皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
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斎藤警部さん |
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| 平均点: 6.69点 | 書評数: 1433件 |
| No.693 | 10点 | ボッコちゃん- 星新一 | 2017/04/25 01:07 |
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| そこにミステリファンがいたら、この本も当たり前の様に一読を薦めるでしょう。
あっさりしながらとてもカラフルな語り口で紡がれる物語は、時に楽しい気分を演出し、時にちゃっかり悪夢を提供し、豊かな残像と後味をその後何十年にも渡って残してくれることでしょう。 悪魔/ボッコちゃん/おーい でてこーい/殺し屋ですのよ/来訪者/変な薬/月の光/方位/ツキ計画/暑さ/約束/猫と鼠/不眠症/生活維持省/悲しむべきこと/年賀の客/ねらわれた星/冬の蝶/デラックスな金庫/鏡/誘拐/親善キッス/マネー・エイジ/雄大な計画/人類愛/ゆきとどいた生活/闇の目/気前のいい家/追い越し/妖精/波状攻撃/ある研究/プレゼント/肩の上の秘書/被害/なぞめいた女/キツツキ計画/診断/意気投合/程度の問題/愛用の時計/特許の品/おみやげ/欲望の城/盗んだ書類/よごれている本/白い記憶/冬きたりなば/なぞの青年/最後の地球人 (新潮文庫) |
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| No.692 | 4点 | モーツァルトの子守歌- 鮎川哲也 | 2017/04/23 12:12 |
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| 鮎川さん最後のオリジナル単行本作品。鮎川作品でも三番館シリーズだけはやはり私の好みを上滑り、まして世評も低かろう最終作は。。氏への哀悼を誘う特別な作である事は間違いありません。最後の力を傾けながらこの薄味こそが泣けます。今思えば「モーツァルトの子守歌」で作家人生を〆るなんて素晴らし過ぎ。どうぞ安らかに。 | |||
| No.691 | 7点 | 悪魔の手毬唄- 横溝正史 | 2017/04/20 23:23 |
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| 現代(いま)となってはコージーに過ぎる序盤と中盤、ところが思いのほか深い穴に何段も落とされる終盤、ケロッと爽やかなエピローグ。まるで「長過ぎる、人物多過ぎるブラウン神父」のような疾風の結末は読み応え大いに有り。現在(いま)となっては「青池リカ」が「青酸カリ」に見えて仕方ない、老眼ヨキカナ。それにしたって何やら因縁有り気な人物群が矢継ぎ早の大盤振る舞い桜吹雪で、こりゃ登場人物一覧表を敢えて付けないのが叙述トリックの一部ではないかと疑いも挟まずにはいられませんですのう。どことなく往年のチョン・ジヒョンを思わせるグラマー・ガールさんの専門がシャンソン歌手ってのは。。不思議な時代性を感じますのう。。 このわた、からすみ、のりの佃煮、きゅうりの酢揉みと来ましたか。。ワシゃったらノレソレ、赤貝ひも、ギバサ、月見ってとこかい。 | |||
| No.690 | 7点 | シャドウ- 道尾秀介 | 2017/04/20 04:13 |
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| ふうううー ふうううー 遺書をめぐるくだり、唐突に現れた現代利器版クイーンみたいでとても面白い。 カットバックとオーバーラップの併用など割と普通だろけど、この小説でのそいつの活かし方はなかなか。。。。 いいよ、好きだよ、竹内。。 彼女絡みのまさかのダブルミーニングだかミスディレクション(瞬殺技!)には驚きと深みが籠もって忘れられないね。 ところで「犯人」ってあの人でいいの? 本当にハッピーエンドなの? 片耳イヤホンで聴くステレオ盤ビートルズのように、何気に釈然としないところが残るんだけど、面白いからいいノ。 本格なんでスかねエ? それにスても、スイスイ読め過ぎて困ったス。 表題の意味が、イメージ勝負だけでなくきっちり定義付けされているのも(本作の場合は)好印象。 the shadow knows… | |||
