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斎藤警部さん
平均点: 6.70点 書評数: 1307件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.17 8点 むかし僕が死んだ家- 東野圭吾 2015/08/07 12:44
清冽な、おいしい水を少しずつ呑むように読みました。
東野作品の中でも特に美しい記憶に留まっている一作。

No.16 7点 新参者- 東野圭吾 2015/07/23 19:02
「日常の謎」の連作短篇群、かと思うと前の話と次の話が連関していたりする、かと思っていると最後に。。 こりゃちょいとヤラレました。

泣ける場面も結構登場、爽やかで深みのある一冊。 君に、読んで欲しいんだ。。(誰だよ)

No.15 8点 容疑者Xの献身- 東野圭吾 2015/07/23 18:59
悪魔的密室トリックと言えば「全F」。 さて、この作品の中核にあるのは悪魔的アリバイトリックと、報われぬ恋、。。なんて言っておきましょうか。 いえ「悪魔的」は言い過ぎですね、だけど犯人(さて誰の事?)の行ったアリバイ偽装工作の中心に、後々まで非難の絶えない悪魔的行為が陣取っているわけでね。。

直木賞作品と聞いて予想した程の文学的感動は無く、ミステリ興味に偏った感慨を得たのは意外でありました。

悪魔のアリバイ・トリック(いやXXトリック?)は全く見破れませんでしたが、「容疑者Xは何故投獄される事をよしとしたのか?」の、恋情以外の大きな理由、ある種のホヮイダニット、天才数学者ならではのその理由は読書中ずっと予感していた通りで、正解と知ってちょっと気持ち良かったぜ。

No.14 6点 卒業−雪月花殺人ゲーム- 東野圭吾 2015/06/24 06:38
副題の通り、ゲーム的トリックが数学的愉悦を運んで来る~
茶道の複雑な作法に基づいた一連のナニは、まさか「黒いトランク」への遠回しなオマージュじゃないでしょうね?

No.13 7点 同級生- 東野圭吾 2015/06/24 06:33
東野さんが書くと学生モンも素敵。眼が醒めるほどのサムシング・ショッキングは無いけど、やっぱり確実に何か仕掛けて来る。悪くないぜ。 たしかいつかのフジロックフェスに持ってって読んだ筈。 

No.12 8点 手紙- 東野圭吾 2015/06/19 11:28
○○はいい奴だなァ、チクショウ!!(涙) 

(以降ネタバレ的)
会話や地の文から「この人は裏切らないんじゃないか」と予想した登場人物が、主人公の兄の事が露見(わか)る度にあっけなく離れて行く。「まさかこいつは」と思った奴もいつか壁を作ってよそよそしくなる。「まさか」感の分だけ主人公と同じショックを味わい、辛い気持ちがよく伝わる。
そこで『最後まで主人公を裏切らないのは誰か』という、一種の「犯人捜し」的趣向の読み方(パット・マガーじゃないけど「友達を捜せ!」みたいな)をしてみたら、これが見事に的中。○○だけは本当に裏表の無い奴なんだな! 信じて良かったよ!! 
もちろん、○○だけでなく▽▽も最後まで主人公を支えるんだけど、▽▽の場合はまたちょっと違う関係だからね。もちろん「あの人」だって最後まで見捨てない。見捨てるわけが無い。「あの人」ってのは主人公の兄の事。 (そうだ、あの社長だって自分の有り様で味方じゃないか!)

さて主人公が読みもせず破り捨てた幾通かの手紙、この読まれなかった手紙が伏線となって、何か最後に大化けするのでは、と予想もしましたが。。

ほとんど終わりの方、いきなりハッピーエンド風な場面に変わり、このまま最後のドンデン返し(?)まではずっとハッピーなままで行くのかと思ったらまたしてもまさかの裏切りの急展開、という本当に予断を許さない物語のあり方こそ、一定の根拠ある差別、或いは単に差別というものの厳しさを暗示しているようにも感じました。

意外な所から登場する最後の「手紙」では泣けなかった。(その意外性にはミステリ的に感動)
私が泣けたのは、終結近く○○が再登場するシーン。この物語には兄弟愛も親子愛も夫婦愛もあるが、主人公と○○の友情こそ最高の救いだと思う。

一番最後のシーン、主人公は実に困った状態に立たされてしまう。だがすぐそばには○○がいる。機転の利く○○は絶対に笑顔で切り抜けてくれる。 そんな眩しい希望を放って、物語は終わりました。

No.11 6点 眠りの森- 東野圭吾 2015/06/16 05:03
これはちょっと、東野基準では平板だよなあ。 それでも充分、仕掛けてて面白いんだけどね。

No.10 7点 トキオ- 東野圭吾 2015/06/16 05:02
爽やかに泣けるSFミステリ。 親子と夫婦の人情話。 きれいなファンタジー。
いっけん一筋縄で行ってしまいそうな風でも、確実に何かどこかに仕掛けて来るんだな、東野圭吾は。

No.9 6点 11文字の殺人- 東野圭吾 2015/06/10 09:05
平日夜、電車内と自宅で一気に読みきったものです。
東野圭吾の手に掛かれば、こんな読み捨て向きの内容でも立派なA級作品になるんだなあと、今さらながら思う。
もっと徹底して安っぽいのが読みたい人には、お薦め出来ない気高さが、やはりどこかしら漂ってます(だから良いというのでもないが)。
ただ、タイトルは思わせぶりな割に、羊頭狗肉かと。

