い作品』として読むと、面白いのかも。『哀』と『愛』の物語として、綺麗な出来映えだったのではないでしょうか?ただ、無駄が多い…。作中作に何の意味があるのか作者のメッセージが伝わってこないし、そもそもバラバラ殺人の意味があるのだろうか?「犯人がどうして遺体をバラバラにしたのか?」という謎よりも「作者は何故、この遺体をバラバラにしたのか?」の方が気になるし、大仰に大阪とアムステルダムのニ都市を舞台にした意味が無い気がする。せっかく良い話なんだから、変な話「ミステリではありません!」って文句で売り出された方が良かったと思う。

No.6 7点 モトキング
(2001/12/27 13:39登録)
面白いと思う。しかし、他の有栖川作品と比べ、伏線やサイドストーリー等の構成などが作り込まれていない感じがする。これも雑誌連載の成せる業だろうか。作中作の話は、はっきりいって本筋とリンクしていないし、意味ありげな登場人物の正体も謎のまま終わってしまう。
また、犯人や動機や主人公の最後(冒頭?)の行動など、論理的なしっかりとした解決が成されていないのも、有栖川作品としては珍しい。このような、余韻を残して判断を読者に任せる雰囲気が良しとする人もいるだろう。ただ個人的には、難しいかも知れないが、この雰囲気にプラスして、いつもの論理性を加えて欲しかった。私は有栖川作品の解決編での論理の切れ味が大好きなので。
しかし解決はともかく、それに至るまでの謎の提示や主人公の葛藤など作品の雰囲気は非常に良い。よって総合的にこの点数。

No.5 9点 沖ノ波志都
(2001/12/27 12:54登録)
有栖川先生の作品の中で一番おもしろい!
火村さんが最高。

No.4 4点 桜井杏
(2001/07/08 23:53登録)
表紙、きれいだったので・・・(^^;
あまり魅力ある作品ではなかった。

No.3 4点 智迅
(2001/04/14 23:19登録)
ここまで読者の努力に頼る作品も珍しい。

No.2 6点 もよもよ
(2001/03/31 16:33登録)
有栖川氏は、オランダを観光してていも「これトリックに使えるな」とか思っちゃうんだろうなぁ。
もしオランダに行くことがあったらこの作品を思い出すと思う。

No.1 6点 馨子
(2001/02/06 23:22登録)
タイトルに「幻想」ってついちゃうとやっぱりね・・・。

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