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蟷螂の斧さん
平均点: 6.09点 書評数: 1667件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.1407 8点 鳥―デュ・モーリア傑作集- ダフネ・デュ・モーリア 2021/04/16 17:28
①恋人 8点 切ない恋物語。彼女は墓場で眠るという。ホラー系?・・・反転がお見事
②鳥 9点 登場人物、筋は映画とは違います。カモメの大群が海に浮かぶ描写は印象的。鳥が目を襲撃してくる恐怖。ラスト煙草を忘れた主人公の嘆き。うまいね
③写真家 6点 侯爵夫人と写真家の青年との束の間のロマンス。他の書評では情事と書かれている方が多いがプラトニックの方が適切な表現?(笑)
④モンテ・ヴェリタ 8点 若妻が山の修道院に姿を隠す。夫とその友人、二人とも彼女を愛していた・・・幻想的な短篇です。「ここには救世主も神もない。光と命を与えてくれる太陽があるだけ」が印象的
⑤林檎の木 8点 庭のリンゴの木が、亡くなった妻の姿に似ている。ホラー系
⑥番(つがい) 5点 題名は旧題「オールド・マン」「爺さん」の方がベター。訳者は本作の趣旨が分かっていなかったんだろう(苦笑)
⑦裂けた時間 8点 夫人が自宅に帰ると他人がいる。陰謀?記憶喪失?そういう手があったのか
⑧動機 8点 夫人が拳銃自殺。探偵が動機を探るが・・・彼女の心中までは?
バラエティに富んだ作品集でした。

No.1406 6点 いま見てはいけない- ダフネ・デュ・モーリア 2021/04/15 17:07
①いま見てはいけない 8点 娘を失くしたばかりの夫婦の前に盲目の霊能者が現れ・・・じわっとくる恐ろしさ。伏線も見事。映画化「赤い影」されたのも頷ける
②真夜中になる前に 4点 クレタ島で災いをもたらすような夫婦に出会う。ギリシャ神話と絡めているが効果は?マーク
③ボーダーライン 7点 父が急死。娘は疎遠となっていた父の親友を訪ねるが・・・その親友とは?
④十字架の道 6点 エルサレムツアー一行の受難と復活?ませた9歳の子供の目線が楽しい
⑤第六の力 5点 内密な実験を行っている研究所へ出向を命じられたが・・・魂(エネルギー)は存在?

No.1405 6点 破局- ダフネ・デュ・モーリア 2021/04/14 17:12
短篇らしいオチがないのが特徴と言えばばいいのか?捉えどころのない曖昧さで、後でじわっとくる感じとでもいうのだろうか?不思議な雰囲気(奇妙な味とも違う)の作品集でした。
①アリバイ 6点 男はある親子(母・息子)を殺害しようと、その家の地下室を借りるが・・・男も母親も精神のバランスが崩れており、非常に不安定な気持ちになる。題名のアリバイは不在証明ではなく、語源の「他の所」という意味のようです
②青いレンズ 6点 眼の手術で仮の青レンズを入れると見えるものが違っていた。それはありのままの姿といういうが・・・
③美少年 7点 美少年に魅せられた男は美少年の親せきに騙されるのだが・・・人間の性は治らない?
④皇女 6点 不老の水が湧くというある国の盛衰を寓話風に描いた作品。いい加減な情報に操られてしまう人の心は現代も同じ
⑤荒れ野 5点 口のきけない幼子が大自然の中で・・・童話風でいい話なんですがミステリの採点なので
⑥あおがい 6点 30代後半の女性の独白。両親、夫、愛人について。どうして私は不幸なんだろう。題名は貝。原題は「カサガイ」で巻貝。しがみつくという意味もあるようだ

