皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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Tetchyさん |
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平均点: 6.74点 | 書評数: 1617件 |
No.297 | 7点 | 偽りの名画- アーロン・エルキンズ | 2008/07/25 20:18 |
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美術学芸員クリス・ノーグレンシリーズ第1作。
ベルリンで開かれるナチスに略奪された名画展のためにクリスはドイツに飛ぶ。 ところが着いてまもなく、上司が「展示品の中に贋作がある」と告げたあと、謎の死を遂げる。 クリスは贋作捜しと上司を殺した犯人捜しに巻き込まれる。 フェルメールが扱われているが、これは画集を手元に置いて読みたいところだ。 そして贋作の正体が意外。 美術を扱ったマンガ『ゼロ』を熟読していただけに、それに繋がる部分があって面白かった。 ただよく『ゼロ』で使われる鑑定法、炭素14法が一切出てこなかったが何故? 真贋を見極めるテーマだったので、さあ出て来い!と心待ちにしていたが、とうとう出仕舞い。 でもかなり楽しめるミステリ。 主人公のクリスは意気地ないけどね。 |
No.296 | 6点 | 略奪- アーロン・エルキンズ | 2008/07/24 20:25 |
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絵画ミステリでもこちらはベン・リディアが主人公で、今のところこれ1冊のみ。
恐らくクリス・ノーグレンシリーズ1作目で扱ったナチスが大戦時に略奪した絵画をテーマに扱っていることから主人公を代えたのではないだろうか。 どちらかといえば、他のシリーズに比べるとサスペンス色が濃くなっているのが違いといえば違いか。 しかし、この主人公、1冊のみしか出ていないこともあってか、すごく印象が薄い。 続編が書かれていないようだから、エルキンズも手応えを感じなかったのかもしれない。 |
No.295 | 8点 | 画商の罠- アーロン・エルキンズ | 2008/07/23 19:33 |
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ギデオン・オリヴァーシリーズと一緒でこのシリーズも世界各国を主人公が巡る趣向だが、やはり美術品を扱っているため、著名な美術館があるところに限られるみたい。
今回の舞台はフランス。 怪しい画商がレンブラントの絵を寄贈したいという申し出を受け、クリスはフランスに飛ぶ。 画商ヴァシィは小道具屋で手に入れたものなので来歴がわからない上に、科学的鑑定をしてはいけないというとんでもない条件を出す。 しかもこのヴァシィ、色んなところで問題を起こしており、悪評高い。 寄贈するとは云え、贋作を展示しては美術館の沽券に関わる。 果たしてこのレンブラントは本物なのか? 今回はこの来歴不明の作品をレンブラントの物としたのがさらにミソ。 この作品でオイラも知ったが、レンブラントはいわゆる絵画工房のような形で作品を量産していたらしく、作品の中には弟子が描いてレンブラントがサインしたなんて物もごろごろしているらしい。 だから贋作が非常に多い作者だという。 こういった美術史も盛り込んで謎は否が応にも盛り上がる。 ああ、もうこういうの、好きですわ♪ でもこのシリーズ、これで打ち切りなのか、続編が書かれていない。非常に勿体無い。 ぜひとも復活してくれないかな、エルキンズ。 |
No.294 | 7点 | 一瞬の光- アーロン・エルキンズ | 2008/07/22 21:12 |
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美術学芸員クリス・ノーグレンシリーズ第2作。
今回の舞台はイタリア。 シアトルの輸入会社の倉庫でなんとルーベンスの名画が見つかり、シアトルの館長の依頼でクリスはイタリアに飛ぶ・・・。 イタリア=マフィアの国という悪いイメージがあるが、確かに本書ではイタリアが名画の盗難事件が多い場所だというのが書き込まれてる。 クリスの愚痴を読むと、本当に美術品って大丈夫なのか?と心配になる。 ギデオン・オリヴァーと違ってクリス・ノーグレンは離婚したやもめ暮らしで、愚痴が多く、度胸もさほどない。 しかし両者は自分の仕事が大好きで、夢中になると周りが見えなくなるという点で共通している。 絵画の薀蓄たっぷりでそういう知識を得るのが好きな人はたまらない作品だろう。 エルキンズは骨だけではなく、美術に関する知識も一級品だと思わせてくれる作品。 |
