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ミステリの祭典

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背の眼
真備庄介

作家 道尾秀介
出版日2005年01月
平均点5.27点
書評数11人

No.11 7点 パメル
(2024/02/27 19:12登録)
福島県の白峠村にある民宿に作家の道尾は泊まりに来た。道尾はその村で、幽霊のものとしか思えない不気味な声を耳にする。道尾は、大学の友人で霊現象探究所を経営している真備の元を訪れる。そこで道尾は、背中に眼が移り込んだ四枚の心霊写真を目にすることになる。奇妙なのは、その四人全員がその写真が撮影されて数日後以内に自殺しているということだ。しかもその写真は、道尾が聞いた幽霊の声と関わっているようなのだ。
本書は神隠しや心霊写真、田舎の陰惨な連続殺人といった要素があり、ホラーにも横溝正史風な探偵小説のようにもとれる。しかしそのバランスを巧くとり、絶妙に仕上げている。
ミステリとしての解明のロジックの中にホラーとしての要素が、ふんだんに盛り込まれており、幻想ミステリの結構としての理想というべき作品と言えるだろう。作者はあくまでもホラーミステリとして書いたと思われるが、ホラーとしての要素の使い方に特殊ルールを前提とした謎解きを行うSFミステリの影が見える。本筋の話以外にも、ところどころ小さなエピソードを盛り込み、そこに張った伏線を回収していくので厚みを感じる。更に、合理的な結末に収まらないラストも実に巧い。デビュー作とは思えない出来栄えに満足した。

No.10 7点 zuso
(2024/01/15 22:56登録)
猟奇殺人と心霊現象をを等価に置き、ふたつながらに論理で解き明かしていく。京極作品の影響も見られるが、主人公が心霊現象を探求する動機の切実さ、その心霊現象や陰惨な心象風景の描写などには、ホラーとしても読みどころがある。

No.9 4点 八二一
(2023/08/22 20:14登録)
オカルト現象をあるロジックによって解明していくという、本格ミステリ的な要素があるけど、論理の幅が狭すぎて不完全。
仮説検証の回数が足りないし、ワンアイデアで書いた小説という気がする。

No.8 5点 新世紀ミステリー
(2019/06/29 22:39登録)
2005年発表。背負われた真っ赤な天狗だかの面が妙に眼に焼き付いています。最後の犯人の狂気の咆哮場面は素晴らしいと思いました。

No.7 5点 風桜青紫
(2015/12/28 22:57登録)
「あなたを祓います」って、どこの古本屋ですかあんたは。話が妙に長い。手首を切るシーンがえぐい。昆虫好きな凛がなんかかわいい。作中の道尾くんもスルメ食ってていいやつ。真備くんも悪くないぞ(笑)。いろいろ粗も多くて手作り感があるんだが、道尾さんの「こんな話が好きだぜ!」って感じが伝わってきていいです。

No.6 7点 Tetchy
(2015/07/26 00:24登録)
<若干ネタバレを含みます>


物語は怪奇現象としか思えない土俗的な伝奇色を濃厚にしていく。私はこの後の作品が続々と『このミス』でランクインされる道尾作品の本作は当時京極夏彦の百鬼夜行シリーズを髣髴させるという世評もあって、本作をホラーと見せかけて合理的な解決が成されるミステリだと思い込んで読んでいた。
しかし物語はすっきりと解決されない。合理的な解決でありながらもどこか割り切れなさの残る、中途半端な読後感が残ってしまった。

一見合理的でありながらも心霊現象と云う不確かな物に解決を求める真相に今の私は正直戸惑っている。齢四十を過ぎると人間の心の不思議さや状況が人の心に及ぼす思いがけない効果などに対しても頑なに否定せず、納得できるようになったと思っていたが、それでもなお腑に落ちなさが残る真相、物語の閉じ方である。そして今さらだが本書がホラーサスペンス大賞の特別賞受賞作であることに気付かされた。つまり本書はやはりホラー小説だったのだ、と。
物語にふんだんに盛り込まれる地方の因習や伝承に加え、実在する童話に少年殺しの意外な真相を絡め、更には東海道五十三次の一幅の絵を福島の山奥に残る天狗の忌まわしい殺戮の歴史に重ねて殺人者の狂気へと導くプロットはとてもデビュー作とは思えないほどの完成度だ。しかしやはりもやもやとした割り切れなさが残るのは正直否めない。霊が視える少年、写真に写る霊とそれらは半ば肯定的に受け入れられて物語は閉じられる。先入観と云う物は全く恐ろしいものだ。次こそはまっさらな心で物語に臨みたいものだ。

No.5 3点 mohicant
(2012/09/16 22:45登録)
 京極夏彦の姑獲鳥の夏の影響をモロに受けてるんだろうなと思った。内容は姑獲鳥の夏には圧倒的に劣る。
 この作品以外の道尾作品が好きなだけに残念。
 最初にこの作品で道尾秀介に触れた人には、見限らないで、他の作品をよんでほしいと思う。
 

No.4 7点 まさむね
(2010/03/24 23:13登録)
「ホラーサスペンス大賞特別賞」受賞作品であるが,作品構成は,ホラーサスペンスというよりも「本格ミステリ」と言っても決して過言ではない。冒頭からのいくつもの謎,慎重な(むしろ慎重すぎるかな…)伏線,そしてそれらの謎と伏線を不足なく回収した上での理論的な解明。デビュー作品としては,特に構成力という面において,相当良質な作品であると思う。
無論,全体的に冗長すぎるし,表現の拙さも多々ある。さらには,某作家の某シリーズとの露骨ともいえる類似性など,否定的な視点で見れば,色々と意見はあるかと思う。
しかし,そこを敢えて脇においてこの作品を読んでみたい。この作家のその後の評価・活躍を十分に予測させる潜在能力を感じたのは私だけでしょうか。

No.3 2点 パピルス
(2009/10/25 21:04登録)
長いですね。そんなに長くする必要はなかったと思います。
読んだときこれは京極夏彦の「姑獲鳥の夏」と設定がよく似ているなと思いました。「姑獲鳥の夏」を水で薄めたような出来ですね。

No.2 6点 おしょわ
(2009/07/04 15:02登録)
ここまで設定パクッてるのはなかなかないでしょ。
何の冗談かと思いましたよ。
嫌いじゃなきけど。

No.1 5点 だい様
(2009/04/03 21:32登録)
真備シリーズ第1弾

物語は上手くできているがどこか消化不良だった。
また登場人物もどこかパクリ風に感じてしまいそのあたりが残念に思えた。

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