No.1404 6点 Dの殺人事件、まことに恐ろしきは- 歌野晶午 2021/04/13 17:36
どのように現代風にアレンジしているのかが見ものです。近未来的なハイテクも登場
①椅子?人間! 6点 元カレがストーカーに・・・まことに恐ろしきは「人間椅子」
②スマホと旅する男 6点 スマホに写っている女性は誰?そして旅する男の正体は・・・夢か幻か?
③Dの殺人事件、まことに恐ろしきは 7点 娘が上半身裸で死亡。背中には鞭の痕。犯人はSM愛好者?”D坂の殺人”でないところがミソ
④「お勢登場」を読んだ男 4点 茶箱に認知症の義父を閉じ込めることを思いつくが・・・
⑤赤い部屋はいかにリフォームされたか? 6点 「赤い部屋」の舞台劇の千秋楽であるが、この劇は永遠に終わらないの?・・・
⑥陰獣幻戯 8点 女性をみては妄想する男。ある女性にアプローチしたところ・・・著者らしいオチのどんでん返し
⑦人でなしの恋からはじまる物語 5点 「人でなし」で始まり「二銭銅貨」で終わる。「人でなしの恋」がダブルミーニングであったことを今頃気がついた(笑)

No.1403 6点 日曜の夜は出たくない- 倉知淳 2021/04/12 17:10
①空中散歩者の最期 6点 10mのビルから墜落死。しかし20m以上から落ちたようだ。合理的説明だが、物理的には?マーク
②約束 7点 少女とおじちゃんのメルヘンチックな出会い。約束したのに何故自殺?。意外なものがヒントで解決へ
③海に棲む河童 7点  昔話の謎を解く。予想に反し結構グロです
④一六三人の目撃者 4点 舞台で毒死。毒を入れるチャンスは?。これは2点ほど設定に無理があり、著者に丸め込まれた感じ(笑)
⑤寄生虫館の殺人 6点 一階の受付嬢が三階で殺害されていた。上へ上がっていく彼女は目撃されていない。目の付け所はいいがクイズのよう
⑥生首幽霊 6点 集金員はアパートの部屋で生首を発見。幽霊?。アリバイ工作としては手が込んでいる
⑦日曜の夜は出たくない 5点 彼氏が切り裂き魔?背格好も似ているが・・・

No.1402 5点 片翼の折鶴- 浅ノ宮遼 2021/04/10 15:52
高評価なので期待し過ぎました。
①血の行方 4点 単なる貧血の原因追及。オチはシオドア・スタージョンの「きみの血を」のような性癖にした方がよかったかも。せっかく、それらしき仮説があったのに残念・・・
②幻覚パズル 4点 ありそうもない仮説にありそうもない真相。わかる人はいない???。多重解決ものアレルギーなので、どうしても低評価に・・・
③消えた脳病変 4点 選考委員が絶賛!!とのこと???。まさか、そんな簡単なトリックではないよね!?と思いつつ・・・
④開眼 4点 消去法がなぜ悪いのかよくわかりません。解説でも説明されているのですが・・・
⑤片翼の折鶴 8点 スリルがあり、医者らしからぬ行為にハッとしました。動機は先例はあるも、この流れでは思いつかないもので大変Good。皆さんと違い本作がベストでした。

No.1401 8点 鷲は舞い降りた- ジャック・ヒギンズ 2021/04/09 18:26
(東西ミステリーベスト第19位)冒険小説としては当然ですが、恋愛小説としても楽しめました。村娘モリイは彼から裏切られ、絶対許さないと思いつつも、彼を助けようとする健気な姿が印象的。完全版で二人の後日談も挿入されており、涙を誘う?。工作員デヴリンが、この作戦は必ず失敗するという場面があるのですが、その理由が不明のままで気になっています(苦笑)。

No.1400 6点 狩人の夜- デイヴィス・グラッブ 2021/04/08 17:30
裏表紙より~『大不況時代のオハイオ川流域。父を亡くした兄妹の前に現れた伝道師は、右手に「愛」、左手に「憎悪」の刺青をしていた。彼に心を許していく母と妹パール。そして、ジョンの悪夢が始まる。伝道師は狩人。獲物を手にするためには手段を選ばない。子供たちは追いつめられて……。映画化され、キングに多大な影響を与えた幻の傑作サスペンス!』~