| No.689 | 6点 | 寝台特急六分間の殺意- 西村京太郎 | 2017/04/12 00:52 |
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| こういうキラキラした魅力をふりまく京太郎が好きだ。
「列車プラス・ワンの殺人」「死への週末列車」「マスカットの証言」「小さな駅の大きな事件」「寝台特急六分間の殺意」 (講談社文庫) 初期のガッツリしたのも素晴らしいが、量産期もまた良い。才能ってのは凄いね。 |
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| No.688 | 7点 | ゼロの罠- ポーラ・ゴズリング | 2017/04/10 12:17 |
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| スキナーと言えば体育教師レナード・スキナー。‘ティミー&スキナー’なんてハンドル名も良いかな、なんて思いましたよ。
中東富裕国発、スマートな手筈でハイジャックされた小型飛行機はどうやら、乗客が眠らされてるあいだ北極圏のどこかに着陸したらしい。手厚くもてなされ、時折アラビア語の新聞を手にした写真を撮らされる人質9人。。。 抑えようのないお気楽さが支配する、それでもやはりサスペンス+スパイスリラーの娯楽良作。ちょっと雑なユーモアの会話文が時折明るい苦笑を誘います。騙したり、ヒントをやったり、分析したり、、極の数はいったい幾つだ?? 基本は人質側と捜査側のカットバックだが、時折不可解な接点も見せる。伏線なんだか違うんだかネタばらしだか、楽しい不安がぽってりした固まりで断続的に登場。そしてプロットは何気に迷路。とてもカラフル。ユーモアと残酷さが逐一お互いを引き立て合う、目が離せない筋運び。そして対照の妙はそこだけじゃない 嗚呼、その(また逢えた)謎の登場人物よ。。。 嗚呼、今さらのその状況時差。。かと思えばあっさりと。。 ちょっとしたユーモア冒険譚の趣きも適時展開。 その泣けそうな優しさは、まさか。。。 スパイの習慣なのか。。 セイジ、チャールズ、アンドレ、ズビン、、 まさか『太陽を盗んだ男』にインスパイアされてないか!?(どちらも1979か。。)と胸が騒いだ伏線もどきは放ったらかしか。。俄然興味津々の洞窟内へ放り込まれたかと思ったら。。。でもいいんだ。 それにしても、ベーゼンドルファーの辿った運命。。 「最後の一撃」めいたラストのおかげで物語は随分引き締まりました。このどんでん返し(?)がミステリ側の領域にもう一歩踏み込んでいたら、ミステリとしてのみならず物語自体がより味わい深い地平に着地していたかとは思うが、、 いえ、これで充分です。 |
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| No.687 | 8点 | 野性の証明- 森村誠一 | 2017/04/02 22:18 |
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| おお、未だ見えぬ物語の終結部に浮かび上がる、遥かなる接点の蜃気楼よ。。。
「セックスした」の意味を、泣けるほどミステリ文脈で意義深い遥かなる遠回しに言い放った森誠の心意気には震えさせてもらった。しかも、それに続く文脈のスリルへの連繋よ。思えばその直前には敵陣どうしの旨味ほとばしる暴露合戦が最高の人肌で併走させられていたんだっけ。更に。。 やばいぜ、このへんの森誠。 しかしそこには同時に如何にも青臭い露骨さへの危うい傾斜面も潜んでいるのだが。。。構わんさ。見た所、一方の探偵役らしき者が或る事件の犯人でもあるような気がするムズムズが持続。更に、その容疑人を泳がせるために。。。。。参った。。 岩手は北上山地の寒村で起きた、一集落十数名鏖殺(みなごろし)事件。ところが、被害者全て集落民と思いきや、一人明らかに外地から観光客の若い女性が混じっており、その代わり地元側で一人だけ行方不明の幼い少女<<映画では薬師丸ひろ子>>。。 章が切り替わり、その双方(観光の女性と少女)に繋がりを持つ一人の屈強にしてジェントルな男<<同じく高倉健>>が主人公としてようやく現れる。彼は鏖殺事件の強力な容疑者だ。 一方で同じ東北の福島(らしき架空の県)内陸の某大都市では、市の治安と発展を暴力の恐怖で采配する一族がその磐石の基盤を揺るがされかねない事態が、徐々に侵攻を見せ始めるのだが。。。 まさかのオカルト性を見せ付ける飛び道具と、地道ながらスリル有る植物学調査。 章が切り替わる毎の視点の交差ぶり、交錯ぶりも旨き味わい。 戸籍の告白。。、、これは怖い。 おとうさん。。 か。。。 中盤よりこりゃ意外と通俗サスペンスの味わいかな、と思ってたら最後はずっしり社会派魂で締められた。 ピコ太郎や棟方志功と同じ青森県青森市生まれの彬光先生、病床での決死の解説檄文は泣きました!! |
