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ミステリの祭典

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クリスマス・プレゼント

作家 ジェフリー・ディーヴァー
出版日2005年12月
平均点7.22点
書評数9人

No.9 3点 タピオカ
(2023/09/05 18:11登録)
このサイトで点数が高いので期待して読んでみた。……何というか、作者のどんでん返しは『ハリウッド的』というか、こういう捻りかたをするのはよく映画でちらほら見かけますよね。まぁ、作者もアメリカ人なので仕方のないのかもしれませんが。その分、日本の推理小説って、落としどころにちゃんと落ちがあるのがいいなぁと思った。

No.8 9点 蟷螂の斧
(2021/05/07 18:06登録)
どんでん返しの連続
①ジョナサンがいない 9点 題名にしてやられました。巧い
②ウィークエンダー 6点 強盗と人質との攻防が楽しめる
③サービス料として 8点 夫が幽霊の真似をして妻を精神異常者にしようとたくらんでいるらしい。その相談を受けたセラピストは・・・
④ビューティフル 5点 スーパーモデルがストーカー被害に・・・
⑤身代わり 8点 人妻は前科のあるという男に夫殺しを依頼するが・・・
⑥見解 7点 犯人を目撃しているはずの人物は見ていないと主張する。何故?
⑦三角関係 10点 注意深く読んで一点おやっ?と思った。やはりそれが伏線だった(笑)。完敗です
⑧この世はすべてひとつの舞台 7点 復讐もの。シェークスピアが登場。当然お芝居はうまい
⑨釣り日和 8点 家ではいいパパ。でもストレス発散のため釣りに行くのが唯一の愉しみ・・・ブラック!!
⑩ノクターン 7点 バイオリンを奪った少年。いい話系でホッとする
⑪被包含犯罪 8点 検事は証人全員を買収している殺人者を有罪にできるのか?
⑫宛名のないカード 6点 妻の浮気を疑う夫はやがて殺意を・・・
⑬クリスマスプレゼント 9点 母親が行方不明。娘は母と離婚している父親を呼ぶ。二人がよりを戻してけれればと願うが・・・物語自体がツイストしている
⑭超越した愛 8点 男は彼女との愛について友に語る。それは超越した愛なのか?!
⑮パインクリートの未亡人 6点 会社を引き継いだ未亡人に男が近寄ってきた・・・
⑯ひざまずく兵士 8点 箱入り娘がストーカーされた。娘の父親は殺意を抱くのだが・・・

No.7 8点 ミステリーオタク
(2017/12/24 16:54登録)
皆さん、メリークリスマス!
どんなイヴを過ごしていますか?

私は午前中、家族でフラワーミュージアムに行きクリスマス仕様にショーアップされた館内で雰囲気を満喫し、帰ってからは昨日市場で買ったマグロとカキ(絶品!)とシャンパンでプチパーティー。その後昼寝して、今はワイフが夜の本チャンの準備中です。

おっと、本作の感想・・・ポーカーレッスンの書評でも書いたとおり、やはり「三角関係」には完全にやられましたね。

今宵は未だサンタを信じている子供たちの枕元へ・・・クリスマス・プレゼントを。

No.6 7点 E-BANKER
(2015/12/27 20:05登録)
皆さまMerry Christmas!(ちょっと遅かった・・・)ということで、この時期に合わせてチョイスした本作。
作者初の短篇集という触れ込みの作品なのだが、短篇とはいえ、ディーヴァーらしい切れ味鋭い「捻り」を期待してしまう。
原題もそのものずばり“Twissted”

①「ジョナサンがいない」=不倫の男女の逢引(古い!)現場かと思いきや、妻が殺し屋に夫殺しを依頼する現場だった・・・。
③「サービス料として」=精神に異常を感じた女性が通う精神科、そしてセラピスト。やがて起こるその女性による夫殺しなのだが・・・真相は??
④「ビューティフル」=すべての男性を虜にするほどの美貌を持つスーパーモデル。その女性の悩みは「美しすぎること」。ストーカー被害に悩まされる彼女がとった意外すぎる撃退法とは?
⑤「身代わり」=不倫に興じている夫の殺害を通りすがりのたくましい男に依頼する妻。その肉体の虜になった男は夫殺しを引き受けるのだが、意外な結末が・・・って基本的なプロットは結構似てる。
⑥「見解」=刑事と犯罪者。この関係もディーヴァーにかかると意外な結末に持っていかれる! まっでも普通かな。
⑦「三角関係」=これは見事に騙された。他の方も高評価を与えているとおりの良作。後から読んでみると、確かにはっきり書いてないよなぁ・・・
⑨「釣り日和」=これはなかなかブラック。無邪気な子供とブラックさがいいコントラストになっている。
⑩「ノクターン」=これは“いい話”系の一編。甘いような気はするが・・・
⑪「被包含犯罪」=法廷もの。これも最後のツイスト勝負の一編。ちょっと分かりにくいけど・・・
⑫「宛名のないカード」=超猜疑心の強い夫が織り成す“悲劇”。こんな捻れた男がやたら登場するなぁ・・・
⑬「クリスマス・プレゼント」=本作唯一の作者の大看板“リンカーン・ライム”もの。娘の取り越し苦労で終わったかに思えた失踪事件が意外な展開に・・・。短編でもサプライズを味わわせてくれる。
⑮「パインクリークの未亡人」=これも短篇らしく、「実は・・・でした」というツイスト感溢れる一編。
⑯「ひざまずく兵士」=ストーカー被害に悩まされる父娘。父親はついに相手の男を殺してしまうのだが、実は・・・っていうやつ。

