皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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たかだいさん |
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平均点: 5.06点 | 書評数: 225件 |
No.225 | 5点 | 月蝕島の信者たち- 渡辺優 | 2025/09/01 10:22 |
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不朽の名作ミステリー『そして誰もいなくなった』を想起させる孤島での連続殺人
色々と良さげな要素を切り貼りした教義を掲げたインチキ宗教の集会に集った人間達が、目立ちたがりで皆から迷惑がられていたYouTuberを皮切りに次々と刃物や毒で殺されていくシンプルな構成のサスペンス小説に仕上がっていたように思います 犯人の動機に関しては、そのぶっ飛び具合も含め、もはや信仰・盲信の域に達した精神性に戦慄を覚えなくもない。ミステリーにおける犯人のタイプとして、割と面白くて好きです それ以外の点で言うなら、正直あまり個性があるとは言い難い作風で、「探偵不在のミステリー」という売りにしても、こういった作品はチラホラ見かける気がして新鮮とは思えなかった サスペンス小説として普通に面白いが、前評判や期待した程ではなかった気がします |
No.224 | 4点 | 疾風ロンド- 東野圭吾 | 2025/08/31 22:33 |
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スキー場を舞台に軽快なタッチで描かれるサスペンスが魅力の『スキー場シリーズ』の第二弾
今回は、盗まれた細菌兵器の行方…という結構ヘビーなテーマを下地に、それを追う者、隠す者、怪しむ者、奪う者と様々な人物の思惑が交錯する ここだけ書くといかにもハードボイルド系の重厚なサスペンス大作のようだが、本作(というか本シリーズ)は良かれ悪かれライトミステリーなのも一つのミソ 文章にしても、人物同士のやり取りにしても軽快で、ストーリー運びも個人的には良い意味で勢い任せ ガリレオシリーズのような謎解きのような要素もなければ、ブラックショーマンのような黒さとも無縁で、ある種ラノベ的に気楽な読書を楽しめるエンタメ作品となっています ただ、個人的に前作『白銀ジャック』程の緊迫感はなく、かと言って次作『雪煙チェイス』程にエンタメに振り切れてもない感じがして、シリーズ2作目が一番中途半端な立ち位置って印象が読後に残りました その辺、ちょっと物足りなさを感じた作品です |
No.223 | 6点 | からくり人形は五度笑う- 司凍季 | 2025/08/30 16:39 |
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かつてはからくり人形で栄えながらも今となっては廃村間近の村を舞台に、幾つもの奇怪な事件が折り重なり一つの真実が見えて来る
ある種の怪奇色と不可解な謎を内包した古き良き本格推理小説だと感じた作品 地形を利用した大掛かりでありながら突き詰めればシンプルな殺人トリックが本作の見せ場だと思われますが、個人的にはこう言ったギミック系のトリックは(実現性はともかく)好きなので面白かったです ストーリーとしても、前半でメインを張る人物が中盤で死体となって発見され、その事件の調査に友人にして探偵の男が村に乗り込むという波乱の展開で、あまり見た事のないパターンでしたのでそちらの面でも楽しませてもらいました |
No.222 | 5点 | 西鹿児島発「交換殺人」特急- 峰隆一郎 | 2025/08/30 16:19 |
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同じ日に別々の場所で起きた殺人事件、どちらの事件も容疑者には完璧なアリバイがあり…と言うトラベルミステリー物
タイトルにもある『交換殺人』を一つのキーとしつつ、アリバイ工作の妙(いわゆる時刻表トリック)を楽しむ作品でもあります とは言いつつ、個人的にはその時刻表トリックがあまりピンと来ない事が多く、「ふ〜ん…」程度の感想しか持てない私としては、本作もその例に漏れずあまり驚きややられた感はなかったです ストーリー的には男女間のドロドロをテーマにした作品で、カバーに書かれた著者の言葉通りの結末を迎えた犯人(と、被害者)の姿にある種の哀愁を感じなくもない…そんな話です 総評としては、可もなく不可もなくな作品だったかなと思いました |
