皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
バードさん |
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平均点: 6.14点 | 書評数: 324件 |
No.10 | 5点 | 長い長い殺人- 宮部みゆき | 2022/05/02 10:09 |
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『模倣犯』のプロトタイプという印象だが、あちらの方が犯人側の描写が丁寧で、決着の付け方もはまっており総合的に出来が良い。個人的に『模倣犯』と一番差を感じたのは、犯人組のキャラ付けだ。ピースは好きでないが本作の薄味な犯人組と違い嫌いなキャラとして印象に残るよう書けていたので。
他に本作のオリジナル要素として財布視点で話が進行するという点があるが、何だか子供向けの絵本を読んでいる感じで、そこに良さは見出せなかった。子供向けのような語りとサスペンスのアンバランスさには少しくすっとできるが加点ポイントというにはちと弱い。 |
No.9 | 8点 | 蒲生邸事件- 宮部みゆき | 2020/09/21 22:32 |
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これまで宮部作品については、サスペンス系中心に読んできたので、そうでない本作は新鮮だった。本作は歴史要素、ファンタジー要素、本格要素がバランス良くかみ合った良作という印象。あと、個人的に宮部さんの文章はやはり好みだ。
<以下本作の書評ではなく、時間移動について私の考え> 時間移動物を見るたびに 「時間移動した者が過去や未来の自分に遭遇するのは、おかしい」 と思う。(理由は後述) 本作にはそのような場面はないが、死んだ黒井が終盤で登場するので、同矛盾をはらむ設定と思う。 というのも、Aさんが現在から、異なる時代tに移動するとする。そして、時代tには時間移動するAさんとは別個体のAさん(以降この個体をA_tとする)がいるとする。同様に時代tよりε(任意の正数)だけ前、後の時代、にもA_(t±ε)がいるとする。 時間は連続的だから、A_tのtは連続変数であり、A_tの集合は無限集合ということになる。つまり各時代から、Aさんを同時代に集合させたら、∞人のAさんが並ぶことになり、これは明らかにエネルギー保存則と矛盾する。(それとも、全時代のエネルギーの和は保存されてるからいいのかな?) 上記の考察は相対論素人によるものなので、穴だらけとは思います。もし物理(特に相対論)に詳しい方がいたら、ぜひこのテーマについて講義していただきたいです。時間変換のローレンツ変換に何かトリックがあるんですかね? |
No.8 | 4点 | スナーク狩り- 宮部みゆき | 2019/11/07 19:25 |
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本作を読んで一つ自分の嗜好に気が付いた。どうやら私は
映像・音声娯楽(テレビ、ラジオ):LIVE感、スピード感 書籍娯楽(小説、漫画):じっくりと味わい深い感じ を求めているようだ。(もちろん傾向なだけでこれが絶対ではない。) 本書は非常に事件の展開が早く作中で流れる時間は半日程。この目まぐるしさは映像で見た方が面白そうだなあと読んでる途中で思った。これまで読んだ宮部さんの作品は概ね好きで本書も決して嫌いではないのだが、キャラクターがなじむ前に物語が終わってしまったようなもったいなさがあり、総合的には物足りなかった。(別に「模倣犯」のようにページを増やせという意味ではないです。) |
No.7 | 6点 | 模倣犯- 宮部みゆき | 2019/04/13 11:19 |
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総合的に率直な点数を付けるとこんなもんかと。
関係者が事件に奔走される様に緩急をつけ、見事に読ませており上手と感じた。事件に向き合いつつ被害者遺族がどう生きるか、加害者遺族がどう行動すべきか、栗橋の最初の犯行までの流れ、高井和明のスタンス、ライター側の考え方など、良くも悪くも人が考え行動していて見ごたえがあった。 ただし作中の脚本家?でしたっけ?彼が3流で、奴がでしゃばり始めた後半はできの悪い芝居を見せられてるみたいでだめね。あの程度で一流を語るなんて身の程しらずもいいとこでしょ。タイトルの模倣犯が回収されるシーンは大好き。 |
No.6 | 7点 | 理由- 宮部みゆき | 2018/11/24 13:07 |
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先が気になり一気に読んでしまった。それは700ページ近い作品をわずか2日で読みきったという点から間違いない。読んでる間は面白かった。しかし、月日がたつと忘れてしまいそうな作品という気がする。
つまり何が言いたいのかというと、話は良かった(8-9点)が、ミステリとしてガツンとインパクトのある何かはない(5-6点)という印象で、脳に衝撃を与えるタイプの作品ではない。(別作者だが、ゴールデンスランバーを読んで受けた印象に似ている。) 具体的に良かった点を挙げると、被害者らの身元に関する謎をひっぱることで緊張感をなくさずに読ませたという点かしら。それらが明らかになる中盤が一番読んでて盛り上がったね。 |
No.5 | 8点 | R.P.G.- 宮部みゆき | 2014/03/19 08:25 |
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スピード感があったというかなんというか、一気に読めてかつ長さがそれほど無いので中だるみもせず最後までいけた。動機は今まで読んだものの中でも個性があってある程度納得させられた(普段は動機なんてほとんど気にしないのだが)。意外な犯人ではないけど見せ方が上手と感じる、宮部さんの作品と自分の相性を考えると絶妙な長さだったのかもしれない。
まぁ、地の文で虚偽の記述というのに反感を覚える人がいるとも思うので自分のこの採点は甘めかもしれないが。 |
No.4 | 6点 | 火車- 宮部みゆき | 2013/09/28 12:26 |
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序盤~中盤あたりまでの謎をばらまく段階は読んでて面白かった。登場人物の発言もなるほどと思わせるものもありうまく書かれていたと思う。しかし中盤以降は喬子の行動をなぞり返すだけの作業を見せられているだけな感じがして正直少し読むのに飽きてしまっていた。序盤のワクワク感を維持できればなおよかった作品。 |
No.3 | 4点 | 我らが隣人の犯罪- 宮部みゆき | 2013/09/10 10:48 |
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なんというか肩透かしな作品だった。短編は一つ一つの話に何か光るものが欲しいものだが全体的にそれが足りなかった印象。
読み物としては丁寧に書かれていて読みやすかったのは宮部さんらしいプラスなポイントだが長編と比べると格落ち感が否めなくて残念。 |
No.2 | 7点 | レベル7- 宮部みゆき | 2013/07/03 11:38 |
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短編でも読もうかと思っていたのになぜかこれを読んでいた・・・。
記憶喪失の男女と失踪した少女を追う二つのグループの話が同時並行で進み二つの話が終盤でかみ合う、という話なのだがどうにもそこまでうまく結べてないなぁといった印象がある。どうにも少女の失踪のパートはなくても話として成立する気がする。 長い物語だが中だるみは感じずむしろ中盤は謎が謎をよんで面白かった、それだけに終盤駆け足気味だったのが残念。 でも相変わらず読みやすい文章でよかった。(いわゆる新本格勢でこの長さだったら読むのも大変。) |
No.1 | 7点 | 魔術はささやく- 宮部みゆき | 2013/06/28 07:44 |
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初めての宮部さんの作品だったがとても文章がうまいと感じた、流れるように読むことができた。
人をあそこまで思うように操作するのは実際には難しいと思うが気になった点はそこだけで、ラストも自分で一つの予想をたてて読んでいったがそんな予想をはるかに上回るいい終わり方だった。 |