皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
バードさん |
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平均点: 6.14点 | 書評数: 324件 |
No.144 | 2点 | パズル- 山田悠介 | 2019/07/06 11:14 |
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機会があったので今回読んだが、今の(年をとった)私の感性にはちとあわない内容っすね。
以前読んだリアル鬼ごっこでも思ったが、山田さんは突飛なアイデア・設定を考える力はあるが、物語、キャラクターをつむぐ力はいまひとつなのかと思う。 この作品で言うと、主人公たちがパズル探しをしだしてからはそれを淡々とこなすだけで物語りの起伏が無い。また、エリート設定の学生のはずなのに、全く頭が良さそうに見えないキャラ達。 このように問題点が多いと思う。読書になれていない人相手であれば、サスペンス的なはらはら感でごまかせるのかもしれないが・・・。 |
No.143 | 9点 | 硝子のハンマー- 貴志祐介 | 2019/07/06 10:28 |
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甘いかもしれないが非常に楽しめたので9点で。
別解をひたすらつぶしていくやり方は、私が探偵ならそうする、というやり方なので個人的に好み。それに真相が別解と比べて一番インパクトがあり、尻すぼみ感がないのもgood!真相の物理トリックは高校物理の範囲で理解できるもので、シンプルながら面白かった。 あえて多くは語りません。 |
No.142 | 7点 | 月の影 影の海- 小野不由美 | 2019/07/03 11:06 |
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シリーズ第一作目なので陽子と読者の認識が同じレベルなのが、物語に緊張感を走らせる。これだけテクニカルタームが多いのに読みにくさがほぼ無くその辺は上手く書いていると褒めざるをえない。
壮大な世界観を感じさせ、今後もこのシリーズを追いたいと思わせてくれた。中盤までの容赦の無さは読んでて辛いが、それでぐっと十二国の世界に引き込まれるのも確か。 まだまだ十二国世界の一部しか見られていないので、とりあえずこの評価。だが、この後も盛り上がるのだろうという期待感がある。 延王と会ってからは、中盤までとはうって変わって平和な話になるので、最後の陽子と景麒の再会のところでもう一波乱あってもよかったのでは、という気はした。 |
No.141 | 7点 | 十二国記- 小野不由美 | 2019/07/01 14:43 |
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十二国記シリーズの書評をここにまとめます。
(シリーズ読み進める毎に編集で追加します。) 「月の影 影の海」(7点) シリーズ第一作目なので陽子と読者の認識が同じレベルなのが、物語に緊張感を走らせる。これだけテクニカルタームが多いのに読みにくさがほぼ無くその辺は上手く書いていると褒めざるをえない。 壮大な世界観を感じさせ、今後もこのシリーズを追いたいと思わせてくれた。中盤までの容赦の無さは読んでて辛いが、それでぐっと十二国の世界に引き込まれるのも確か。 まだまだ十二国世界の一部しか見られていないので、とりあえずこの評価。だが、この後も盛り上がるのだろうという期待感がある。 |
No.140 | 6点 | オーデュボンの祈り- 伊坂幸太郎 | 2019/06/27 20:10 |
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及第点の作品。すごく好きというわけでもないが、特別イマイチという感じでもない。本作はデビュー作なので少し甘めに点数付けています。
