皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
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sophiaさん |
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| 平均点: 6.91点 | 書評数: 394件 |
| No.394 | 7点 | 成瀬は都を駆け抜ける- 宮島未奈 | 2026/03/20 00:09 |
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| 大学一年生の成瀬を描いたシリーズ完結編。前2作のような大きな展開はありませんが、その分繊細なところを描いているなと感じます。特に「実家が北白川」に登場する達磨研究会の会長の人物造形が大変リアルで、私にもこういう煮え切らないところがあるもので大いに共感させられました。この会長のように必ずしも成瀬に対してウェルカムではない人物も交ぜることで逆に成瀬の解像度を上げる手腕はさすがです。今回最もミステリー的なエピソードは「親愛なるあなたへ」でしょうか。前作の最終話「探さないでください」で敗北を喫したので今作ではリベンジしたかったのですが、このエピソードのオチが読めなかったことでまたもしてやられた気分です。このシリーズ、1作目は本屋大賞を獲りましたが、正直言って1作目だけならば私はあまり評価しませんでした。例えば今作で1作目の「階段は走らない」の伏線回収のような大会を謎のままサラッと第三者視点で描写するところなどが芸術点が高くて好きなんですよねえ。成瀬本人を含めた登場人物たちの成長も描かれて2作目3作目と明らかに面白くなっていっていますし、是非3部作として評価していただきたいシリーズです。私のこの点数も必然的に3部作通しての点数になりますかね。ミステリー色が薄いのでこれ以上は付けられませんが、それでも目一杯のところです。 | |||
| No.393 | 5点 | 時計は二度凍らない- 魚崎依知子 | 2026/03/02 18:52 |
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| ネタバレあり
タイトルとあらすじに惹かれ手に取ったのですが、期待したほどのものではありませんでした。この作品の一番の問題点は、そんなやり方で××って付けられるものなのかということでしょう。まめに手入れしていたというエクスキューズはありますが、ここはちょっと専門家の見解を聞きたいところ。同じくらい問題なのは、わざわざこのような設定にし、タイトルや章タイトルで強調し続けた以上、4年後の現在新たに起きた事件の動機は読めてしまうということです。真犯人に関しても主人公との関わりが深く、立場上いかにも怪しい人物が二人いますのでここはもう二分の一でした。真犯人のサイコパスっぷりや監禁場所についてはこの際何も言いません(笑)本作は青春小説としてはそれなりに読めるものでしたが、ミステリーとしては展開の遅い第二部よりも第一部の方がまだ面白かったぐらいです。しかしこの著者は全体的に文章表現に難があって、自分ならこう書くなどと逐一考えてしまいテンポよく読み進められませんでした。漢字の誤りなども見受けられますし。あまり聞いたことのない出版社なので仕方ないかもしれませんが。 |
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| No.392 | 6点 | 犯人と二人きり- 高野和明 | 2026/02/16 23:47 |
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| ●ゼロ 5点・・・意味があまり分かりませんでした。解説求む。
●跫音 6点・・・自分で自分の首を絞めちゃってますよね ●死人に口あり 5点・・・今回一番のがっかりオチ ●二つの銃口 7点・・・終わり方にもう少し工夫があればなお良かった ●ハードボイルドな小学生 5点・・・二つの事件に関連性が薄い ●天城の山荘 8点・・・これは真っ当に怖い ●三人目の男 6点・・・オカルトの用い方が強引 主人公と犯人が二人きりのシチュエーションの短編を集めたというコンセプトですが、読んでみるとこれはだいぶ無理矢理に感じました。発表年にもだいぶばらつきがありますし(最も古いもので23年前!)、変に括ろうとせずに普通にホラー短編集として出したらよかったのではないでしょうか。まあ何れにせよ「ハードボイルドな小学生」が場違いなんですよね。ともあれ本短編集の感想としては、前半の作品は期待していたようなキレ味のあるオチではない、いわゆる「奇妙な味」に属するのではないかという作品が多く、後半の「天城の山荘」でやっと手放しで面白かったと言える作品に巡り会ったという気持ちでした。 |
