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弾十六さん
平均点: 6.13点 書評数: 459件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.13 8点 ジャンピング・ジェニイ- アントニイ・バークリー 2020/10/14 00:25
1933年10月出版(5月、7月説もある)。国書刊行会の単行本で読みました。再読のはずなんですが、全然覚えていなかった… 本当に再読なのかなあ、と思うくらい。
実にバークリーらしいひねくれ方、でも割と素直なので初心者にもわかりやすい。ストーリー展開の妙が素晴らしい。結構な綱渡りだと思うけど、作者は悠々と言う感じ。読書の途中で何度も唸りました。キャラ付けも非常に良い。
コメディですね。ちょっとズレるかもだが、ヒッチ『ハリーの災難』のテイスト。
英国の離婚事情とバークリーの実人生の知識があると、なお興味深く感じられると思うので、ジジイ心ながら簡単に解説。
まずは当時の英国離婚事情から。参考文献として田中和夫「イギリス離婚法の沿革」(1974)がお薦め。学術的かつ楽しい素晴らしい論文。1920年代、1930年代の英国探偵小説好きなら必読!
ものすごく簡単にまとめると、当時、EnglandとWalesでは(Scotlandは例によって法律制度が別。調べてない)、離婚の訴因としては不貞のみが認められており(1937年に改訂)、離婚を訴えた側(原告)は綺麗な手(自分は不倫してない)であることが原則(1930年の判決によると、あらかじめ自分から、こーゆー理由で私も不倫しちゃいました、と告白しておけば事情によっては認められる場合もあり)。そのため、調査官King's Proctorがそこら辺を調べる。探偵を雇うような事例も。色々調べて離婚しても良いだろうと裁判官が判断すると、まず仮判決が出て、世間からの異議がないか6ヶ月程度様子をみた後(情報がKing's Proctorに寄せられ、怪しいとなると、様子見期間が中断され審理再開)、最終的に離婚確定となる。そーゆー制度なので、例えば愛人が出来た夫が離婚したければ、妻に訴えてもらう必要がある。アガサ・クリスティ(1928年離婚成立)もそーだったのだろう。(離婚及び結婚無効件数の統計を見ると1928年4018件、1929年3396件、1930年3563件、1931年3764件、1932年3894件。1929年の一時的な落ち込みは不況の影響かも)
さて作者バークリーも実人生では離婚経験者だ。最初の妻Margaret Fearnley Farrar(アイルズ『殺意』1931年2月出版を献呈)と1931年に離婚し、1932年にHelen Peters(アイルズ『犯行以前』1932年5月出版を献呈)と再婚している。Helenはバークリーの著作権代理人A.D. Petersの元妻(1931年離婚か)。このA.D. Petersにバークリーは『第二の銃弾』(1930年10月出版)の序文で謝意を示している。でも前述の通り離婚には訴えから確定まで時間が結構かかるから、親しげな序文を書いてる時は、裏で不倫進行中だったのでは? (バークリー夫妻とPeters夫妻の離婚裁判では、それぞれ誰が原告だったのか、非常に気になる)
本作は、こーゆー作者自身の経験が反映されているのでは、と想像する。
歴史的な犯罪者のネタが沢山あるので、最初の数ページは脚注だらけ。単行本の解説には詳しめな解説あり(文庫版は未確認)。これ訳者の「前説」としてくれた方がありがたい。私は、解説はネタバレ危険物件なので絶対最後に読む派なので… (あっ、今、巻末の若島正「バークリーと犯罪実話」をチラ見したらネタバレ多数物件のようだ。もー!ちゃんと注意書きしてほしい。「●と●未読の方は…」とかね。とは言え、犯人や重要トリックをバラして無いから良いもんね、という感覚の人もいるから困る。一番良いのは一切読まないこと。なので、私は面白そうな評論や評伝も読めません。エドワーズのデテクション・クラブのやつも買ってあるけど封印中。まーこーゆーのは自己責任で。とりあえず、皆さま、ご注意)
原文は入手が難しいようだ。トリビアは少しずつ書きます…
(以上2020-10-14記載。その後若干訂正あり)
p5 W. N. ラフヘッドに「思い出——とても愉快な」♣️献辞。訳者解説にある通りWilliam Roughhead (1870-1952) スコットランド人。英国の犯罪実話や裁判記録に関する著作多数(アマゾンでも著書Classic Crimesなどが入手可能)。本書のスコットランド人コリンのモデル?