かかしが喋る設定だの、風変わりな島の設定だのこの辺の舞台設定はまさに伊坂さんの良い所が前面に出ていると思う。(この辺のリアリティ無い設定を受け付けない人もいそうな気もするけど。) 私が一番惜しいと思ったのはストーリーである。ちょくちょく挟まる本土パートはとって付けた感があるし、島の話も人殺しが起きているわりには起伏が無く、無駄に長いと感じた。 ただしこれは話自体に問題があるというより、作者が若くてまだ表現力が足りなかっただけかと。経験をつんだ伊坂さんが書き直したら、同じ話でももっと引き締められるだろう。 |
No.139 | 7点 | ブラウン神父の童心- G・K・チェスタトン | 2019/06/26 16:53 |
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全体を通して丁寧に読めば読むほど味のわかる文章ね。疲れてるときに流し読みすると良さが分かりにくいとおもうので、これから読む人はゆったりじっくり読んで欲しいかな。
個別の書評 「青い十字架」:初ブラウン神父だが、この話だけ見ると流石に神父の狙い通り事が運びすぎなようなという気もする。 「秘密の庭」:首を切ってやりたい事は分かったけどインパクト重視で必然性が無く、この本の中では評価が低いほう。 「奇妙な足音」:見えない男のトリックに類似しているものの、フランボウの仕掛けは大胆で面白い。足音だけでそれを見破る神父も流石。 「飛ぶ星」:良くも悪くも印象が薄い。 「見えない男」:心理的な密室という現代でも重宝されるおもしろいトリックだったと思う。ただし、この事件に関しては、見張ってろと言われたら普通郵便係りも気にすると思うので、現代視点だと少し無理があるかもしれない。 「イズレイル・ガウの誉れ」:この本の中で唯一やたら読みにくさを感じ、いまいち良さが分からないまま読み終わってしまった。残念。 「狂った形」:遺書の偽装方法は現代でも書き方次第では使える小ねたと思うので、この当時としては画期的だったのだろう。登場人物が露骨なミスリード要因な感じは読んでる途中でなんとなくわかる。 「サラディン公の罪」:最後まで読まないと謎というか、話の中核が見えてこないのが少しストレスだったが、及第点は満たすかな? 「神の鉄槌」:神父の誘導があるので、真相には途中でたどり着けた。比較的シンプルな話。 「アポロの目」:オチまで読みきれなかった。短編にしては結構複雑な事件と思うが、無理なく畳めており高評価。策を弄したのに、司祭がはじめから疑われているのがなんとなく笑える。 「折れた剣」:葉を隠すなら森の中、なら死体を隠すなら・・・?はい答えは自明ですね。途中でネタは分かったが、話が面白すぎた。本短編集で一番好きです。 「三つの凶器」:これも複数の人物に嫌疑がかかる構成で、短編にしては複雑目。一見不可解な舞台が最後にすっきりするのが良い。 *皆さんの書評の中で翻訳が読みにくいという意見が多いのを受けてですが、私が今回読んだ2017年発売の創元文庫の新版についてはそれほど読みづらさを感じませんでした。他の訳で読んでいないので、厳密な比較は無しですが、翻訳で苦戦したという方、創元文庫の新版はおすすめです。 |
No.138 | 5点 | 陽気なギャングが地球を回す- 伊坂幸太郎 | 2019/06/12 10:51 |
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正直微妙だったなぁ・・・。小説より映画で見た方が楽しめる作品かも。
のめり込めなかった理由として、とりあえず3つ思いついたので書いておく。(理由1が最も重要かと思う。) 1 一部以外キャラが薄い 濃い : 響野、久遠、祥子、田中、警官マニア 薄い : その他 ですね。 成瀬と雪子が薄っぺらいなあと。この二人は舞台装置でしかなかったという印象(特に成瀬)。特殊能力はキャラの魅力じゃなくてあくまで設定なのよね。 2 ストーリーが悪い意味でライブ感あり 作中で偶然に関する話題があったけど、フィクションの世界はもう少し合理的に動いてほしいなあと(現実と違うのだから)。四人組にとって都合のいいように転がりすぎな気がする。 3 ちょいちょい癇にさわる言い回しがある これは大分言いがかりだし、こういのが好きな人も多いと思うけど、なんかセンスの押し売りを一部の文から感じた。(特に広辞苑の引用みたいなの。あれいる?) |
