海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

ねここねこ男爵さん
平均点: 6.44点 書評数: 138件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.58 10点 大誘拐- 天藤真 2017/11/08 21:40
極上のエンターテイメント。めちゃくちゃ面白い。

大地主で大金持ちかつ人格者の八十二歳のおばあちゃんが誘拐される。身代金の当初の予定は五千万円。ところが金額の安さにおばあちゃんが激怒し、百億円!に増額させる。そして頭脳キレッキレのおばあちゃんがなぜか犯人グループを仕切って『自分の身代金』の奪取計画をねり始め…というわくわくする設定。
全体がコミカルに描かれていて、登場人物に悪人もおらず、いつの間にか犯人グループとおばあちゃんを応援してしまう。読後感もとてもよい。
一九七八年の作品だそうですが、この時代に大掛かりな劇場型犯罪を描ききっている先進性はもとより、異常なテンポの良さ、退屈になりそうな部分では対談形式にして読者にストレスを与えないなど圧倒的なリーダビリティが光る。全身全霊全気合をもってオススメ。ツッコミどころとかこまけぇことはいいんだよ!

No.57 8点 能面殺人事件- 高木彬光 2017/11/06 22:05
結構面白くない?
作中で有名作のネタバレをしていること、超有名作であるアレの云わばエピゴーネンであることから一般的に厳しい評価を受けることが多いが、決して失敗作ではない気が。

①構成的に密室は象徴的なもので解かそうとは思ってない
②ほぼそれだけの例のアレと比べて、これは一要素として取り込み消化している感
③共犯者?がとても有能というか犯人に都合が良い

①②を否定的にとるか好意的にとるか。特に②に関しては、現代の人気作家の方が本当にただのパクリに化学調味料をふりかけただけなものを出している気がする。だから本作を許容せよという意味ではないが。
③はねぇ…犯人は別にそれを計算には入れてないと思うんだよね。共犯者が空気読んだだけで。

探偵役が複数いて、それぞれが明確に役割を与えられ、シンプルでロジカルな解決など評価してもよい作品かと。少なくとも再評価の議論のまな板にのせる価値があると思う。

No.56 6点 シャドー81- ルシアン・ネイハム 2017/11/04 22:18
各所でやたら評価が高いので頑張って探して読んでみたが、面白いことは面白いけど言うほどかな?というのが正直な感想か。

ハイジャックの設定はドキドキするし、実行してからは犯人の謎指示の意味が次々明らかになり適度に危機もありで面白い。
が、準備フェーズがあまりにも長く淡々として正直退屈。気付かないように伏線張ってんのかなと思ったら全く張ってなかった。「ぼくのかんがえたさいきょうのじゅんびをみて!」をダラダラと。現代の作家ならこの準備段階での些細なミスや妥協がのちのち主人公を追い込んでいって…とか、実行犯の正体を追跡する捜査の手が徐々に…とかするんだろうけど、順次計画通りでほぼ完璧にうまくいく。危機も偶発的なアクシデントばっかりで計画が段々破綻していくような追い詰められる感がない。そういった部分でもっと面白くなったんじゃないかな〜と思ってしまった。
この時代にこれだけの、という価値はあるが現代のこの手の小説は完全上位互換なので、本作は探してまで読まなくても良いかと。

No.55 7点 さらば愛しき女よ- レイモンド・チャンドラー 2017/11/04 21:30
本国だと「長いお別れ」よりも本作や「大いなる眠り」の方が高評価だそうで、自分も本作の方が好きです。

翻訳は…旧訳新訳どっちもそれなりにクセがあるので少し目を通してからお選びください。自分は旧訳。

No.54 6点 帽子から飛び出した死- クレイトン・ロースン 2017/11/04 13:48
うーん普通に素晴らしいけど普通です。密室ものですが、真価はそこ以外かと。出来はいいですが特筆すべきところもなく、評価は高いですがマイベストに上げる人はいないみたいな。
「密室講義」にひとこと言いたかったみたい。
アマゾンが未整備な時代にあちこち探しまくってようやく入手した思い出がありますが、そこまでして読むべきかというと…

