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斎藤警部さん
平均点: 6.69点 書評数: 1433件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.733 6点 緊急役員会- 佐野洋 2017/08/25 01:04
破綻 /蛇の群れ /広い藪 /狼の巣 /武士の情 /白い蝙蝠 /震える肩 /緊急役員会 /誇り高い女
(集英社文庫)

社会派というより、いい意味で会社派(労組絡み多し)の、されど地味ならずいい具合にザワザワ派手目の短篇集。中でも出色は、いにしへの労組スパイ問題を俎上に、ミステリ興味もたっぷりと正面突破で取り組んだ表題作。その直後、デザートの様に置かれたビター・スウィート・ショート・ショートはまるで日本式クリスチアナ・ブランドの味わい。「武士の情」の見え透いチゃァいるが何とも微妙にいやらしい真相構造も忘れ難し(実生活で応用上等。。)。総じて他の作品群にもう一押しのサムシング・エルスがきらめいていたら7点行ってた。惜しい。

No.732 7点 入れ換った血- 佐野洋 2017/08/25 00:42
医学ミステリに微かなお色気で六品。結末で突然にイヤミス毒が染み渡る表題作、犯罪動機の意外な重さに圧倒される「メスの怒り」を始め、読み易くもずっしり来る充実の作品が並ぶ。「棘のある肌」エンディングの(現在の出版コードではかなり際どかろう)悲痛な叫びもアンフォゲッタブル。。。

入れ換わった血/狂女の微笑/棘のある肌/満月様顔貌/メスの怒り/毛皮の家
(講談社文庫)

No.731 7点 共犯捜査- 堂場瞬一 2017/08/23 06:32
舞台は博多。直球勝負で資産家の孫娘を狙った王道誘拐事件。ところがそこへ喰い込む様に、謎だらけの、町工場貧乏暇無し社長の息子誘拐事件が発生。後者の事件を爆発的不自然さでタレ込んだのが水商売を渡り歩く初老のチンピラ退職警官! 物語序盤、主人公(若手刑事)の尾行車に追い立てられる様に埠頭から博多港へダイヴで溺死した犯人一味らしき男。。この一件を責められ苦境に立つ主人公がのたうち回るリベンジを中心に据えた、魅力たっぷりこってりの警察小説。分厚い中盤の読み応えは相当の吸着力。こりゃ面白い!! 所々主人公の甘さが鼻につく場面もあるが、こんだけ小説が良ければ大いに許容の内。不規則げな折々に挿入される’黒幕らしき者’の独白も推進力あることあること。 最後は本格技の斜めヒネリどんでん返しで、、なのに何故かアッサリと(本格色を前面に出し過ぎないための配慮か?)明日を見つめながら。。 終結。 ところで、明かされる真相は某有名ハードボイルド作家の作風を連想させるかもね。。なんちゃって。余計なこと言いました。 7点でもかなり上の方。

No.730 4点 遺骨- アーロン・エルキンズ 2017/08/21 06:48
抑制あるユーモアと彩りある会話で優雅に引き伸ばされた推理クイズの様、なのは現在に起きた殺人事件解決のほう。ではメインディッシュらしき(?)十年前の事件真相のほうは。。ユーモアに加えて少しはミステリ要素の深みもあったかな。まず愉しく読めるんですけどね、最後に、アレっ、と軽い肩透かし。 どちらにせよ、もっと意外性が欲しかった。
終わり近く(真相暴露前)、結局やる事になった野外パーティシーンのキラキラ明るい導入部が素敵です。

No.729 7点 アヒルと鴨のコインロッカー- 伊坂幸太郎 2017/08/20 08:04
両手いっぱいの伏線が律儀に回収される割には、いくつも贅沢げに並走する社会派要素がミステリ的に未検討で残されたまま。生煮えのオクラやら噛み砕けない魚の骨が混じったごった煮スープの様な”詰め残し”が感じられる。最後の●●●●暴露時にゃ中町○「○○の殺意」のそれに似た肩透かしがちょぃと。が、別に不満はありません。青春だから。。(結局□□と▼▼は一度も会っていないのか!)
ところで、「そこ」で流れ続けるディランの曲として選ばれたのが’Like A Rolling Stone ’ってのが泣かせます。 自分としては二次候補として’Going, Going, Gone’も挙げておきたいぜ?