No.137 | 5点 | Another エピソードS- 綾辻行人 | 2019/06/08 10:20 |
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ちょいと厳しめの採点をさせていただく。
Anotherの外伝としては楽しく読めた。しかし、知らないシリーズの別キャラで同じ話を読まされたら肩透かしかなと思う。 ホラーよりとはいえ、思い込みの二重人格おちをメインのしかけに持ってこられるとやっぱり厳しい。 あとラストの住所のくだりの意味が分からなかったのだけど、どういう意味なんでしょう・・・? |
No.136 | 7点 | 813- モーリス・ルブラン | 2019/06/08 10:02 |
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訳のせいか、わかりやすい話のわりに読みにくかったっすね。
ただ件の叙述トリックは完全に意識外からのパンチでびっくりした。話の面白さ(5.5点)とビックリ(1.5点)で7点。 続編も読んでみないとなんとも言えない箇所もあるので、暫定的な書評ということで。 2020/4/22(『続813』を読んだので追記) 後半を含めても印象はあまり変わらず。ただし、ビックリ点に関しては本書のネタの方が『続813』よりも好み。 『813』(7点)、『続813』(6点)で、全体通しては6点かな。 |
No.135 | 7点 | 死体を買う男- 歌野晶午 | 2019/05/07 11:15 |
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昔予備知識なしで50ページほど読み、これは頭を乱歩作品脳にした上で読んだ方がいいなと悟り、いったん読むのを止めた。最近乱歩の傑作選を読んだので、ちょうどいいと再挑戦した。
二転三転する構成に興奮し、8点をつけたい気分だったが、少し冷静になるといくつか気になる点(個人的には作品を評価する上で重要な点と思う)も見つかったので、一点引いた7点とすることに決めた。 ・良かった点 1 塚本父の自殺に見せかけた理由が上手い。 2 塚本兄弟の入れ替わりの伏線がきちんとしていて違和感がない。 3 最後に当事者が告白するため、結論の曖昧さがない。(入れ替わりネタは真実をぼかすケースも多々あるので) ・気になった点 1 作中作が乱歩節な理由が単に作者(西崎君)の好みだけだった点。 2 上手く書いてるけど実は双子の入れ替わりネタという、超古典的ネタに終始しており、そこにオリジナリティが少なかった点。 |
No.134 | 8点 | 江戸川乱歩傑作選(新潮文庫)- 江戸川乱歩 | 2019/05/04 14:36 |
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まさにタイトル通り乱歩さんの傑作選だね。乱歩作品読みたいって人にはとりあえずこれ読ませて、あうあわないを考えてもらえばいいんじゃないかな。
全体を通して思ったのは、乱歩さんの書く犯人(?)ってある特定のものに打ち込みすぎた人か、とにかく退屈でしょうがない奴の2パターンが多いね。知り合いがこんな人物ばかり書いてたら少し心配になるかも(笑) 個別書評(部分的に再読) ・二銭銅貨(再読) 7点 暗号は解ける気しないけど、話の転がし方に乱歩さんらしさがつまっとるね。この手のおちもデビュー作からのお家芸なのよね。 ・二廃人 7点 夢遊病も好きな題材なんでしょうね。別の短編集に「夢遊病者の死」ってのもあったしね。しかけはシンプルでも十分読ませる話になってる。 ・D坂の殺人事件(再読) 6点 前読んだときはやや否定的な印象をもったけど、今回はプラスの印象。多分明智の探偵のやり方(物証をやや軽視する)に慣れてきたからかな。 ・心理試験 8点 このような犯人しか知りえない情報の自白で探偵が追い詰めるやり方の作品の中には、言い逃れ可能だろ!と思う作品も結構ある。しかし、本作はその前のテストのおかげで不自然さがなく、犯人特定がきれいにきまっていると思う。 ・赤い部屋(再読) 8点 前に読んだときも思ったけど、T氏が語る殺し方一つ一つでおもしろいミステリが書けそうなのに、さらっと一小話に使ってしまうのに贅沢さを感じる。