No.293 | 5点 | 骨の島- アーロン・エルキンズ | 2008/07/21 20:52 |
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本作からミステリアス・プレス文庫からハヤカワ・ミステリ文庫へ引越しして訳出再開された。
やっぱ、待ってた読者がいたんだね~。 今回の舞台はイタリア。ギデオン夫婦は純粋にバカンスで来ていたのだが、やはり事件に巻き込まれる。 誘拐事件というショッキングな幕開けで、他の作品と一味違うなと思い、また久々に出たこともあって期待が高まったのだが、ちょっと今回は質が落ちたかなぁ。 お得意の骨の鑑定と事件があまり密接に響いていないような気がした。 そして今回のサプライズはオイラが想定した真相の方が、驚きが大きかったように思う。 あのサプライズは(ネタバレ注意!)、専属医の日記と身体的特徴からも判るように思われ、必ずしも必要であるとは感じなかった。だから骨を盗みに入る話、ギデオンが襲われる話などがどうも宙に浮いているような印象があった。 むしろ、オイラの考えた展開、「実はドメニコは無精子症だった」とか「先天的に生殖遺伝子が弱く、Y遺伝子を持っていなかった」などがカルテから判明する方がインパクトが強かったと思う。 ま、でもやっぱりキャラクターが面白いね、このシリーズ。 読んで、損はありません。 |
No.292 | 7点 | 洞窟の骨- アーロン・エルキンズ | 2008/07/20 19:57 |
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今度の舞台はフランス。
洞窟から現れた旧石器時代の骨が、ギデオンの鑑定により死後数年しか経っていないことが判明する、と、もう骨から解る新事実が関係者の人間関係にきな臭いムードをもたらす、定番の設定だ。 しかし、それでも飽きないこのシリーズ。 登場人物のキャラクターとエルキンズのウィットとユーモアに富んだ文章にのめり込んでしまうからだ。 でも続けて読むとさすがに飽きるとは思う。 本作もミステリとしては佳作の部類に入るし、可もなく不可もなくといった水準作だ(これはこれですごいことなんだが)。 私は幸いにリアルタイムで読んでいるので、インターバルが空いて、ちょうど読みたいなぁという頃に刊行されるから、逆に渇きが癒されてちょうどいいのである。 |
No.291 | 8点 | 楽園の骨- アーロン・エルキンズ | 2008/07/19 20:53 |
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今度は南の島タヒチが舞台。ホントこの主人公達は役得が多いと思う。
プロットは今までのシリーズに比べても、特に目立つような驚きやどんでん返しがあるわけではないが、これはやはりストーリーとキャラクターの勝利でしょう。 ジョン・ロウの親戚が出てきて、更にキャラクターは膨らみを増すし、最後の終わり方がなんともほっこりしてよろしい。 |
No.290 | 6点 | 死者の心臓- アーロン・エルキンズ | 2008/07/18 20:19 |
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今回の舞台はエジプト。形質人類学者という特殊な職業であるのも解るが、ホント色んなところに行く夫婦である。
で、今回は事件が起きるまでが非常に長く、なかば世界観光小説のようになってきている。 とはいえ、このシリーズの売りである骨の鑑定もしっかりあり、その結果も新たな知識を得られ、ひとまず満足感は得られる。 しかし邦題はあからさまに煽情しすぎであろう。 原題は“Deadman's Heart”で素直に訳せば“死者の気持ち”であり、こっちの方が内容的にしっくり来る。 でも確かにこの題名だと売れそうにないな。 |
No.289 | 6点 | 遺骨- アーロン・エルキンズ | 2008/07/17 20:24 |
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今回は自国アメリカオレゴン州が舞台。
司法人類学会の権威ジャスパーの遺骨が盗まれ、さらに埋められた死体まで発見してしまうというお話。 そして骨の鑑定による意外な死体の正体と、定番を抑えるしっかりとした作りです。 |
No.288 | 7点 | 陸の海賊- アーサー・コナン・ドイル | 2008/07/16 20:08 |
