皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
パメルさん |
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平均点: 6.14点 | 書評数: 572件 |
No.112 | 6点 | 明治断頭台- 山田風太郎 | 2016/10/28 12:36 |
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明治初期の警察組織がまだ確立されていない治安の悪い東京が舞台
六編からなる連作短編が長編化する形式で書かれている 明治時代ならではの物を使った物理トリックには一部にコントのように感じてしまったトリックやご都合主義的なトリックがありあまり好みではない ただ歴史上の人物が数多く描かれており作者ならではのユーモアもあって楽しい 最終章ではそれまでの短編に残された伏線を一気に回収し意外な結末に驚かされた |
No.111 | 6点 | 龍の議定書- 多島斗志之 | 2016/10/24 13:22 |
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国際謀略サスペンス
中国の鄧小平と台湾の蒋経国を握手させるというスケールの大きな設定 中国と台湾の接点として孫文を使い孫文ブームを巻き起こし実現させようと 計画を練っていく ところが次々と怪事件が発生し思いがけない陰謀が隠されていることが判明する 物語は二転三転しどんでん返しも用意されている ただ孫文の人物像や辛亥革命を成功に導いたことなどが延々と語られ 物語がなかなか進まない点が減点材料 |
No.110 | 7点 | 金雀枝荘の殺人- 今邑彩 | 2016/10/20 01:05 |
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窓は全て内側から釘が打ち込まれておりドアも内側からカギがかかっている密室状態で
七人の死体が発見される リレー形式で殺し合いが行われたのではないかという不可解な現場状況と同時に グリム童話の見立てにもなっている 館の雰囲気は綾辻行人の「霧越邸殺人事件」に似ていていい感じ サスペンスにホラー色を混ぜた感じで物語は進んでいく 人物描写・揺れ動く心が丁寧に描かれている 真相は悲劇的だが後味は悪くない |
No.109 | 5点 | 天狗の面- 土屋隆夫 | 2016/10/16 01:00 |
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村の合併をめぐる村議選の対立に新興宗教が絡み殺人事件が発生する
誰もが毒を入れる機会が無かったと不可能犯罪を匂わせている この毒殺トリックは信者を巻き込んだ心理トリックが使われており予測出来てしまった 心理トリックは成功する気がするが肝心の物理トリックに無理がある 映画のポスターをそれに結び付けて説明している点も不満 余談ですが誤断トリックとしてクイーン・坂口安吾・バークリーの有名作品のネタバレ しているので注意が必要 |
No.108 | 7点 | 天国は遠すぎる- 土屋隆夫 | 2016/10/13 01:09 |
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鉄壁と思われたアリバイを刑事の師弟コンビが何度も挫折を繰り返しながら
執念を燃やし真相に立ち向かっていく この間のコンビの会話も中々味があって良い そしてある言葉をきっかけにヒントを得て物語は急展開する 盲点を突くようなトリックが使われており実現も十分可能な点も好印象 |
No.107 | 6点 | 暗い傾斜- 笹沢左保 | 2016/10/10 22:40 |
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男女の人間関係が愛憎と欲望で複雑に入り乱れている
独特の情緒があり雰囲気は楽しめる ある事件の容疑者になることにより実際に犯した事件のアリバイを成立させるという トリックはなかなか面白いと思った反面心理的な誘導を必要とするため実現可能かと いうと少々疑問が残る |
No.106 | 6点 | 殺しの双曲線- 西村京太郎 | 2016/10/07 12:47 |
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東京での連続強盗事件と東北の雪に閉ざされた山荘での殺人事件が交互に語られていく
双生児のトリックを使うと明言している点とこの事件がどのように繋がっているのかと 興味をそそられる テンポが良くリーダビリティが高い点は評価できる ただ緊迫感が足りないし動機も今一つ |
No.105 | 7点 | 幻の女- ウィリアム・アイリッシュ | 2016/10/02 12:08 |
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死刑宣告された主人公がアリバイを証明するために一夜限りの食事を一緒に
した「幻の女」を探し出し刑の執行までに無実を証明出来るかという タイムリミットサスペンス 全体的に緊迫感に包まれている点やスリリングな展開そして当時のニューヨークの雰囲気が目に浮かぶように描かれていて好印象 ただ見ているはずの多数の人物が誰も見ていないと証言する真相が強引さを感じる |
No.104 | 6点 | ウォッチメイカー- ジェフリー・ディーヴァー | 2016/09/26 01:17 |
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犯行現場に置時計を残すウォッチメイカーと名乗る連続殺人者
また会計士自殺偽装事件 この二つの事件がどこかで繋がっていると思いながら読み進めていく どんでん返しが連続する終盤は前半部分に後半に繋がる多くの伏線が あったことが分かるにしても無理がある展開 どんでん返しが多すぎて焦点がぼやけてしまった感がある エンターテイメントとしては楽しめます |
No.103 | 6点 | 影の車- 松本清張 | 2016/09/21 13:33 |
