絶望ノート |
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作家 | 歌野晶午 |
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出版日 | 2009年05月 |
平均点 | 6.00点 |
書評数 | 10人 |
No.10 | 9点 | 虫暮部 | |
(2022/06/26 11:56登録) 面白過ぎて評しづらいな。ビデオのアップロードについては未消化な感じがある。刑事と探偵の会話が尻切れ蜻蛉なのも気になる。しかし、歌野晶午作品は概ね読んだが、私はこれが一番好き。 |
No.9 | 6点 | メルカトル | |
(2018/11/20 22:05登録) 帯に「※注意 騙されるのが嫌いな人は読まないでください」とありますが、確かにその通り。むしろ騙されたい人でも読後スッキリはしないと思います。それどころか、不快な気分になる可能性が高い気がします。私自身もそうでした。登場人物は誰も彼も一癖ありそうなのばかりだし、感情移入できる余地はありません。 また作品の性質上、ショーンの書く「絶望ノート」が主軸となることもあり、トーンが非常に暗いです。だからと言って面白くないわけではなく、地味な感じでありながら、構成的にはとてもよく練られていると思います。 【ネタバレ】 絶望ノート(日記)がどうも他人事のように感じられ、主人公が結構ないじめに遭っているにも拘らず悲壮感が漂っていないところが嘘くさく、作者が下手なのか?と思ってしまいましたが、実はこれが巧妙な仕掛けだったと知るのはラストに差し掛かってからのことです。 しかし、いくらなんでも日記で親を誘導しクラスメイトを懲らしめるとは、それこそ陰湿なやり方で、とても共感できません。自分以外の気に入らない人間は死んでしまえとばかりの、歪んだ思考の持ち主が他ならぬショーン自身だったのが、読後感をモヤモヤしたものにしています。こうした後味の悪さが評価を下げる一因になっているのは間違いないと思いますが、ある意味力作なのではないかという気がしないでもありません。 |
No.8 | 6点 | simo10 | |
(2012/08/31 23:33登録) --ネタばれ含みます-- 手記、日記形式の作品は感情移入しやすくサクサク読めるが、実はその内容は嘘かもしれないと(現実の)読者が気付き易いというリスクもあります。 私も途中で恐らく嘘なのではと勘繰ったのですが、ビデオ事件が本当らしいため、その予想は却下されたと思っていました。 しかし日記は嘘だったという。じゃあビデオ事件の真相はというと、これも全然納得できない。似顔絵事件も本当だし、はっきり言っていじめじゃんと思いました。是永も十分最低と思いました。この点が大きくマイナスです。 ラストの諸井君の件もちょっと唐突でイマイチでした。主人公に対してはもっと皮肉な結末を用意して欲しかったです。 それ以外では、ページ数も気にならずサクサク読めたし、犯人の正体も面白かったし、ジョンも面白かったので、全体的には悪くなかったと思います。 もう少し煮詰めてくれれば大化けできたかもしれないだけに惜しかったと思います。 ちなみに来宮先生はやっぱ見られたんだろうか? |
No.7 | 6点 | シーマスター | |
(2012/08/21 23:41登録) 文庫で優に600ページを超える作品だが、さほど長さを感じることもなく読め且つ読みごたえもある内容だったように思う。 歌野を読み慣れている身としては本当に驚いたと言えるネタは1つ(あるいは2つかな?)ぐらいだが、作者らしいアクと仕掛けに溢れた楽しいミステリーだった。 主要な登場人物達のキャラクターの掘り下げ方にも歌野らしい味わいを感じたし。 また3年前の作品だが、「いじめ」の描写は最近の「いじめ」報道から感じられる構図とフォーカスのずれがなかった。 |
No.6 | 5点 | いけお | |
(2012/08/05 10:45登録) 完成度高くきれいにまとまっているが、なんだか小粒な謎なのは残念。 前半を読んでの期待が大きかった分、物足りなかった。 |
No.5 | 6点 | 蟷螂の斧 | |
(2012/05/28 15:33登録) なんとなく予想していたので驚きはそれほど感じませんでしたが、読みごたえはありました。主人公、ジョン・レノンかぶれの父親、主人公を嫌う女子学生、異常に主人公に声をかける先生等々の性格がうまく描かれていたと思います。ブラックな味わいでした。 |
No.4 | 5点 | VOLKS | |
(2011/04/03 14:33登録) 似非デスノートといった感じ。 主人公を取り巻く登場人物達が好きになれず無理をして読んでいたら、ラスト、一番嫌悪感を抱いたのはその主人公、張本人だったりと、十分に裏切られる面白い設定ではあったが、何せ登場人物が好きになれず・・・ |
No.3 | 6点 | kanamori | |
(2010/07/14 18:58登録) 本書も毒気に溢れたブラックな”裏・本格”ミステリ。 手記(日記)形式で語られるこの手の小説では、他作家の同類作品で使われた仕掛けの範囲内のもので、真相は見え易くなっていますが、細かな叙述ネタがまぶされていて楽しめました。 |
No.2 | 6点 | おしょわ | |
(2010/01/24 22:38登録) まずまずでしたが、最後にもうちょっとなんかあるかと期待してたらそのまま終わってしまった感じ。 もうちょいで傑作になってた気がしなくもなく、ちょっともったいない。 |
No.1 | 5点 | 江守森江 | |
(2009/08/07 07:47登録) 新たなる試みに常にチャレンジする作者が、今回はデスノートの叙述ミステリ的アレンジを試みた。 結末までに何度も捻ってくるのだが、伏線に乏しく後出しジャンケンになってしまい驚きが得られない。 登場人物達に不快感を覚えながら読み進め、最後まで引っ張られた辺りの人間描写は上手い。 ジョン・レノンに無関心なので、すべてを汲み取れなかったであろう自分が腹立たしく評価を下げた。 |