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ミステリの祭典

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幽霊列車
永井夕子シリーズ

作家 赤川次郎
出版日1978年06月
平均点5.80点
書評数10人

No.10 6点 クリスティ再読
(2023/12/25 10:24登録)
中学生だったかなあ、大昔に短編「幽霊列車」はアンソロで読んで、妙に感心した記憶がある...人気が出だした頃?いや最近こんな「思い出」系で読む作品をセレクトしている。それ以降赤川次郎って積極的に読んだことはなかったけども(そりゃ「セーラー服と機関銃」とか映画は見ているが)

改めて再読して「幽霊列車」はよく出来ているなあ。
走行中のローカル線の列車の中から8人の乗客が消失した、という不可能興味があり、それがハウダニットではなくて、ホワイダニットでキレイにオチているのが素晴らしい。「なんで不可能現象が?」という問いは本当は実に大事なことだと思う。
で真夏のビーチでの凍死体の謎(「凍てついた太陽」)やら、晴天なのに雨具完備の死体(「ところにより、雨」)など、「謎の設定」という面だと、なかなか興味深い作品が続く。
いわゆる「軽ミステリ」という視点だと、夕子宇野コンビがテンプレ的なキャラ設定だけど、しっかりと個性を出せているあたりになにげの筆力が窺われる。さらに楽しいファンタジックなスリラー「善人村の村祭」で〆る用意周到。
ミステリとして短編「幽霊列車」は優れているし、エンタメとして短編集もよくできていると思う。

No.9 6点 まさむね
(2016/08/03 22:39登録)
 随分前に読んだような気もするが、全く記憶がないし、是非改めて読んでみたいものだなぁ…と思っていたのですが、今年新装版が出ていたのですねぇ。今年は作家デビュー40周年、その間の著作数は580冊超だそうでございます。
 で、この短編集の表題作「幽霊列車」は、氏の処女作品。女子大生・永井夕子と宇野警部の名コンビ誕生の作品でもあります。走行中の列車から乗客が消失するという謎が魅力的。
 二作目「裏切られた誘拐」、三作目「凍りついた太陽」、四作目「ところにより、雨」も、興味深い謎や終盤の捻り、そしてストレスのない軽妙な語り口で楽しめました。最終話「善人村の村祭り」については、何となく量産体制に移行しつつあるなぁ…といった印象も。
 肩ひじ張らずに、気軽に読みたい気分の時には、丁度良い短編集だと思いますね。

No.8 5点 蟷螂の斧
(2016/03/12 22:20登録)
(再読)謎の提示は大変興味をそそられます。それに見合った真相を期待し過ぎたのか、いまいちインパクトが不足しているように感じました。ブラックな味わいは良かったですが。

No.7 6点 E-BANKER
(2016/03/05 20:47登録)
1978年発表。警視庁捜査一課勤務、40歳でやもめの刑事と美しい(?)女子大生コンビが主役を務める連作短篇集。
特に表題作は作者がミステリー作家となるきっかけともなった重要な作品。
今回、文春文庫で復刊された版で読了。

①「幽霊列車」=シリーズ一作目という記念碑に相応しい一編。走る列車から八人の乗客が忽然と消えてしまった謎がメインテーマなのだが、ユーモア風味とは異なり真相はなかなかブラック。長らくコンビとなる二人の出会いという意味でも重要な作品。
②「裏切られた誘拐」=“誘拐”テーマのミステリーもいろいろと目にしたけれど、本作に類似したプロットはお目にかかったことはないなぁー。物事を一面だけから見てはいけない・・・という教訓でしょうか? でもこれって真犯人の自己負担も大きいけど!
③「凍りついた太陽」=バカンスに訪れた避暑地で二人が遭遇する殺人事件なのだが、死因は何と「凍死」! ホテルの大型冷蔵庫が現場だと判明したものの、そこには二重三重のドンデン返しがあった!
④「ところにより、雨」=雨でもないのにレインコートを付け、傘を持っている死体! これが連続殺人事件の被害者の共通項・・・というのが本編の謎。これも逆説的発想が事件解決の鍵となるのだが、設定の無理矢理感はともかくプロットは面白い。
⑤「善人村の村祭り」=これも結構ブラックな一編。正月休みで二人が訪れた“善人村”が舞台となるのだが、村人は名前のとおりみんな善人なのだが、なぜか奇妙な出来事が続き、やがては大事件に遭遇することに・・・。どこかで見たプロットではあるけど・・・

以上5編。
さすがは赤川次郎・・・という感じだ。
冴えない中年男と美しく頭も切れる女性のコンビというと、後に出世作となった「三毛猫ホームズ」シリーズを彷彿させるけど、何とも言えないほど安定感を感じさせるし、リーダビリティも半端ない。
結構シリアスでブラックなオチもあるのだけど、読後感は全然そんなことは感じさせない軽妙さもさすが。

プロットもまずまず練られてるし、短編らしい切れ味のある作品も揃っている。
逆説的な風味もあるし、まずは水準以上の出来と評して差し支えないだろう。
とにかく楽しめる作品なのは間違いなし。
シリーズ作品も機会があれば手にしていきたい。
(ベストはやはり①だろう。次点は④かな。②もまずまず)

No.6 6点 斎藤警部
(2015/10/06 00:46登録)
氏の作品に初めて接したのは、幼い頃NHKの連続ラジオドラマで夜中に放送していた本表題作だったと思います。 面白く聴いたラジオの方は結末も知らず仕舞いの有耶無耶な別れでしたが、後年この短篇集で読んで想像以上に腑に落ちる意外な結末に納得。 他の作品も愉しく鑑賞出来ました(詳細はまるで憶えてないけど)。

No.5 6点 エヌエス
(2010/09/18 20:41登録)
からくりは単純と思いますが、村人の真剣さと警部・女子大生の熱意が強く感じられました。

No.4 7点 kanamori
(2010/08/02 17:26登録)
警視庁捜査一課警部と女子大生の”幽霊コンビ”シリーズ、第1連作短編集。
表題作のデビュー短編は、山間部を走る列車から8人の乗客が消失するという謎。ほかにも、真夏の凍死体、晴天時の雨具着用死体など、解決編はともかく魅力的な謎の提示が印象的なミステリ短編集だった。

No.3 6点 キトウY
(2010/05/19 21:56登録)
初期の作品だからか話も凝ってて楽しめました。
これ以降どんどんつまらなくなっていくけど

No.2 5点 江守森江
(2009/05/24 06:23登録)
田中邦衛と浅茅陽子でドラマ化されたのを見て原作も読んだ。
ミステリ部分よりドラマも原作も二人の絡みが楽しかった。

No.1 5点 測量ボ-イ
(2009/05/04 10:58登録)
(多少ネタバレ有)
謎の設定が大きな割には、収束が尻すぼみな感じ。
メイントリックも単純な機械的トリックだし。
20年以上前に一度読んだだけで、再読しようとい
う気にはならないです。

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