No.221 | 4点 | ボーン・コレクター- ジェフリー・ディーヴァー | 2025/08/28 18:33 |
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その場に上下巻が揃っているタイミングで購入している都合もあって「ソウル・コレクター」「石の猿」と順当にシリーズを遡って来てのシリーズ第1作目
ジェフリー・ディーヴァーという作家自体も、その人気シリーズ「リンカーン・ライム」も好きな私ですが、正直、本作はあまり刺さらなかったです 何というか、魅力に乏しい… 読んだ順番がある意味でイレギュラーな私の主観で言えば、ライムを取り巻く主要メンバー同士に流れる寄せ集め感やそれによるイマイチ嵌ってない感じはさながら『リンカーン・ライム0』みたいな感覚で読めました(いわゆるシリーズの回想編みたいな感覚) ただ、それ以外の魅力はあまりなく、科学捜査のやり方を熟知して己に繋がり得る証拠・痕跡は微細も残さず、かと思えば次の被害者の居所を連想させるヒントはその場に遺してライム達を嘲笑う本作の犯人『未詳の男』も何故か、ここまで煽っているのに実際読んでいて魅力を感じない…。なんか狂ってるけど、小者臭さが拭えないせいでしょうか まぁ人気シリーズにも当たり外れはあると割り切って、まだ読めていない他のシリーズ作品に期待しようと思います |
No.220 | 5点 | 殺人鬼- 綾辻行人 | 2025/08/21 22:18 |
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スプラッターの要素9割という著者の趣味全開な鬼畜サスペンス
とにかく人が悲惨な殺され方をし、血で血を洗うなんてモノじゃない凄惨な…というかグロいシーンの連続 かなり攻めた小説なのは間違いなく、スプラッター映画にも言える事ながら相当に読み手を選ぶ しかもそこに叙述トリックを仕込んでミステリーとしての体裁も整えてくるから、ただ人を殺して終わりの単純ホラーとは一線を画し、その辺りは流石は綾辻行人と言っても良いかも知れない 尤も、そのトリックの驚きは確かにある…んだけども、結局は徹底してグロい目に遭うメンバーの阿鼻叫喚具合しか印象に残らんのよね… 徹底し過ぎて若干、気分が悪くなる点も含めて本作の尖った個性と評価しつつ、面白かったか?と問われれば作中の仕掛けにまつわる驚きを徹底したグロさで相殺して5点評価が妥当かと私は思いました 一応、続編の逆襲篇も既読だが、そちらは本作以上に記憶に残らなかったので敢えてレビューもしないつもりです |
No.219 | 5点 | クリスマスローズの殺人- 柴田よしき | 2025/08/21 03:25 |
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吸血鬼や吸血鬼たちが暮らす特区のような村が存在するという特殊設定あり気の変則ミステリー
未読ですが「Vヴィレッジの殺人」という作品の続編らしいですが、前作を読んでいなくても冒頭の「はじめに」という注意書きを読めばある程度、前提条件は理解して本筋に入れる配慮は親切だったと思います 吸血鬼の特性も踏まえた上での真相・内容に内容に関しては、まぁ可もなく不可もなく ただ、いくら「軽」とはいえあらすじに挙げられているハードボイルドという部分には若干の疑問を感じた点と、なにより結果的にはわりとなんでもありな真相だった辺り「本格推理」を謳うのも無理がある気がします 別にその事自体を指してマイナス評価する程ではないですが、特殊設定のミステリーとして突出した物もあまり感じられなかったので作品としては普通という評価に落ち着きました |
No.218 | 8点 | 悪魔の涙- ジェフリー・ディーヴァー | 2025/08/17 17:42 |
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実際に読んだのは何十年と前の事だが、それでも本書は印象に強く残っている
