皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
蟷螂の斧さん |
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平均点: 6.09点 | 書評数: 1667件 |
No.1207 | 7点 | 放課後- 東野圭吾 | 2019/05/17 20:15 |
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意外と評価が低いのが驚きです。評価者の半数の方が動機に触れ、その動機についての否定派が肯定派の倍数となっていますね。そんなところが要因かと・・・。現代なら、それほど話題にならないのかも?。時代を感じます(1985年発表)。高評価は、数点の二段構えの構成が光っている点です。まあ、伏線など○が怪しい等、あざといものもありましたが・・・(笑)。 |
No.1206 | 5点 | 白銀の逃亡者- 知念実希人 | 2019/05/14 20:04 |
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若者向けのSF・ファンタジー系のサスペンスといえるのかも。もう少し、捻り(どんでん返し)を期待したのですが、ストレートに終了してしまいました(苦笑)。ストーリー自体に特出したものがないのが残念な点。まあしかし、ほろりとさせるのは巧い!。 |
No.1205 | 6点 | アニマル・アワー- アンドリュー・クラヴァン | 2019/05/12 19:34 |
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裏表紙より~『ハロウィーンの朝、ナンシー・キンケイドは弁護士事務所に出勤するが、誰も彼女をナンシーとは認めない。バッグには見覚えのない拳銃、そしてしきりに頭に去来する“獣の刻だ。その時彼は死ぬ”という言葉。パニックに襲われ、街を彷徨う彼女(以降カット)』~以降は200頁くらいまでのあらすじが書かれており、かなりのネタバレになっています。
魅力的な謎で読者を翻弄する手腕はさすがと思いました。主人公ナンシーと詩人オリヴァーとその弟ザカリーの物語が、それぞれの視点で進みます。全く関連のない話が最後に収束するという形式ですが、いやはや530頁と長すぎますね(苦笑)。コンパクトであれば、もっと読まれてもいいかな?といった印象です。サイコ系のラストを予想していたのですが、イメージと違ったものでした。その点は良。 |
No.1204 | 4点 | 切り裂き魔の森- マーガレット・トレイシー | 2019/05/05 15:09 |
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裏表紙より~『緑の森に囲まれた家、やさしい夫と2人の子供。ホワイト夫人の生活は平穏だった。ある日までは…。町を恐怖に陥れている連続殺人、その発生日に限って夫の帰宅が遅いことに気づくまでは…。被害者はすべて女性、遺体は見るも無惨に切り裂かれているという。彼女が思いだしたのは、高校時代の夫が森の鹿狩りで示した或る異常な行動だった―異色の手法が醸成する比類なきサスペンスの冴え。』~
アンドリュー・クラヴァン氏のデビュー作(弟との合作で別名義)。連続猟奇殺人事件が起き、もしかして自分の夫が犯人?というもの。しかし、読者は最初から夫が犯人とと知らされているので、興味は半減。それでも最後まで読ませるのは、さすがMWA賞受賞作。 |
No.1203 | 4点 | 寝台車の殺人者- セバスチアン・ジャプリゾ | 2019/05/02 22:24 |
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フランス、リヨン駅に着いた寝台急行列車のコンパートメント内で、女性乗客の死体が発見された。金は盗まれていない。怨恨か?。相客は女性三人、男性二人。捜査を尻目に次々と殺されていく同室の客たち。「シンデレラの罠」の鬼才S・ジャプリゾのデビュー作。
当時、謎めいた文体が新鮮であったらしい。しかし、訳文のせいか非常に読みにくい。一人称と三人称がごったくたになっている文章がある。ストーリー展開は有名な前例があり、今一つの感。本格ものとも言えないし、サスペンスフルとも言えなかった。 |
No.1202 | 4点 | 妻という名の見知らぬ女- アンドリュー・クラヴァン | 2019/04/29 21:22 |