ミステリとして面白いと思うのは・・・・・・・ここからネタバレと思う・・・・・・・叙述騙し絵のターゲットが、奥まで探ってみると実は「主人公」だった、という所ですか。 その主人公(???)が独白する「自分の生活の中では自分が主役だと思っていても云々」って台詞が物語の枠内で、その枠を打ち破らんとまでに反響する仕組みですよね。 さて本当の主役は、もしやまさかボブ゙・ディランなのか?なんて思っちゃったりもしました。
最後に、無意識に感じたネタバレ度強の違和感は「河崎ってそこまで美男子なんだっけか?」

No.728 7点 空白の殺意- 中町信 2017/08/19 08:43
薄さが旨い、霞のような後味...と思えば拈(ひね)りの内出血で〆。 夏の純米酒なら、最後のワンセンテンスは無いが良いが、本作は酒ではなく長篇ミステリ小説であるから、これくらい僅かなエグ味を残されるのも悪くない。 ゴールでもラストパスでもなく憎いスルーで決めてくれた感触。うむ、こりゃ作者会心の笑みも納得の綺麗な立ち去り姿。 おっと、結末だけでなく、微かにイヤミスの薫り漂う序盤から、趣きあるアリバイトリックに翻弄色濃厚な人間関係を廻って興味津々の中盤~終盤へと、ちょいとトボケた顔して、読者牽引の連投持続は抜群なモノがあるのでございます。 

折りしも高校野球の絡む物語ですが、今やってる夏のじゃなく春のセンバツ(しかも秋の地区大会)。野球シーンはテレビ映像でチョコっとしか出て来ません。(生前の作者は大のジャイアンツファンとのこと)

ところで、英題’THE HOLLOW FUGUE(空虚なるフーガ)’は穿ち過ぎ。そんな嫌らしさで本作は勝負してませんよね。

No.727 7点 わが名はレッド- シェイマス・スミス 2017/08/17 03:28
舞台は北アイルランド。 しこりと疑問を引き摺りながら、悠然と締め付けに掛かる悪夢のホヮットダニット、そしてさり気ないホヮイダニットの収斂っぷりが本作の肝。 日韓W杯の2002年に”「史上最悪」の暗黒小説”と評された作品。 赤子の頃に自分と双子の弟をハメた(地獄の孤児院に棄てた)自らの親族達に遠大計画(二十年!!)の残虐な復讐を遂行せんとする頭脳明晰の主人公レッドは、計画の途上で遭遇したサイコ殺人鬼ピカソにちょいと妨害され、逆に利用し、遂には。。。その渦中でうねる様に翻弄され続けるのはやはり孤児院出身、実の親を突き止めんとするルシール。彼女は最終的にレッドの犯す兇悪殺人罪の全てを覆い被せられる予定だが。。。。短い各章毎にレッド、ピカソ、ルシールと語り手が切り替わり物語は堂々進行。暗黒の残虐描写は期待し過ぎないほうが良い。世評的イメージを裏切り、純粋にミステリ(新本格?)としてガッツリ愉しめる一作。 7.48惜しくも7点!

No.726 8点 虚無への供物- 中井英夫 2017/08/04 08:17
“歩くとオルガンめいて鳴る階段”!!!

こりゃゆぅっくぅり味わって読みたくなるね、冒頭の猥雑シーンからしてまァ。。

亂步さんは第二章までの応募原稿を読み、そこで完結と勘違いした上で本作を絶賛したそうだが、むかし私も映画「キルビル」を観た時、二部完結の第一部と知らず、何て凄い、独特過ぎる、感動の嵐を残すバッサリした終り方なんだ。。!! と誠に感じ入ったものでした。 亂步さんもオイラと同じような事してたんだなァ。。 ってが

「犯行時、犯人がドアだったもの。」 ← 何なんですか、これ

本作、再設計の途上で気がふれた「毒チョコ」のようでもありますが。。 言われるほど奇書とも見えんが、奇想は感じましたよ。 ラストシーンの味わい深さと言ったら。。
そして、いい題名だよね。。。。。

オリジナル装丁が武満徹(世界的作曲家)というのも何だか流石の逸話力です。

第三章滑り出しのミステリ興味刷新スプラッシュ浴びせっぷりはなかなか!!