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| No.686 | 6点 | 2分間ミステリ- ドナルド・J・ソボル | 2017/03/30 02:07 |
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| ご存知(?)ハレジアン博士と、彼の研究室に事件話を持ち込むナントカ青年のヴェリー・ショート・ミステリーズ。ウェバーの「5分間」より各作ぐっと短くお気楽。
英語教材としたら9点は行きますね! 私は実際そういう用途でこれの原書を使ってました。その後、英語を勉強してるっていう友人にあげたもんです。たしかに推理クイズとしちゃチョロいもんだけど、極めて短いながら物語興味も不思議と豊か、そういうのこそ外国語教材には一番いいんだよ、ってとこで。 |
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| No.685 | 8点 | 夕潮- 日影丈吉 | 2017/03/29 06:57 |
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| ‘凄まじき精神の沈滞からようやく浮かび上がる。。。’
何とも癖の疼く、至る所で安定失う文体。。小説を飛び越え作者の心のサンドキャッスルが随時胸に迫るが如し。この読みづらさは却って大きな魅力。 昔の伊豆諸島を舞台に、眼に浮かび匂いも漂うリアリティたっぷりの得難い文章。 理由あって島へと遅い新婚旅行に出た主人公夫婦だが、夫はやり残したアフリカ言語研究の都合で本土との間を往来。あらためて島に戻った夫は折悪しく、殺人現場近くの海岸で容疑者と目される。。 こんな舌触りも滑らかに豊潤至極な文章海鮮尽くしの末にもしや気絶を誘うようなミステリの悪魔がぬっそりと待機を決め込んでいるかと期待すれば、こりゃあもう。。 同じ島でその昔、若くして謎の死を遂げた夫の伯父と、歌人として隠遁生活を送る年の離れたその未亡人(この歌たち、日影氏自作、がまた良いの)。因縁は島の怪奇伝説に姿を変え、時を経た主人公夫婦を危なげにつつみ込まんとす。。。。 物語の手触り推移は、思わせぶりながら、本格⇒純文学⇒サスペンス⇒?? 最後は何処へ向かう。。 それでも長編推理小説は成立するのだろう。そして、怖ろしく深い穿ちを見せる’いまでも’なる何気ない言葉。或る人物から放たれる突然の”告白論”! 福永武彦さんのような『推理小説はパズルが全て』論者には最早ナンセンスの極みで耐えられなかろう程の、何しろ小説全体に渡って深甚玄奥過ぎる文芸意図の浸透っぷりですが、私は大いに好みです。 終わってみれば、そこに見えたのは土屋隆夫の「危険な童話」に一脈通じる、パノラミックに壮大な誰かの意志に基盤を置く、人を呑み込む類の大きな心理トリック。。 ただその真相が、意外とクライマックス感も希薄に通り過ぎてしまったのは、、小説実体の過度の(?)濃密さこそが罪なのかも。終結部にこそもう一段踏み込んだ大クライマックスが埋め込んであったなら、滅多に無い10点にも及ぼうかという、確かな重みある手応えを長い中盤がずっと与え続けてくれていたのは確かです。 この長編のおかげで今さら、リチャード・ハルさん(Murder of My Aunt)はリチャード・ヘルさん(Blank Generation)に名前がよく似てるって、気付いたんです。 危うく後半原稿が永遠に失われ幻の長篇になる所だった、数奇な運命の一作でもあります。命拾いの経緯についてはここでは敢えて触れませんが、今や伝説の雑誌「幻●●」が大きく関係している、とだけヒントを出しておきましょう。 なかなかの内容(上記の’命拾い’について)をあっさり語るエッセイ「小説の運命ということ」 をちょうど良い緩衝材に挟み、またエッセイのような幻想短篇「壁の男」。 不可もなく、まずまずの置き土産。 未完のごく短い遺稿「黄(服+鳥)楼」は風格鋭い台湾もの幻の第三長篇。惜しまれる。 それにしても、大阪場所の夕潮決定戦は劇的でしたなあ、稀勢の里と照ノ富士。なんちゃって。 |
