皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
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みりんさん |
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| 平均点: 6.66点 | 書評数: 533件 |
| No.193 | 8点 | 八つ墓村- 横溝正史 | 2023/09/12 21:58 |
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| 当サイトのジャンル分けを全面的に信用すると、冒険/スリラー小説を読んだのは『孤島の鬼』に続いて2作品目。これはまずい。こちとら本格だけで手一杯なのに冒険小説の面白さに目覚めてしまう…
『八つ墓村』は横溝正史の代表作5つ(という認識で合ってるかは分からないが)の中で唯一冒険モノとなっていたので余り読む気力が湧かなかったんだけど、島田荘司の某作で気になり手にとって見た。 が、これはまさしく極上のエンターテイメント!!『孤島の鬼』同様私はラブストーリーに弱いのかもしれないし、ラブストーリーと冒険小説の相性が抜群なのかもしれない。 横溝正史の描く芯の通った頼もしい(時には恐ろしい)女性像はどれも心に残ります。 この名作に一つだけケチを付けるなら金田一耕助がちょっと頼りなさすぎ…(笑) その分典子の頼もしさが際立つのでアリだとは思いますが… 個人的には著者の代表5作品のうち本作品と『悪魔の手毬唄』が突出して好きですねぇ |
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| No.192 | 10点 | ドグラ・マグラ- 夢野久作 | 2023/09/10 15:40 |
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| 私はライトな文体の新本格が大好物、古典は読むのが超ニガテ。しかしながら、『ドグラ・マグラ』は他の追随を許さない作品、国内で最高評価を受けて然るべき作品ではないかと思ったので満点を献上。宇宙からミステリ星人がやってきて「この国で1番優れた作品を出せ」と言われれば、迷いなく『ドグラ・マグラ』を差し出します。
社会進出を志した女性が大正時代に生きることの理不尽さや空虚さを描いたのが同じ夢野久作の『少女地獄』なら本作はさしずめ『狂人地獄』といったところか。な〜んだ奇書だとか良いつつ分かりやすいテーマじゃねぇかと最初の方は思っていた。しかし、「キチガイ地獄外道祭分」あたりから一気に奇書らしくなり、やにわに探偵小説の頂点たる「脳髄小説」が始まる。 上巻182pより引用 「探偵小説というものは要するに脳髄のスポーツだからね。犯人の脳髄と、探偵の脳髄とが、秘術を尽くして鬼ゴッコや鼬ゴッコをやる。その間に生まれるいろいろな錯覚や、幻覚、倒錯観念の魅力でもって、読者の頭を引っぱって行くのが、探偵小説の身上じゃないか。ねッ。そうだろう」 いやあこれ、大変共感ですなあ。その脳髄の本質を探究するとはまさに絶対的探偵小説… 探偵小説の頂点に相応しい。さらに、作中で提唱されるトンデモ新学説「胎児の夢」では作者の美しい言葉選びに納得せざる…いやペテンをかけられているような…なんにせよこの陶酔感はなかなか味わえるものではない。 一文一文が何一つ妥協のない選び抜かれた文章。構想に10年を要するのも納得の「胎児の夢」「脳髄論」などといった凄まじいガジェットや、眩暈のする真相には読了後に思わず本を置いて天を仰ぎ、こんな作品を世に出した夢野久作に感謝していました。 作中のとある絵巻物の魔力は1000年持続し、人々を狂わせていった。時代と共に節々に色褪せを感じさせる作品が多い中、本作品が内包する魅力はこの絵巻物と同様に、1000年後も色褪せない不変なモノであるとそう信じたいです。夢野久作の心理を遺伝した作家は今後現れないものか 【要注意】【ここから核心に触れるネタバレあり】 語り手が犯人なんていう作品はたくさん読んできたが、語り手が実は胎児だったなんて作品は探偵小説においてはおそらく空前絶後だろう。この胎児、心理遺伝を考慮すると呉一郎とモヨ子の子供かなあ? この作品は「心理は細胞単位で遺伝する」「胎児は10ヶ月で森羅万象の夢を見る」という2つの仮説を正木教授が倫理観を犠牲にしてでも証明する物語であり、それ以外のほとんどが作者からの目眩し(=ドグラ・マグラ)なのではないか。前者は正木自身が完遂し、後者は未遂に終わったため、この世界の創造者たる作者自らが答えを提示したんだと個人的には思っている。素人意見で全くの見当ハズレを言っているかもしれないが、こう考えると入り組んだ大迷宮に見えて本筋は実にシンプルな気がします。