No.53 4点 キドリントンから消えた娘- コリン・デクスター 2017/11/04 12:25
人によってはとんでもない名作になるんだろうなぁと。
どんでん返しより緻密さ、トリックよりロジックな自分もこれは合いませんでした。

推理の構築と破壊の繰り返しはこの作者の作風で、それはいいんですが一つ一つにあんまり緻密さや感動が無いように思え、結論も「いくつか正解の候補を考えてとりあえずコレにしましたわ」な感じが…。

大分昔に「ウッドストック行き〜」と二冊買いして読み切りましたがウッドストックも同印象。

No.52 4点 誰彼- 法月綸太郎 2017/11/04 12:12
コリン・デクスターの手法を取り入れたということでなるほど納得。
作者の他長編でも推理の試行錯誤はありますがここまでではありません。正直他長編と比べるとかなり落ちる印象。それはミステリの仕掛け部分ではなく上記の手法に原因があるように思います。
一つ一つはさすがの素晴らしさだけに、幾つかに切り分けて数篇の短編にしてくれたらよかったなぁ…と思ってはいけないことを思ってしまいました。

初の法月作品がコレになる人がいないように祈るばかりです。惜しい。

No.51 5点 ウッドストック行最終バス- コリン・デクスター 2017/11/04 12:01
ロジックものは本来大好物なんですが、これは馴染めませんでした。他作品も結構読んだんですが…

推理を構築して破壊して構築して…ですが、リズムが平坦に思え、特に中盤は忍耐を強いられました。トンデモ推理も無いわけではなく、カタルシスを感じられないというか。残りページ数から「この推理も間違ってるんだろうな〜」と思ってしまいます。

英国の作家さんだそうで違和感になんとなく納得。
数学はフランスで発展した部分が多いのですが、数学的帰納法などの分野は英国で発展したそうで、高校数学なんかだとそこが他分野と比べてかなり異彩を放っています。「コレが産業革命を起こした国の思考法か…」と今回と同質の違和感を感じましたね。

なので、とてもおいしい料理なんだろうけど、口に合わなかったのでこの評価です。ごめんなさい。

No.50 9点 法月綸太郎の新冒険- 法月綸太郎 2017/11/04 10:04
どんでん返しというか、構造の転換もの中心。
本筋以外でひっかかった所として、
「身投げ女のブルース」女性のコレを手掛かりにするのはすごいw刑事コロンボで近いものを見たことがあるくらい。
「リターン・ザ・ギフト」犯人はなぜ不要な事件を起こしたか?の理由が切ない。

法月綸太郎氏の短編集はやはり素晴らしいキレ味。

No.49 8点 邪馬台国はどこですか?- 鯨統一郎 2017/11/03 02:43
テンポがよくてストレスなく読める。
特に前半はとっても楽しい。表題作は本当にそうだったらとてつもなく愉快だなぁ…と。個人的には一話目がベスト。
明治維新と推古天皇について、自分もずっと引っかかっていたことに触れてくれていたので嬉しくて評価に加点。

No.48 3点 新・日本の七不思議- 鯨統一郎 2017/11/03 02:32
邪馬台国はどこですか?に比べるとかなり落ちる。
というか、何のために書かれたかよく分からない短編集。
前作で言い足りないことを言いたかったのか?
二匹目のドジョウを狙ったのか?

No.47 7点 白い兎が逃げる- 有栖川有栖 2017/11/03 02:07
粒揃いの短編集。
この人はワンアイデアを手堅くまとめるのが上手いです。
地下室の処刑の『なぜ死刑執行直前に毒殺したのか?』は結構好きです。

どんでん返しと衝撃の真実が好きな人は読んではいけません。

No.46 8点 時計館の殺人- 綾辻行人 2017/11/03 01:55
館シリーズ最高傑作。
館シリーズにおける建造物のご都合主義的構造(隠し部屋隠し通路)はフェアな描写をされていながらあんまり好きではなかったが、本作はそういうこともなく派手な仕掛けを楽しめる。
発表当時のインパクトは十角館の方が上だったのだろうが、ミステリとしては本作の方がよく出来ている。

No.45 8点 カラスの親指- 道尾秀介 2017/11/01 23:16
ほのぼのクライムノベル。
読後感も悪くないし、読みやすいし、適度にどんでん返しもあるしでオススメ。