サイコ・サスペンスものの先駆的作品とのことで拝読。しかし、サイコ色は弱かった。作者はサイコ系を描いたわけではなく、貧しい時代の9歳の少年の心理を描いたものと思います。父親をどこかへ連れて行ってしまった「青い服の男たち(警官)」を少年は悪人ととらえているところが物悲しい。

No.1399 5点 白戸修の事件簿- 大倉崇裕 2021/04/07 17:25
巻きこまれ形の探偵らしい。と言っても自分で解決してほしいものです。
①ツール&ストール 4点 友人が殺人の容疑者に・・・。さてどうするのか?と思ったら主人公が活躍するわけでもなかった。オチも先例があるしなあ
②サインぺインター 5点 許可なしの看板の回収に警官も大変???
③セイフティゾーン 6点 銀行強盗に遭遇。銀行の清掃員が思わぬ活躍。さて、その正体は?この設定は好き
④トラブルシューター 5点 ストーカーに怯える女性。その裏には、ある悪意が・・・
⑤ショップリフター 6点 出版社への内定があったばかりの主人公に万引きの疑いが・・・

No.1398 7点 押入れのちよ- 荻原浩 2021/04/06 17:51
単なるホラーではなく、ユーモア系ペーソス系のゴーストストーリーが多く楽しめました。
①お母様のロシアのスープ 6点 インパクトはあるが子供を絡めた点で気分はよろしくない
②コール 8点 切ない恋愛もの。○○もあるし途中で?
③押入れのちよ 7点 ホラーと思いきや・・・そのギャップがなんとも言えない
④老猫 6点 鼻をつまみたくなる?(笑)
⑤殺意のレシピ 7点 夕食に毒?疑心暗鬼の夫婦。これは笑えます
⑥介護の鬼 5点 認知症で寝たきりの義父が復活か?
⑦予期せぬ訪問者 7点 殺人現場に訪問者。まるで落語のよう
⑧木下闇 8点 大樹から降りた時、目の前に顔が現れる。映像的にこれはすごい
⑨しんちゃんの自転車 5点 ほんのり系ゴーストストーリー

No.1397 6点 リーヴェンワース事件- A・K・グリーン 2021/04/05 16:43
1878年のアメリカ作品なので、トリックやロジックを期待するのは酷!?(笑)。「探偵小説」の基本形のような小説としてして読むのがベターですね。「動機」が肝となっている点を評価したいと思います。当時のベストセラーとなったとのこと。クリスティー女史の作品の中にも登場しているようです。

No.1396 6点 屍の記録- 鷲尾三郎 2021/04/04 15:26
酒造会社の社長が、二人の目撃者がいるにもかかわらず、突然目の前から消えてしまった。社長の弟は友人である作家探偵に調査を依頼。探偵は美人秘書と行動するうちに彼女に惚れてしまう。実は社長の弟も彼女に惚れていた。二人の間の恋のさや当てが実に面白い。古典的展開?ですかね。失踪トリックは子供だましのようで笑えます。過去の二つの事件の動機は納得できるのですが、メインの動機がいまいちだったかなあ。

No.1395 6点 東海道新幹線殺人事件- 葵瞬一郎 2021/04/03 19:27
「鬼は横道などせぬものを」という血文字のメッセージの”意味合い”がどうも解せません。犯人は○○の事件のヒント(警察に対する)のつもりであったが、結局、それが原因で最終的に墓穴を掘ってしまったわけですから・・・。なお、トランクの移動は図解入りで、非常に分かりやすく好感が持てました。もし、読者に考えさせるような時刻表が出てきたらほっぽり出したかも(笑)。同じ新幹線ものでは、森村誠一氏の「新・新幹線殺人事件」のほうが上回っているかな?。

No.1394 8点 新・新幹線殺人事件- 森村誠一 2021/04/03 19:25
裏表紙より~『博多発東京行のひかり116号で、不動産ブローカーが刺殺された。被害者と交際していた博多のホステスが容疑者として浮かぶが、彼女は、事件当日、死体の発見されたひかりより44分遅れのひかり4号で、東京へ向かっていた―。鉄壁のアリバイに挑む捜査陣がたどり着いた驚愕の真相!』~