p17 ジャンピング・ジャック♣️「訳註 手足や胴についている紐を引っ張ると人形が飛んだり跳ねたりする人形」jumping jack toyで検索すると見られます。Rolling StonesのJumpin‘ Jack Flashはこれのことではないらしい。 ここのイメージはスティーヴンスン『カトリアナ』(1893) 第3章から。
p20 パーティ♣️英国の社交生活の重要要素。この小説はパーティの感じがよく出ていると思う。(時代は違うがパーティというとゴダール映画Pierrot le fouの冒頭を思い出す。ligne jeune!) ところで、私はMurder Partyがいつ始まったのか?とここ数年思っている。(今のところ、バークリー『第二の銃弾』(1930)以前の例を見つけていないのだが…)
p25 離婚の仮判決♣️「訳注 期間内に相手方の異議がなければ確定判決となる」としてるけど、上述の通り「相手方」だけではない。匿名の手紙などで「原告が不倫してまっせ…」とチクられ証拠が見つかれば、離婚判決は出ない。 あくまで原則は、神の前の結婚は聖なるもので永遠、という概念で、裁判官が「確信を持って」離婚やむなしとするなら例外的に認める、という制度である。この原則がやっと変わったのは1969年のこと。
p27 国王代訴人♣️上の英国離婚制度で触れたKing's Proctorのことだろう。ここら辺の結婚論はバークリーの本音っぽい。
p29 元ミセス・ストラットンと未来のミセス・ストラットンが同席♣️Mrs Berkeleysでこーゆー情景はあったのだろうか。作者の理想だったようにも思う。
p34 大きなラジオ・セット♣️現代のテレビ並みのでっかい床置きのがあった。radio set 1930などでググると一家団欒の写真が結構出てくる。
p35 ジャズ♣️ベニー・グッドマンが有名になったのは1935年ごろ。ベイシーもまだ。当時は初期のルイ・アームストロング(Hot Seven)のニューオリンズ系が全盛。
p36 ズボンは彼女には大きすぎた♣️ここはクリッペンの愛人のネタ。
p39 シャレード♣️訳註 ジェスチャーで言葉などを当てるゲーム。ここの主催者の定番のパーティ余興。ここのシャレードは、二つの組に分かれて、一方が答えの言葉を三幕の芝居に仕立てて演じ、他の組に当てさせる、ものらしい。「三幕の芝居」とはWilliam Archer(1856-1924)がPlay-making(1912)でthe rhythm of growth, culmination, solutionと表現した演劇要素のことか。「設定 (Set-up)—対立 (Confrontation)—解決 (Resolution)」と定式化されたのは1979年。4世紀ローマ帝国のAelius Donatusはprotasis, epitasis, catastropheと書いていたようだが、古典劇では長らく五幕構成(prelude, protasis, epitasis, catastasis, catastrophe)が主流だった。
p40 ロナルドは黒髪で、デイヴィッドは金髪♣️原文はdark/fairだろう。
p52 ピーター・ウィムジイ卿♣️リレー小説“Ask a Policeman”(1933)で共演してるので、ここに登場したのだろう。
p61 ラグビーのフォワード♣️私は全然詳しくないのだが、これで肉体的特徴がパッとイメージされる筈だ。(調べたらbigger, stronger, and slower ladsとのこと。アメフトのラインメンで良い?)
p64 アパッシュダンス♣️こーゆーのは某Tubeで見るのが一番。Apache danceで検索すると1930年のキートン、1935年のチャーリー・チャン映画の一場面、1934年の本場フランス・スタイルなどが見つかった。ええと… 虐待だよね。最後はジャイアント・スラロームでぶん投げて締め。
(ここまで2020-10-16追記)
p78 車♣️このページに4台登場しているが、メーカーや車種の記載は一切なし。ディテールをあまり描写しないのがバークリー流。
p79 ラジエーターを一杯にしているあいだ♣️自動車は全然詳しくないのだが、水を継ぎ足すらしい。車庫に給水設備があるのだろうか。
p79 玄関の掛け金♣️夜中だけ施錠するのか。お客がまだいるので施錠していないだけか。
p99 ジェイムズ一世時代風の暖炉♣️Jacobean era(1603-1625)。しばらくjamesianで虚しく検索してしまいました… 検索はJacobean fireplaceで。Elizabethan fireplaceも見てみたが、区別出来る自信は全くありません…
p122 昔からおなじみの決まり文句… 自殺したいという人間で実際にしたやつはいない♣️結構古い言い伝えなのか?起源が知りたいところ。
(ここまで2020-10-18追記)
p175 五ポンド対六ペンスの賭け♣️200対1の賭け。英国消費者物価指数基準1933/2020(72.04倍)で£1=9518円。47590円対238円の賭け。
p181 検死審問♣️この小説では二日後に、当の屋敷で開催する予定。不審な死の発見後48時間以内に開催、とWebで見たが、当時も同じルールかは不明。場所はある程度広いところならどこでも良いのか?