しかし、私が多くを理解できるほどシンプルなら三大奇書などと呼ばれるはずもなく、「斎藤教授は正木に殺害されたのか?」「絵巻物を呉一郎に見せたのは正木なのか?」「夢遊病者が執筆したドグラ・マグラは何だったのか(あくまでメタフィクションとしての役割としか持たないのか?) 。」「呉モヨ子は本当に生き延びて病棟にいるのかそれとも替え玉なのか。」「正木教授の自殺もしくは他殺の真の理由は?」などなど一読では曖昧な(ドグラマグラな)部分がその他多数存在する。初読よりむしろ2読目、3読目の方が楽しめるんではないかと思われます。 夢野久作の作品は大衆小説とは言え、私には大変重く、700ページ読むのに14時間もかかった。ので、古典文章を読み進められる熱量とこの作品を奥深くまで読みとこうという気概がある時に再読できたらいいな…いつになることやら…スカラカ…チャカポコ…スカラカ…チャカポコ |
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| No.191 | 7点 | ちぎれた鎖と光の切れ端- 荒木あかね | 2023/09/10 15:25 |
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| 【ネタバレなし】
乱歩賞作家の2作目繋がりでこれを読もうと手に取った。ハードカバーで450ページとなかなかのボリュームです。 前作『此の世の果ての殺人』の魅力的な舞台設定には敵いませんが、本格としては数段パワーアップしている印象を受けました。前作が合わなかった方も本格好きや人情モノが好きなら一読の価値は大いにあると思います。私だけかもしれませんが、第二部を読んで2000年代のあの国内作品を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか(伝わるんかなこれ) とりあえず本ミスで3番には入って欲しいなと期待を込めて8点を付けたいところですが、この分量を支えるにはあと一つ衝撃成分が欲しかったのでこの点数で…申し訳ない。 あと帯の「Z世代のクリスティ」ってのいる?? |
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| No.190 | 6点 | 数学の女王- 伏尾美紀 | 2023/09/09 15:16 |
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| 【ネタバレなし】
博士号を持つ異色のノンキャリ警察官・沢村依理子シリーズ 『北緯43度のコールドケース』で江戸川乱歩賞を受賞した伏尾美紀先生のシリーズ2作品目。書評がゼロなのが寂しいところ。 偉大なるドイツの数学者カール・フリードニヒ・ガウスは数論が美しい理論であるだけでなく、他の分野に役に立たないことから「数論は数学の女王である」と言ったそう。 美しさと孤高を兼ね備えたのが『数学の女王』、本作品のタイトルの由来はここから来てるのかな?しかし、数学に関する記述はとても平易で最低限に留められており、ガウスのガの文字も出てきません。よって、そちらを求める方にはあまりお勧めできません。どちらかというとジェンダーバイアスや理系の女性研究院の苦悩がテーマです。 作品内では1990年代の大学院の情勢ですが今でも院に進学する理系の女性は非常に少ないですよね。自分の所属する研究室は20人中たった2人です。リケジョって言うの失礼なのかな〜って己の発言などを内省する機会となりました。 |
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| No.189 | 8点 | 涙流れるままに- 島田荘司 | 2023/09/03 19:39 |
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| 吉敷竹史シリーズ第15弾
15作品も読んでられねーよって方は『北の夕鶴2/3の殺人』→『羽衣伝説の記憶』→『飛鳥のガラスの靴』と読んでから『涙流れるままに』を読むと満足度が上がると思います。 あと読んでないの自分だけかもだが、横溝正史の『八つ墓村』も読んでおくと良いかも。横溝代表5作(?)のうち唯一未読だったので近々読むのが楽しみになった。 |
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| No.188 | 6点 | 飛鳥のガラスの靴- 島田荘司 | 2023/08/29 22:11 |
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| 吉敷竹史シリーズ第14弾 宗肖之助氏による解説にはシリーズの第十作にあたると書かれているがこれ如何に?