表の謎はナンだカ地味ダナ。奥に在るのかもしれない方の謎だか何だかは、思わせぶりだが。。
後半より露骨になる叙述の揺らぎ。 ”第一条”の機微に絡め取られる叙述操作の妙かよアハハ 。。。
この、後半の後半の後半を追い詰めるに連れまるで等比級数トルネードの様に抉り締め付ける叙述力の加速度見せ付けの、それも何故か何処かゆぅったりとした。。 そうです、バン、ババンバンババンバババン、と擬似銃声の音が鳴り出したものです、終結近くの或る部分に進んだその瞬間!

終章「57」の表題は、日本の某歴史的ミステリ名作に何らかのインスピレーションを与えているのかも知れません。。?

最後のほう、「人間との約束」。。 これに匹敵するもう一つのキーワード、何だっけナ忘れた。。。 その後も王冠から零れ落ちる宝石たちのように素晴らしく印象深いワード、フレーズ群をあちこちで散見しました。 じっとり汗ばみましたよ。。。。 まず満足。天晴の一作ですね。

ソウルファンとしては、アリ・オリ・ウッドソンを思い綴らずにはいない名の重要登場人物に逢えたのも嬉しい誤算。

そういや昔のHMMで「初めて読んだミステリは悪友に借りた『虚無への供物』、一晩で読破」って大学生がインタビューに応えてたのを思い出しました。色んな意味で初めてには不適の一冊と思いますが。

No.725 7点 架空通貨- 池井戸潤 2017/07/28 04:22
ライアルが経済の領海を渡ったかの様な冒険ミステリ。表題からてっきり電子系の考察レポートを想像したら、全く違いました。泥臭い地方都市クローズドのお話。かと思えば。。ヒ、ヒ、ヒ、、
ラストスパートほど近く、物語のごく早い段階で登場したチョイ役コンビの存在感がまるで円弧を描くように生きていたのは泣けました。君たちは虹だ! その直後に現れたまさかの●●屋アゲィンも最高のワケ知り合いの手!
立体的によくうねる展開、謎もスリルもガッツリ持続で愉しませてくれるエンタテインメント良書です。 終結部だけちょっとチンマリまとまっちゃった感はある。。が、某重要人物の「その後」に何とも渋い含みを持たせて終るなど、そう単純な○善○悪でもない。 あと、余計な萌えに走らないのは良かった。
旧いR&Bファンにはアーニー・ケイドーを思い出さずにいられない名前の池井戸さん。本サイトでは意外と評が少ないのね。

No.724 4点 殺人交響曲- 草野唯雄 2017/07/27 04:09
意外な犯人趣向に構成の妙が光る作品も前半には有ったが、、後半となると締まりと品の無いユーモアになんとか支えられた薄味ポンコツミステリばかり(ま憎めないのが良い所)。
だいたい、このタイトル羅列見ただけでなんとも統制の無い、ゆるぅーい雰囲気伝わって来ません? 

殺人交響曲 /火事泥作戦 /ガス /男はつらいよ /なんとなくスローなデカ /肩の血
(角川文庫)

No.723 8点 新車の中の女- セバスチアン・ジャプリゾ 2017/07/26 06:50
「おれの顔はこんなふうだろう。。。。?」

盗んだ四輪(クルマ)で走り出す、パリの尾崎豊ことダニーは広告会社の美人タイピスト。残った仕事は社長の自宅でテレワークとしゃれ込み、翌朝旅行に出る社長夫婦(妻はダニーの高慢ちきな幼なじみ)を新車のサンダーバードで空港に送ると、そのまま社長宅に戻、らずいつしかマルセイユ目指して南下一直線。。。。 と・こ・ろ・ガ・・・ 「逆・幻の女」のような、言ってみりゃ「●重・逆・幻の女」のような、、不可解な疑惑と状況証拠に小突き回されつつ時おり恋に落ちたりもするダニーでありました。

語り口はふわふわ幻想、雲の中。。なのに座標くっきりなのは、その枢軸にパリ➡マルセイユの見えやすい一本道がストーリーの脊髄をくっきりレペゼンしてくれるからでありましょう。 各章頭の念押し地図掲載もモノ有り気でありつ有効。 にしても思索のみならず行動まで霧のような幻を纏い纏われじゃないですかっ。てネ。。 その約三十分間。。。。。。そこで分からなくなるのか。。また、三十分、、三十分後?