p187 チョークとチーズ♣️different as chalk and cheese 外見は似ているが本質は全く異なる物の例えに用いられる。製品のチョークではなく白亜の岩(natural chalk)の外見が似ているということか。
p206 四月♣️何年かは不明だが、この事件は4月に発生。
p217 昼食の銅鑼♣️広い屋敷には必須のもの。
(ここまで2020-10-19追記)
(蛇足の蛇足) 本書再読のきっかけはエディ・ヴァン・ヘイレン追悼。JumpからJumping Jennyというわけ。Beat Itのギター・ソロで知ったので、そっちで何かないかなあ、と考えたがアル・ヤンコビッチしか思いつかないよね。エレキ・ギターの神様はJimiだが、エディは永遠のギター小僧だと思う。

No.12 6点 絹靴下殺人事件- アントニイ・バークリー 2020/03/21 09:29
1928年5月出版。原題The Silk Stocking Murders。晶文社の単行本で読了。
今回初めて読みました。猟奇趣味全開です。これ以上やると欧米では許されないでしょうから、この程度の描写ですが、クライマックス・シーンなんてグロ版「草上の朝食」ですからね… 問題の場面はバークリーの妄想が過ぎてリアリティが全くありません。誰がそんなの許すかって話です。(有効性もかなり疑わしい。なので、作者がどうしてもそーゆー場面を書きたかったのだ、ということだと思います)
冒頭からの流れは良いのですが、連続殺人って話が荒っぽくなっちゃって余り好みではありません。意外な小ネタも不足気味。
以下トリビア。原文は参照していません。
作中時間は、相対的な記述があります。ラドマス事件(ヴェインの謎、1927年2月出版)が「9カ月前」(p22)で、ウィッチフォード事件(1926年11月出版)が「18カ月前」(p133)、p22とp133の間は数日間(感じとしては2週間程度、少なくとも1カ月以内)が経過してる感じ。p48に「4月初旬の週末」の後の月曜日とあり(1928年は上記の条件に合致しないので)1927年だとすると4月4日月曜日が最適。とすると本書の冒頭は、そこから数日前(感じとしては一週間程度?)なので1927年3月下旬だと思われます。
ここで思い出すのは『毒入りチョコレート事件』(1929年6月出版)の「十八ヶ月前、ラドマスでは」という記述。上記から『毒チョコ』と本書の間はラドマス基準で約8カ月、つまり『毒チョコ』は1927年11月の事件、となり全て上手く収まります。(『毒チョコ』記載の11月15日「金曜日」だけが事実と合致しませんが…) あとはウィッチフォードが1925年10月ごろ、ラドマスが1926年6月ごろの事件で良いかどうか確かめればQ.E.D.なのですが、力尽きました…
p36 堅信式の記念に: 祈祷書にあった被害者の父からのメッセージ。日付は1920年3月14日。middle or high schoolの時に行うものらしい。当時15歳とすると1927年には22歳でちょうど良い感じ。
p73 フォーエックス: XXXX。1924創設のオーストラリア・ビールらしい。バークリー大絶賛。是非試してみたいです。
p89 黒いビロードの帽子: 訳注で「かつて死刑宣告に使われた」とあるが、現在でも制度としては残っている。もちろん英国では1969年に死刑が廃止されたので使われないが… WikiのDeath Cap参照。
p125 ドイツ人: ほかのどの国民より変態殺人が好き(もちろん米国人を除いて)、というシェリンガムの偏見。

No.11 8点 毒入りチョコレート事件- アントニイ・バークリー 2020/01/03 19:07
1929年6月出版。創元推理文庫(高橋 泰邦 訳、1994年21版)で読みました。この長篇と短篇『偶然の審判』The Avenging Chance(初出Pearson’s Magazine1929年9月号, 表紙絵はこの短篇の一場面。チョコレートの裏側の穴を拡大鏡で観察する二人の男の顔)との関係については、藤原編集室WEBサイト『本棚の中の骸骨』の「書斎の死体」コーナーに真田啓介さんの素晴らしい論考「The Avenging Chance の謎」があり、そこで言及されてる中篇The Avenging Chance(生前未発表)はThe Avenging Chance and Other Mysteries From Roger Sheringham's Casebook(Crippen & Landru 2019)に収録されkindle版も入手可能です。
本作は、新聞で読んだ事件を無責任にあれこれ論評するような楽しさ。各登場人物ならではの独自の見方が反映された説になってれば、なお良いのですが(アジモフ『黒後家蜘蛛』はどうだったっけ?) 残念ながらイマイチです。最初の著名弁護士は自分の指摘した「犯人」から弁護を依頼される可能性を全く考えてなかったり、女性作家が二人もいるのに女性的視点を思わせるところが薄かったり(バークリーだから仕方ない?)… 最大の難点はチタウィックの紹介が漠然としてるので「意外にも冴えない男が…」という趣向が生かされてないところ。(この点はアジモフのが良いアイディア)
ミステリとしては、どの説も純粋な「推理」を堪能させる考察として物足りないので、そこが皆さんの評価が低い原因なのでしょう。でも本作は非常に上手く出来てると思います。各人の説は次の語り手によって否定されるのですが、らせんを描くように次々と事実が積みあがってゆき、そして結末に至る構成は素晴らしい。特に後半、登場人物のモラルがどんどん崩れてゆく流れが好き。(証言がアンフェアという意見がありますが、警察じゃないただの素人の質問には、あーゆー返しも当然あり得ると思います。)
ところで短篇『偶然の審判』を読んでピアスン編集部はどう思ったんだろう。既に出版されてたこの長篇にほぼ全部内容が含まれてるのですが… (原稿の使い回しと受けとられても仕方がないですね。) でも、まあ両方とも作品として成立させちゃうところが、この作家の凄いところかも知れません。
以下トリビア。参照した原文はMartin Edwards監修British Library 2016(付録のChristina Brandによる「新解決」はまだ読んでいません) 犯罪者たちの略歴は“殺人博物館”madisons.jp/murder/murder.htm, murderpedia.org, Wikiを参照しました。
作中時間は「11月15日金曜日(p19)」が事件発生の日、直近は1929年。(その前だと1918年) 1929年11月だと出版月から見て未来なんですがでもバークリーは日付誤りが多いらしいので問題なし?発表時、その年のカレンダーを見て曜日を決めたのかも (短篇及び中篇Avenging Chanceも同じ日付と曜日になっており、もし1928年発表なら、この曜日にする可能性は低い気がする。これ短篇が1929年初出説の傍証になる?ピアスン誌がカヴァーストーリーにしてるのは初出だからこそなのでは?)