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裏表紙より~『私はキャル・ブラッドリー、小さな田舎町でクリニックの所長を務める精神科医だ。妻マリーとは結婚して十四年、今なお変わらぬ美しさの妻に、私はぞっこんだった。かわいい三人の子供にも恵まれ、私のような風采の上がらない中年男には、これ以上望むべくもないほど幸せで穏やかな人生を手に入れていたはずだった…あの青年が目の前に現れるまでは。過去、そして現在まで築き上げたものすべてが一瞬にして崩れ落ちてゆく―男と女、夫と妻のあいだに横たわっているものとは!?嘘と幸福がもつれあう、ひそやかな恐怖と衝撃の物語。』~
大方のストーリーは題名からも予想がついてしまいます。よって、サスペンスフルな展開のみを期待したのですが、なかなか事件は起こらず中だるみの感。主人公の一人称で語られるので、主人公自身の内面との闘いがメインで、ミステリーというよりも一般小説に近いのかもしれません。そういう意味で辛目の採点。 |
No.1201 | 9点 | あなたのための誘拐- 知念実希人 | 2019/04/18 09:05 |
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主人公は元刑事。妻とは離婚、不倫相手だった同僚とも別れた。彼は癌を患い、身体も心もボロボロ。唯一の楽しみは一か月に一回、娘と会うことだけであった。こんな設定に違和感を覚えつつ一気読み。ノンストップで、クライマックスへ。ところがまだ200頁も残っている。この時点で8点確定(笑)。あらためて、自分はサイコ系が好きなんだなと思った次第です。 |
No.1200 | 5点 | 黒死館殺人事件- 小栗虫太郎 | 2019/04/15 21:39 |
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万人に理解不能が「奇書」であれば、まさしく本書は奇書である。三大奇書が東西ミステリーベスト100の上位にランクインしているのが不思議で仕方なかった。文芸批評家・郷原宏氏の座談会の会話~小栗虫太郎はカチッとした長編は「黒死館」しかないし、夢野久作は「ドグラ・マグラ」しかない。中井英夫さんは「虚無への供物」。つまり、これしかないという本当の代表作をもった作家は得なんです。~これを読み、ああ、成る程と(笑)。「虚無」8点、「ドグラ」5点、「黒死館」5点となったわけですが、結局、理解できたかどうかが基準になったような採点でした・・・(トホホッ)。 |
No.1199 | 7点 | 模像殺人事件- 佐々木俊介 | 2019/04/14 20:47 |
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あるプロットの先例作品(更なる先例もあるようですが)ということで拝読。オチはわかっているはずなのに、うまく騙されました(笑)。現代の物語ですが、全篇に亘る古風な雰囲気が魅力的です。二人の「包帯男」が自分が当家の長男と主張します。この事件はあっけなく決着がついてしまいますが、その後に、フーダニットでもハウダニットでもない、ホワットダニット(何が起こったのか?)に移行します。このあたりが珍しい作品。 |
No.1198 | 5点 | 到達不能極- 斉藤詠一 | 2019/04/13 20:04 |
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「BOOK」データベースより~『二〇一八年、遊覧飛行中のチャーター機が突如システムダウンを起こし、南極へ不時着してしまう。ツアーコンダクターの望月拓海と乗客のランディ・ベイカーは物資を求め、今は使用されていない「到達不能極」基地を目指す。一九四五年、ペナン島の日本海軍基地。訓練生の星野信之は、ドイツから来た博士とその娘・ロッテを、南極にあるナチス・ドイツの秘密基地へと送り届ける任務を言い渡される。現在と過去、二つの物語が交錯するとき、極寒の地に隠された“災厄”と“秘密”が目を覚ます!』~
第64回江戸川乱歩賞受賞作。ジャンルが悩ましい。ジャンルを書くとネタバレになる?と思ったが、紹介文に”冒険×SF×ミステリー”とあり、とりあえず「冒険」に一票。乱歩賞のイメージとは、かなりかけ離れた作品ですね。冒険部分は十分楽しめましたが、後半のSF的部分は?マーク。恋愛要素をもっと強く押し出した方が良かったかも。 |
No.1197 | 7点 | チェインドッグ- 櫛木理宇 | 2019/04/10 15:55 |
