皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
蟷螂の斧さん |
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平均点: 6.10点 | 書評数: 1701件 |
No.341 | 8点 | 異人たちの館- 折原一 | 2013/01/04 12:45 |
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著者の自薦ベスト3の一冊ということで、叙述の折原らしさが発揮されていて楽しめました。リーダビリティもあり、代表作のひとつになると思います。「モノローグ」が何回も挿入されていますが、その扱い方(特に時間軸)が秀逸でした。 |
No.340 | 9点 | マジックミラー- 有栖川有栖 | 2013/01/02 11:21 |
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著者のイメージは、ロジック>トリックですが、本作はトリック主体、それも2本立てで好みにピッタリ合いました。時刻表トリックは、日本独自のものらしい~時間が正確ゆえ成り立つ。だから、列車・飛行機が遅れたらどうするの?というような愚問は無しで良いのでしょう(笑)。切符の指紋によるアリバイ崩しの壁は秀逸でした。また、首なし死体のトリックのモチーフ(本作品1990)は、その後の「…捜査官(1998)」(Y氏)、「超有名作品(2005)」(H氏)の先例となっていると思いますので+2点です。さらに先例があった場合は10点ですね(笑)。 |
No.339 | 5点 | 007/サンダーボール作戦- イアン・フレミング | 2012/12/30 21:21 |
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今年は、映画シリーズ「007ドクター・ノオ」(第1作、1962年公開)から50周年にあたる。初代ボンド役・ショーン・コネリーは6作の主演で終了。ファンとして、007にちなみ7作の主演を望んだもでしたが、1983年「ネバーセイ・ネバーアゲイン」(シリーズとは別)で復帰、念願が叶いました。シリーズ4作目の「サンダーボール作戦」と原作は同じでした。本の方は、映画と違い地味です。物語としてのスケールは大きいのですが、筋はやや単調に感じられました。 |
No.338 | 7点 | 黙の部屋- 折原一 | 2012/12/29 09:23 |
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一風変わった絵画ミステリーです。実在の画家・石田黙を追う編集者と、地下室に監禁され絵を描いている男を中心に物語は展開します。「一風変わった」というのは、実存の20数点の絵(シュール)の写真が挿入されており、監禁された男の独白がその絵の解説にもなっている点です。著者の石田黙氏への熱い思いが伝わってきます。絵画好きの人なら楽しめると思います。叙述があるとわかっていながら読んでいるのですが、また今回も見事に騙されてしまいました(笑)。 |
No.337 | 8点 | 魍魎の匣- 京極夏彦 | 2012/12/27 14:31 |
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前半500ページまでは、遅々としてページが進みませんでしたが、それ以降はスピード感があり一気読みできました。「姑獲鳥の夏」のラストがイマイチだったので、著者の作品は敬遠気味でしたが、本作は楽しめました。それは、本格ものをあまり期待しないで読んだ性もあるかもしれません。幻想、ホラー、SFをミックスしたミステリーといえるのでしょうか・・・。最初の事件で、動機の有無について「犯罪は、社会条件と環境条件と、そして通り物みたいな狂おしい瞬間の心の振幅で成立する」という詭弁?で片づけられてしまいました。これはどうなんでしょう?(笑) |
No.336 | 7点 | 妖異金瓶梅- 山田風太郎 | 2012/12/22 11:15 |
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連作の短編ミステリーです。というより後半は文学的かも・・・。登場人物、特にヒロインの潘金蓮が魅力的でした。動機や探偵役と犯人の関係等もユニークなものです。トリック自体はそれほどビックリするものはありませんが、ロアルド・ダールの奇妙な味的なものや、「女人大魔王」(死体トリック)あたりは気に入っています。余談ですが、金瓶梅については思いで深いものがあります。ラジオ深夜放送の「パックインミュージック」(野沢那智・白石冬実コンビ・1967~1982)で放送され、お色気満載の話にニヤニヤしたものでした。 |
No.335 | 8点 | 11枚のとらんぷ- 泡坂妻夫 | 2012/12/15 15:28 |
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作中作である短編集「11枚のとらんぷ」は奇術のネタばれもあり楽しめました。そして犯人探しの伏線となっているところが構成の妙であり、至極感心しました。全体にユーモアがあり、ヒロイン牧圭子の扱いがうまいと感じました。そして、真相の逆転が一番のお気に入りです。この手の逆転劇は、直近では石持浅海氏の作品(2011)にありますが、中々珍しいような気もします。他に先行している作品もあるのかもしれませんが・・・。 |
No.334 | 4点 | 空飛ぶ馬- 北村薫 | 2012/12/12 10:23 |
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氏の作品は初めてです。「日常の謎」というジャンルを確立した(東西ベスト100より)とのことで拝読。日常の謎自体、あまり興味がわかない分野なので、ミステリーとして読むと?マークです。通常小説として読めば評価は高いのでしょう。解説(鮎川哲也氏)にある、「私が熱烈な賛辞を呈したのは、薫女史が女性であると信じたがために他ならない」という言葉が、『鮎川哲也と十三の謎』シリーズの最大のミステリーとなっているのでは・・・と考え過ぎでしょうか?。 |
No.333 | 7点 | 私が殺した少女- 原尞 | 2012/12/11 17:58 |
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ハードボイルド系はどちらかというと苦手ですが、本作は楽しめました。本格ミステリーっぽい味わいがあり、ノン・ストップで読み終えることができました。最後の一捻りは好きですね。 |