現在価値は英国消費者物価指数基準1929/2020で63.95倍、1ポンド=9016円で換算。
献辞To S. H. J. COX BECAUSE FOR ONCE HE DID NOT GUESS IT (何故か私が参照した原文には掲載なし) S・H・J・コックスは身内じゃなくて出版社の編集者とのこと。
p7 犯罪研究会(Crimes Circle): まるで翌年設立のDetective Clubのような仕組み。
p8 パリ警視庁(Sûreté in Paris): 相変わらず評価が高い。
p14 英国の海水浴場の名前(the name of an English watering-place): が名前に入ってると何故か米国人に受ける、というのは実在の作家への言及か?と思ってList of seaside resorts in the United Kingdom(wiki)を眺めたのですが、思い当たる作家名なし。でもそのリストにSheringham(Norfolk)があり、自分自身(シェリンガム)のことを言ってるということ?
p18 探偵たちの回想録(the reminiscences of a hundred ex-detectives): 18シリング6ペンス=8340円もする分厚い本(普通の単行本は大抵7シリング6ペンス=3381円、本書も同じ。) だが売れ残ってすぐに18ペンス=676円になるという。そんなに回想録あった?調べるとBow Street Runner(1827)、Vidocq(1828)、William RussellのRecollectionシリーズ(1849, 1852, 1856)、Note-Book of a New York Detective(1865)、Allan Pinkerton(1874)が見つかりました。結構ありますね。「眉毛を剃る」(shaves his eyebrows)は、すぐに「つのだじろう」を思い出しちゃいます…
p19 ピカデリー通りのクラブ<レインボー>(Rainbow): 1734年創設で元はコーヒーハウスという設定。List of gentlemen's clubs in London(wiki)には載ってない。たぶん架空。
p20 下世話なコーラスガール(a blasted chorus-girl): blastはdamnの婉曲語。中篇Avenging Chanceではblastedではなくblast。(短篇は未確認) chorus-girlは歌って踊るラインダンサーが一番近いイメージか… 英国ではミュージカルIn Town(1892)が初登場、続くGaiety Girls(1893)が大ヒットしたらしい。フレンチカンカンは1830年ごろの発祥なのでフランスだねか。(wiki)
p23 五十万ポンド近くの持参金: 45億円。
p25 百点まで玉突き(played a hundred up at billiards): English Billiardsでは普通300点が勝利ラインらしいので「早々と切り上げた」という意味か。100点ぎめのゲームも普通だったのか。
p37 国訛りで(in his native tongue): セリフを拾うとGet out o’ ma office、Ye know as well as I do that that letter was never sent out from ’ere、The devil ’e ’as! など。単語冒頭のH落ちはコックニーに限らず下層出身の習いらしい。maとかyeはアイルランド英語?
