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ミステリの祭典

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死が招く
アラン・ツイスト博士シリーズ

作家 ポール・アルテ
出版日2003年06月
平均点6.56点
書評数9人

No.9 6点 いいちこ
(2023/05/24 18:43登録)
真犯人の意外性は掛け値なしに認めるのだが、少ない紙幅に多くの要素を盛り込みすぎたことによる副作用が強い。
とりわけ犯人解明の決定打となった犯人の行動は、あまりにも唐突で、かつ内容が非常に不自然であり、伏線としてはあまりにも上手くない。
本作のプロットはよくできているだけに、残念な印象が残る作品

No.8 7点 レッドキング
(2023/03/05 22:23登録)
しょぼいトリックが売りのアルテらしからぬ、なかなかにナカナカの密室トリック。ダミー造形も、だみぃでなく

No.7 7点 ボナンザ
(2020/12/22 23:14登録)
怪奇趣味と密室、おまけにアレまでと短いわりにサービス満点な一作。

No.6 7点 人並由真
(2020/07/25 20:32登録)
(ネタバレなし)
 終盤の(中略)というサプライズに向けて、労力の大部を傾注した感のある一作。その分、密室や幽霊騒ぎの興味の方が、やや希薄になってしまった。ゆえに中盤は、いささか冗長な印象。

 しかし最後まで読むと、作者がニヤニヤしながら&かなりのドヤ顔で物語を完成させた気配もあり、総体的な評価としては、ホメるにやぶさかではない。
 それと、中盤での(中略)ファン向けの、とある趣向は「まさか、このネタを伏線にするのか!?」と期待を煽られ、そして実際に(中略)。いや、ちょっとウケました(笑)。

 ただ、評者がこれまで接してきたアルテの作品群は、おおむね、スリムな紙幅の中に、それなりの中身が詰まっていた手応えだった。
 その密度感は魅力ではあったんだけれど、それでもこの作品なんかはもうちょ~っとだけ、良い意味での<物語の贅肉>がついた方がいいという思いも抱く(これだけ豊富なネタを用意して、ポケミスで全180ページちょっと、というのは、短かすぎる)。

 今後もアルテ作品は読んでいくと思うが、そういったミステリ成分とストーリーテリング部分の兼ね合いの上でバランスのとれたものに出会えると、実に嬉しいのだが。

No.5 7点 makomako
(2018/12/07 21:22登録)
これはなかなか面白い。殺人の設定が異常なので、こんなばかばかしい話には付き合いきれないといった人も出てくるとは思いますが、本格物が好きな私にはとても面白くどんどん読めました。
 登場人物が少ないので犯人は用意の想像がつきそうだが、どっこいそうはいかなかった。意外な結果にびっくりでした。
 密室ものとしてトリックもまあ何とかなっとくできうる状態です。こういった作品では挿絵などがあるとさらにわかりやすくなると思います。
 本格物が好きなら楽しめると思います。

No.4 6点 E-BANKER
(2015/08/16 20:39登録)
1988年発表。「第四の扉」に続くツイスト博士シリーズの二作目。
作者自身も語っているとおり、敬愛するJ.Dカーを彷彿させる超本格ミステリーが今回も全開(!)

~内側から錠のかかった密室状態の書斎で、ミステリー作家が煮えたぎる鍋に顔と両手を突っ込み銃を握り締めて死んでいた。傍らの料理は湯気がたっているのに、何故か遺体は死後二十四時間以上経過していた! しかも、この現場の状況は作家が構想中の小説『死が招く』の設定とそっくり同じだった。エキセントリックな作家、追い詰められた夫人、奇術師、薄気味悪い娘、双子の兄弟・・・曰く有りげな人物たちが織り成す奇怪な殺人ドラマ!~

とにかく“J.Dカー好み”のガジェットがてんこ盛り・・・という作品。
密室はもちろんのこと、舞台設定全体に漂う怪奇趣味、謎だらけの登場人物、そして双子までも出てくる・・・
もう本格ファンには堪えられない道具立て!
(時代背景まで1920年代に設定されているのだ)