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| No.391 | 7点 | どうせ世界は終わるけど- 結城真一郎 | 2026/01/26 23:55 |
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| そう近くもないが遠くもない未来に滅びる世界に生きることの意味を問う連作短編集。各エピソードにミステリー的な仕掛けも施されており、主題にしっかり絡んでなかなか効果的ですね。意外性が一番あったのはやはり「友よ逃げるぞどこまでも」でしょうか。ただ、最終章の親子がたどり着いた真理は私も読みながらずっと思っていたことなので、そこの意外性はあまりありませんでしたかね。とはいえ連作短編集としてのまとめ方が綺麗なのでプラス1点。 | |||
| No.390 | 7点 | 狼少年ABC- 梓崎優 | 2026/01/14 17:25 |
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| ネタバレあり
●美しい雪の物語 7点・・・最後の一言で本人も知らず全てが明らかになる仕組みが巧み ●重力と飛翔 5点・・・どこで撮られたかを謎にしているのが苦しいところ ●狼少年ABC 6点・・・海外の知識がないと解けない謎ではありますが ●スプリング・ハズ・カム 9点・・・これがずっと読みたくて 東京創元社ミステリ・フロンティアの刊行予定にかねてより名前はあれど一向に刊行されない「スプリング・ハズ・カム(仮)」という中編集が、「狼少年ABC」とタイトルを変えて待望の刊行となりました。謎解きが自らのルーツを知ることにつながる「美しい雪の物語」と「狼少年ABC」。未来はきっと明るいという思いの末の行動が不可能状況を生む「重力と飛翔」と「スプリング・ハズ・カム」。「スプリング・ハズ・カム」の真相には、この著者はこういうこともするのかという意表外の思いを持ちましたが、そこに至るまでの多重解決の推理合戦も決して無駄にはなっておらず、同窓会という舞台設定も手伝って、15年前の卒業式当日の放送委員たちの微妙な心情を描き出すことに成功しています。各エピソード、ミステリーとしての出来不出来はありますが、切なくも希望に満ちた中編集でした。 |
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| No.389 | 7点 | 一ノ瀬ユウナが浮いている- 乙一 | 2025/12/17 17:24 |
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| 姉妹作「サマーゴースト」は「再生」がテーマだったと思いますが、本作は「別れ」がテーマになっています。「サマーゴースト」とは異なり、ユウナを認識することが出来るのは主人公一人だけですし、死亡した過程に謎が存在する訳でもありませんので、シンプルに主人公とユウナの物語だけが描かれています。否が応でもアニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」を思い出すストーリーですが、もう生産されていない特定の線香花火に火を点けたときにだけ姿を現すという残り回数制であるのが「あの花」(略しました)とは決定的に違うところであり、いずれ必ず訪れる別れを思わせて切ない気持ちにしてくれる要素であります。何度か繰り返される「俺たちは終わっている」という言葉も主人公の覚悟を表していますし、最後の奇跡の一回における真実の別れが胸を締め付けます。結果としては「サマーゴースト」と同等かあるいはそれ以上の作品であったと思います。 | |||
| No.388 | 6点 | 失われた貌- 櫻田智也 | 2025/11/20 16:51 |
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| ネタバレあり
ミステリーでおなじみ「顔のない死体」というテーマに真っ向から挑戦していると思われるタイトルの割に、古典的かつ初歩的なトリックで拍子抜けというのが正直な感想です。本作は明らかにタイトルで損をしています。それに現代社会でこの古典的なトリックをやるのはだいぶ無理がありませんか?登場人物も魅力に乏しいです。被害者も容疑者も行方不明者も借金、横領、脅迫、不倫などと下世話な人物ばかりで話の行く末に興味が持てずなかなかページが進みませんでしたし、人物関係も最後まで頭に入って来ませんでした。ストーリー全体の起伏もはっきりしておらず、気が付いたら終わっていたという感じです。やはりこの方は短編の方が本領を発揮できるのではないかと感じました。 |