物語の感触推移は、ざっくばらんに
イヤミス➡︎幻想イヤミス➡︎ポジティヴイヤミス(時たまハードボイルド)➡︎真相暴露(いきなり本格)
といった所。

投射逆光法… ぁァ、キラキラし てき たよ… 結末披歴の二つ折れ後半から急遽キラキラしだすんだよ。。たとえどんなに主要登場人物の一角がクソ野郎であろうと、この崇高なる物語構築のキラキラ力で自浄圧倒、最ッッ高のエンディングまで独走! この終わりは良いですよ。。 若き日の連城師匠がお手本にしたのも頷け放題、ファッキン・ジャップことジャプリゾの面目躍如作。夏に読もうぜ! 

No.722 7点 ある晴れた朝 突然に- ハドリー・チェイス 2017/07/21 12:24
奇蹟の優雅な隠遁生活を送る元ギャングの大ボスが再び犯罪に手を染める。切羽詰った理由があった。全財産を預けた弁護士が裏切った。背信の運用ミスで破産した弁護士は自殺。残された大ボスも一文無しだ。そこで、億万長者の自身とも又更に桁違いの超大富豪(テキサス石油王)の一人娘を誘拐し、いまだ衰えぬ警察からの巧みな身のかわしで巨額の(石油王から見て大した出費ではないと想定された)身代金をサクッと奪うって算段。。昔の相棒、その凶悪(ヤバ)過ぎる配下(双子兄妹)、大胆で周到な計略、思惑、錯綜、探り合い 嗚呼たまらねえ 探り合い。。 話が進むに連れ展開がブッ飛びカッ飛びの一途、作者の手綱が本当に有んのか無えのか、とうとうまさかのあいつまで。。この有機的錯綜の炸裂は世慣れたリアリティある絵空事ならではの最高のモツ揚げカレーラーメン風情だ。その意気だ、モー! ひとりじゃさびしいのかい?… 推移、推移、拡散、奇蹟の再会。。 五歳差!! ァャハ!! それにしたって想定外に過ぎる大胆な直角展開テンコ盛りだな! 何しろ力点だか重点だか瞬間移動し過ぎだろハドリィめ!!〝〝 さて、オープニング・シーンは何故か、有名劇作家宅への不審者侵入なのですが。。
そういやこの物語には(も)パラダイス・シティが登場する。 ♪ Take me down ~

No.721 7点 殺人はお好き?- 小泉喜美子 2017/07/13 11:01
「三十秒早過ぎたよ。。」←MLTR(Michael Learns To Rock)の名バラード ♪ 25 minutes (too late) .. を彷彿とさせる何とも切ない、そして事件の残酷な核心を抉る、お洒落なのに強烈な台詞。「まだ数をごまかすつもりかい?」そして’角度’さえも。。 悔しいけれど真相知ったら再読したくなったよ。インチキハードボイルド、ユゥモォサスペンス、叙述トリック草創期(?)。。主人公がいくら女にモテモテでも男目線じゃ(マーロウなんかと違い)決して格好良くない人物造形なのは著者が女子のせいか。。なんて思って読んでたら、最終コーナーが近付くにつれ。。 それにしても、小泉さん処女ミステリ長篇の本作、ご本人の文庫解説によれば、かなり特殊な新聞に連載されてたそうで。。。。
サーフ・シティ登場には流石に萌えましたよᕦ(ò_óˇ)ᕤ