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今回は非常にバラエティに富んだ内容となっているのが特徴だ。
それぞれテーマがボクシング、狩猟、クリケット、海賊物とに分かれている。 本作の約半分を占めるボクシング小説はドイル自身ボクシングをしていたこともあって、実に描写が活き活きとしており、選手の内面まで写実的に描いている。しかも単純にボクシングの試合をする話ではなく、ミステリ風味が加味されており、舞台設定も様々なところにドイルの作家としての矜持が見られる。 クリケットを材に採った「スペティグの魔球」も日本人には馴染みはないものの、十分楽しめる1編だ。映像化に適した作品だともいえる。 狩猟小説である「狐の王」の狐を追うシーンの場面の移り変わりゆく描写の確かさは目の前に映像が浮かぶかのようであった。 また海賊シャーキー物も最近放映されたジャック・スパロウ物が頭に浮かび、自然と物語にのめりこむことが出来た。 ドイルはホームズだけではない、そんな風に思わせてくれる短編集だ。 |
No.287 | 7点 | 氷の眠り- アーロン・エルキンズ | 2008/07/15 21:52 |
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今回の舞台はアラスカ。
スケルトン探偵、世界中を飛び回りますな。 そして氷河から出てきた30年前に遭難した調査隊員たちの骨の鑑定を行う。 遭難死したと思われた隊員の骨にピッケルで殺害された跡を見つけてから、疑惑が生まれる。 今回はジョン・ロウが再び登場。このキャラクター、かなり好きだなぁ。 まずFBI捜査官に見えないほど、あっけからかんとしてる。 物語の作りとしてはオーソドックスだが、水準はきちっと保っているので、安心して読める。 |
No.286 | 7点 | 呪い!- アーロン・エルキンズ | 2008/07/14 23:46 |
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今回の舞台はメキシコのマヤ文明の遺跡。
これに纏わる呪いにかかって死んだとしか思えない事件に巻き込まれる。 そして今回も遺跡から出てきた骨に関する鑑定結果はけっこう驚かされます。 そして今回出てくるギデオンの師匠エイブ・ゴールドスタインのキャラクター造形が素晴らしい。 ホント、安心して読めるシリーズだ。 |
No.285 | 8点 | 古い骨- アーロン・エルキンズ | 2008/07/13 21:20 |
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海外ミステリが苦手という人もこの作家の作品は読めるのでは?と思うくらい読みやすい作品です。
特に代表作とされる本書はフランスのモン・サン・ミッシェルを舞台に見つかる古い骨の正体を探るスケルトン探偵ギデオン・オリヴァーの骨に関する含蓄溢れた推理と、あるトリックを使った事件の真相にあっと驚かされる、佳作となってます。 私はこの1作を読んで以来、このシリーズの虜です。 |
No.284 | 7点 | クルンバーの謎- アーサー・コナン・ドイル | 2008/07/12 20:14 |
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今回は初めて読む作品群だったせいもあったのか、結構面白く読めた。
今回の中短編にはアジアを中心とした諸国に古くから信仰されている古代宗教に伝わる呪術をモチーフにした怪異譚という一貫したテーマがある。 しかし、作品に使われているモチーフは21世紀のこの世においてもはや手垢のついたテーマ以外何物でもなく、新たなる驚き、衝撃が走るような物は1つも無かった。 だが、これら中短編群はドイルという作家の一側面を語るのに貴重である事は確かだ。 長くなるので詳しくは述べないが、アジア各国に伝わる呪術や宗教に関する記述は詳細を極め、単なる物語を編むための取材に終わっていない。ここにドイルが晩年、心霊研究科の権威として色んな活動を行っていた片鱗が窺える。 上に述べたように作品の内容に斬新さはないが、ドイルという人物の側面を知る上で、非常に有益な短編集であると云えるだろう。 |
No.283 | 4点 | 北極星号の船長- アーサー・コナン・ドイル | 2008/07/11 21:31 |
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本コレクションは、新潮文庫から出ているドイル傑作選ともダブっている作品があり、読むのが二度目という作品もけっこうあった。