あまり作家に拘っていなかった私が「ジェフリー・ディーヴァー」という作家を知り、以降、少なくとも海外作家の中では不動の一番となったきっかけになった作品でもある 氏の作品としては「リンカーン・ライム」シリーズが有名であるが、本作はノンシリーズ物という事も好転したのかもしれない それはさて置き本作だが、銃乱射事件と事件に関わる脅迫状が主軸となり文書の専門家パーカーが文書に秘められた僅かな痕跡から犯人像を浮かび上がらせていくサスペンス物である その真相というか結末も勿論面白いのだが、個人的には主犯の手足として無差別に銃を乱射して回る実行犯の存在が特に面白く感じた。手製のサイレンサーを装着したマシンガンで弾丸をばら撒く凶悪さと、主犯の言いなりになって自己に乏しく行動するある種の稚拙さ、そこに化け物じみたしぶとさが加わって『怪人』といった印象が強く残っており、(かなり時が経って多少なり記憶違いしてる可能性はあるにせよ)敵役として良いキャラしてたなと今でも思う |
No.217 | 6点 | 蛇姫荘殺人事件- 和久峻三 | 2025/08/17 16:21 |
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西村京太郎の「十津川警部」、内田康夫の「浅見光彦」、山村美紗の「キャサリン」と並んで2時間サスペンスの常連「赤かぶ検事」
名前は知っていてもシリーズ(というか和久峻三氏の作品自体)未読だった為、「○○館」だの「○○荘」だといったタイトルの館物が好物の私が一番興味を惹かれた本作をチョイスして読んでみた次第 1本の長編かと思いきや、やや長めの短編が3本から成る短編集でした タイトルになっている「蛇姫荘」はその内の2作目で、しかも言う程館物では無かったのは残念でしたが、中身は一番ボリュームがあって内容に力が入っていた印象 他の2作に関しては、話の筋書きは面白いが「その殺し方は無理ないかい?」なオチのやつと、倒れていた女性を救助しようとしたらそのまま犯人だと告発された男の話で、どちらも突っ込み所はあるが普通に楽しめる 文章がわりと軽快に感じられたのと、赤かぶ検事の自然体なキャラが性に合ったのかすんなら読み進められた作品でした 個人的には「西村京太郎」「吉村達也」に次いでかなり気楽に楽しめるミステリーを書かれる作家かもしれないと感じつつ、他のシリーズ作品にも積極的に触れてみようと思います |
No.216 | 3点 | 人面島- 中山七里 | 2025/08/15 17:24 |
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主人公は相続鑑定人を務める冴えない男で、男の身体には喋る(!?)人面瘡があり、この口の悪い人面瘡が事件を見事解決に導く探偵役を担うというかなり異色の探偵小説
設定の面白さやキャラクターの個性が光る作品というかシリーズで、個人的にはそれ以上でもそれ以下でもないと感じた 確かに何処となく横溝正史を想わせる雰囲気はあるものの、内容そのものにそこまで魅力が感じられず、真相も含めてあまり面白味は無かったように思います 私としては中山七里という作家は『護られなかった者たちへ』や『隣人はシリアルキラー』のような現代社会に根ざした社会派ミステリーで本領を発揮する作家という感じがしていて、少なくとも本作のような本格推理物は微妙な気さえします |
No.215 | 6点 | 魔女は甦る- 中山七里 | 2025/08/15 17:08 |
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猟奇殺人を扱ったサスペンスかと思いきや、巨大製薬会社の陰謀が絡むクライムミステリー…と思わせて、実はホラーという属性(ジャンル)てんこ盛りなミステリー作品
序盤こそ普遍的な警察小説と言った感じて話が進んでいきますが、被害者が元製薬会社の研究者という経歴から製薬会社に関するきな臭い話や、嬰児誘拐、新型麻薬を使った凄惨な事件も絡んで加速度的にストーリーが転がる様はなかなか面白かった 終盤以降(全体のおよそ1/3くらい)から展開がB級モンスターパニック映画のそれになり賛否は分かれそうですが、ヒッチコックの『鳥』然りそういった映画を見漁っていた時期もある私からすれば十分に楽しめる内容でした |
No.214 | 5点 | 雪煙チェイス- 東野圭吾 | 2025/08/14 16:43 |