以上16編。
短編でもディーヴァーはディーヴァーだったということ。
原題どおりにツイスト感を十二分に味わうことができる作品が目白押し。
是非第二短編集も手に取りたい・・・そう思わせる作品集に仕上がっている。
ある意味短編のお手本かもしれない。
(個人的ベストは⑦かな。⑤や⑥、⑬なども高評価。短評してない作品はちょっと感心しない)

No.5 9点 あびびび
(2013/06/26 00:45登録)
この作家のファンだと言うことを改めて認識した。16もの短編はどれも素晴らしいが、書き下ろしの表題作は思わずニヤリとした。どこにどんでん返しのネタがあるのかと思いきや、ちゃんとジェットコースターに乗せてくれるのが嬉しい。

作者はテレビの「ミステリーゾーン」が大好きだったと言うが、まさに一作、一作が驚愕に満ちている。ジェフリー・ディーヴァーの魅力が凝縮された一冊だと思う。

No.4 9点 Tetchy
(2011/11/07 14:53登録)
その名の通り読者へのクリスマス・プレゼントの如く2005年の12月に出版され、文庫で出されたこの短編集は確かに年末を迎える海外ミステリファンにとって最高のプレゼントになっただろう。

なんだろう、このヴァラエティの豊かさは。これほど多彩な舞台を用意してそれぞれに印象深い結末をしつらえているとは、ディーヴァーの作家としての守備範囲の広さに驚くことしきりだ。

個人的ベストは表題作。リンカーン・ライム物だからというわけではなく、どんでん返しに次ぐどんでん返しを見せながら、きちんとその伏線が作中に張られており、リンカーンの推理が追えるようになっているという非常にきめ細やかな作品だからだ。
この作品がなかったらベストは叙述トリックが冴え渡る「三角関係」だった。他に騙りの上手さで「ジョナサンがいない」、予想外の結末だったのが「ビューティフル」と「身代わり」、ストレートな人情物の「ノクターン」、思わず「あっ」と声を挙げた鮮やかな法廷逆転劇を見せた「被包含犯罪」、奇妙な味わいの余韻を残す「宛名のないカード」が印象に残った。

もはや物語は語り尽くされていると云われて久しい21世紀においてこんなにも傑作の揃った短編が読める幸せ。長編だけでなくディーヴァーは短編の名手であることを見事に証明した。
既に本国アメリカで2006年に刊行されている2作目の短編集“More Twisted”を早く訳出してほしい。頼みますよ、文藝春秋さん!

No.3 7点 itokin
(2011/06/30 18:28登録)
軽妙で洒脱、無駄のない表現で短編にして読者を引き込む力は流石です。意外性のある結末も変に力んだところがなく好きです。中でもやはり「三角関係」、「ひざまずく兵士」、「釣り日和」、かな。

No.2 7点 kanamori
(2010/12/25 20:41登録)
ミステリ16編収録の短編集。
各作品とも、ドンデン返しというより、原題の”Twisted”どおり、ちょっとヒネリを利かせたオチという感じで、スレッサーを思い浮かべました。
お気に入りベスト3は、「三角関係」「釣り日和」「ひざまずく兵士」の3作品ですが、ライム&アメリア・シリーズファンには、表題作が文字通りの「クリスマス・プレゼント」でしょう。
来年は、第2短編集の”More Twisted"に期待したい。

No.1 6点 シーマスター
(2009/12/15 22:51登録)
作者は現代屈指のドンデンメーカーとされているようだが、本作について率直に感想を述べれば「うーん、それほどですかねぇ」

16のストーリーが収録された短編集だが、殆どのネタはクイーンの『ミニ・ミステリ傑作選』だとかアシモフの『ミニ・ミステリ100』なんかのショートショートに毛が生えた程度のレベルにしか感じられんのですよ。
決して凡庸なアイデアばかりではないんだけど、大半は「転」で「結」が見えちゃう、見えなくても「ふ~ん」という読後感しか残さない話が多いんすよね。
ストーカーやレクサスが出てきても、O・ヘンリやサキの時代から今世紀にいたるまでドンデン短編のパターンは殆ど進化していないと感じさせてくれるのは、このジャンルにおいての伝統美と尊ぶべきか展せぬ末裔の寂寥と憂うべきか虞や虞や汝を如何せん

そんな中でも以下の3編は個人的な“合格作品”です。
『ジョナサンがいない』・・・第1話ということもあるが「変転」には驚いたし面白い。しかしこの手のショートはやはり「いかに最後にあっと言わせるか」が勝負になると思うので、その点でネタの使い方がもったいないと思う。
『三角関係』・・・これは唯一文句なしにやられた。本邦の・・いやいやこれ以上何も言うまい。
『パインクリークの未亡人』・・・スカッと、という感じではないがこれだけやってくれれば合格点をつけざるをえない。恐らく本書の中では本作あたりに最も作者らしさが顕れているのだろう。

次点として
『ひざまずく兵士』・・・これも書き方によっては「最後の一行でゾッと」させられたろうに。

次々点
『超越した愛』・・・着地点はいく通りか想定できたが、間に落とされた。

あとはちょっとねぇー、シェークスピアの話なんかは結構イケてるとは思うけど、こういうところで期待するものとはチョット違うかなぁー
まぁ設定が全くバラバラの短編集だから、ニューヨークを中心としたアメリカ東部の様々な雰囲気を手軽に楽しむつもりで、この季節にコーヒーブレイクとして読むのにはオススメです。

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