高空領域、北極、未開の島、洞窟と未知の領域が多かった19世紀という時代だからこそ、受けたであろう怪物譚も今となっては少年少女の読み物といった感じ。 個人的には最後に読んだ「寄生体」が、かろうじて現代にも通じる怖さを持っていると感じた。 |
No.282 | 4点 | まだらの紐 ドイル傑作集1- アーサー・コナン・ドイル | 2008/07/10 20:30 |
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東京創元社が独自に編纂しているドイルの未発表短編、もしくはホームズ物以外の短編を集めたドイル・コレクション第1集。
「王冠とダイヤモンド」、「まだらの紐」の2つの戯曲が入っているところが、ミステリ収集家の興味をそそるだろうが、そうでない人にしてみれば、あまり価値のない短編集かも。 とはいえ、「ジェレミー伯父の家」、「田園の恐怖」の2編は今読むと古臭く感じるが、当時としてはその真相が奇抜で、かなりセンセーショナルな内容だったと思われる。 シャーロッキアンもしくはドイルファンならば、読んでおくに損はない1冊。 |
No.281 | 6点 | バースデイ- 鈴木光司 | 2008/06/23 20:13 |
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『リング』、『らせん』、そして『ループ』で登場した高野舞、山村貞子、杉浦礼子という3人の女性の物語を描いた連作短編集。内容的にはこれら3作で語られなかったエピソードを補完するような内容となっている。
高野舞が主人公の「空に浮かぶ棺」、山村貞子が主人公の「レモンハート」までを読んだ時は、これは書く必要があったのか、と思うくらい、内容がない話で、むしろ何故本編にいれなかったのか、疑問に思った。 この2編を読んだときまでは、どうしたものかと憤慨していたが、最後の杉浦礼子が主人公の「ハッピー・バースデイ」がとても良かったので安心した。 結末はよくある物だと云われれば確かにそうだが、やはり子を持つ親になった今、こういう話は心に響く。 最後のこの1編でどうにか救われた感じがした―貴重な読書時間を無駄にしなかったという意味で。 |
No.280 | 1点 | シャーロック・ホームズ最後の挨拶- アーサー・コナン・ドイル | 2008/06/22 13:16 |
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とうとう来るべきものが来たという感じ。
各短編全てにおいて興趣を欠いている。 有名な短編としては「瀕死の探偵」が挙げられるが、この話もホームズの馬鹿さ振りを髣髴させるエピソードとして色んな作家の作品中で語られるものなので実は大したことはない(実際、この短編におけるホームズはアホである。それにまんまと引っかかるワトスンもまた斯くや)。 短編集の題名になっている「最後の挨拶」はもはや本格ですらない。 これこそドイルがホームズ譚を執筆するのにうんざりしていた証拠だ。 やっぱり何事も引き際が肝心である。 |
No.279 | 4点 | シャーロック・ホームズの帰還- アーサー・コナン・ドイル | 2008/06/21 20:04 |
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小学校の頃、学校の図書館で読んだ「踊る人形」が入っていたのが懐かしく感じた。
しかし今読むと、ポーの『黄金虫』のほとんど二番煎じじゃないか?と思ってしまった。 「犯人は二人」のように義侠心からホームズとワトスンが窃盗を働くユニークな一編があるものの、やはり全体としては小粒。 |
No.278 | 10点 | 恐怖の谷- アーサー・コナン・ドイル | 2008/06/20 20:08 |
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数あるホームズシリーズの中でもさほど名の知られていない本書。しかし、私はこの作品が一番好きである。
今回も第1部は本格ミステリパートになっており、本件で明かされる事件の真相は、ミスディレクションがなされてはいるが、現代ミステリを読んだ者達にとってみれば、さほど目新しさを感じないだろう。 しかし、本作における魅力は第2部の加害者のバックストーリーにある。 これはシリーズ中、白眉の傑作である! なんとハードボイルドなのだ。 しかもこのパートにもどんでん返しが用意されており、逆にこっちの真相に驚いた。 これもよく考えるとよくあるパターンなのだが、もうすっかり騙されてしまった。 本作を読むと、本当にドイルが書きたかった小説が何なのかというのが解る。 |