漫画的ご都合主義的展開がありますが、本格ミステリじゃないので目くじら立てずにそれを楽しみましょう。

No.44 8点 葉桜の季節に君を想うということ- 歌野晶午 2017/11/01 14:47
執筆当時の流行りに上手く乗っかった作品(褒めてます)。この手の仕掛け全盛時だったと記憶していますし、個人的に仕掛けもこの作者も本来大嫌いですが、本作は読める。多分、本質的にミステリじゃないからだと思います。
本作の書評のされかたからして難しいとは思いますが、出来るだけ予備知識なくミステリとしてでなく楽しんで欲しいと思います。

評価として公正ではないですが、タイトルがすごくお気に入りなので加点。ごめんなさい。

No.43 4点 7人の名探偵- アンソロジー(出版社編) 2017/11/01 14:33
正直言って期待はずれ。
自分の短編集には載せられない捨てネタを再利用してみた感。正統派なのは有栖川有栖氏と法月綸太郎氏のものくらいか。まぁせっかくのお祭り短編集にまともなものを書いてもしょうがないって事かもしれませんが。
自分の感受性の低さ故でしょうが、我孫子武丸氏の作品はスベってるような気がしました…

No.42 6点 水車館の殺人- 綾辻行人 2017/11/01 14:24
犯人と大まかな仕掛けは構成からミエミエですぐに見当がつくので、その精度と、あとは「それ以外の要素」がどの程度か?と言うことになるかと思いますが、「それ以外」がほとんどなかったので…。そもそも舞台が水車館である必要がないでしょう(このツッコミは野暮だとは思いますが)。それからあくまでトッピング要素で本筋にはほぼほぼ無関係かつ充分に存在を匂わせてはいますが、やっぱり後出し隠し部屋は個人的に萎え要素です。
気に入ってるのは清純そのものの美少女が実はどうしようもないビッチだったというところw

No.41 6点 我が家の問題- 奥田英朗 2017/10/29 05:25
「家日和」二作目、という位置付けですが、家日和がのほほんとしていたのに対して、本作はタイトル通りリアルな問題を抱えた人々の渋めの話がやや多め。
個人的には家日和の方が好きですが、本作も十分面白いです。
この作者は本当に人間を書くのが上手いですね。

No.40 4点 オリンピックの身代金- 奥田英朗 2017/10/29 05:20
当時の社会情勢や人物描写は面白い。が、お話がイマイチ魅力的でない。
この作者はあちこちで公言している通り、最後まで組み立ててから書き始めるのではなく書きながら次の展開を考える人で、本作はそれが悪い方に出ているというか…次にどうなるかが予想の範囲内におさまってしまいがち。後半から隠れ家バレる⇒逃げるの繰り返しになる。
エリートが薬と女によって堕落していくのを眺める物語、かな。
やはり奥田英朗氏はユーモアとエッセイの人かと。

No.39 9点 九マイルは遠すぎる- ハリイ・ケメルマン 2017/10/29 04:57
表題作がその執筆の経緯を含めて(悪い意味で)有名になりすぎてしまったが、正直出来はあんまり良くない。要はコンセプトモデルです。
表題作以外の作品がとても素晴らしい。古今東西ロジックもの短編集のベストかと。
個人的には「時計を二つ持つ男」「エンドプレイ」「わらの男」かな…「おしゃべり湯沸かし」のシンプルさも捨てがたい。

『ロジックよりトリック』『どんでん返し!意外な犯人!衝撃の真実!』な人は読んではいけません。

キーワードから探す
ねここねこ男爵さん
ひとこと
好き嫌いが激しいです

アンケートをよく作成する仕事柄、評価に『普通』はつけません。なので本サイトでめったに5点はつけません。

偶然が二回以上あったり、糸や機械を多用した現実味のない物理トリッ...
好きな作家
エラリー・クイーン 有栖川有栖
採点傾向
平均点: 6.44点   採点数: 138件
採点の多い作家(TOP10)
有栖川有栖(12)
法月綸太郎(12)
笹沢左保(10)
鮎川哲也(7)
岡嶋二人(6)
東川篤哉(5)
東野圭吾(5)
高木彬光(5)
エラリイ・クイーン(4)
中山七里(4)