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| No.387 | 7点 | サマーゴースト- 乙一 | 2025/10/05 23:20 |
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| 乙一氏が脚本を担当した同名アニメ映画のノベライズ作品。自殺志願の3人の高校生の男女が廃空港の敷地で都市伝説のゴースト「絢音さん」と出会い、彼女との対話や冒険を通じて自分の生を見つめ直していくひと夏の物語。私が最後に読んだ乙一氏の作品は2003年出版の「失はれる物語」でしたが、当時と比べて18年後に出版された本作は筆力が増している印象を受けました。特にやりたいことがありながらも母親に逆らえず生きている主人公の心情描写は的確で共感できるものになっています。終盤に「絢音さん」の影響力がドミノ倒しのように3人に波及していく展開もよかったと思います。姉妹作と言われている「一ノ瀬ユウナが浮いている」の方も読んでみようと思わせる一作でした。 | |||
| No.386 | 6点 | 杉森くんを殺すには- 長谷川まりる | 2025/09/25 22:09 |
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| 親友を亡くしたことへの悲しみ、後悔、自己正当化、様々な感情に押し潰されそうになっている高校生の少女が周囲の支えによって再び歩き出すまでの物語。本書は児童文学とのことですが、大人にこそ読まれるべき深い作品だと思いました。ただ、気になった点がひとつ。主人公の動機メモや回想において杉森くんの情報が小出しにされますが、性自認の件が浮いていてサプライズのためだけのものになってしまっているので、これはない方がよかったと個人的に思います。「杉森くんはお姫さまみたいな恰好をしたがった」という記述との整合性がありませんし。そうなるとタイトルを変えないといけなくなりますけれども。 | |||
| No.385 | 7点 | 神様の次くらいに- 久住四季 | 2025/09/19 23:28 |
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| ●さくらが丘小学校 四年三組の来週の目標 7点
●ライオンの嘘 7点 ●神様の次くらいに 8点 ●小さいものから消えよ 7点 ●デイヴィッド・グロウ、サプライズパーティーを開く 7点 思っていた以上に粒ぞろいの短編集で、「日常の謎」には収まらない緻密な論理展開や二重解決などもあり、どの話も甲乙つけがたいのですが、この状況で起こり得る事件を探偵役が既に予測していたことを「店員が不親切」という発言で表した表題作を一番の高評価とさせていただきます。 |
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| No.384 | 8点 | 死んだ山田と教室- 金子玲介 | 2025/06/12 18:23 |
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| ネタバレあり
切ないですねえ。男子校出身の私には共感できる描写も多く笑えましたし、2年生修了時をフィナーレにして爽やかな青春物語に仕上げることができた作品ですが、こうしましたか。3年生進級後どんどん暗くなっていきますもんね。元2年E組のみんなの気持ちが山田から離れていく様子が何ともリアルですし、中でも花浦先生のドライっぷりは本当に怖い(笑)それでもそこに存在し続けなければならないのは「火の鳥」の未来編を思い起こしますし、大オチは「百万回生きたねこ」のようでもあります。○○死も影のテーマにあるようですし、思いのほか深い作品でした。それにしても和久津君は本当にいいやつだなあ。 |
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| No.383 | 8点 | 向日葵を手折る- 彩坂美月 | 2025/05/30 17:22 |
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| ネタバレあり
山間部の集落の風景およびそこに生きる人々の暮らしが活き活きと描かれており、作者の筆力に感心しました。主人公みのりの心情描写も優れており、特に新しい暮らしに馴染んでいく母親に対して反発の気持ちが育っていく描写がよかったです。本作はミステリー部分だけを見るとそこまでではないと思うのですが、読後感の深さを考えると、ミステリー部分が出しゃばりすぎず、物語と無理なくマッチして青春小説として仕上がっているということなのだろうと思います。未回収の伏線がいくつかあるのは、向日葵男の実在を臭わせているのですかね。ところで最終章の土を掘るところで「永遠の仔」を思い出しましたが、この2作は共通点が多い気がします。 |