p40 自分免許の探偵(would-be detective): 自称〜、〜志望の意味。「自分免許」は人情本・花の志満台(1836‐38)の用例あり。(日本国語大辞典)
p43 ハーウッド事件(Horwood case): Brigadier-General Sir William Thomas Francis Horwood, GBE, KCB, DSO (1868-1943)は1920から1928まで警視総監 Commissioner of Police of the Metropolis, head of London's Metropolitan Police(Wiki) 精神を病んだWalter Frank TatamがHorwoodに1922-11-9(誕生日)に砒素入りチョコの箱を送ったが、一つ食べてすぐ苦しくなり、近所の医者の迅速な手当で助かった。
p50 委員会(committees): 社会改良的な活動か。
p55 十八ヶ月前、ラドマスでは(eighteen months ago at Ludmouth): Roger Sheringham and the Vane Mystery(1927年2月出版)のことと思われるが、モレスビーにやられたのがギリギリ出版直前と仮定しても18ヶ月後は1928年8月。となると事件発生月(11月)にも届かない。(この会話の時期については遅くとも12月。下記参照) なので残念ながらこのくだりは年月の確定には役立たないようです。
p57 延長された聴聞会(the adjourned inquest): Crimes Circle初会合(月曜日)と同じ日に開催されている。inquestは死亡者の身元と死因が確定したら、あまり間を置かずに開かれると思うので初会合は11月中か遅くとも12月初頭か。短篇では冒頭シェリンガムとモレスビーの会話が事件の約一週間後(11/22頃)として設定されていました。
p61 ミルサム=ファウラー殺人事件(The Milsom and Fowler murder): 1896-2-14にAlbert Milsome(1862-1896)とHenry Fowler(1864-1896)がHenry Smith(79)をロンドンの自宅で殴り殺した。古典的なcut-throat事件(互いに相手が犯人と罪をなすりつけ合う)で、二人は1896-6-9同時に絞首刑となった。(絞首台上で争うのを防ぐために、間に一人死刑囚を挟んで三人同時に吊るしたらしい。)
p61 年間ずっと3万ポンドの収入(His income of roughly thirty thousand pounds a year): 2億7千万円。「ざっと」の誤植?
p63 一千ギニー: 947万円。1ギニーは1ポンド1シリング(=1.05ポンド)。ほとんど1ポンドと同じとして使われてる場面を読んだことあり。(謝礼や報酬に使われる単位らしい。ちょっと色をつけた、という感じなのか。)
p79 マリー・ラファージュ事件(Marie Lafarge case): Marie-Fortunée Lafarge (1816-1852)は夫を1840年に砒素で毒殺した疑いで逮捕され有罪となった。フランスで大々的に新聞報道された最初の例。
p80 メントン(Mentone): 仏語マントン。イタリア語ならメントーネ。
p81『三匹の熊』(The Three Bears): "Goldilocks and the Three Bears" (originally titled "The Story of the Three Bears") is a British fairy tale、Robert Southeyが匿名で1837年に発表。(wiki)
p82 英国で今年すでに六カ月滞在… もう一歩でも英国に足を踏み入れれば、英国で所得税を払わなければならない: 海外に本拠があっても英国滞在が6カ月を超えたら、英国に所得税徴税権が発生する、という仕組み?調べてません。
p88 肌着(combinations): このコンビネーションについて“I don’t wear the things. Never have done, since I was an infant.”と作家が言う。上下繋がったつなぎっぽい下着のことか。作家が否定してるのは古臭いイメージでダサいから?
p96 陰の女(chercher la femme):「女を探せ、犯罪の陰に女あり」大デュマの小説『パリのモヒカン族』(Les Mohicans de Paris,1854-1859)でパリ警視庁長官ジャッカル氏の口癖として何度も繰り返されるらしい。これがこの有名なセリフの初出だという。(wiki)
p97 メアリー・アンセル事件(Mary Ansell case): Mary Ann Ansell(1877-1899)は1899年に妹Carolineをリンで毒殺したとして逮捕され、絞首刑となった。
p97 ニューヨークで起こったモリノー事件(Molineux case in New York): ブルックリンのRoland Burnham Molineux(1866-1917)は、1898年に恋敵の住居に毒入りの鉱泉水を贈り、うっかりそれを使った下宿の家主Katherine Adamsを毒殺したとされ裁判にかけられ、かなり不利だったが、1901年に無罪となった。
p113 ハミルトン社製(Hamilton machine): このタイプライターは「ハミルトンの四型(Hamilton No. 4)」(p158)とある。文章から受ける感じではポータブルではなく、デスクトップっぽい。Hamilton製Automatic Typewriter(1890ごろ?)というのがWeb検索で見つかったけど旧式すぎる。たぶん架空ブランド。当時の有名ブランドはUnderwood、Corona、Remington、Imperial、Royalなど。
