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風桜青紫さん
平均点: 5.62点 書評数: 290件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.230 4点 雷祭殺人事件- 天樹征丸 2016/02/11 21:42
もはや推理クイズ集。小粒だけども、当たるとまあまあうれしい。内容のほうはこれまでの金田一少年の作品をテキトーに混ぜ合わせた感じであまり印象には残らず。「迷いこんだ悪魔」の犯人の投げやりな語りにちょっと笑った。

No.229 4点 上海魚人伝説殺人事件- 天樹征丸 2016/02/11 21:39
どこかで見たことあるようなトリック。しかしそれはおまけで、本領は金田一少年と中国人少年の友情……なのかなあ? 映画版は舞台のスケールや、怪奇風味の演出もあって面白かったが、原作はちょっとショボかった印象。気分転換のライトノベルとしてはそこそこなので4点。

No.228 4点 鬼火島殺人事件- 天樹征丸 2016/02/11 21:34
内容はこれまでの三作品に比べて充実していると思うんだが、いかんせん楽しみづらかった。登場人物がなんともイヤな奴ばっかなのだ。それなりの理由(真相にからむ)はあるにせよ、こういういかにも漫画的な悪党が連射されると興ざめしてしまう。まあ、医学部志望のやつにこういうイヤなのがいるのも確かだが、素朴な子だってけっこういるじゃないの。電脳山荘のときも思ったが、「医学部=悪党」というキバヤシの思考にはうんざりする。「金田一くん、君のような人間が医者には必要だ!」とかいう露骨な主人公ageもあったが、金田一少年を主人公にしたところで、論文をパクって大学を追い出されるのが関の山だろう。犯人は確かに意外性があるし、トリックも悪くはないので、4点。

No.227 5点 電脳山荘殺人事件- 天樹征丸 2016/02/11 21:22
これはけっこう面白かった。キバヤシも伊達に敏腕編集者をやっているわけではない。叙述のほうはあまりに露骨でイマイチだが、ネット通信を利用したアリバイトリックが良くできている。「もしも乱歩がブサメンだったらどうするつもりなの?」とかツッコミどころは絶えないのだが、綾辻折原に代表される「メタ的な記述」をナチュラルにこなしたという点で注目に値するだろう。真相のブラックさや、雪の山荘ものというところも良し。金田一少年はこういう感じの話がもっとあればいいのだが……。

No.226 4点 幽霊客船殺人事件- 天樹征丸 2016/02/11 21:16
舞台設定は悪くないけど、なんだか退屈だった。犯人当てのロジックもどっかで聞いたことあるし。「なんじゃこりゃ!」となるようなメイントリックはなかなか笑えたけど、やっぱチープだなあ……。堂本剛の金田一少年のドラマはかなり面白いのだが、漫画とノベルスはイマイチ。やはり作品の面白さを決めるのはプロットだけではないようだ。

No.225 5点 オペラ座館・新たなる殺人- 天樹征丸 2016/02/11 21:10
こんなんカーが面白半分に使ってたトリックをおおげさにしただけじゃないか!
とはいえ文章はチープながらも読みやすいし、犯人当ても難しくはないものの、なかなか意外な人物。漫画ノベライズとしてはそこそこの出来だろう。それにしてもこの漫画、エロシーンが多いわりにはまったく萌えない。たぶん絵の都合上。

No.224 6点 妄想銀行- 星新一 2016/02/11 18:18
星新一の推協賞受賞作。もちろん面白いんだが、個人的にはそれ以前に候補になっていた『ようこそ地球さん』や『悪魔のいる天国』のほうが充実していたかな……。悪意のない残酷さが後味を残す「女神」、意表をつくオチに納得してしまう「人間的」が印象深い。どんでん返しという点では「古風な愛」がなかなかミステリ的で冴えていた。なんにせよ安定した面白さのある短編集。

No.223 8点 午後の恐竜- 星新一 2016/02/11 17:57
ユーモラスな不思議現象からあまりにショッキングな結末が導かれる表題作は、とんでもないインパクト。星新一の短編でも間違えなく最高レベルの作品だろう。妙にロマンチックな『幸運のベル』や『華やかな三つの願い』、世界観の面白さで魅せる『エデン改造計画』に『おれの一座』に『理想的販売法』と、他の作品も充実しており完成度の高い短編集となっている。