おちの賛否はあると思うけど、引き込まれるいい書きっぷりでしょう。 ・屋根裏の散歩者(再読) 6点 タイトルは有名だけど、この作品集の中では実は地味な方かも。犯人がわりと普通の人っぽいからかな。あと、完全に個人的意見だけども、探偵が証拠をでっち上げて自白させるやり方は好みでないね。 ・人間椅子 8点 単純に面白かった。無茶苦茶な設定ながらぞくりとさせる上手さがある。作品の感想じゃないけど、タイトル見て人間を材料に椅子作る狂人の話かと思ってました。 ・鏡地獄 8点 これも単純に面白いっすね。正直おちは全く想像できなかった。鏡の球内ってどうなるんだろう・・・。 ・芋虫(再読) 8点 これは印象強すぎて内容忘れないんだろうな。前と同じ感想だけど、自分の身に置き換えると・・・。想像するだけで恐ろしい。 |
No.133 | 5点 | 芋虫 江戸川乱歩ベストセレクション2- 江戸川乱歩 | 2019/04/26 22:45 |
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乱歩さんのおどろおどろしさが堪能できる欲張りセットではないか。
日常的なホラーのお手本的なものかと。ただし、出来が良いのは間違いないと思いつつ、私はホラーはそれほどなのでこの点数で(笑) 個別の書評 「芋虫」 本短編集の中で一番かも。最後世界との一切の接触が断たれた須永中尉を自分に置き換えるとかなり恐ろしい。最早自殺が最良の選択肢としか思えない絶望感だろう。 「指」 軽くまとまった良作。 「火星の運河」 私の読解力が低いのか、正直良さが分からなかった。?ただし乱歩さんの素が一番出てるかも。 「白昼夢」 いまひとつかしら。ちょっと話がストレートすぎる。 「踊る一寸法師」 手品を始めた瞬間からもう嫌な予感しかしなかった。嫌いというほどではないけどこれもひねりは少ないかも。 「夢遊病者の死」 本短編集の中で最もミステリっぽい作品(と思う)。ただし、あくまでホラーで、ミステリではない。こういう思い込みを誘発させて他人の行動を操作する方法は相当上手くやらないと、ミステリでは駄作になりやすいが、ホラー要素を主役にすることで、本作は名作となっていると感じた。 「双生児」 これは双子がいれかわる話なのだけど、弟はくず野郎だね。おちは読めるけど、死刑囚が懺悔してるという形式なのが面白さを引き出していると思う。 「赤い部屋」 おちはあれで良いのか?と思うけど、語り方が上手く内容にはぐっとひきこまれた。本短編集で二番目に好き。 「人でなしの恋」 私には門野の気持ちが全然分からないからそれほど面白いと思えなかった。あの手の異常性性癖の人を知ってれば感想も変わるかもしれない。 |
No.132 | 6点 | 模倣犯- 宮部みゆき | 2019/04/13 11:19 |
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総合的に率直な点数を付けるとこんなもんかと。
関係者が事件に奔走される様に緩急をつけ、見事に読ませており上手と感じた。事件に向き合いつつ被害者遺族がどう生きるか、加害者遺族がどう行動すべきか、栗橋の最初の犯行までの流れ、高井和明のスタンス、ライター側の考え方など、良くも悪くも人が考え行動していて見ごたえがあった。 ただし作中の脚本家?でしたっけ?彼が3流で、奴がでしゃばり始めた後半はできの悪い芝居を見せられてるみたいでだめね。あの程度で一流を語るなんて身の程しらずもいいとこでしょ。タイトルの模倣犯が回収されるシーンは大好き。 |
No.131 | 6点 | ラットマン- 道尾秀介 | 2019/03/27 22:09 |
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最近とがった点数つけてないんですが、こいつも6点です。(私の平均点すね。)ただ7点に近い6点ね。
前読んだ道尾さん作品は酷評ぎみだったけど、これは結構好きよ。 殺人事件発覚以降は作者が何かを隠しながら書いてるのは明らかなんだけど、隠していた事柄については外しちまったな。残念。 一つ気になったのは、姫川が殺人を犯してないということは、種明かし部分の前にきちんと書いてあるのかな?まだしっかり読み直してないけど、上記のことが明記されているのであれば、上手い!ということで7点に引き上げるかも。 |
