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[ 本格/新本格 ]
失われた貌
櫻田智也 出版月: 2025年08月 平均: 7.00点 書評数: 1件

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新潮社
2025年08月

No.1 7点 HORNET 2025/09/27 21:14
 山中に遺棄された男性の遺体は、人相が判別できないほど顔がつぶされ、両手首も切断されていた。身元不明死体の捜査にあったのは媛上署捜査係長・日野雪彦。ほどなくして近隣市のアパートで別の殺人事件が起きる。現場の痕跡から、その犯人は遺棄された遺体の男性であるらしいことが判明。事件の背景を探るうちに、媛上署で起きている様々な事案がピースとなってつながっていく―



「サーチライトと誘蛾灯」に始まるおとぼけ青年・魞沢泉が探偵役のシリーズから雰囲気は一変、社会派の警察小説である。
 伏線として描かれる、日野の同期の生活安全課長・羽幌とのストーリーが、本線に絡んでくる展開はよく練られていて面白い。ただ、多方に広がっている各線が結びつけられていく構成は、だんだん全体像がこんがらがってくるところもあり、整理しながら読み進めないといけなかった。
 最後に明かされる真相は、正直物語終盤でおぼろげに見えてきているところがあり、「……あぁ、やっぱり」という感想だった。よく仕組まれた話ではあるが、ミステリに読み慣れていれば推測できるネタでもある。ただ主人公・日野と同期の羽幌の物語という側面の面白さもあり、総合的には楽しめた。


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櫻田智也
2025年08月
失われた貌
平均:7.00 / 書評数:1
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