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| No.684 | 7点 | カササギの計略- 才羽楽 | 2017/03/15 12:34 |
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| これ、ホワイト反転なの? 純白ってより、臙脂か、濃いめの(ちょっといやらしい)青緑でね? と思ってたら、最高に刺さるあの脇役さんが全面的結末ホワイト化の演出家に突如変身。参ったね! これぞ『逆クリスチアナ・ブランド』の精髄。彼女(クリス)が生きてたら本作の爪の垢でも反面教師にして、更なるブラック反転、否ディープターコイズブルー反転への精進にますます勤しんだかも知れない、などとあらぬ妄想しました。 「後者であることを祈ります」なる独白には笑った。
ミステリとして重要な「或るパーツ」に、小説としても実質ある重みを蒸着させた、ラストシーンの泣け過ぎるダブルミーニングには胸をつかまれました。 タイトルの、ちょっと冷たい『計略』というワードにもあらためて泣けたね。いいなあ、老衰。。 ネタバラシをちょこちょこ出したり、某叙述トリックが作品自身に一瞬にして呑み込まれちまったりしてるくせに、この。。。。 いや、その叙述なんとかの伴走者たるもう一方のアレが小説全体の厚みある何かしらと密接に絡み合い、なにしろ味わい濃く深かった(こんなに読み易いのに!)。 敬語による殊更の念押しか。。 大きな苦言は、主人公男子が「その事」に気付かなかった理由が単に 特別な経緯も無く 忘れていたから .. というあまりに大味な主要パーツの立ち位置だが .。.。.。それすらどうでもよくなるこの気持ち良い小説輪郭と、終結の、雨上がりの虹っぶりよ。 8点に大きく迫る7点を! |
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| No.683 | 7点 | 盲目の鴉- 土屋隆夫 | 2017/03/07 22:50 |
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| 警察と言う名の盲点! (←これいっそ、メイントリック的なものに使えるんじゃ!?)
或る犯行手段暴露の端緒となった時計の件、トリック側の事象はささやかなもんだが、ロジック側の、意外に伸びしろの有る推察絵巻はなかなかの鳩尾(みぞおち)連打。 あとその、トリック側の、念押しの機微ね。。 生体反応をごまかす。。。 まさか!! ぁ、そこは違ったのね。 (しかも更にもひとつ真相の奥座敷があって、とかちょっと期待しちゃった) んで、もう一つの犯行のトリックに纏わる「偶然」がね。。何とか歯を喰い縛って「必然」に持ち込めなかったかもんかと惜しまれますけどね、しかしそっすっと余程の無理が生じちゃうってワケで諦めて、まだしも有り得そうな偶然設定にしたのかな、って土屋さんの苦渋の選択に想像巡らしましたよ。 偶然と言ゃア「偶然が生み出した夜の芸術」!これゃ笑ったぞぇ(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎ 謎めいた表題の意味がミステリ的には決して深い抉りの軌道を見せるものでもなかったってのは、少しばかり惜しまれます。 位牌の件、、勝手なものよとその心を訝りつつも、泣けましたね。 それと、各章タイトルがね、さり気なくも唆るんだよね。 やっぱり、いい本ですよ。 |
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| No.682 | 8点 | レーン最後の事件- エラリイ・クイーン | 2017/02/24 00:21 |
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| ユゥモアたっぷりの導入部はロスと言うよりまるでクイーンの様! おまけに、危うく日常の謎と見紛いそうな不可解盗難&返却事件が連発!! マスタード付きハムサラダ三人前!!!