細かいところを見ていくと・・・
まず「密室」については、一応納得感のある(らしき)説明はあるのだが、かなり強引。
「湯気の立った料理」との関係は、もちろんアリバイトリックとの絡みなのだが、捨て筋の方が納得感があるのがやや難。
双子や奇術師などという道具立てはもはや「雰囲気つくり」だけのためで、本筋への関連はほぼない。
そんなことより、本作の白眉はフーダニットの意外性に尽きる。
終章前にツイスト博士の放つ“ひと言”には多くの読者が唸らされるに違いない。
(「意外な犯人」の典型ではあるのだが・・・)

フーダニットの意外性の副作用で他の部分の整合性に齟齬が生じているというところはあるのだが、まぁそれは痛し痒しという奴で、作者はサプライズ感を重視したということなのだろう。
これぞ「ド本格」という感じがして、やや変化球気味だった前作(「第四の扉」)と比べるとオーソドックスなプロット。
それを好ましいととるか、物足りないととるかは読み手次第だが、個人的には分量の割にはやや詰め込みすぎという気がして、前作よりは評価を下げた。
でもまぁ今後も本シリーズは読み継いでいきたい。

No.3 7点 nukkam
(2009/10/15 11:11登録)
(ネタバレなしです) 1988年に発表されたアラン・ツイスト博士シリーズの第2作です。前作の「第四の扉」(1987年)に比べるとトリックは小粒な印象を否めませんが、演出の上手さでは勝るとも劣りません。絵になる死体発見場面(実際に見たいとは思いませんが)、出来立ての料理と死後長時間経過した死体が組み合わされた密室など魅力的な謎に事欠きません。あと思わずにやりとしてしまったのが、最終章の謎解き場面での「名探偵も想像もつかない〇〇があったことは、幸い読者諸氏の知るところである」という文章。できの悪い本格派推理小説で、名探偵だけが知っていて読者には解決前には知らされず「アンフェアな謎解きではないか」と不信感を抱かせてしまうことが残念ながらよくありますが、作者は意図的にこの逆を突いたわけです。こういう遊び心も本格派ファンの心をくすぐります。

No.2 7点
(2009/09/24 12:25登録)
著者は、フランスミステリには似つかわしくない本格派のミステリ作家です。しかも小説の舞台はイギリス、時代設定は1920年台で、ディクスン・カーを意識したものとなっています。
長編とはいえ、やや短めで、短いわりに詰め込みすぎとの印象もありますが、むしろ短いことで、スピーディーでサスペンスフルなストーリー展開を楽しむことができます。もちろん、不気味な密室殺人、双子の兄弟、死者の怨念など魅力的な要素が備わっているので、おどろおどろしさも十分に味わえます。
読み終わってしまえばいえることですが、短めサイズに応じて贅肉がほとんどないため、丹念に読めば犯人当ては意外に簡単かもしれません。さいわいにも私は解けなかったので、ツイスト博士が真犯人を名指ししたときには、快感にひたることができました。

No.1 5点
(2009/09/07 20:53登録)
フランスのディクスン・カーと呼ばれ、実際カーの大ファンであることを公言している作家の1988年作品。舞台設定は1920年台後半のイギリスです(時代は第9章で判明)。でも、なぜこの設定?
確かに、密室や殺人のとんでもない不可解な状況、事件全体の構造などカーを思わせるところは多々あります。密室構成のための犯人の行動には無茶なところもありますが、謎のつくりはなかなかよくできています。しかし少なくとも本作に関する限り、小説としての味わいということでは、カーはむろん、解説担当の二階堂黎人(『奇跡島の不思議』しか読んでないのですが)に比べてもかなり見劣りがすると言わざるを得ません。特に怪奇趣味は雰囲気作りができていなければ、幽霊が出てきても無意味です。
ところで真犯人の正体だけは、非常に早い段階で可能性に気づき、第2の事件直前で確信できてしまったのですが…

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