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スキー場シリーズの3作目
今回、事件の真相そのものはさして問題ではなく、追う者と追われる者のやりとりを楽しむエンタメ作品となっている 正直な話、本作はサスペンスと呼ぶ程緊迫感があるとは思えないし、そこに期待し過ぎると作中の雰囲気が軽すぎてダメだろうと思う 迂闊な行動のせいで殺人犯の汚名を着せられ掛けている大学生と、上司の見栄に振り回される刑事が織りなすドタバタな追いかけっこ…くらいに思ってエンタメと割り切ると意外と楽しめる 別にそこまで考えながら読んでいたわけではありませんが、ライトノベルを読むように肩肘張らずに気軽に楽しむ分には及第点な作品だったように思います |
No.213 | 3点 | 女王はかえらない- 降田天 | 2025/08/14 16:29 |
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子供には子供の世界があり、それは大人が思っている以上に残酷で残忍…って感じの話
特にイジメの内容があまりに生々しくて、基本的に嫌ミスが苦手な私にとって非常に読むのがキツかった…… 嫌ミスとして、また叙述トリック物としての出来は良いと客観的には思うし、文章も読み易くてスラスラ読める作品だとは思う この作品を評価する人が多いのも納得出来る ただし、私個人の感想としては生々しいまでの陰湿さがキツくて、とても面白かったとは言えない 叙述を絡めた真相という驚きを持ってしても、合わないものは合わない とは言え、降田天というコンビ作家には興味関心があるので、次は「すみれ屋敷の犯罪」辺りを狙ってみようかと思います(「少女マクベス」も興味はあるが、この作品と似た匂いを感じずには居られないので敬遠しておきます…) |
No.212 | 7点 | 007/ゴールドフィンガー- イアン・フレミング | 2025/08/13 19:23 |
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本家イアン・フレミングによる『007』は短編集「バラと拳銃」しか読んだ事がなく、しかもその短編集自体シリーズから見たら異色作が多めという事で本格的(?)な007は本作が初となる
ショーン・コネリー版で映画化され、「ゴ〜ルドフィンガ〜」というエンディング曲のフレーズが妙に頭に残る作品だったが、本書はその原作である 金に異常な執着を見せる悪党「ゴールドフィンガー」とジェームズ・ボンドの対決という単純明快なストーリーながら、大まかにポーカー、ゴルフ、ノックス・フォート、飛行機と4Rに渡る攻防が描かれ、手に汗握るスリリングな展開は流石007と素直に思った 映画ほど派手なアクションシーンはあまりないが、かといってスパイ小説特有の難解さも(良い意味で)ないので読み易く、前述のように手軽に緊張感を楽しめる作品に仕上がっていると感じた |
No.211 | 6点 | まだらの蛇の殺人- 阿井渉介 | 2025/08/10 10:38 |
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以前レビューを挙げた「風神雷神の殺人」を含むシリーズ作品の第一弾です
将来有望の若手ホープと、ギャンブル狂いのロートルという凸凹コンビが、田舎の富豪一族を襲う『蛇の呪い』の謎に迫る本格推理物 相変わらずと言うべきかギャンブル狂いの相棒がどうにも好きにはなれないシリーズですが、一つのミステリー作品としては質は高めかなと思います ハブの数倍という強力な毒を持つ海蛇に噛まれて死んでいく兄弟、蛇が蠢く気配があちこちで漂い、蛇にまつわる伝承が残る池では過去に入水自殺も起きており、それらが一つの真実にまとまっていく様はなかなか面白かった シリーズとしては意外と気に入っているので、近々他の作品も読んでみようと思います |
No.210 | 7点 | 暗闇の囁き- 綾辻行人 | 2025/08/09 17:53 |
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現実の世界を舞台としているのに幻想的な世界観が漂う辺り、なんとなく綾辻行人らしさを感じるサイコスリラー(個人的にはサスペンスというよりこのように感じられた)