『奇想、天を動かす』から始まった吉敷と主任との対立は深まるばかりです… 無事、犯人を突き止めるが、主任にギャフンと言わせるわけでもないので読者の溜飲は下がらん。が、あえてそうしているのでしょうね。根強く残る男性中心主義から徐々に性差が緩和される昭和から平成への移り変わり。その構造が犯罪動機を生み、悲劇をもたらすこともしばしば。日本という特殊な島国が内包するあらゆる問題について考えさせられる一冊です。 |
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| No.187 | 6点 | ら抜き言葉殺人事件- 島田荘司 | 2023/08/27 18:56 |
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| 吉敷竹史シリーズ第13弾
このシリーズの中で異彩を放っていて気になっていたタイトルでした。 「ら抜き言葉」を下品で軽薄で無教養で最低の言葉だとみなす「ら抜き言葉」撲滅論者vsら抜き言葉を使ってしまった人気作家の2人によるしょうもないバトルが繰り広げられます。ヒジョ〜に読んでいて楽しかったです。 |
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| No.186 | 7点 | 羽衣伝説の記憶- 島田荘司 | 2023/08/26 19:00 |
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| 吉敷竹史シリーズ第12弾 (どうやら『展望塔の殺人』も吉敷竹史シリーズに入るらしいので、過去のシリーズ第○弾と書いたのが1つずつズレている笑)
【ネタバレあります】 『北の夕鶴』以降シリーズ9作品を跨いで5年ぶりの登場となった加納通子。いやもう待望でしたよ。最近読み始めた私なんぞは10日ぶりの再会でしたが、シリーズ読者は待ち焦がれていたことでしょう。 そして、10日前に読んだ『北の夕鶴』の展開を結構忘れている私の記憶力に絶望しましたよ。 本編はミステリーが本当にオマケで、吉敷竹史と加納通子の5年ぶりの再会がメイン。『北の夕鶴』ではラブストーリーと事件がややミスマッチな感じがしましたが、こちらは程良い謎、程良い解決でした。麻衣子さん恐るべしです。 |
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| No.185 | 8点 | 奇想、天を動かす- 島田荘司 | 2023/08/24 17:55 |
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| 吉敷竹史シリーズ第10弾
【ネタバレあります】 今まで密室殺人、死者の亡霊、人間消失、列車消失と数々の不可能状況を演出してきた作者はシリーズ10作目で「もうこれ流石にオカルトに頼らないと解決不可能だろ」ってレベルの謎を提示してきます。 特に"トイレからの人間消失"の不可能っぷりには蟻の這い出る隙間もありません。あるけど。 しかし、ここまでされるとハードルが上がりすぎて、この世の法則を捻じ曲げてしまう程のトリックを期待してしまいました(タイトル的にもね)。解決編は驚く部分もありましたが、やはり即席の殺人なのもあって少々チープな真相も… あらゆる不可能状況は連動していて、一つの真相で全てが解けるタイプの方が私は好みなんだなぁとふと思いました。そういった観点では『北の夕鶴』の方が好きかな〜とか… 社会派との兼ね合いも難しいところだとは思いますので贅沢な要望ですが(笑) 遊郭の情景描写や社会的背景の蘊蓄、『冤罪』や『日本人の罪』をテーマにした社会派要素、最後の吉敷竹史の信念など島荘ベストに上げる方がいるのも不思議ではありません。しかし、これに満点をつけるのは自分自信を騙しているような気がするのでこの点数で |
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| No.184 | 6点 | 幽体離脱殺人事件- 島田荘司 | 2023/08/22 05:56 |
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| 吉敷竹史シリーズ第9弾
関西弁の女が強烈すぎて電話シーンだけで既に面白かった。『毒を売る女』でひたすら梅毒を移そうと奮闘するヤベー奴がいたけどあいつより印象に残った。 「女の親友同士は結婚する相手に、その男っぷりも経済状態もあまり差がついてはいけないということだ。相手と同程度の男と一緒にならなくてはいけない。」 そうなんですか世の女性の皆さん |
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| No.183 | 5点 | 夜は千の鈴を鳴らす- 島田荘司 | 2023/08/21 04:57 |
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| 吉敷竹史シリーズ第8弾
この作品『異邦の騎士』と同時期なのか・・・『斜め屋敷』〜『異邦の騎士』の間に吉敷竹史シリーズが7作品も出てるなんて当時はゴリゴリの本格モノはやはり嫌われていたんでしょうかねぇ… 今作トリックはわかってしまったけど、小説として楽しめましたよ |
