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蟷螂の斧さん
平均点: 6.09点 書評数: 1634件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.274 9点 刺青殺人事件- 高木彬光 2012/08/31 17:37
(再読)高評価の「人形はなぜ殺される」より本作の方が、やはり良い(好み)ですね。トリックはこれしかないと読者に思わせるのですが、その真相がなかなか解らない。これこそ心理トリックの醍醐味だと思います。再読なので、伏線もしっかり張ってあることを確認しながら読むことができました。解説(小泉喜美子氏)にある「日本推理小説史上に燦として妖しき光芒を放つ作品」ということでしょう。

No.273 5点 スタイルズ荘の怪事件- アガサ・クリスティー 2012/08/30 11:00
前書き「スタイルズ荘の怪事件」によせては”ネタばれしている”ので先に読まない方が良いと思います。読後(意外な犯人)の印象はだいぶ違ってくると思いますので、前書きがない方がよかったのでは?とつくづく思う次第です。犯人の狙い(仕掛け)は非常に面白いもの(高評価)でしたが、ひとつ好みでない点(私的に大きな減点対象)があり、この評価となりました。ポアロの目的が犯人逮捕以外にもあったりして凝っています。これがデビュー作とは思えませんでしたね。

No.272 6点 夜の熱気の中で- ジョン・ボール 2012/08/28 22:32
書評を読んで、これは映画「夜の大捜査線」(1967年・主演シドニー・ポワチエ氏)では?と思い手に取りました。黒人の犯罪捜査官が人種差別と闘いながら事件を解決してゆくものです。ミステリー度はそれほどではありませんが、当時の人種差別がよく描かれています。映画では警察署長役のロッド・スタイガー氏(白人)がどういうわけかアカデミー主演男優賞を受賞しています。どう見たって助演だろう!これこそ人種差別ではないかと、当時憤慨したことを思い出しました。

No.271 6点 私が彼を殺した- 東野圭吾 2012/08/27 18:36
毒入りカプセルの数だけを追って読んでいたので、3点(バック、瓶、ピルケース)はスルーしてしまいました。判るわけないです(笑)。「流星の絆」の兄妹愛が良かっただけに、本作の兄妹愛は受け入れがたいものでした。

No.270 4点 どちらかが彼女を殺した- 東野圭吾 2012/08/24 17:26
(ネタばれあり)                                                    設定(犯人が不明のまま。犯人の偽装+兄(警察署勤務)の偽装。兄と加賀刑事との対決)は非常に面白いと思います。しかし、犯人特定については、何人かの方が指摘しているよう納得はできませんでした。利き手を睡眠薬の袋の破れ方から推理(読者)するものですが、これは不可能でしょう?犯人がすべての袋を同じ面、同じ方向から破っているのなら理解できますが、裏にして破ったかもしれないし、上下左右逆にして破ったかもしれないし、左手または右手を手前に引いたかもしれないし・・・・・・この推理自体が誤り?(笑)

No.269 7点 迷蝶の島- 泡坂妻夫 2012/08/23 21:18
洋上でのサバイバル。ちょっとした手違いで結びついた男女。その二人の手記(1章・3章)と捜査官の報告書(2章)で構成されています。各視点での心理描写については、読み応えがありました。死んだはずの人物の登場は、幻覚?トリック?・・・また死亡者は他殺?自殺?の謎を抱えながら終章へ。登場人物が少ないので、ある程度は予想がつきやすいのですが、終章での真相(伏線はお見事)はわかりませんでした。

No.268 7点 黒い家- 貴志祐介 2012/08/22 07:49
ホラーは超常現象ありのイメージが強く、手を出しづらかったのですが、本作は純然たるサスペンスもので、読み応えがありました。包丁一本のオバサンの狂気や、黒い家の悪臭が伝わってくるのは、筆力があるからでしょう。

No.267 7点 暗いところで待ち合わせ- 乙一 2012/08/20 17:02
甘く切ないファンタジーにミステリーをまぶしたような感じで、読み心地は良かったです。見知らぬ男が潜んでいるなかで、入浴しなければならないシチュエーション(女性心理)がなかったのはちょっと残念でした(笑)。

No.266 6点 銃とチョコレート- 乙一 2012/08/17 21:57
(ミステリーランド)冒険ミステリーです。伏線があったり、意外な結末などミステリー要素は既読のミステリーランドの中では上位にあると思います。どうしようもない悪ガキの将来が気になりました・・・(笑)。題名のチョコレートの意味がラストで明らかになるところがいいですね。

No.265 5点 わが身世にふる、じじわかし- 芦原すなお 2012/08/17 09:36
短編集は奇妙な味(阿刀田高氏やロアルド・ダール氏)が好みで、探偵ものの短編は高評価であってもほとんど敬遠してきました。探偵ものミステリーは長編に限るというこだわりがあるのかもしれません。本作は、ほんわかとした気分にさせてはくれますが、やはり物足りないというのが実感でした。