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| No.382 | 6点 | 憑かれた鏡 エドワード・ゴーリーが愛する12の怪談- アンソロジー(海外編集者) | 2025/05/21 00:09 |
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| 今村昌弘「でぃすぺる」の作中で物凄く怖いと紹介された「猿の手」が読みたくてこのアンソロジーを手に取ったのですが、まあどの話も翻訳が硬くて読み辛い。「豪州からの客」「十三本目の木」は特に読み辛く内容もよく理解できなかったので、この二作が続いた時には投げ出そうかと思いましたが、後半の「猿の手」まではとにかく頑張って読み進めました。そうしてやっとたどり着いた目当ての「猿の手」も昔読んだ「アウターゾーン」という漫画に似た話があった記憶があります。このように同じテイストあるいは進化形の作品に触れる機会もあるでしょうし、今の時代にこの古典的アンソロジーを敢えて読む必要はそれほどないかもしれません。とは言え「八月の炎暑」「大理石のからだ」「判事の家」あたりはシンプルであるが故に怖さが感じられてよかったと思います。時代を超える怪談というものはそういうものではないでしょうか。 | |||
| No.381 | 6点 | 死んだら永遠に休めます- 遠坂八重 | 2025/05/05 00:17 |
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| ネタバレあり
第四章までで完全に解決しているように思われる事件、最終章で明かされるその背景は確かに驚愕に値しおぞましさすら感じるものでありますが、仁菜による種明かしは裏付けに乏しく、推理というよりも推測の色合いの方を濃く感じます。伏線ももう少し欲しかったところ。主人公の記憶力が低いのは散々描写されていますが、それは多忙すぎるがゆえのことではなく、そもそもの記憶力が低いという解釈で合っているのでしょうか?各章終わりに挿入される独白パートを最後まで読むとそのような暗示を感じるのですが、ここはちょっと分かりにくいかもしれません。というか、そんなに記憶力も低く絶望的に仕事ができない人が結構なレベルの国立大学に合格できるとは思えませんし、自分が仕事ができないということすら自覚できていないというのは設定に無理があると言わざるを得ません。サプライズありきで話を作ったからこうなってしまったのでしょう(自分が本来お気楽人間であったことまで忘れていますよね?)。それからラストはあのようなビターな終わり方でもよいと思いますが、あっさりしすぎていて勿体なさを感じました。 |
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| No.380 | 6点 | スイッチ 悪意の実験- 潮谷験 | 2025/04/20 21:56 |
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| ネタバレあり
映画「運命のボタン」のようなSFチックな作品かと思っていましたが、思いのほか現実的な話でした。スイッチを押した人物を特定する推理は面白かったのですが、綻びとなった「弱い教祖」の論理があまりピンと来ませんでした。ここは本作の内容を鑑みるに重要な箇所だったと思うのですが、私に宗教学的な素養がないことが原因かもしれません。それから、主人公の抱える「自分の意志で選択できない」という秘密があまり主題に関係していないのかなあと思いました。脳内コイントスの原理は面白いのですけどね。 |
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| No.379 | 4点 | 斬首の森- 澤村伊智 | 2025/04/07 23:22 |
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| ネタバレあり
「首を斬ればいい」という情報を受けて二人の人物がたどり着いた同じ結論が飛躍しすぎですし、実際にその方法が可能なのはご都合主義以外の何物でもない気がします。首も簡単に斬れすぎでは?それから、この方の作品を読むのは四作目になるのでそろそろ気付いてきたのですが、登場人物に軽薄な人が多すぎませんか?もう少し重々しい人物描写の方がホラーとの相性がいいように思うのですが、軽いのがこの方の良さなのでしょうかね。 |
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| No.378 | 8点 | 時空犯- 潮谷験 | 2025/03/27 16:44 |
