黒いカーテン |
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作家 | ウィリアム・アイリッシュ |
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出版日 | 1958年01月 |
平均点 | 5.67点 |
書評数 | 9人 |
No.9 | 4点 | ボナンザ | |
(2024/07/13 09:17登録) スピーディーな展開というよりは色々端折りすぎか。 |
No.8 | 5点 | ボンボン | |
(2017/11/18 17:03登録) ザ・サスペンス。前半のドキドキわくわく感は、さすがの一級品。しかし、後半の謎解きは、あまりしっくりこなかった。 最後の70ページくらいになってから、他の作家であれば、こてこてのドラマになりそうな設定をダイジェストかと思うほどの超ハイスピードで突き抜ける。そのため、死んでしまう人の物語上の後処理とか、種明かしの詳しいところとか、色々あやふやなまま強制終了。あんまりだ、かわいそうな人が続出。 それとの比較で、前半の別物のような素敵さが光る。本物の(?)記憶喪失物を初めて読んだので、それだけで楽しい。 |
No.7 | 6点 | クリスティ再読 | |
(2017/10/09 19:05登録) 井上靖の「崖」をやったこともあって、記憶喪失モノの古典の本作もやりたいなと思っていたらGETしたので読んだ。小学生の頃のあかね書房「恐怖の黒いカーテン」が初読だが、世界大ロマン全集に入ってたので読み直した記憶がある。懐かしい。 目まぐるしくいろいろなネタが連打される作品で、ウールリッチらしい感傷的な文章が、パルピィなスピード感に乗って繰り出される。このドライブ感に身を任せるべきなんであって、お客さん、立ち止まっちゃあいけないよ。 個人的には、ルスと出会って向こうは当然自分を知っているんだけど、こっちは何もわからないのを隠して、身元や背景なんかを探るあたりが一番スリルがあってよかったな。まあ本作、皆さんもルスがご贔屓キャラのようだ。女で話が展開するウールリッチの術中にハマってるね。 ちょっと追記。思うんだが、作中では描いてないけど、ルスって黒人なんだろね....そう考えたら結構いろいろ辻褄が合うんだよ。多分書かれた当時は「察しろよ」というレベルの話だったんだろうがね.... |
No.6 | 5点 | 斎藤警部 | |
(2015/10/06 14:08登録) 安心して読めるサスペンス。 面白いように次々と先が見えちゃう愉しさ、とでも言いましょうか。 スルスルっと読めちゃって、あれよあれよと終わってしまいます。短いしね! むやみに傍点が振ってある(原典はイタリック?)のも謎感とスリルの嵩上げというか底上げというか、いい意味で安っぽい演出に貢献大。 |
No.5 | 6点 | 空 | |
(2014/11/09 13:16登録) 最初に読んだアイリッシュ(原書はBLACKシリーズなのでウールリッチ名義)作品で、最後まではらはらさせられっぱなしだったという印象だけは残っていたものの、話の内容については、ほとんど忘れていたのです。ところが、短編『じっと見ている目』を読んだ時、確かこのアイディアは、と思ったのでした。 今回再読してみると、話すこともできない寝たきり老人との意思疎通という共通点はあるものの、その点については本作に先行する短編の方が意思疎通過程にサスペンスがあり、よくできていると思いました。また犯人の使ったトリックは全く異なっていて、本作の方には古典名作短編の先例があります。 冒頭の設定からすれば、ルスの扱いはこうせざるを得ないのでしょう。しかし、殺人の罪を着せられた男自身が事件の記憶を失ったまま捜査するというストーリーを成立させるためとはいえ、ご都合主義が過ぎるのは間違いないでしょうね。 |
No.4 | 6点 | 蟷螂の斧 | |
(2013/08/09 16:50登録) 同じ筋を他の作者が書いたらどうなんだろうと、ふっと思いました。評価はかなり違ってくるのだろうと思います。やはり、サスペンス感の盛り上げ方、行間に溢れ出る雰囲気など、文章力・表現力が優れているということになるのでしょうか。著者の欠点?、よく言われるご都合主義を、前記が上回っているということになるのでしょう。しかし、ルス(女中)の扱い方は、こうするしかなかったのでしょうか?・・・。 |
No.3 | 6点 | E-BANKER | |
(2012/06/19 22:00登録) ウールリッチ名義で1941年に発表されたのが本作。 「黒いアリバイ」ほか一連の“ブラックシリーズ”の1つ。 ~ショックを受けたタウンゼントは記憶喪失から回復した。しかし3年の歳月が彼の頭の中で空白になっていた。この3年間何をしてきたのか自分には分からない。教えてくれる者もいない。しかし、不気味につけ狙う怪しい人影がタウンゼントの周囲にちらついている。異様な状態のもとで殺人者として追われる人間の孤独と寂寥を圧倒的なサスペンスで描く~ このシンプルさが逆に斬新かも。 創元文庫版で200頁足らずの分量だが、サスペンスとしての材料、魅力は十分に詰まっていた。 西暦2012年の今を基準とするなら、確かに物足りなさはあるし、他にいくらでも同系統の秀作はあるだろう。 ただ、この時代に本作を書いたことに価値があるのだ。 本作でも十分にハラハラできたし、伏線の絶妙さを味わうことができた。 そういう意味ではスゴ味すら感じる。 ただ、多くの「?」が消化されないままに終わってしまったのがいかにも残念。 (気付かなかったのか? 放っといたのか?) 特に、なぜタウンゼントが記憶を失ったのかという、この手のサスペンスには必須と思われるプロットが完全にスルーされていたのは、いくら何でも・・・ まぁよい。とにかく、手頃な分量で古典的名作が読めるのだから。 (ルスが何とも可哀そうだ・・・) |
No.2 | 6点 | ロビン | |
(2009/02/13 20:25登録) 中途で物語の全貌が読めます。この展開ならば次はこうだろうな……という、ある程度ミステリを読みなれた人ならばあまりにも教科書通りな進行に感じてしまう。逆に本書が古典だと考えれば、それは凄いことだと思います。 しかし主人公のみに都合のいい結末は釈然としません。彼女と老人の扱いが酷いです。(っていうか、あれじゃ無実の証拠にならなくないか?) |
No.1 | 7点 | Tetchy | |
(2008/08/03 19:18登録) 実にアイリッシュらしいサスペンス溢れる幕開け。 たった200ページ足らずなのに、物語は二転三転する。 とにかくページを捲る手がもどかしいのだが、最後はなんとも消化不足。 色んな謎が棚上げされた形で物語は終わる。 期待していただけに残念! |