No.720 6点 マギル卿最後の旅- F・W・クロフツ 2017/07/11 23:07
なんと、この小説にはハーバート ブリーンが登場します。 それと、どうしても少年隊の『仮面舞踏会』を思い出してしまう名前の人物が。。 さてベルファスト出身ロンドン在住の老実業家は、故郷である出張先の北アイルランドで行方を失い、やがて遺体で見つかります。容疑者と目されたのは息子と甥。被害者は繊維関係の特許と莫大な財産に繋がる画期的技術文書を携行していたと目されており。。。 海路陸路の旅情は沁みるが、他は小味な長篇。犯人糾弾とアリバイ粉砕の併走と思いきや、、意外な非犯人?? ドンデンまで行かないトンテン返しの様な奇妙な味わい深さがある。ソウルファンとして“ウィガン通過”シーンはちょぃと萌えました。

お喋りは喉の乾くものなのだから、何か舌を滑らかにしてくれるものを。。 ←気に入ったフレーズ

No.719 6点 密室殺人- 鮎川哲也 2017/07/09 12:40
赤い密室/白い密室/青い密室/矛盾する足跡/海辺の悲劇
(集英社文庫)

密室トリコロール揃い踏み+小品二つ。ま「青密」も風情は小品。
最後の「海辺の悲劇」、 軽いお話なんだけど、妙に後引く鮎川の抒情があってさ。。

No.718 6点 ブラウン神父の秘密- G・K・チェスタトン 2017/07/09 11:07
チンマリ纏りの良い、どことなく明るい雰囲気の作品が目立つ。そんな中でラス前「マーンの服喪者」これがいきなりズウンと来るね。後半ロスタイムでまさかのロングシュート、決められました。。。 「最悪の犯罪」も物々しい雰囲気と表題に吸い寄せられるけど、、身の毛までは弥立たない。

プロローグとエピローグを形成する二篇「ブラウン神父の秘密」「フランボウの秘密」の趣深さはなかなか。全体通せばブラウン神父の中ではそう高評価も出来ないが、憎めない、忘れられない一冊だ。

No.717 8点 座席番号13- 島田一男 2017/07/07 10:53
昭和三十年代。 上野、谷中、根岸、、気っ風のいい町医者が鐵道と愛慾がらみの怪事件をちょっとしたキッカケから一瞬のヒラメキで一気に解いちまう短篇八本。何時もの手練れの味が堪能出来るが、本作群は特に伏線の張り方が実~~に巧み、地のムードにすんなり溶け込み過ぎだよ! 話の本拠地が轢死と縁深い鐵路そばだけに物理的残酷味も時に濃厚だが三十年代らしい殺伐なりの人情厚さもよく機能しほろ苦く中和。 主人公を中心に磁場を拡げる臨場感、連帯感、危機感、安心感、存在感、、コッツ、コッツと靴音響く、、ゴーリ、ゴーリと◯を斬る、、スカリッ、と切り取られた○が電車の車輪に貼り付いた 、 、 っとシマイチ先生ならではのカタカナ擬音擬態語も素敵に充実臨場感。 カーの人気作を思わす大胆トリック登場、ブラウン神父直系応用篇ちらほら(こっちの医師は神父よりちィと無骨だが) 、 そして最高の。。まるで下町過ぎるクリスチアナ・ブランドの様な。。。表題作。 いやァそれにしても、今年も島田一男の夏到来ですな。。

ビンづめの拷問 /首をちぢめる男 /ある暴走記録 /かげろう機関車 /機関車は偽らず /座席番号13 /顔のある車輪 /ノイローゼ殺人事件
(春陽文庫)

No.716 8点 犯罪- フェルディナント・フォン・シーラッハ 2017/07/03 17:20
「タナタ氏の茶盌」この味わい深さ、最高よ。

「某作」ここまで醪深い殺人シーン、無かったぜ俺のミステリ半生に。。二時間後。。。。。。。。さらなる七時間。。。 激しい、重い、最後の最後は強過ぎる。

なんて頑丈な、絶壁四方対峙型の作者だ!!!!!!!!