No.264 5点 青春デンデケデケデケ- 芦原すなお 2012/08/17 09:35
ミステリーではないので本サイトの趣旨と異なると思いますが、先人の書評があったので読後、追随してしまいました。本作は映画化(1992大林宣彦監督)され、そちらを先に観ています。青春バンド物語です。著者とは同世代であるので相通ずるところがかなりあり、バンド演奏場面ではおもわず目頭があつくなってしまいました(笑)。著者は50、60年代ロックについて幅広いのですが、私はベンチャーズ(2008.マドンナと同時にロックの殿堂入り)オンリーで、今でもカラオケをバックに一人ベンチャーズを楽しんでいます。”電気ギター”が「テケテケテケ」でなく「デンデケデケデケ」(パイプライン)がいいですね。

No.263 8点 霧に溶ける- 笹沢左保 2012/08/15 18:00
犯罪構造のアイデアに一票という感じですね。ハウダニットが解明されても、フーダニットが不明という物語の流れも気に入りました。1960年代の金銭感覚や性意識が垣間見れて楽しめました。作者のあとがきにある「哀感のような、澱んだ感傷のような、そんな余韻が残る・・・推理小説」はラストで見事に描かれていると思います。

No.262 7点 漂流者- 折原一 2012/08/15 08:18
復讐劇とサバイバルもので読みごたえがありました。氏ならこう来るのではと確信しながら読んでいるうち、やはり違っていたかと思わせたり、また途中で予想外の人物が殺害されたりし、多少混乱しました(笑)。二つの物語(野獣死すべし・そして誰もいなくなったのオマージュ)がうまく絡まっていて、良い出来だと思います。

No.261 8点 クリムゾンの迷宮- 貴志祐介 2012/08/13 15:32
本作品(1999)より、後に発表された米沢穂信氏(2007)の作品を先に読んでいたため、真相や罠は解ってしまいましたが、それでも面白く読めました。グイグイと引っぱてゆく力はさすがと思いました。ホラー系?と思って敬遠していたところですが、読んで良かったと思える1冊となりました。ラストは、真相が明確となっていると思いますので、それはそれで良いと思います。

No.260 6点 魔王城殺人事件- 歌野晶午 2012/08/12 17:37
(ミステリーランド)子供の視点で描かれていて好印象です。トリックはばかばかしい?けど、島田荘司氏の屋敷もの、東川篤哉氏の館ものを彷彿させてくれます。この手のトリックは好みなので甘めの採点で。デジカメに写っているはずの被写体が消えるトリックには騙されてしまいました(笑)。

No.259 5点 虹果て村の秘密- 有栖川有栖 2012/08/10 19:16
(ミステリーランド)「なぜ、現場を密室にする必要性があったのか?」 この謎をいろいろ検証し、真相に迫てゆく~このロジックの面白さを子供向けに解り易く描いています。ミステリー入門のお手本としてお薦めの作品だと思います。

No.258 7点 交換殺人には向かない夜- 東川篤哉 2012/08/09 22:08
ドタバタにも違和感を感じることもなくなり、ツボにはまるギャグもあったり、だいぶ作風には慣れてきました。惜しくは、解決編が長いということです。叙述にはすっかり騙されましたが、もっと明確な伏線を提示してあれば、読者は解決編で細かく解説してもらわなくても済むのでは?と思う次第です。伏線の提示の仕方により、読後の印象はかなり違ってくるのではないのでしょうか・・・。

No.257 8点 レオナルドの沈黙- 飛鳥部勝則 2012/08/09 13:01
遠隔殺人?、異常な現場(さかさま)の謎から始まり、途中、探偵小説作法13箇条や読者への挑戦もあったりして、なかなか凝っている作品だと思います。真相はまず解らないと思いますが、解決編では、しっかりした伏線があったこと(フェア)を証明しています。「題名の由来」ならびに「世界の反転」(さかさまがテーマ)の講釈は画家でもある著者ならではのものかもしれません。終章で若干言い訳じみたものがありますが、海外有名作品のオチとは違いますよということでOKだと思います。

No.256 7点 怪盗グリフィン、絶体絶命- 法月綸太郎 2012/08/06 20:34
(ミステリーランド)大人も充分楽しめた。著者らしくない国際謀略小説となっています。ミステリーランドなので、お色気がないのは致し方ないところです。第一部のゴッホの贋作にまつわる事件(それだけでも面白い)はとっかかりに過ぎず、第二部へと移行します。第二部では、裏の裏をかくという心理作戦が見事です。子供には理解できるかな?と若干心配もしました。

No.255 6点 ほうかご探偵隊- 倉知淳 2012/08/06 14:30
(ミステリーランド)本シリーズは子供向けであっても「毒があっていい」という編集方針らしい。しかし、著者の作風からそれは感じられず、やさしい感じのミステリーとなっています。本格要素はバッチリ入っていますし、ラストは二転三転していますので、ミステリーランドのお手本のような作品です。

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蟷螂の斧さん
ひとこと
ミステリーは、作家中心では読んでおらず、話題作や、ネットでのお勧め作品を読んでいます。(2013.6追加~本サイトを非常に参考とさせてもらっています。現在は、読後、類似なトリック・モチーフの作品を探した...
好きな作家
ミステリー以外で「石川達三」、短編で「阿刀田高」、思想家で「荘子」
採点傾向
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採点の多い作家(TOP10)
アガサ・クリスティー(53)
折原一(48)
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松本清張(27)
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