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| No.182 | 6点 | 灰の迷宮- 島田荘司 | 2023/08/20 11:58 |
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| 吉敷竹史シリーズ第7弾
【ネタバレがあります】 こういうフーダニットでもハウダニットでもなく"独立した個々の不可解な事象に関連性を見出して一つの連続的な真実を導き出す"系のミステリ(名称あるのか?)が読んでる途中は1番モヤモヤします。そのモヤモヤに対して解決編で得られるカタルシスは少し足りなかった。そして、吉敷竹史の思考回路は少し飛躍しすぎというか御手洗潔に片足突っ込んで来てる気がしますね… ピタゴラスイッチとかアレとか諸々。 偶然要素は多いですが、良くできてるとは思いますし、最後の電話はウルッときましたよ。まあ満足です。 いや、満足じゃねぇ。『北の夕鶴』で登場した元妻の通子はいつ登場するんや。あんな良いキャラを使い捨てはやめてくれ〜シマソ〜と思いつつ続きも読みます。 |
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| No.181 | 7点 | Yの構図- 島田荘司 | 2023/08/19 19:22 |
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| 吉敷竹史シリーズ第6弾
いじめを苦に自殺した少年の亡霊、一つのホームの両側に到着した新幹線から服毒死体、死体には桔梗の花や蝶が… 相変わらず不可能状況を作り上げるのが上手い。 そして吉敷竹史モテすぎ。課長時代の島耕作かよってくらいモテる(シマコーよりは遥かに紳士だが) |
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| No.180 | 6点 | 確率2/2の死- 島田荘司 | 2023/08/17 18:59 |
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| 吉敷竹史シリーズ第5弾(のはず)
2時間でサラッと読めた。前作あたりから文体がスリムになったのかなあ?読むスピードが異常に上がった。なんか超不評ですが、私は楽しめました。 やっぱり誘拐ものってある程度の面白さは保証されてると思う。犯人の目的がわからない誘拐モノは特にね。そしてタイトルもイイ皮肉ですね。 しかし、前作『消える水晶特急』同様に推理で真相を引き当てることは不可能だと思う。どうせヒントをもらっても推理を組み立てられないので私には問題ありませんが(笑) |
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| No.179 | 7点 | 消える「水晶特急」- 島田荘司 | 2023/08/17 06:38 |
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| 島田荘司「その列車 消えるよ」 なぬ!?
人間消失程度では飽き足らなくなった島荘は遂に列車消失も演出してしまいます。草。 吉敷竹史シリーズ第4弾 本作はなんか知らんが前3作に比べてリーダビリティが異常に高い。私は小説を読む時に100ページごとに時間を測るという奇特な習慣があるんだが、島荘作品は大体100ページで80〜90分くらいかかるのね。でも今作はなぜか100ページ55分ペース(これは東野圭吾クラスw)。なんでだろうね。やっぱり立て篭もり事件はサスペンスフルで読む手が止まらなくなるのかな。それとも今回は語り手が吉敷竹史じゃなかったからかな。ともかく一気読みできる快作でした。 最後の"感動の再会"シーンは作者のサービス精神に拍手です。いや〜面白かった。 この愛らしい女性コンビはこれからも登場してくれないかな〜なんて思っちゃったわけです。 |
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| No.178 | 8点 | 北の夕鶴2/3の殺人- 島田荘司 | 2023/08/16 17:38 |
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| 私は本格ミステリに"実現可能性"というあまりに些細なことを気にする余り、『斜め屋敷』や『姑獲鳥の夏』を読んでブチギレそうになったのも今は昔。今読めばどちらも傑作という評価を下すでしょう。いつか読み返そうと思いつつ、なかなかタイミングがねぇ…
この『北の夕鶴2/3の殺人』も実現可能性が著しく低そうなトリック、それでいい(保険付きなのは笑った)。『占星術』『斜め屋敷』そして今作『北の夕鶴』。一生忘れられないであろうトリックを島荘はいくつ生み出しているのだろうと楽しみにこれからも読んでいきます。 吉敷竹史シリーズは3作品目。奇妙奇天烈で掴みやすい御手洗潔と違って冷静な好青年というぼやけた印象しかなかった吉敷竹史がこんなに情熱的で感情的なキャラクターだったとは。男とはこうあるべきだという少々古臭い価値観だが、元妻の幸せを心から祈る元亭主の命懸けのラブロマンス+サスペンスとしても優秀だと思います。しかし、あのユニークな物理トリックとこのラブロマンスがややミスマッチな気がしないでもない笑 |