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久しぶりに「最後の一行」的な作品に出会いました。サイコパスの過去の調査過程をもう少しカットして、主人公がサイコパスに魅かれていく過程をじっくりと描いてくれれば・・・と、ないものねだり。題名は改題後の「死刑にいたる病」の方がいいですね。 |
No.1196 | 5点 | 首無館の殺人- 月原渉 | 2019/04/07 17:44 |
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首なしの理由は好印象で+1、しかしメインプロットに既視感あり(黒〇〇〇惨〇)で-2。表紙からするとラノベではないと思いますが、内容はややラノベ風。特に探偵役。 |
No.1195 | 6点 | 穢れた風- ネレ・ノイハウス | 2019/04/06 09:50 |
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裏表紙より~『風力発電施設建設会社で夜警の死体が発見された。ビルには何者かが侵入した形跡が。奇妙なことに、社長室のデスクにハムスターの死骸が残されていた。これは何を意味しているのか? 風力発電の利権をめぐって次々に容疑者が浮かびあがり、さらに殺人が…。再生可能エネルギーにかかわる国家的犯罪なのか。巨大な陰謀に呑み込まれる刑事たち。』~
本シリーズの魅力は、主人公オリヴァーとピアの私生活がかなりのウェイトで描かれていることにあると思います。今回はオリヴァーが集会の暴動に巻き込まれ死ぬ思いをする。精神的に参っているとき、ある女性にめぐり逢い惹かれてしまう。そして、事件どころではなくなって、腑抜けになってしまうというものです。しかし、単なる恋愛物語だけではなく、その女性には秘密があるといったような、ちょっと複雑な構造になっています。いろいろなテーマを詰め込み過ぎで、576頁と長くなっているきらいもありますが、ワンカットが短く、スピード感はあります。ドイツ本国ではシリーズ8作目まで刊行されているようです(邦訳は6冊)。 |
No.1194 | 8点 | 崩れる脳を抱きしめて- 知念実希人 | 2019/03/31 10:31 |
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3分の2くらいまではコテコテの恋愛ストーリー。そんな中、主人公(研修医)の父親にまつわるエピソードが挿入される。それは、ミステリーが一冊書けるかも?といった内容。しかし、いとも簡単に片付けられてしまう。ということは、ラストにかなりのどんでん返しが期待できそう。しかし、夢落ち???!!!。でもあと20頁残っていますよ・・・。現役の医師でもある著者に翻弄されてしまいました。 |
No.1193 | 5点 | 死体は笑みを招く- ネレ・ノイハウス | 2019/03/28 17:26 |
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裏表紙より~『動物園で左腕と左足が切断された死体が発見される。殺人捜査課の刑事オリヴァーとピアたちの捜査で、被害者は環境保護活動家だと判明。彼は動物園付近の道路建設における環境破壊や動物園のあり方を批判していた。殺人の動機はそこに? だが被害者は様々な人間に憎まれており、捜査をすればするほど容疑者が増えていく。さらに第二の殺人が……。』~
邦訳は4作目となりますが、シリーズでは第2作目です。発表順に読んでいないので、主人公オリヴァー主席警部とピア警部を取り巻く人間関係が、おやっ、こんな関係ではなかったはずと混乱してしまいました。しかし、このシリーズは容疑者が多すぎますね(苦笑)。事件は特にこれといった特徴のあるものではなく、副主題であるピア警部の恋愛絡みの方が面白いというのが残念な点。 余談~2006年6月15日(木)動物園で人の手が発見される・・・で物語が開始されます。この日、私はドイツ、ミュンヘンに降り立っていました。W杯ドイツ大会です。物語の中でもドイツ戦や、日本戦に触れられていました。「刑事のフランクは、FIFAのチケット購入で運に恵まれ、死んでもドルトムント(試合会場)にいくといっていた。」その気持ち、わかる、わかる(笑)。 |
No.1192 | 6点 | 推理小説代表作選集1977年版- アンソロジー(国内編集者) | 2019/03/26 18:08 |