No.222 4点 夢魔の標的- 星新一 2016/02/11 17:39
「星新一の長編が推協賞候補になってたのか!」ということで読んでみたが、いまいち面白くなかった。冒頭はクルコちゃんが勝手に動き出す有り様が妙に不気味でひきつけられたんだが、どうもラストシーン近くになると話が抽象的でなんでもあり感が目だっていまいち話についていけない。オチのつけかたもやや強引な感じ。ショートショートだったらそれなりに面白いアイデアなんだろうけど、長編ひとつを支えるには弱いかも……。声優の恵子がなんかかわいかったのは評価点。

No.221 7点 三つ首塔- 横溝正史 2016/02/11 17:09
『八つ墓村』と並んで好きな横溝作品だが、なかなか賛同は得られず(笑)。推理要素はほとんどなく、もっぱらせこいエロシーンとメロドラマ風味を楽しむ小説。しかし主人公の音禰が良い感じにウブな箱入り娘で、なんだか妙に応援したくなってしまう。少女マンガのイケメンキャラみたいな高頭五郎とのやり取りといい、読んでいてにやにやが止まらない。登場人物がストリップだの双子プレイだのを披露してはポテトチップスのようにサクサク死んでいく有り様も妙に面白く(不謹慎)、読んでてワクワクできる作品だった。

No.220 6点 女王蜂- 横溝正史 2016/02/11 16:56
このあたりになると、もはやミステリ要素はほとんど薄味になってくる。どれもこれも実に古典的……。しかし僕の場合、横溝作品は、好兵衛さんのおっしゃる通り、古臭いミステリ風ドラマとして読んでいるので、こういうのも結構楽しめるのです。九十九龍馬や文彦クンのような変てこな登場人物たちや、ころころ死んでいく登場人物たち、無能な耕介、趣味の悪い真相、といったようないかにもな雰囲気のお膳立てを楽しむわけなのです。しかし智子が「絶世の美女!」などと持て囃されてるわりに、ところどころ普通な女の子っぽくて笑える。お風呂でおよぐwww。

No.219 5点 悪魔の手毬唄- 横溝正史 2016/02/11 16:33
本格読みを自称するかたにはなぜか評価が高いが、個人的には「衝撃」もなければ「必然性」も大してないような真相だった。見立て殺人の意図についてはりゅう氏が指摘している通りなのだろうが、いかんせんメリットに対してリスクが大きすぎたのではないかという印象が拭えない。というかそれが原因で犯行がばれちゃってるのだから犯罪者失格じゃないの(犯罪者合格が何かと問われれば困るけども)。手鞠歌という魅力的な道具で雰囲気を盛り上げるのは横溝らしいといえば横溝らしいのだけれどと、どうもこの作品は「謎のためのトリック」という部分が大きく出すぎたように思えた。もちろん、舞台のおどろおどろしさや、複雑な人間模様、過去の事件、耕介と磯川さんの友情(?)ストーリーなど、見るところは多いし、それなりに楽しめたのは確かなのだが……。私の周りにもこれをベスト横溝にあげる人間が多いのだけども、どうも納得できない。たぶんそこらへんは趣味の違いなのだろう。

No.218 6点 夜歩く- 横溝正史 2016/02/11 16:17
トリックは古典的だけども、それなりに楽しめた。古い作品には古い作品なりの奥ゆかしさがあるということでww。元ネタ(?)と同じく首のない死体ものの作品なんだが、せむし男だの夢遊病だのなんだか乱歩っぽい道具が散りばめられていて、空気もなんだかエログロっぽい。しかし最後のどんでん返しには意表をつかれた。横溝もこんなネタを使うんかい。彬光のあれと同じで、「話題になってるからとりあえず使ってみた」という感じがあるけども、まあ、許容範囲。「八千代は処女だったぜ!」とかいちいち台詞が笑えるし。一風変わった横溝を楽しめたということで6点。

No.217 6点 犬神家の一族- 横溝正史 2016/02/11 15:59
スケキヨくんが有名すぎる一作。トリックは今となってはベタ(というか使うやついるのか?)なもので、犯人サイドも「女に残虐な犯罪は無理」とかなんだかよくわからない理由で行動しているし、なんともご都合主義な作品。でもなんだかんだで面白く読めた。遺産相続バトルだとかグロい見立て殺人だとか、先行きを気にさせる道具をどんどんぶっこんでくれるんだなあ……。日本的な空間での殺伐さを演出することにかけては横溝先生は国内最高クラスでしょう。

No.216 7点 八つ墓村- 横溝正史 2016/02/11 15:43
典子のサクセスストーリーww。不美人として登場したはずなのに読んでいるうちに可愛く思えてきてしまう。横溝先生の手のうちにまんまとかかってしまったな。