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| ネタバレあり
西澤保彦「七回死んだ男」は現象をミステリーのルールとしてのみ用いていますが、本作はメカニズムに斬り込んでいくスタイルであり、その過程で殺人事件が発生するという流れになっています。中盤の史実を確定させないために奮闘する展開は「ジョジョの奇妙な冒険」の第4部、吉良吉影のスタンドを思い起こしました。「知性体」の概念はスケールが大きく難解に過ぎますが、巻き戻しのルールの厳密性に知性体による客観的な保証を与えているのは上手いやり方だと思いました。本作はフーダニットとしても楽しめますが(殺人の被害者自身が重要な証言をする!)、目玉は何と言っても「時空犯が巻き戻しを行う理由」ですね。世界観の難しさと見合うだけの感動が確かにそこに存在しました。また余談ですが、夜行列車なんてものがまだ本格ミステリーに絡んでくることを嬉しく感じました。 |
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| No.377 | 5点 | まず良識をみじん切りにします- 浅倉秋成 | 2025/03/21 23:06 |
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| ●そうだ、デスゲームを作ろう 5点・・・ただのDIY奮闘記
●行列のできるクロワッサン 5点・・・ただの行列奮闘記 ●花嫁がもどらない 5点・・・ただの偏見大会 ●ファーストが裏切った 5点・・・ただのNHKスペシャル ●完全なる命名 6点・・・この中では一番マシ 多くの話で主人公の行動の描写、心情の描写ばかりが続き劇的な展開はありませんし、オチらしいオチもありません。「行列のできるクロワッサン」は「世にも奇妙な物語」でありそうな話。「完全なる命名」は歌野晶午「世界の終わり、あるいは始まり」を思わせる構成ですね。総じて浅倉秋成に期待するものではなかったです。ひょっとすると短編は向いていないのかもしれませんね。 |
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| No.376 | 7点 | 雷龍楼の殺人- 新名智 | 2025/02/24 17:55 |
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| ネタバレあり
これは久しぶりに物凄く評価に苦しむ作品ですねえ。ええ、小説家が出てきた時点でアレは疑いましたが、まさかまさか。このギミックを成立させるために主人公の人格は完全に破綻してしまっていますし(それが後の因果応報の悲劇につながりはしますが)、このような強引なことをやられると私の今後の読書人生に支障を来すのではないかと戦々恐々としてしまうのですよね。それから流儀なのか何なのか知りませんがこの作品において「読者への挑戦」は必要なかったでしょう。挟まれている位置も序盤の妙なところですし、そもそも何を挑戦しているのか分かりません。オチも読めましたし4,5点を付けることも可能なのですが、読んでいる最中は面白かった(本格というよりもサスペンスとして)のは確かですし、冒頭の電話のシーンが犯人の特定につながるところなどは上手かったのでこの点数にしておきます。なお枝葉の部分になりますが、穂継と真子が戦わせるミステリ談義が結構面白かったです。 |
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| No.375 | 7点 | 禁忌の子- 山口未桜 | 2025/02/11 19:08 |
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| ネタバレあり
自分と瓜二つの人間などというのは一卵性双生児かクローンしかあり得ませんし、密室トリックも古典的なものですし、これをどう展開させたら傑作になるのだろうという懐疑的な気持ちでのスタートでしたが、終盤の思いもよらぬ方向への跳躍に確かに驚かされましたし、同時にタイトルの真の意味を浮かび上がらせるところにも作者の手腕を感じました。ただ、生殖医療に関する部分はその道の専門家にしか分からないと思いますし、密室殺人の犯人を絞っていく論理は素直に飲み込めない部分がありますし、分数からXを特定する推理には論理の飛躍を感じないでもありません。そして何よりも主人公たちの真実には正直に言って引くところがあるのですが、こういったミステリーが登場するのも時代の必然なのかなと考えました。8点にするかすごく悩んだのですが暫定的に7点で。 |
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