No.130 | 6点 | 朱色の研究- 有栖川有栖 | 2019/03/15 13:51 |
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有栖川さんの平均点くらいの作品。
5.5点くらいの評価だけど、今回は6点にしておく。(昔読んだ「ダリの繭」も5.5点で、そちらは5点にしたので調整ということで) 序盤の雰囲気はいいのに解決編であらら?という感じ。今回の事件では、火村先生は犯人を当てたとはいえず、あれではいいとこ推定だね。確かに夕雨子殺しの犯人の推定の筋は通してるけど物証は無い。陽平殺しの方も無理が無い話に仕上げただけ。(まあこちらは警察が本気になれば物証もでそうだが。) つまり、犯人が自白したから解決したことになってるけど、解決方法がそれはお話としてどうかなと思う。そもそも、最後の段階で自白しないといけないというほど犯人は追い詰められていないのでは? |
No.129 | 6点 | 64(ロクヨン)- 横山秀夫 | 2019/03/09 14:27 |
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終始はらはら感があり読みごたえがあった。
打算的に動く連中のぶつかりあいは神(読者)の目線から見るとこっけいね。 読んでて血のかよったキャラが多かったという印象。ただ見せ場のないキャラも多く少し数を出しすぎかな。そのせいでかなり長くなり前半は間延びしている。一方後半のテンポはすばらしいと思う。 読んでると主人公側に感情移入してしまうが、刑事も警務もどっこいどっこいさね。 本書はタイトルが気になり手をだした。こういう選び方もたまにはいいだろう。 |
No.128 | 4点 | シャーロック・ホームズの冒険- アーサー・コナン・ドイル | 2019/02/28 19:49 |
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(再読シリーズ 2)
ついにこの本を採点するときがきてしまったという気分ですね。(ちなみに他にはアクロイド殺しなどが保留中) このサイトでも非常に好評価で、ホームズが世界中で読まれる名作なのも分かっているが・・・、これが私の点数です。 ・点は低いが言いたいことはたくさんある 高校の頃新本格からミステリを読み始め、早い段階でこの本に到達した。当時は途中であきてしまい、最後まで読めず、また再開というのを何度か繰り返し、何とかして読んだ記憶がある。それ以来ホームズシリーズを無意識に避けてしまっていた。しかし、一ミステリファンとしてやはりホームズを抑えたいと思い、今回再び読んだ。 その結果高校生の頃よりは楽しめた気がする。読みにくさは感じなかったし、一個一個のエピソードは楽しめたと思う。ただし、やはり昔と根本の感性は変わっていないのか途中で中だるみした。 以前は自分に合わない原因として、単にホームズの超人推理だけで話が進み読者が推理できないからあっていないと思ったが、今回読み直してもう一つ原因があることに気がついた。あの手この手で色々な話を作っているが結局ホームズのキャラクター頼みで、本格物で大事な謎が魅力的でない場合が多いのだ。 ということで、一個一個の話は楽しめても、ホームズのキャラだけでは400P.も読むと飽きちゃうというわけ。逆にいうと短編形式の小さい謎があっていないだけで、長編作ならこれより楽しめるかもしれない。次は四つの署名を読むつもりなので、私の中でのホームズものの地位が向上することを祈っている。 ・各短編の感想 「ボヘミアの醜聞」:本短編集の中で二番目に好きです。ホームズが少し敗北感を味わう点が他と大きく違う。これだけ少しホームズこてこての型から外れている気がする。 「赤髪組合」:意外性は少ないから読者が参加しやすいかな?これも好きな方。 「花婿失踪事件」:これはイマイチっすね。そもそも変装(?)で父が娘の恋人を演じてばれないなんてありえるのかね?