何故かタブーとされる子供「あっちゃん」、美しい兄弟、絶大な権利を握る父親、自失の母親、欲に駆られる叔母親子、怪しげな使用人夫妻…一癖も二癖もある登場人物が現れ、1人また1人と死んでいく 事件の謎、真相そのものも決して悪くはないが、この作品は作中の雰囲気こそが最大の見所だと個人的には思った |
No.209 | 6点 | 冤罪者- 折原一 | 2025/08/02 17:19 |
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タイトルにあるように『冤罪』をテーマに、多彩な登場人物と重厚な内容で読み応えのあるサスペンス大作
正直な話、繁忙期なのもあってもう少し軽めなミステリーを読みたい気分だった中、事の他重い作風の作品に当たってしまい思った以上に読了に時間を掛ける事となったが、その甲斐はあったと言える作品でした ちょっと登場人物が多くて多少分かりにくい所はありましたが、作者・折原一の真骨頂も上手い具合に活きていて、終盤からラストに掛けての怒涛の展開も良い 個人的には犯人の正体だとか犯行理由、経緯も意外性があって唸らされた 前にも書きましたが折原一は(私的には)当たり外れが極端な作家ですが、本作は当たりだったと思えます |
No.208 | 3点 | 追想の探偵- 月村了衛 | 2025/07/27 16:33 |
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基本的には『人探し』にフューチャーした一風変わったミステリー作品
特撮専門の雑誌で人探しに定評のある主人公が、人脈や伝手を頼りに地道な調査で何十年も前に姿を消した人物たちを探し出す、というのがセオリーとなっている連作の短編集です ただ、良かれ悪かれ(…個人的には悪いの比率高め)内容はその一言に尽きる上に、大体は問題の人物に出会って「よく見つけましたねぇ」で終わりってパターンなので読んでいて妙な不完全燃焼の感が付き纏う 正直、カタルシスのようなモノは一切感じず、話が淡々として平坦なまま終わる為に面白かったとはとても言えない 着想自体は面白いが、ただそれだけって作品だと思いました |
No.207 | 5点 | ブラック・コーヒー- アガサ・クリスティー | 2025/07/23 23:28 |
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初めて戯曲に触れるに当たり、ノンシリーズ物より有名シリーズの方が馴染み易いかと思って手に取った作品
確かに脚本的…というか台本そのものなので文体は独特だし、基本的にセリフと演者のアクションしか書かれていない為、最初の方は若干の違和感もあったが次第に慣れてくるようでコレはコレで気にならなくなってきた 肝心の中身はというと、確かに他の有名所と比べると色々な意味でボリュームは不足している感は否めない しかし、一様に一癖も二癖もある登場人物が織りなす人間模様や、事件に絡む謎が一つずつ解きほぐされて最後に意外な結末をもたらす、いわゆるパターンを踏襲していてストーリーの展開を追い易く、内容自体はそう悪くないと思った 戯曲としても、ミステリー作品としても手に取りやすい作品ではあると思う |
No.206 | 6点 | 風神雷神の殺人- 阿井渉介 | 2025/07/22 15:06 |
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風神と雷神の力を借りて殺人を行ったと称する奇妙な殺害予告と、絶妙に接点が見つからないまま増えていく被害者。脅迫状を送り付け殺人を実行していく凶悪な犯罪者に、わりと直情型の若手ホープと、ギャンブルばかりで怠惰な老練という凸凹なコンビが挑む警察小説
個人的には、この手の小説に出てくる異常氾のなかでも本作の犯人は毛色が違っていて、だからこそ面白く感じたというのが一番です 人によっては遥か昔の恨みを忘れず、むしろ蓄積させ、嵌った怪しげな宗教から仕入れた呪いの儀式を行い、本気で風神雷神の力を借りていると信じ切って犯行を繰り返し、その犯行は相手の年齢・性別に関わらず容赦なく残忍…それでいてその精神性は中学生程度で止まっている なかなか見ない類の狂人っぷりがストーリーを盛り立てていたように思います ただ、私としては相方であるギャンブル狂いの刑事のキャラがあまり好きになれなかったので、その辺は残念に感じつつ、作品としては割と好きでしたのでシリーズの他作品も読んでみようという気にはなりました |