p132 戦時中… タクシー運転手(taxi-drivers)… 面白い習慣(interesting habits): 文脈からすると「誰も二度と乗りたくなくなるような不愉快なやり口」だったらしい。ワザと遠回りして料金をボッタくるのかな。
p138 昔の諺(old saying)… 音なし川は深い(still waters run deep): wikiによるとQuintus Rufus Curtius(1世紀ごろの人)作『アレクサンダー大王伝』にaltissima quaeque flumina minimo sono labi (the deepest rivers flow with least sound)と記され、バクトリア起源という。英語文献では1400年ごろの使用例ありとのこと。
p154 ペイパー・ゲーム(paper-games): 紙を小さく裂いた程度の大きさで遊ぶらしいが、どういう遊びかよくわからない。
p157 彼女の思い出した限りでは『運命の炎』という映画(film called, so far as she could recall, Fires of Fate): 当然架空、と思ったら、意外にも該当あり。Fires of Fate is a 1923 British-American silent adventure film directed by Tom Terriss and starring Wanda Hawley, Nigel Barrie and Pedro de Cordoba. なんと原作はArthur Conan Doyle!小説The Tragedy of the Korosko(1898)を自身で劇化したFires of Fateに基づくもの。
p158 ハーフィールド万年筆インク(Harfield’s Fountain-Pen Ink): 調べつかず。たぶん架空。当時の広告などからメーカーを拾うとPelikan(万年筆用は1886年ごろから販売), Carter, Sanford, Signet, Gimborn, Loma など。
p164 グレゴリー風の詠唱(Gregorian chant): 正しくは「グレゴリオ聖歌」
p164 『輝く瞳』(A Pair of Sparkling Eyes): Gilbert&Sullivan作のコミックオペラThe Gondoliers(1889) Act Two no. 30: Take A Pair Of Sparkling Eyesのこと。
p164 ちょうど20年前にフィラデルフィアで起こったウィルスン博士殺人事件(The murder of Dr. Wilson, at Philadelphia, just twenty years ago): 青酸カリ入りビールによる殺人で、迷宮入り事件だという。色々探したが全然ヒットしない。多分架空。(2021-4-25追記: 最近、ふと気になって再度ググったら、ニューヨーク・タイムズの過去版の記事がヒットした。150年前までの全記事が読めるサービスに登録して読んだら、まさにこの事件の概要にぴったり。1908年6月26日、Dr. William H. Wilsonが送られてきたaleを飲んで死んだ事件。ということは毒チョコは1927年か1928年の事件、ということか。絹靴下事件の私の書評も参照願います。)
p166 確率: かなり誤りの多い計算のような気がする…(でも具体的に何が間違いなのかはパスしときます…)
p167 オニックス万年筆(Onyx fountain-pen):調べつかず。たぶん架空。当時の広告などからメーカー名を拾うとWaterman(1884年に万年筆の特許), Sheaffer, Parker, Onoto, Wahl, Conklin, Dunn, Swan など。値段はもちろんピンキリですが安くて2.5ドル(約4000円)くらいか。
p173 レオブとレオポルド事件: Richard Albert Loeb(1905-1936)とNathan Freudenthal Leopold, Jr.(1904-1971)が実業家の子Bobby Franks(16歳)を1924-5-21に誘拐し撲殺。逮捕され二人とも終身刑となった。
p180 クリスチナ・エドマンズ: Christina Edmunds(1828-1907) 1871年にストリキニーネ入りチョコやケーキをばら撒きSidney Albert Barker(4歳)が死亡、他にも中毒の被害あり。逮捕され死刑を宣告されたが精神異常の疑いで終身刑に。
p202 コンスタンス・ケント: Constance Kent(1844-1944) 1860年に義弟(4歳)Francis "Saville" Kentの喉を切り裂き殺害。1865年に犯行を告白し、死刑を宣告された(のちに終身刑に減刑)
p202 リッツィー・ボーデン: Lizzie Andrew Borden(1860-1927)は1892-8-4に父と義母を斧で殺害したとして逮捕されたが、裁判で無罪となった。
p202 アデレイド・バートレット事件(Adelaide Bartlett case): 1886年に死んだThomas Edwin Bartlettの胃から多量のクロロホルムが見つかり、殺害の疑いで妻Adelaide Blanche Bartlett(1855-?)が逮捕されたが、食道の損傷無しで多量のクロロホルムを投与できる方法がわからず、裁判で無罪となった。
p206 近頃、話が完結するのは流行らない(Stories (...) simply weren’t done nowadays.):「(ダラダラ長くて)最近は単純に小説が終わらない(のでウンザリ)」という意味かな?