小説的に、どう考えても怪し過ぎる奴が一人いる。。しかし、いやしくもドルリー最後の事件がそんな安直な真犯人像を歓迎するだろうか。。。 そうですか、やはりそいつではなく、あの人が真犯人でしたか。。。。 緊張の手綱は中盤微妙に緩まりも見せるが、かの堂々たるラストシーンが全てを(ダブルミーニング?)眩しく包みこむ。そこへ辿り着く最後の急転直下も、突然の悲劇性と相俟って心を掴んで離さない。 どうしても先行三作を含めた四部作の終結部として読んでしまいますね。。それもまた良し。終わってみれば、前半折り返し前の予想を大きく上回る高評価領域へ。 それにしても、凄いな、この「動機」たちのぶつかり合いは! ただ、ドラマティックな真犯人特定の決め手となる心証(同種三件)が、その雄大な悲劇性に較べると若干こじんまりしているきらいはあるかも。。まぁそれは瑣末な問題ですね。 【ドルリイ・レーン最後のネタバレ】 手に伝わる振動の微妙な違いで分からないもんですかね、中が空洞か詰まってるかなんて、、 感覚が鋭敏になっているであろう人が、、、聴覚以外の。 |
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| No.681 | 7点 | 日光中宮祠事件- 松本清張 | 2017/02/19 12:09 |
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| 日光中宮祠事件/情死傍観/特技/山師/部分/厭戦/小さな旅館/老春/鴉
(角川文庫) 渋みと鋭さの光る銘品集。音楽に喩えればまるで『戦前BLUES』のような。 そんなんが好きな方にだけ薦めます。 |
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| No.680 | 7点 | 焦茶色のパステル- 岡嶋二人 | 2017/02/16 20:24 |
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| 終盤、事件に関わるカネの額がまるで等比級数の如く膨れ上がる真相暴露のスリル。血統やら汚職やら、起伏豊かなミスディレクションに気持ちよく翻弄されました。四段半つづら折り(いっそ五段で良かった?)の果てに見せ付けられる三重底、見事に落とされました。。。こりゃあ反転てより、大逆転だねえ。8点に大きく迫る7点を! 「ノックス」なる競走馬の登場にはちょっと萌えましたよ。 | |||
| No.679 | 4点 | 本格推理⑤犯罪の奇術師たち- アンソロジー(国内編集者) | 2017/02/16 18:53 |
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| 編者は鮎川哲也。 山口三樹「クロノスの罠」は熱いね、好きですよ。Tetchyさん仰る通り「時計館」を彷彿とさせる、かなりディープな領域にまで侵入したアリバイトリック。偽装のバレるきっかけがまたタマりませぬ(セクハラっぽいけど)。単体で8点やっちゃいます。他のはどれもだいたいゆるい。 | |||
| No.678 | 7点 | 世界短編傑作集5- アンソロジー(国内編集者) | 2017/02/15 07:06 |
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| やっぱパトリックことクエンティン「ある殺人者の肖像」結末が胸に残像ですよ。
企画勝負に〆も綺麗なヘクト「十五人の殺人者たち」も印象深い。 仄暗く陰惨な魅力のベイリー「黄色いなめくじ」は定番名作。 いやらしい最後の一撃にヤられるコリア「クリスマスに帰る」で悶えよう。 チャンチャンな感じのも結構入ってるが、上記4作はやはりアンフォゲッタブルな味わい。 |
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| No.677 | 6点 | 閉ざされて- 篠田真由美 | 2017/02/14 06:48 |
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| 容姿が原因で、大邸宅の一室に引き篭もること数年の主人公。兄の助言を受け、一種のセラピーとして自らの来し方を三人称の客観文章で手記に認(したた)め続ける。その文章が本小説の根幹だが、時おり手記外の独白等も混じり。。
