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蟷螂の斧さん
平均点: 6.09点 書評数: 1626件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.146 9点 ドグラ・マグラ- 夢野久作 2012/02/14 16:30
(再読なしの書評)再読となればかなりの労力が必要。東西ミステリーベスト100(1986)<1315人のベスト10を集計>の国内第6位にランクされており、一般読者が本作を上位に選んでいることにびっくり。私など理解不能な小説でした。読後、映画化され(桂枝雀主演1988~DVDあり)観ましたが同様でした。理解はできませんけれど、印象深いという点では、SF映画「2001年宇宙の旅」と同じような位置づけとなるのでしょう。記憶喪失、幻想、夢、近親相姦、作中作、終章から始章へ等々、現在、他の作者が取り上げている構成や、題材をこの時代に書き上げたことには、ただただ感心します。

No.145 9点 セカンド・ラブ- 乾くるみ 2012/02/12 08:05
ラストが解りやすいので、「イニ・ラブ」より衝撃度は大きかった。謎めいた序章、「オチ」はこれしかないとの思わせぶり、そしてラストのどんでん返し、お見事です。ラストへの伏線は3ヵ所あったのですが騙されました。音楽は素人ですが、「章」と「曲名」の関係で、宇多田ヒカルさんの「Can You Keep A Secret ?」が(序章・秘密をその胸に)、以下「Automatic」(2章・時は自動的に)「First Love」(6章・はるかな初恋)、中森明菜さん「スローモーション」(1章・緩やかな動き)「セカンドラブ」(5章・二番目の愛を)「1/2の神話」(7章・1/2の女)「北ウイング」(終章・北へと向かう翼)くらいが分かりました。中々凝ってますね。

No.144 4点 誰のための綾織- 飛鳥部勝則 2012/02/12 08:04
プロローグ「推理小説に禁じ手などあるのだろうか。おそらく、ありはしない。面白ければそれでいい。」そのとおりなのですが、本作のトリック自体は面白くありませんでした。今まで読んだ限り「○○荘事件(1990)」「○○城殺人事件(2003)」と同じなので同評価とします。絶版なのでアマゾンでは8千円~5万円、もちろん図書館で借りましたけれど。

No.143 6点 夜想曲(ノクターン)- 依井貴裕 2012/02/11 10:11
文章が読みにくいのには、少し閉口しました(笑)。2つのトリックをうまくミックスした構成は良いと思いました。1つは現在ありふれたものですが、使い方は初めてのもので納得できました。もう1つは今邑彩「○○荘の殺人」(1996)と同様なモチーフのような気がします。

No.142 7点 金雀枝荘の殺人- 今邑彩 2012/02/10 21:18
館、密室、見立て殺人と本格もので、緊迫感もあり一気読みができました。序章が終章になるという構成や、見立て殺人のトリックも面白く感じました。霊感少女の登場は、ご愛敬として受け止めましょう。

No.141 8点 乱れからくり- 泡坂妻夫 2012/02/09 15:03
連続殺人の割には、緊迫感がやや不足しているのが残念ですが、意外性の面では、かなりの高得点に値すると思います。最後の章「笑い布袋」の天保銭のオチには、思わずニヤッとしてしまいました。

No.140 5点 血の季節- 小泉喜美子 2012/02/09 15:01
ドラキュラ伝説に絡めた物語には、耽美的な雰囲気を感じることができました。最後の一行には、あまり感心はしませんでしたが、従の事件(大使館夫人の死亡、書記官の自殺)の真相は面白いと思いました。

No.139 6点 倒錯のロンド- 折原一 2012/02/09 15:00
折原作品は初めてです。最初から叙述物とわかりながら読んでも楽しめました。題名と物語がうまくマッチしていていると感心しました。

No.138 4点 エコール・ド・パリ殺人事件- 深水黎一郎 2012/02/05 19:16
昔の物語なら、捜査の杜撰さは認めるものの、現在では考えられません。ナイフに軍手の痕跡の有無、死体と窓の間の血痕の有無、窓の傷の有無、死体の刺し傷の角度等々、これらに触れることもなく、まして他の要素が加わった密室の謎や真相が明らかになっても???でした。また後半まで誰が主人公なのかよく解りませんでした(描き方がよくない?)。絵画が好きなので、「シャガールの黙示」に続き本作でしたが残念な結果でした。ただ画家スーチンのことがよく解り、良としましょう。

No.137 5点 杉の柩- アガサ・クリスティー 2012/02/05 19:13
心理描写を中心とした作品で、面白いとは思いましたが、殺害に至る動機が全く理解できませんでした。(動機は一応説明はされてはいますが相続権が全く不明で、果たして動機となりえるのか?)