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| No.177 | 7点 | 出雲伝説7/8の殺人- 島田荘司 | 2023/08/15 15:49 |
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| 虫暮部さん(名前出して申し訳ありません)のおっしゃる通りで犯人はヒジョーに不可解な偽装工作をしていると言わざるを得ません。普段、物語の整合性・矛盾というものに鈍感で何でも受け入れてしまう私ですら今作はさすがに変だと感じました。
が、これは好きな作品になりました。 まず、首無のバラバラ遺体が7つの終着駅で部位ごとに見つかる。もうこれだけで読む推進力になるのに更に胴体には「五穀の起源」の見立てが施されている。出血大サービスです。でも時刻表は思考停止するので無視無視♪ 「八岐の大蛇伝説」について巻き起こる学術的な対立がまあ面白い。そしてこんな見立てをしたのも8つに切り刻んだのもすべては犯人の学術研究由来の憎悪であるというのが良い。ラストの犯人を追い詰めるトラップもそれに心を揺さぶられた犯人という皮肉も最高でした。 「学術研究は成果なんて出さなくても楽しければ良いんだ」という前向きなメッセージもいただきました。 ということでミステリとしては大きく減点、それ以外の要素で大きく加点としこの点数にします。 |
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| No.176 | 6点 | 寝台特急「はやぶさ」1/60秒の壁- 島田荘司 | 2023/08/14 03:50 |
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| 吉敷竹史シリーズ第1弾
タイトルから明らかなトラベルミステリーだったので避けていた。 「死んだはずの女がなぜ寝台列車に?」「なぜ犯人は被害者の顔の皮膚を剥いだのか?」 相変わらず冒頭からとてつもなく魅力的な謎、いや、越えるべき"壁"を提示してくれる。さすが島荘です。その謎の強大さに対して、吉敷竹史はあまりにも丁寧な筋道を示し、合理的な解決を試みる。このあたりは奇想天外な真相を唐突に思いつく御手洗潔との対比でしょうか。 真相はトラベルミステリーの域を出ないかと思っていたら一捻り、二捻り、どんでん返しと見せかけて1.5捻りほどで留まりました。 綾辻先生の解説によると『占星術』『斜め屋敷』では先生のようなマニア間では既にカルト人気を得ていたが、売れ行きは芳しくなかったそうです。そこで流行のトラベル要素を取り入れ見事『はやぶさ』は大ヒットしたそうな。そんな苦心の末生み出された一冊、なかなか楽しかったです。 |
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| No.175 | 7点 | 亜愛一郎の逃亡- 泡坂妻夫 | 2023/08/13 05:59 |
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| 徹夜で読んでしまった。亜愛一郎と出会ってからわずか2日でお別れの時が来たようだ…
亜愛一郎、名探偵ランキングを作るなら間違いなく上位の逸材である。(当然1位は京極堂w) 今作『逃亡』は"何を推理するのか"を推理する所から始まるお話が多い。難易度激高です。 狼狽の『DL2号機事件』と転倒の『藁の猫』のような"超次元ロジック"は今回も『歯痛の思い出』にて健在。一見関係のないように見える出来事も論理の飛躍のためには重要な要素となってくるのが気持ち良い。この超次元ロジック作品(?)は泡坂センセーの他に書いてる人いないのか??って思うくらい楽しかった。 表題作『亜愛一郎の逃亡』ではシリーズ最大の謎、亜愛一郎が何者であるのかが明かされるわけだが、読み終わった後、不覚にも寂寥感を覚えた。これはズルい。 ラスト1行の完璧さ。最後まで作者の遊び心満載のシリーズだった。 ※ミステリとしては『転倒』を1番に推していきたい |
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| No.174 | 7点 | 亜愛一郎の転倒- 泡坂妻夫 | 2023/08/12 15:31 |
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| こ〜れは読んでいて楽しい。ヒジョーに楽しい(^^)
なんだ『狼狽』より『転倒』の方がイイじゃん。 『狼狽』に比べたらハズレもあるけど『転倒』の方が3発くらいガツンと来たよ。 気に入ったの3つ挙げると『藁の猫』『意外な遺骸』『病人に刃物』 『藁の猫』は狼狽の『DL2号機事件』っぽい。完全を忌避する人間の心理をついたロジックのマジック(?) いや〜実に素晴らしい。 『意外な遺骸』では趣向を偏重する犯人が登場するが、遊び心満載の泡坂妻夫そのものじゃんね。 『病人に刃物』 もしこれが無かったら『狼狽』を超えたとは思わなかっただろうってほど驚いた。これこそINPERFECT INSIDERにふさわしい。 『三郎町路上』の響子姉さんの再登場を願いながら『逃亡』に進みます |
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