p222 カーライル・ハリス事件(Carlyle Harris case): Carlyle Harris(1868-1893)は1891年に妻をモルヒネで殺害、シンシン刑務所の電気椅子送りとなった。
p242 八ポンド: 72126円。中古タイプライターの値段。新品だと1920年にはCoronaが110ドル(約18万円)、1938年にはRoyalが40ドル(約8万円)くらいという情報が見つかりました。(製品グレードは不明)
p261 ジョン・トーウェル(John Tawell): John Tawell(1784–1845)は愛人Sarah Hartを1845年に青酸で殺害、電報による史上初の逮捕という記録を残したが、絞首刑となった。

No.10 8点 第二の銃声- アントニイ・バークリー 2019/10/30 00:25
1930年出版。国書刊行会の単行本がどうしても見つからないので、創元文庫を買い直しました。
工夫に満ち満ちた物語。素晴らしい状況設定。主人公の女性観も面白い。欠点はあまりにパズルのピースが繊細に組み合わされ過ぎて人工的に感じられてしまう、というところ。ゲームとしては最高の出来です。黄金時代の一つの到達点、ただしヒネくれまくり。なので、まともな本格探偵小説をある程度読んだうえで評価すべき作品だと思いました。
私の興味は「殺人ゲーム」(p68)の実態。余興として当たり前のように実行されます。ここでは後で参加する数人のゲスト客のために、先にいるメンバー全員でアイディアを出し合って殺人芝居を作りあげる、というスタイル。探偵役のゲスト客が到着する前に、真に迫った殺人芝居をやってるので、探偵役は後で証言を聞きまくったり、現場を調べたりして真相究明をするのでしょうね。(これ以前の作品で「殺人ゲーム」への言及がある作品を探しています… 起源が知りたいのです。)
以下トリビア。原文は入手していません。
事件発生は1930年6月8日水曜日と明記。(実際は日曜日ですが…)
p7 献辞: A・D・ピーターズ(A.D. Peters)は当時バークリーのリテラリーエージェントで、その妻Helenは1932年に離婚後、バークリーの二度目の妻となった。(この作品の頃には絶賛不倫中?) バークリーは弟の妻とも関係するなど人妻大好きだったらしい。(ということは、本作のゲス男って実は…) だとすると、この献辞ってかなりの悪質物件ですね。
p17 二十二口径のライフル: 小口径ライフルとしてポピュラー。兎などの小動物や小型鳥類の狩猟用。弾は.22 long rifleが一般的。
p46 騎士パラディン: Paladin、高位の騎士の称号。人名かと思った。ラモー作曲のオペラLes Paladins(1760)も「遍歴の騎士たち」
p88 煙草と棒紅(リップスティック): 現代女性を言い表わす文句。「そういう呼び名だったと思う」とあるので不正確? 見つかりませんでした。
p136 四時半きっかりにお茶: いつもの習慣。
p149 二十番径の散弾銃: 20 bore、米国のgauge。.615インチ=15.6mm。12ゲージより小さい。
p295 四半サイズの女物の靴: 英国サイズ4.5なら日本サイズ23.5相当か。

No.9 8点 レイトン・コートの謎- アントニイ・バークリー 2019/01/20 01:52
1925年出版。国書刊行会の単行本で読みました。
献辞で「探偵小説好きのお父さん」にフェアプレイを高らかに宣誓する作者。超人ではなく、ごく普通の人間を探偵役にした、と自慢げです。当時作者32歳。なぜフェアプレイにこだわった作品が英米でほぼ同時に登場したのか。(米国代表はヴァンダイン)
本作は楽しげな雰囲気の中、アマチュアが伸び伸びと捜査出来る状況作りが上手、シロウト探偵らしい迷走ぶりの小ネタも充実、そして大ネタには非常に満足。爽やかな読後感で、文句のつけようが無いですね。
以下トリビア。原文参照出来ませんでした。
p17 ホームズとワトスン: 探偵の代名詞はやはりこのコンビ。p75あたりには作者の名探偵論が簡潔にまとめられています。
p17 馬券屋には電報が確実: 電話が普及する以前の世界です。
p21 年に千ポンド: 消費者物価指数基準1925/2019で60.36倍、現在価値846万円。
p23 半クラウンの葉巻: 現在価値1060円。
p33 小さなリボルバー: 日本版のカヴァー絵は大型リボルバー45口径コルトSAA(ただしエジェクターチューブ欠)なので全然違います。多分作者のつもりではブルドッグリボルバーみたいな短銃身の拳銃だと思います。残念ながら銃の種類がわかるような具体的な記述はありません。
p127 四千ポンド以上: 現在価値3394万円。
p211 香水…好きなもの… 一瓶1ギニー、(安物)…一瓶11ペンス、普段使っているもの… 一瓶9シリング6ペンス: それぞれ現在価値8910円、390円、4031円。
p213 舞台では執事の名前はいつもグレイヴス: そーゆーもんですか。
p256 二百五十ポンド: 現在価値212万円。
p262 ユダヤ人… 彼がこの世で最も忌み嫌っているもの: シェリンガム(バークリーも同じ?) お前もか。

(2019-10-19追記)