小難しい論理をこねるより、どんどん人を殺して主人公をピンチにしていってしまうほうがエンタメ小説としては面白いんじゃないかって思えることはよくあるんだが、この作品は本当にそれ。いくらなんでも人が死にすぎwwそのうえ村人たち怖いwwww。犯人当てがおまけになってしまっているけども、閉鎖された環境を舞台にしたアクション&ホラー小説としては良くできた作品。

No.215 7点 獄門島- 横溝正史 2016/02/11 15:32
『悪魔の手毬唄』や『犬神家の一族』のほうがよほど粗が多くて見立て殺人の必然性が薄い作品ではないかと思う。少なくとも『獄門島』は犯人にもアリバイ作りというそれなりの理由があったし。

横溝的なおどろおどろしさが本格ミステリとよくマッチングした作品。横溝って(割と細部描写を正確に書くし)読みやすい文章ではないんだろうけど、さくさく人が死んでくれるからどんどん読めるww。「きちがい」の四文字であっさり殺されていく女の子たちはかわいそうな限り。いかにもといった道具で雰囲気を作るだけじゃなく、それをトリックに絡めていくあたりがすぐれた作品の所以か。後の方の作品になると、道具ばかりが前にくるんだよなあ……。話の都合上、耕介がなんとも無能なんだけど、奴はもとの性格がへぼっちい感じだから、『人形はなぜ殺される』のカミーよりは納得がいきました。アイデア豊富だからかそこまで長い作品でもないのに、かなりボリュームがあったような読後感。

No.214 6点 本陣殺人事件- 横溝正史 2016/02/11 15:13
なんじゃこりゃというようなバカミスで、犯人も割と予想通りの人物だが、面白かった。冒頭の三本指の男といい、猫の死体といい、いかにもといったような御膳立てがたまらない。小谷野たんが「横溝なんぞ乱歩の亜流の二流作家だ!」とか書いていたような覚えがあるけど、この時点ではどっちかといえばカーに近い気がする。怪奇性やトリックもそうだが、探偵がイケメンとは言いがたい憎めないやつなところとか。耕介の剽軽なキャラがなんともいいのですよ。

それにしても酷い動機だww。彬光にしろ鮎川にしろこの手の話題は出てくるけど、このあたりの時代ではえらく重要視されてたのね……。

No.213 6点 私が殺した少女- 原尞 2016/02/07 00:44
沢崎さんが相変わらずマゾをさらしながら暴れまわってくれます。ストーリーはのっけから殺伐してるし、格闘シーンは歯切れがいいし、ユーモラスな語り(というかギャグ)も笑えるので、ぐいぐいと読めます。しかし結末のどんでん返しについてはなにやら展開がスピーディーであまり釈然としませんでした。犯人サイドに共感できないのは(作風だろうから)仕方がないにしろ、あっさり話を片付けすぎな感じが……。驚きはするんだけども、なんだか期待していたような余韻はなかったかな。個人的には『そして夜は甦る』のほうが好きです。いや、だも語りとか話運びはこっちが上かな(どっちやねん)。日本語もまともに書けないようなバカ読者に「こんな頭の悪い男」と呼ばれてしまう沢崎は可哀想な限りだけども、まあ、彼の変に空気を読めないキザったらしさがこの作品には必要なのです。何をやらかすかわからない不安が緊張感を演出してくれるし。しかし、ボクサーの三男坊主よええwwww。もっと頑張ってくれよ。

No.212 5点 みすてりあるキャラねっと- 清涼院流水 2016/02/03 20:51
流水はネタ要員なのであまり内容には期待していなかったが、読んでみると結構面白かった。『全日本じゃんけんトーナメント』や『億千万の人間CMスキャンダル 』でも思ったけど、流水って面白そうな世界観を書いてくれるんだよね。「キャラねっと」の世界ってベタだけど、ところどころハリー・ポッターみたいで、なんかワクワクする(笑)。トリックの難易度は低いけども、世界観をうまく活用してるし、流水とは思えないほどに本格度は高い。ショッキングな真相も印象深かった。流水にはこのタイプの作品をもう少し期待したいが……。

No.211 4点 クビツリハイスクール- 西尾維新 2016/01/28 13:37
相変わらず読ませる力はあるんだけども、どうも釈然としなかった。文章でバトル漫画のノリをやられてしまうと、なんだか萎える。ジャンプ漫画の引用や、セルフパロディもちょっとねえ……。こういうのを堂々とやってのけるところが西尾の強みなんだろうけど。トリックもとりあえず入れてみただけという感じで、ほとんど不要。まあ、いーちゃんと哀川さんのコントはそこそこ楽しめました。

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