ミステリ興味は幻の楼閣ながら、最後の台詞まで表題の存在を忘れさせる技倆が激マブな「某作」。
奇妙な味の真髄を更に研磨せんとする「棘」に「愛情」。

我が愛するクリスチアナ・ブランドの精妙ないやらしさを凌駕しそうで思わず抹殺したくなる作者との邂逅、有り難く受け取りたい。冷静になった頃あらためて愛してやりたい。

暗黒の出生から始まった曲折の末、◯◯で〆るに至る「某作」の◯◯さも格別。

嗚呼、何だか清張とクリスチアナの合わせ技みたいなシーンに出くわすたび、体の芯が波動を繰り返しますよ。

No.715 5点 動かぬ証拠- 蘇部健一 2017/06/27 19:54
山崎豊子の「沈まぬ太陽」を髣髴とさせる題名ですが、中身は全く違う代物ですので、間違えて買わないようにしましょう。
結末というかオチ(動かぬ証拠、但しそう言い難いのも中には混じる)を捲った最終ページのイラストで瞬殺理解させるという企画にはなかなかの男気を感じます。
全体的に鮎川哲也のチャラい系倒叙短篇っぽいストーリーのが多いですが、⬅︎ここでわざわざ「鮎川哲也の」と書いたのがミソで、それなりにカッチリした本格ミステリ興味に裏打ちされた短篇が並んではいます。

中で最も結末に重みを感じる「しゃべり過ぎの凶器」。文章だけでもイケそなとこだが、わざわざ写実性高いイラストで『動かぬ証拠』を表した効果は確かにあった。
笑い方向への一撃となるとやはり「宿敵」。これも瞬殺イラストならではのインパクト。
一見地味な所で、一瞬ええっ!?と思い、秘められたストーリー部分に想いを馳せる「再会」。。。。これちょっと泣けませんか?
中にはオチ・イラスト化になってないのもあったりすんだけど、そいつも作品自体は詰まらなくない。
だけど、最後のイラスト収束に拘るあまり折角もっといい感じに膨らませそうなミステリ脈路をわざわざ窄めて終わらせてないか? ってのもある、二人の漫画家のヤツとか。

だけどね、ついついスイスイ読んでしまうのよ、アタシこういうの。でチョッピリ後悔するの。あなたはどうかしら?

No.714 8点 燃える男- A・J・クィネル 2017/06/25 17:47
男の三面鏡は反射角がソッポを向いてんだ。いや、ありふれた言い草より遥かに広大な女と男の四面鏡は。。そんな柔軟構造の素敵な『価値ある復讐』力作長篇だ(何言ってんだか分かんねえ)。
条件どうしの和やかに不穏な噛ませ合いから始まって。。主役も相棒も某も魅力あるな。リカが異様に美人設定なのも納得だ。ほぼルックスだけで彼らとのキャラクター勝負に引き分けなきゃならんのだからな。なんて思っていたよ。。 ピンタ。。。。。。。 君の可能性よ。。

『島』でのあのキラキラした大離別のひとくさり。 と、その後の一連の。。更に某との乾いたようで情けの沁みる別れのシーンまで最高にジーンとさせられる。
再会の後のまた再会。トビウオの様な叙述遠近法。 最高の’オーライ’ がそこに。

クリーシィ(主役、燃える男、元傭兵の星)がドクター・フックなんてチャラい音楽を好むのは驚いた。ブルー・バイユーはロイよりリンダか。ジョニー・キャッシュは俺も好みだぜ(刑事コロンボにも犯人役で出てましたね)。 ところで、その”逆アイリッシュコーヒー”みたいなカクテル、胸騒ぎを唆すよ。

なかなか刺さる’チョイ役バカ’の極限臨界瞬殺推理には眼を瞠った。

最終局面がちょっとだけバタバタの尻すぼみだったかな。。しかしラストシーンとエピローグの簡潔な味わい深さは格別。全篇通して名作力作。 読んでみい!

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斎藤警部さん
ひとこと
昔の創元推理文庫「本格」のマークだった「?おじさん」の横顔ですけど、あれどっちかつうと「本格」より「ハードボイルド」の探偵のイメージでないですか?
好きな作家
鮎川 清張 島荘 東野 クリスチアナ 京太郎 風太郎 連城
採点傾向
平均点: 6.69点   採点数: 1433件
採点の多い作家(TOP10)
東野圭吾(60)
松本清張(57)
鮎川哲也(51)
佐野洋(40)
アガサ・クリスティー(38)
島田荘司(38)
西村京太郎(36)
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F・W・クロフツ(25)