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ミステリの祭典

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三幕の殺意

作家 中町信
出版日2008年01月
平均点5.17点
書評数6人

No.6 5点 虫暮部
(2020/06/18 12:17登録)
 一応及第点だが、読み進める為のエンジンが弱かった。魅力的な登場人物がいないせい?
 題名のせいでどうしても構成に目が行くが、“三幕”という概念が物語に於いてそんなに重要? 第二幕と第三幕の境目が何故あそこなのか、良く判らなかった。

No.5 5点 ボナンザ
(2016/11/27 22:16登録)
他の方も指摘されているとおり、叙述トリックはなく、「謎の男」の意味もあまりない。それでも全編通じての魅力や最後の皮肉等見所は十分あると思う。

No.4 6点 nukkam
(2016/03/20 23:23登録)
(ネタバレなしです) 「錯誤のブレーキ」(2000年)以来、久しぶりの2008年に発表された本書が中町信(1935-2009)の最終作となりました。純粋な新作ではなく中編「湖畔に死す」(1968年)(私は未読です)をリメイクしたものだそうですが、それでもファン読者にとっては何よりのプレゼントだったのではないでしょうか。「読者への挑戦状」付きの本格派推理小説で、いかにも怪しげな容疑者たちのアリバイ調べが中心の地味な展開です。若い時代の作品が原書だからでしょうか、作品全体に強い緊迫感が漂っており、地味でも退屈には感じませんでした。

No.3 5点 E-BANKER
(2013/03/24 19:54登録)
東京創元社より2008年に発表された作品で、実質的に作者の遺作となったのが本作。
本作発表の背景は、戸川安宣氏の巻末解説に詳しく書かれているが、本作は昭和43年に雑誌「推理ストーリー」で発表された中編「湖畔に死す」を長編へ改稿したもの。

~その山小屋は尾瀬の名峰、燧ヶ岳が目の前に聳え立つ尾瀬沼の湖畔にあった。昭和40年の厳しい雪の訪れを控えた12月初旬の吹雪の晩、山小屋の離れに住む日田原聖太が頭を殴打されて殺された。山小屋にはそれぞれトラブルから日田原に殺意を抱く複数の男女が宿泊していた。犯人は一体誰なのか。口々に自分のアリバイを主張する宿泊者たち。容疑者の一人でもある刑事の津村を中心に各々のアリバイを検証していく。最後の三行に潜む衝撃とは?~

「遺作」と呼ぶにはちょっと寂しい・・・という感じにさせられた。
本作は、三幕に分かれ、各章(幕)で事件関係者たちによる複数視点でストーリーが進行していくという体裁。
実名の関係者に混じって、「謎の男」などという“いかにも”というような視点も登場し、読者としては期待させられるのだが・・・
これがあまり「効いてない」。

本作のメインテーマは「アリバイトリック」ということになるのだろうが、正直、これは長編で引っ張るほどのインパクトには欠ける。
ひとことで言うなら、「電話を使った子供騙しのトリック」というレベルなのだ。
かといって、作者らしい叙述系のトリックもない。
ということで、長編への改稿に当たり捻り出されたのがエピローグの章であり、紹介文にあるとおり「最後の三行」での企みということになるのだろう。
確かにこの「最後の三行」は気が効いてるし、これがあることで一応本作が「締まった」形で収まっている。
そこが唯一の評価ポイントかな。

中編→長編というのは乱歩や正史、鮎川哲也の得意技だが、それ程簡単な技ではないのだろう。
本作は本来は短、中編でこそというプロット。

No.2 6点 いけお
(2012/11/05 13:11登録)
トリックは古いが、細部まで丁寧で楽しめる作品。

No.1 4点 kanamori
(2010/06/05 15:19登録)
中町信の久々の長編(といっても初期の中編「湖畔に死す」の長編化)ですが、ちょっとガッカリな出来でした。
尾瀬沼の雪の山荘を舞台にした読者への挑戦付きのオーソドックスな犯人当てで、トリックの絡みで原型と同じ昭和40年を時代背景にせざるを得ないというのは分かりますが、現代では読むに堪えない内容でしょう。
新しい趣向を考える気力が、もはや喪失したということでしょうか。

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