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七編からなる短編集
悪くは無いのだが作者の良さが出ているかといえば疑問が残る 得意の社会の暗部を抉るとかドロドロとした愛憎で緊迫感や駆け引きで 引きずり込んでほしかった トリックで驚かせようとかフーダニット・ハウダニットで楽しませるとかの 作品では無いのだからこの点が弱いと魅力が半減してしまう |
No.102 | 6点 | 殺人者志願- 岡嶋二人 | 2016/09/18 11:37 |
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返すあてのない借金に切羽詰まり殺人を請け負う夫婦
密室殺人を企てるのだが土壇場で躊躇してしまう 証拠隠滅のために現場に戻ると考えられない光景が・・・ 奇怪な罠が次々と仕掛けられている 斬新な構成と型破りなユニークな展開 夫婦の軽妙な会話も楽しい サスペンスとしてはおとなしめ |
No.101 | 5点 | 私が彼を殺した- 東野圭吾 | 2016/09/09 10:51 |
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フーダニットに特化した作品で物語自体に面白みは感じられない
「犯人は誰だろう」と推理しながら読み進めることに一番の魅力を感じる方にはオススメ 物語の雰囲気や世界観・スリルなどを味わいたい方には物足りなさを感じるでしょう |
No.100 | 9点 | 霧に溶ける- 笹沢左保 | 2016/09/05 11:16 |
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量産型作家として敬遠されがちな作者だがこれは傑作
ミスコンを巡って続発する怪事件 さまざまなトリックが詰め込まれ周到に張られた伏線から導かれる真相 絡みに絡み合った人間関係の構図が明らかになっていく フーダニット・ハウダニット共に十分に楽しめる贅沢な作品 最後のオチもいい味出している |
No.99 | 8点 | 眼の壁- 松本清張 | 2016/09/02 12:21 |
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実際にあった事件を元に描かれたのではないかと思わせるようなリアリティさがあり
引き込まれていく 主人公は背後にある悪の組織に危険を感じながら友人の新聞記者と共に詐欺の首謀者を追う 物語は東京・名古屋・美濃路へと急転していく 巧みな心理描写が冴えるサスペンスでリーダビリティも高くスラスラ読める 個人情報がダダ漏れしている点が現代では通用しないが古臭さは感じさせない 社会派小説が好きな方は是非読んで頂きたい一冊 |
No.98 | 6点 | キングを探せ- 法月綸太郎 | 2016/08/29 19:05 |
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今まで繋がりの無かった者同士がある場所で出会い四重交換殺人を目論む
ネット上での闇サイトで出会うなら理解できるが「よくぞこんな場所で」というツッコミどころはある 導入部は倒叙形式でサスペンスタッチで描かれている 次々と起こる不測の事態に探偵役と犯人共々翻弄されていくところが読みどころ 騙し合いのコンゲーム要素も楽しめる 良く出来ているが地味な印象は否めない |
No.97 | 4点 | 三度目ならばABC- 岡嶋二人 | 2016/08/26 18:12 |
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七編からなる短編集
テレビの下請け制作として事件の再現ドラマを請け負っている 真相を追求するため推理合戦をするデコボココンビ このデコボココンビの軽くてウザイ会話とノリがどうも肌に合わなかった トリックも全体的に今一つで緊迫感は皆無に近い |
No.96 | 9点 | 時計館の殺人- 綾辻行人 | 2016/08/24 11:35 |
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ミステリに注ぎ込もうとする作者の美意識そして目指している世界観の構築が
高いレベルで描かれている作品 フーダニットとしてもホワイダニットとしても十分楽しめる メイントリックも壮大且つ独創的で素晴らしい |
No.95 | 6点 | 迷路館の殺人- 綾辻行人 | 2016/08/11 15:32 |
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作中作を組み込んだミステリ
多額な遺産をめぐり執筆合戦が繰り広げられる中殺人事件がおきる 周到な企みと徹底的な遊び心が溢れている 二重三重に仕掛けられたトリックは切れ味がある ただ最後の真相で名前でミスディレクションしている点は不満 あの人物を●かもしれないと思う人はまずいないでしょう |
No.94 | 4点 | どちらかが彼女を殺した- 東野圭吾 | 2016/08/04 12:52 |
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登場人物を可能な限り排除し推理の過程を楽しむコンパクトにまとめられた作品
解決に必要な手掛かりはすべて示してあるので 「読者のみなさん解いてみてください」 そんな挑戦状を叩き付けられたような究極のフーダニット 試みとしては面白いと思うが利き腕から考えて●●の方が怪しいという程度で犯人を 特定するというのは納得できない |
No.93 | 7点 | 水車館の殺人- 綾辻行人 | 2016/08/01 14:53 |
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ゴムの仮面に白い布手袋・車椅子といういかにも怪しげな館の主人に
歳のかなり離れた幼妻そして不気味な執事 幻想的な雰囲気を漂わせながら物語は進んでいく 主人の特徴からあれがああなってこれがこうなってと考えていけば 真相を推理するのはさほど難しくはないと思う 最後に一成の遺作が発見されその片隅に描かれていたものは・・・ こういう終わり方好きです |