最後に●●●●ッ●が暴露されますが、決して天地がひっくり返るわけではなく、視点が斜めに30度ずれる程度です。しかしその裏打ちとなる社会意識と人間悲劇のそれなりの厚みと、物語がそこに至るまでのそれなりに切実なサスペンスがあるから、やっぱり読んでそれなり以上に面白い。 ハンマースホイの絵は私も好きでね、自宅冷蔵庫のメモ用マグネットに使ってるんで毎日目にしてます。何ともミステリ心が惹かれる画風の人です。 |
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| No.676 | 7点 | 浅草偏奇館の殺人- 西村京太郎 | 2017/02/11 16:09 |
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| 犯人はかなり見え透いてましょうがね。。。。雰囲気で押し切られちまいまさぁね。古い浅草。。。京太郎さんの内に秘めた暗い情念が最善の方向に勢いよく噴出したかのようで。
金持ち代表エノケン登場も貧乏芸人の希望の象徴として頗る良し。心に残る一作です。 |
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| No.675 | 8点 | 招かれざる客- 笹沢左保 | 2017/02/10 16:10 |
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| 海の底みたいな娘。。 昔の大井町。。(昔みたいな一画、今も残ってますが)
ちょっと肩に力が入ってそうだが最後は上手く収まった。大胆な二部構成も却って全体像見えやすいかな、何しろトリックにロジックに社会派(労組スパイ)に恋愛に人間悲劇に男の生き様と盛りだくさん。トリックに限って見ても、色んな方面のが規模感大小入り混じりでね、面白いけどちょっと詰め込み過ぎって思う人も多いだろかね、だけど、謎の核心の所で言えば、本作実は「時計館のなんとか」に(原理は違えど)ちょっと通じるかなり悪魔チックな、でもぐっと人間臭い、灼熱系豪快アリバイトリックの話じゃねえの!? ってか【以下、伏字にしたけどネタバレ】ある意味人工的な●定時●でキメやがったって話じゃないのさキキーッッ!!(ハンケチを噛む) 探偵役(休暇中警部補)の、やっぱり何とも人間臭い足掻きっぷりも読ませてくれます。この人は良かったです。妹さんも幸せになってほしい。妹さんと言えば、なかなか無い類の余韻をくれるこのエンディング。。。 清張に先立ち自ら(昭和三十年代の)「新本格」を名乗ったという作者の、旧新本格(へんな言葉)堂々のデビュー長篇。こりゃ三十年代フェチの人に限らず、世界中のミステリファンに幅広く読まれて欲しい快作ですよね! |
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| No.674 | 6点 | 聖女の救済- 東野圭吾 | 2017/02/07 18:56 |
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| 俺の東野とは思えないほど、つかみが弱い、引き込み緩い、落としは、、 最後までなんだか出涸らし番茶味のガムを噛まされてるみたいなもどかしさ。逆トリックならぬ逆犯行てが? 大胆企画を消化しきれなかった試作品ってんじゃ。。森博嗣の失敗作っぽくないか?(って氏の作品はまだ数えるほどしか読んでませんが。)
でもまあ湯川教授はいいこと時々言うよ。「たとえ虚数解であっても。。」その虚数解の正体に魅惑されそこなったのが残念なんですけどね。 少なくとも例の(そうは言ってもなかなか凄い)トリックの方はね。。 微妙にネタバレ交じりの褒め言葉でフォローさせてもらうと、本作はフーよりハゥよりホヮイよりホヮットより「ホェンダニット」の’大きさ’で魅せる、というなかなか画期的な作品なのかも知れませんね。それともう一つ、何ダニットと呼んでいいのか全くわからない、真犯人の”その間”の気持ちね。「別な意味のハゥダニット」とでも言ったらいいのか。 うん、中盤はイマイチでも、最後に明かされる真相はやっぱなかなかだよな。そうそう『最後の物証』を巡るちょっと切ない背景物語もね。。本格推理(というか犯罪捜査)として全く無駄になってなかったってのが分かるあたり、振り返れば泣けますよ。 「存在の有無を確認するという作業は曲者でね。。」 そんなわけで読後じわじわ来て、4点⇒5点⇒6点とぐいぐい上がっちゃいましたね。 川崎フロンターレの人気サブマスコットを連想させるキャラクターが登場したのは萌えた。 それと、湯川教授と福山雅治が同一人物ではない設定だったのには笑いました(笑)。 |
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