ミルン『赤い館の秘密』を読んで、かなりの共通点がある作品だと思いました。(単行本版の解説の羽柴壮一さんも指摘しています。) 題名(館名+Mystery)、献辞、探偵の名前(GillinghamとSheringham)、殺人方法、現場がカントリーハウスの書斎、アマチュアがホームズとワトスンとなり試行錯誤して探偵する… ということはバークリーは意図的におちょくっている?となると「微笑ましい」献辞もナンチャッテなのか。(むしろその方がバークリーらしい。) そして決着のつけ方もパロディと考えれば、旧弊なモラルに砂をかけるような底意地の悪さを感じます… バークリーだからあり得る、と思ってしまいました。

No.8 6点 ピカデリーの殺人- アントニイ・バークリー 2018/11/06 05:09
1929年出版。
非常にリアリティ溢れる流れが良い(チタウィック氏が探索に乗り出す辺りまでが最高)ですが、だんだん後半になるにつれて精巧な作り物めいた状況が現れ現実感を失っていくのが技巧派探偵小説の欠点ではないかと思いました。(だからリアルを求めて倒叙形式になっていったのかな?アイルズを再読してないので大きなことは言えません…) 小ネタは結構驚きありですが、大ネタの方は途中で見当がついちゃいますよね。

No.7 5点 地下室の殺人- アントニイ・バークリー 2018/11/04 09:47
1932年出版。
無駄な明るさが無くなってちょっと寂しいです。二段構えの導入部というのはとても上手い工夫だと思いましたが、(作中人物が作中人物をモデルにした作中小説!) 肝心の推理部分にアクロバティックな味が薄く、結末もモヤっと感が残りました。アイルズに栄養を取られちゃったのかな?原文にはおなじみの日付の矛盾があり、翻訳では訂正されてるようです。

No.6 5点 パニック・パーティ- アントニイ・バークリー 2018/11/04 01:11
原作1934年 翻訳2010年
無邪気な明るさが消えた後期シェリンガム・シリーズ。ここでは、その憂鬱な雰囲気が不気味な旅にぴったりです。悪趣味なホストが謎のクルーズに誘い、島への上陸から次の朝に至る流れは素晴らしいのですが、その後の進展はいささか冗長で小ネタがあまり冴えていない感じ。でも結末はバークリーらしい出来栄えで満足です。時事ネタで「国際連盟と日本」が出てました。

No.5 7点 服用禁止- アントニイ・バークリー 2018/11/03 07:57
1938年出版 翻訳2014年。
元は雑誌John O'London Weeklyに連載したもの。わざとらしい名/迷探偵などの登場は無く、一人称で隣人の死にまつわる騒ぎが日常の延長のように物語られます。静かな雰囲気ですが起伏に富んでおり、結末もバークリーらしい傑作だと思いました。

No.4 7点 最上階の殺人- アントニイ・バークリー 2018/11/01 22:37
1931年出版
秘書とのやりとりに可笑しみが溢れており婦人服店のくだりがとても楽しいです。数々の小ネタ、そして大ネタがみごとに決まって傑作だと思いました。

No.3 8点 ロジャー・シェリンガムとヴェインの謎- アントニイ・バークリー 2018/10/31 20:47
1927年出版 翻訳2003年
迷走探偵シェリンガムらしさの出た探偵小説の傑作。楽しげな雰囲気で、小ネタの出し方も良く、大ネタに至る流れが最高です。軽い気持ちで読み始め、軽い気持ちで読み終われる、そんな娯楽小説の見本だと思いました。先行作品(レイトンコート、ウィッチフォード)を読んでいなくても充分楽しめます。

No.2 7点 ウィッチフォード毒殺事件- アントニイ・バークリー 2018/10/30 22:04
1926年出版
実際の有名事件(1889年フローレンス メイブリック事件)をかなり忠実になぞっていて当時の読者はピンときた、ということを読了後、解説で知り、そういうことなら訳者前書きというような形で知らしめた方が効果的かなぁ、と思いました。(ベンスン殺人事件が同年の出版)
探偵トリオの掛け合いはちょっとうるさいくらいで、若気(作者33歳)の至りですね。小ネタの出し方が上手、大ネタは意見が分かれるところかな。(私はアリです) ところで若い娘への折檻が衝撃的だったんですが…
この小説でも「最上階の殺人」でも、どうやら原文に日付の誤りがあり、翻訳では訂正されてるとのこと。英国紳士は細かいことを気にしない、ということなのか…

No.1 6点 シシリーは消えた- アントニイ・バークリー 2018/10/27 21:35
1927年出版 翻訳2005年
一捻りした執事もの。有閑主人公が金に詰まり従僕として勤める羽目に陥り、勤めた屋敷の夕食会には大学時代の友人や知り合いが来て、召使の立場で接しなければならない、という面白い設定で始まります。
その後の小ネタも上手く効いていて、まあ大ネタは地味目なのですが、明るさに溢れたバークリー世界が展開します。初出は新聞の連載(デイリーミラー1926年3月〜4月) 軽くて楽しい物語を読みたい人に最適です。

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弾十六さん
ひとこと
気になるトリヴィア中心です。ネタバレ大嫌いなので粗筋すらなるべく書かないようにしています。
採点基準は「趣好が似てる人に薦めるとしたら」で
10 殿堂入り(好きすぎて採点不能)
9 読まずに死ぬ...
好きな作家
ディクスン カー(カーター ディクスン)、E.S. ガードナー、アンソニー バーク...
採点傾向
平均点: 6.13点   採点数: 459件
採点の多い作家(TOP10)
E・S・ガードナー(95)
A・A・フェア(29)
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