No.332 | 8点 | Xの悲劇- エラリイ・クイーン | 2012/12/10 11:57 |
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(東西ベスト100・再読)論理的推理の模範のような作品で、ロジック好みにはたまらないと思います。よく「Y」と比較されますが、私的には「Y」の方が上回っています。それは、数十年前に両作品を読んでいましたが、「Y」はおぼろげながら記憶に残っていたことや、犯人像の意外性にあると思います。やはり、ロジックより「どんでん返し」が好きなんですね。 |
No.331 | 8点 | 大誘拐- 天藤真 | 2012/12/07 20:24 |
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(東西ベスト100・既読分)誘拐物マイベスト3の一つ。飛行機内で一気読み。誘拐されたおばあちゃんの行動が秀逸。劇場型誘拐物のはしり?。映画も良かったです。主演・北林谷栄、風間トオル(虹の童子・犯人)緒形拳(刑事) |
No.330 | 8点 | 点と線- 松本清張 | 2012/12/07 20:23 |
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(東西ベスト100・既読分)松本清張にハマった一冊。4分間の空白とアリバイトリックは印象的。アリバイトリックは、現在では無理なのですが、当時はビックリしました。時代の流れを感じます。あと、動機にも重点が置かれていることが印象的でした。
(追加)甲は赤の他人の乙にうまく話しかけ、A地点に誘導することは可能である。現在なら、空飛ぶ自動車(開発済み)を利用したというようなもの(笑) |
No.329 | 8点 | 砂の器- 松本清張 | 2012/12/07 20:23 |
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(東西ベスト100・既読分)事件そのものより、背景にある差別を見事に描いていて、社会派たる所以か。映画では、加藤剛、加藤嘉(父親役)、テレビでは、田村正和ならびに中居正弘が印象に残っています。(敬称略) |
No.328 | 7点 | ゼロの焦点- 松本清張 | 2012/12/07 20:22 |
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(東西ベスト100・既読分)女性を主役にした旅情サスペンスのイメージが残っています。動機は描かれた時代を反映するもので、現在に置き換えることはできない。その点に価値があるのか・・・。 |
No.327 | 8点 | 白昼の死角- 高木彬光 | 2012/12/07 20:20 |
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(東西ベスト100・既読分)リーダビリティは抜群。実際の光クラブ事件が題材となっていた。金融機関に勤めていた目から見て、手形偽造場面では駄目出ししたくなる点もありました(笑)。映画では主演・夏木勲、主題歌の「欲望の街」(ダウン・タウン・ブギウギ・バンド)が流行りました。 |
No.326 | 6点 | モルグ街の殺人- エドガー・アラン・ポー | 2012/12/07 20:18 |
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(東西ベスト100・既読分)友人から「ポー全集」を借り読んだのが始まり。こんなのありなの?が第一印象。発表年代など知らなっかたので致し方ない。推理小説の元祖とのことで+2 |
No.325 | 6点 | あなたに似た人- ロアルド・ダール | 2012/12/07 20:17 |
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(東西ベスト100・既読分)寡作家なので、短編とはいえ作品数は少ない。代表作は「南から来た男」(単行本で18頁分)。ブラックユーモア(奇妙な味)の世界です。もし、ダ-ルを読んでいなければ、この後の阿刀田高氏の作品(同様に短編でブラックユーモア)にハマることもなかったでしょう。 |
No.324 | 6点 | 獄門島- 横溝正史 | 2012/12/06 22:33 |
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横溝正史氏の作品では「本陣殺人事件」が最高傑作(動機の真相・雰囲気)との思いがあり、他作品はあえて読んでいませんでした。映画は観ていますが・・・。今回、1986年に引き続き、東西ミステリーベスト100の国内部門1位とのことで拝読。正直な気持ち、どうして1位なのかが解りません。トリック、見立て、動機、犯人像のいずれについても際立ったものを感じることができませんでした。雰囲気は良かったのですが、もっと、おどろおどろしたものを期待していたので、やや拍子抜けの感も。「運命のいたずら」がミステリアスであり、後味はけして悪くはないのですが・・・。 |
No.323 | 5点 | 匣の中- 乾くるみ | 2012/12/06 08:18 |
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「匣の中の失楽」のオマージュ作品。解説によれば、前者の類似品(著者談)らしい。前半の構成はほとんど似通っている。後半は作中作「匣の中から匣の外へ」の意味合いに関する暗合と暗号に移行し、このへんは十分楽しめた。本作のミソは、最終章のSF的発想であると思われるが、効果は如何にといったところ。この手の作品(アンチ)はどうも疲労感が残ってしまいます(笑)。 |
No.322 | 5点 | 匣の中の失楽- 竹本健治 | 2012/12/04 13:13 |
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「虚無への供物」(1964)のオマージュか、対抗作品なのか良く解りませんが、ベース、展開は似ているようなと気がします。それに「黒死館殺人事件」(1935、薀蓄がメインらしいので未読)の薀蓄や、「ドグラ・マグラ」(1935)の幻想をプラスしたような作品でした。現実と虚構(作中作)をもって、読者を混乱させるのが、メインのような気もしますが、1章から2章へ移る段階で「あること」に気が付けば、それほど混乱はしないのでは?と思います。(しかし、自分が思っている現実と虚構が逆との書評もありましたが・・・(笑))。次は本作のオマージュ作品の「匣の中」(乾くるみ氏)を読むつもりです。 |