No.8 6点 レイクサイド- 東野圭吾 2015/06/10 08:44
東野作品にしては新機軸にこだわらずあっさり書いた印象。。 と思ってると最後にやっぱりズン!と来た。 子どもを巻き込む陰鬱な内容の割に、妙に薄味なんだけどね。。 何にせよサスペンスと意外な展開/終結は保証付き。 社会派めいたものはさほど感じず。

No.7 7点 変身- 東野圭吾 2015/06/04 12:41
話の展開に「そう来るか!」的な意外性は薄い。 が、予感した通りに進んで行ってもサスペンスは強烈で全く飽きさせない。このへんは(わざと次々に予感させるのが得意な)松本清張の長編に通じるかも。
「宿命」の続編的イメージで読んでみましたが、同じく先端医学をテーマにしても全く別種のストーリー。しかし何かしら繋がっていますよね。

No.6 8点 魔球- 東野圭吾 2015/06/01 12:36
題名からして、東野さん最初期らしい(ミステリーとして充実しているが)軽めのお話かな、と思ったらこれが相当重い、暗い、長い謎を抱えた問題作で圧倒されました。悲劇としてもさることながら、何より本格ミステリーとして最高によく出来ていると思います。本作も実は隠れた「社会派と本格の融合」ってやつなのか? ただ'腕を切断'の理由や描写に、ほんの微妙な違和感を感じました。

No.5 7点 鳥人計画- 東野圭吾 2015/06/01 12:20
科学の力をリアリティたっぷりに書かれると、東野さんの匂うような怖さは一線を超えます。
緻密に描写されたり暗示されたりする悪者達(??)の執念も圧倒的。    
しかし、中心にある大ネタ主題をワンアイデア勝負に持ち込まず、ここまで有機的に込み入ったプロットにまで展開させるのは、さすが科学の子です東野さん。

No.4 9点 宿命- 東野圭吾 2015/05/19 19:55
現代の巨匠東野圭吾がキャリア初期に早くも打ち立てた金字塔ではないでしょうか。
彼ならではの軽くて深い文体で、深くて重い主題(さて、それは果たして何か?)に取り組んでいますが、最後にとても爽快な気分で〆る粋な計らいが眩しく、又そのラストシーンまで質感たっぷりに持って行ける文章の安定感に心から感服します。

No.3 8点 悪意- 東野圭吾 2015/05/15 19:43
叙述の鬼でした。。。。 

再読するにはちょっと、物語の風圧が強すぎて気が引けるけど、やはり傑作でしょう。

実人生への教訓にしたくなるエンディング、というかお話ですよね。

No.2 8点 白馬山荘殺人事件- 東野圭吾 2015/05/13 12:48
かなり終盤近くまで「こりゃまさかありきたりな山荘密室殺人モンかァ?」なんて思ってたんだけど、不思議と飽きさせない何かがあって
とうとう最後の最後の最後のドラマティックな結末に辿り着く事が出来ました。

このミステリーの何が画期的(と私には思えた)って、
まず本当の○○○が誰だか最後まで分からない、と言うよりむしろ物語を見る角度や次元によって○○○が誰なのか様々な解釈が可能という事。。 そこまでなら古い作品にも類例があったと思いましたが、
のみならず○○だって単純に誰かを特定するのに躊躇しそうなストーリーの重層ぶりですし、
更には○○○ですら実は誰や誰がそれに当たるのかちょっと考えさせられてしまう、
その三方向からの重層感覚が一つに噛み合ったところに生まれたのは本当に4D万華鏡の様な、ミステリーの意外性に裏打ちされたミステリーならではの人間ドラマでした。

なんかおかしな書き方をしてしまいましたが、決してわけのわからない錯綜したお話ではありません。
ストーリーテリングそのものは、いたってシンプルです。

やはり彼らしく「軽い文体で深い内容を」描き切る事に見事に成功しています。 
極初期の、若い頃の作品で既にこんな感じ。流石ですよ。

No.1 6点 殺人の門- 東野圭吾 2015/02/13 12:33
この小説をもし松本清張が書いていたらどんなだったろう、とずっと想像しながら読んでしまいました。
倉持の様々な悪行の動機が最後に明かされるわけですが、最初の方に伏線とも言えないほど堂々と記載されているにも関わらず、その後の怒涛のような田島の不幸の展開ですっかり目くらましされていたな、と。 しかし田島はなんでこんなに何度も丸め込まれるんだ。。
物語本筋とはまるで無関係だけど、不敬罪に問われそうなとある台詞がサラッと出て来たのがやけに印象に残っています。
あと、主人公と同部屋だったヤンキー上がりの彼にすごく好感。てか、基本的に二人の男が対峙する構造の物語なのに、大勢の脇役達がやけに皆しっかり描かれていますね。それでいてストーリーを混濁させない筆力も流石。

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斎藤警部さん
ひとこと
昔の創元推理文庫「本格」のマークだった「?おじさん」の横顔ですけど、あれどっちかつうと「本格」より「ハードボイルド」の探偵のイメージでないですか?
好きな作家
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