No.136 7点 湖底のまつり- 泡坂妻夫 2012/02/03 18:09
夢落ち?幻想?と危惧しながら読みましたが、しっかりと騙されました。泡坂作品は「しあわせの書」しか読んでいませんが、作風が全く違う感じがして驚きました。本作品の方が全然好みです。現実味云々については、超自然現象、幻想、二重人格を扱ったミステリーよりもよっぽどリアリティがあると思いました。

No.135 9点 この闇と光- 服部まゆみ 2012/02/02 09:50
失脚した王と盲目のレイア姫の物語が、一気に反転するのは見事で、好きなタイプの作品です。後半は若干尻すぼみの感は否めませんが、不思議な世界へ引き入れられました。盲目の少女にボッティチェリの「春」(私のお気に入りの美しい絵で愛を表現しているらしい)を教えるシーンが印象に残りました。

(2016.8再評価。「闇の中に在って、世界はなんと美しく輝いていただろう!」という文章を目にし感動。再評価へ。当時はトリック最重視で、他の部分には目もくれずといった感じでした。今回、ネタバレサイトなどを読み新発見が多数ありました。前半に伏線がかなりの量でばらまいてある(ミステリー通)。後半の簡略化は「闇」を引き立たせるためのもの(文学少女?)。etc。再評価の決め手は、前述の文章とラスト二人の会話でした。当初、どんでん返しに驚き、二人の会話など気にもとめなかった(苦笑)。

No.134 5点 女王国の城- 有栖川有栖 2012/01/31 21:03
長編なので、やや盛り上がりに欠ける感がありました。事件とは別に、教団側の謎の行動、江神部長の謎の行動が背後にあったのですが、その真相があきらかになってもあまり驚きはありませんでした。題名から女王の活躍?を期待し過ぎたのでしょうか、淡々として事件が起こり、淡々として解決との印象を受けました。

No.133 6点 紅楼夢の殺人- 芦辺拓 2012/01/30 09:10
登場人物が多過ぎ、途中でギブアップ(笑)。中盤からはメイン2名となり、なんとか読了。メタとかアンチとかよく解りませんが、それに分類されるらしい。それがすばらいいと感心するかといえば、そうでもありませんが、一つのアイデアとしては面白いと思います。全体に流れる雰囲気は良かったと思います。

No.132 5点 転落- 永嶋恵美 2012/01/30 09:09
「10年に1冊の戦慄ミステリー」の帯に魅かれましたが、ミステリーというより女性心理サスペンスでした。内在する悪意をうまく描写していると思いました。

No.131 10点 アクロイド殺し- アガサ・クリスティー 2012/01/27 16:24
(再読)今では本作をアンフェアという人はいないと思っていたら、この書評を読んで、何人かいらっしゃるのでびっくりしました。歴史的観点(万人が認めているという意味)から、独創的なアイデアは秀逸であると思います。犯人を覚えていたにもかかわらず、大変面白く、最後まで一気に読むことができました。さすがクリスティーとの感をあらためて強くしました。

No.130 4点 有限と微小のパン- 森博嗣 2012/01/26 18:17
途中までは面白かったのですが、最後の真相には、かなりがっかりしました。「F」が気に入っていたので、期待し過ぎたのでしょうか。シリーズ最終?何もかもが中途半端なような結果で残念です。

No.129 5点 パーフェクト・ブルー- 宮部みゆき 2012/01/25 20:13
デビュー長編とのことで、ミステリー度に期待しましたが、やはりそれほどでもなかったというのが感想です。

No.128 4点 誰か Somebody- 宮部みゆき 2012/01/25 20:12
作風なのでしょうか、物語が淡々と進み、盛り上がりに欠ける感じを受けました。

No.127 7点 ふたたび赤い悪夢- 法月綸太郎 2012/01/23 11:30
「頼子のために」の続編で、法月綸太郎の苦悩を描いた作品。ミステリーというより、「苦悩」「親子関係」「人間の性」を事件に絡めて描いたような気がします。読みごたえはありました。

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蟷螂の斧さん
ひとこと
ミステリーは、作家中心では読んでおらず、話題作や、ネットでのお勧め作品を読んでいます。(2013.6追加~本サイトを非常に参考とさせてもらっています。現在は、読後、類似なトリック・モチーフの作品を探した...
好きな作家
ミステリー以外で「石川達三」、短編で「阿刀田高」、思想家で「荘子」
採点傾向
平均点: 6.09点   採点数: 1626件
採点の多い作家(TOP10)
アガサ・クリスティー(53)
折原一(48)
中山七里(34)
松本清張(27)
アンソロジー(国内編集者)(22)
歌野晶午(20)
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