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日本推理作家協会賞の短編受賞作と、その年1年間に発表された代表作選集(1977年版)。現在は、「ザ・ベストミステリーズ 推理小説年鑑」として発表されています。
心霊写真(佐野洋)塗りつぶした顔(戸板康二)視線(石沢英太郎)曲った部屋(泡坂妻夫)瀬戸の夕凪(山村正夫)相似の部屋(鮎川哲也)拳銃(笹沢左保)背負って走れ(陳舜臣)水子地蔵の樹影(夏樹静子)神風の殉愛(森村誠一)復讐は彼女に(小泉喜美子)海軍某重大事件(小林久三)みぞれ河岸(都筑道夫)汽笛が響く(南部樹未子) 6点以上の評価の作品。 心霊写真(佐野洋)・・・行方不明の夫の心霊写真を持っている妻。その写真の付近を掘ると夫の死体が発見された。心霊写真は妻の工作のようだが。7点 視線(石沢英太郎)・・・短編部門受賞作。銀行強盗にあった男性行員の視線があるところへ向けられた。6点 曲った部屋(泡坂妻夫)・・・「亜愛一郎の狼狽」に収録。傾いたマンションの部屋で死んでいた男。解決のヒントは傾きにあった。8点 相似の部屋(鮎川哲也)・・・「マーキュリーの靴」に収録。容疑者は犯行現場から遠方のマンションにいたというアリバイ証言がある。しかし現場近くのマンションを工作し、そこにいたようだが。7点 水子地蔵の樹影(夏樹静子)・・・「重婚」に収録。昔、関係のあった女性とそっくりな娘と出会う。もしかして自分の子供?。7点 |
No.1191 | 6点 | 影なき女- 高木彬光 | 2019/03/23 17:41 |
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1950~55年の短編集。いろいろなトリックの原形のような作品です。この時代に書かれたことを評価したいと思います。
①影なき女・・・密室と意外な犯人像。7点 ②黄金の刃・・・○○殺人(アリバイ)4点 ③出獄・・・無実の罪で服役後、出獄したが。7点 ④天誅・・・予告殺人。4点 ⑤ヴィナスの棺・・・宝石探し。8点 ⑥薔薇の刺青・・・アリバイトリック。6点 ⑦死せる者よみがえれ・・・プラトニックラブの恋人に再会。その女性は?。5点。 |
No.1190 | 4点 | 真夏の日の夢- 静月遠火 | 2019/03/20 22:11 |
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演劇サークルの活動費を捻出するため、心理学部の教授が行う奇妙な実験に参加した大学サークルのメンバーたち。外界との接触を遮断されて、一ヶ月間、ひとつ屋根の下で過ごすことになった彼らは、文句を言いながらも、文化祭前夜のような日々を、それなりに楽しみながら過ごしていた。しかし実験開始から6日目、サークルのアイドル的存在の雪姫が、忽然と姿を消した。
○○トリックのラノベということで手に取りました。著者のコメントにあるように、ミステリ「風味」ではありますが、公私ともに演技ばかりしている演劇研究会のお話を楽しんでいただけたらということでしょう。 |
No.1189 | 6点 | 人形パズル- パトリック・クェンティン | 2019/03/18 12:56 |
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ピーター&アイリス・シリーズ8冊中、未読のラスト一冊でした。巻き込まれ型サスペンスの典型的な作品です。久しぶりのシリーズなので油断していたら、最後でやられました(笑)。犯人は舌足らずの人物で早めに判明します。よって、フーダニットではありません。しかし、これが伏線になっていたとは!・・・。
シリーズの評価は①迷走パズル(6点)②俳優パズル(8点)③人形パズル(6点)④悪女パズル(8点)⑤悪魔パズル(6点)⑥巡礼者パズル(7点)⑦死への疾走(7点)⑧女郎蜘蛛(8点)となり、十分堪能できました。 |
No.1188 | 6点 | 寝台特急(ブルートレイン)殺人事件- 西村京太郎 | 2019/03/14 15:36 |
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著者の自薦トラベルミステリーは、推理作家協会賞を受賞した「終着駅殺人事件」ではなく、本作「寝台特急殺人事件」となっています。プロットもいいしサスペンスフルで、うなずけるところです。トラベルミステリーは、時刻表とにらめっこのイメージが強く敬遠気味でしたけれど、今のところそのようなことはありません(まだ4冊目ですが・・・)。 |