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[ サスペンス ]
細い赤い糸
飛鳥高 出版月: 1961年01月 平均: 6.75点 書評数: 8件

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光風社
1961年01月

講談社
1977年12月

双葉社
1995年05月

論創社
2020年02月

No.8 8点 クリスティ再読 2022/01/18 20:23
協会賞受賞作だが、ライバルは「危険な童話」「仲のいい死体」「異郷の帆」「人造美人」と名作ぞろいなのに、それらを抑えての受賞。それも当然、と評者は思ってるくらいの名作である。

4人の被害者にもそれぞれのドラマがあり、それぞれが短編小説のように読ませる。本人にしてみれば皆「自分が主役」なドラマを演じているわけなのだが、「端役」にしか見えない人にも、実は哀切なドラマが潜んでいる。しかし「自分が主役なドラマ」を演じるのに夢中は被害者たちは、その「端役のドラマ」にはまったく無関心で気づくこともなく、それを踏みつけにする...

ミッシングリンク、というのは外部から見ての話に過ぎない。時系列を操作することで、「細い赤い糸」のように関係が見え隠れしながらつながっていく。そして「端役」が「主役」に逆転するドラマが浮かび上がる作劇が秀逸。

ある意味ありふれた事件を、絶妙な語り口で「市井の悲劇」として昇華した、とても60年代っぽい名作。評者は大好きだ。

No.7 7点 パメル 2018/08/03 16:22
第15回日本探偵作家クラブ賞受賞作。
一見、何の繋がりもないと思われる4人が次々に殺される。手口は一緒で同一犯と思われるが、手掛かりは現場に残された赤い糸のみ。
なぜ、この4人が殺されなければならなかったのか?この4人には何か繋がりがあるのか?現場に残した赤い糸の犯人の意図とは?と惹きつけられる要素が多く楽しめる。
丁寧な文章と小説全体に仕掛けがあるような構成は素晴らしいし、緊迫感がある雰囲気も好み。
被害者に関わる4つのエピソードを描き、残り数ページで4つの事件をまとめあげるプロットは良く出来ている。結末は後味が悪く、好みは分かれそうですがミッシングリンクものの作品として隠れた名作だと思う。

No.6 8点 斎藤警部 2015/08/19 09:31
ミッシング・リンク社会派。 物語の終結近くになっても依然謎感は強く、冷え冷えとしたサスペンスの横溢度はかなりのもの。
一連の事件の背景はまず納得の行くものでさほどの驚きはありませんが、その重みはなかなかに感動的。
古典名作と呼ばれて然るべきでしょう。

No.5 5点 ボナンザ 2014/04/09 23:16
日本推理作家協会賞受賞作。
この作者はこれまで知らなかったが隠れた逸材だと思った。

No.4 4点 蟷螂の斧 2012/01/18 18:49
ミッシングリンクものは、どういう繋がりがあるのかと期待させる割に、答えがかなり単純であることが多く、驚きが少ないものです。本作も例外ではありませんでした。ただ日本では最初?の試みなのでしょうか?なお、第4章が「蟷螂の斧」で私のニックネームと同じでニヤッとしましたが・・・。

No.3 7点 kanamori 2010/09/27 17:43
全く繋がりがないような4つの殺人のエピソードが4つの章ごとに描かれ、最後に予想外の構図が浮かび上がるというミッシングリンクもののサスペンス・ミステリ。
4つの事件の流れにある技巧を凝らすなど、書かれた時代を考慮すれば斬新なプロットで、派手さはないですが丁寧な人物描写と程良い伏線の張り具合も好感が持てた。ちょっと、ウールリッチの諸作を髣髴させるところがありました。

No.2 8点 itokin 2009/06/24 19:11
短編4話をつなぎ合わせ上手くまとめた感はあるが、それぞれの話の展開と心理描写がすばらしい、とにかく最後まで一気読みさせる。

No.1 7点 こう 2008/06/11 23:32
 社会派的なミッシングリンクを扱った作品で日本推理作家協会賞受賞作で今でも簡単に手に入ります。
 4人の何のつながりもない人間が次々に殺され、殺害現場に細い赤い糸が残されて、というストーリーです。犯人を警察官が追い詰めてゆくストーリーで何故犯人がこの4人を殺したのか、何故細い赤い糸を残すのか、という謎が主眼ですが本格というより社会派的です。
 40年以上前の作品で、現代の捜査であればもっと早く犯人追及できたと思いますし、何故糸を残したのかの犯人の動機は腰砕けですがストーリーのまとめ方はうまいですし、救いのない話でしみじみします。手がかりがあって推理して当てる本格色は強くないですが、こういう話も悪くないなと思わせてくれる作品でした。


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