ホームズシリーズでは人物の誤認が他にもあるが、どうも無理矢理感があるんだよなぁ。 「ボスコム谷の惨劇」:平均くらい。犯人候補が一人なので、犯人はすぐわかる。でも殺し方はトリックとかもなく、ただの事件ね。 「オレンジの種五つ」:トリックもなにも無い暗殺みたいなことをしてくる奴らが相手だが、落ちが好き。 「唇の捩れた男」:謎は面白い(これはポイント高い)のに変装おちなのが残念。気付よ。 「青いガーネット」:特徴的なエピソードで悪くない。ただしこの辺からあき始める。 「まだらの紐」:これはいいね。本短編集の中でNo.1。殺し方がユニークで面白い。こういうトリッキーな謎をホームズがばしっと解決する話が見たいのだ。 「花嫁失踪事件」:可も無く不可も無く。 「ぶな屋敷」:微妙。監禁の動機が金目当ての結婚阻止で、これは「花婿失踪事件」の動機と完全に同じ。一短編集の中でこういう被りがでるのはどうかな? ・まとめ こうして振り返るとやっぱり謎が大事と再認識。色々苦言を書いてるがホームズのキャラクターは好きだし、エピソードも好きなのでご容赦を。 ついでに過去最長の書評と思われる。 |
No.127 | 6点 | インシテミル- 米澤穂信 | 2019/02/23 03:26 |
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氷菓との空気の違いに驚いた。一方で主人公、ヒロインのキャラ付けはなんとなく折木と千反田を思わせるキャラね。
続きが気になる書きっぷりで、一気に最後まで読んでしまった。話として面白かったということは間違いない。 ただし、悪い箇所も無いが、なんというか特別ほめる点もないというか・・・、加点ポイントが無い作品な気がする。このように思う理由を明確に説明できないからいちゃもんみたいになるけどなんかおしいのよね。 作品の華といえるトリックが無い?ただ成り行きで何人も死んだという感じか。ただ、凶器の説明のメモはミステリ好きほど「ああ、あれね」と楽しめるのではないかしら。私は未読の作品も多かったので、いくつか読み飛ばしたが。 |
No.126 | 7点 | 御手洗潔の挨拶- 島田荘司 | 2019/02/22 05:27 |
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(再読シリーズ 1)
御手洗ファンならほとんどの人が楽しめるのではないかしら。自分は楽しめた。 御手洗のキャラが強いので、短編でも満足感がある。 「数字錠」 6点 : 御手洗が優しくて4話の中で、ストーリーは一番好き好き。ただし数字の組が10!個という嘘に警部も石岡君もだまされるというのは二人とも頭悪過ぎない? 「失踪する死者」 7点 : 斜め屋敷に通じるむちゃくちゃな物理トリックさね。あちらは納得できなかったが、こちらはありかな(笑)。(この差がなんなのかは自分でも良く分からん) 「紫電改研究保存会」 6点 : あまり言うことがない。 「ギリシャの犬」 7点 : 暗号が解けるとは思えないけど、ある程度納得できるからOK。たこ焼き屋盗難も最後にきちんと絡めてて良し。 |
No.125 | 5点 | ミステリー傑作選・特別編5 自選ショート・ミステリー- アンソロジー(出版社編) | 2019/02/21 11:47 |
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1話平均16P.ほどのショート・ミステリ集。
全話読んだ第一の感想はショート形式のミステリを作るのは難しいのだろうなぁということ。(伏線をはったり多くの謎を提示したりできないからミステリの体をなしにくいのだろう。)なので本書の掲載作も実は半分くらいがホラーやファンタジーだったりする。 この本は普通の長編や短編集のようなメインディッシュにはならないだろう。小腹がすいたときに食べるおやつのような感覚で、少しずつ読むことをお勧めする。(私はわずかに時間が空いたときにちょっとずつ読んだので、読み終わるまでに2~3ヶ月かかった。) 非常に多くの作家が作品を出しているので、普段読まない作家を知るきっかけになる点が本書のgood pointだろう。 (特に良かった作家さん) 赤川次郎、森奈津子、霞流一、高原弘吉、小鷹信光 |