逆転の発想がダブルで用意されており、文句なく8点(笑)。謎とプロットが面白いだけに、純粋な警察小説にした方がよかったのでは?と思ったり。

No.1393 4点 探偵AIのリアル・ディープラーニング- 早坂吝 2021/04/02 19:32
ラノベ展開で人が簡単に殺されてしまう。その点が軽すぎてチョット肌に合わなかった。インパクトのあるトリックがないのも残念。古典の各種パロディを取り入れている点は評価したいと思いますが。

No.1392 7点 ルビンの壺が割れた- 宿野かほる 2021/04/02 19:28
最後の一行的なものが好きなので・・・(笑)。心理サスペンスですね。元婚約者の二人は、お互いに弱みと強みを持っており、最初は心理戦でのジャブの応酬。最後にストレートパンチ(隠し玉)を放つ。さて、どちらがヒットしたのか?といった感じですね。文庫本で170ページの中編なので一気読みできます。

No.1391 6点 ブラック・ダリア- ジェイムズ・エルロイ 2021/04/01 17:44
(東西ミステリーベスト55位)警察小説を期待すると裏切られるかも?事件自体が中々起こらないし、全体の半ばでやっと少し動きだし、終盤で一気にといった感じ。事件を中心に考えると、横道に逸れてしまう場面が多いという印象。訳者あとがきにあるように「事件の謎解きが主眼でなく、著者の目は登場人物のそれぞれの暗い情念にそそがれている」ということらしい。とは言われても主人公ほか共感できる人物がいないのが残念な点です。まあ、真相はよくあるパターンですが楽しめました。

No.1390 7点 あなたならどうしますか?- シャーロット・アームストロング 2021/03/31 19:43
①あほうどり 9点 ある事情から未亡人とその妹をしばらくの間自宅に招待することになった。不倫ドラマと思いきや・・・女性心理とサスペンス感は申し分ない
②敵 7点 裏庭で犬が毒死。家主が疑われるが…黄金の13(エラリー・クイン篇)に選出されている
③笑っている場合ではない 6点 嘘つき女。今度は本当のことを言っているようだが・・・結末はタイトル通り
④あなたならどうしますか? 7点 死んだ人物を目撃するも誰も信じてくれない・・・どうしたらよいの?
⑤オール・ザ・ウェイ・ホーム 7点 ひき逃げを目撃された主婦。目撃者がやってきた・・・真相は分かりやすいが、心理描写が巧み
⑥宵の一刻 6点 家政婦が主人を銃殺したとの濡れ衣を着せられた。無実証明は?・・・面白い所から証拠が
⑦生け垣を隔てて 8点 主人は玄関前で背後から撃たれ鍵を落とした・・・でも実際は?ハウダニット
⑧ポーキングホーン氏の十の手がかり 5点 ミステリー作家の隣家(留守中)に脱獄囚が逃げ込んだ・・・ユーモア系だが
⑨ミス・マーフィ 4点 学校事務員の生徒への悪意?よくわからん
⑩死刑執行人とドライブ 7点 殺されようとしている女性が殺そうとしている男と同乗する羽目に・・・設定が面白い

No.1389 5点 モロー博士の島- ハーバート・ジョージ・ウェルズ 2021/03/30 17:51
裏表紙より~『海で遭難した主人公は一隻の貨物船に拾われる。船は各種の動物を積み、とある島にむかっていた。たどりついた先は、奇怪な住人たちが棲む絶海の孤島。しかも島の主は、十年前に消息をたった高名な天才生理学者モロー博士だった!』~

1896年のSFの古典。映画は未観ですがポスターは見覚えがあります。小説の方は、サスペンス感とか恐怖感とかがあまりありません。残念。ただ、主人公が島からロンドンに帰還した後のエピソードは、まあまあブラックな味わいがありました。

No.1388 8点 高い砦- デズモンド・バグリイ 2021/03/29 18:02
(東西ミステリーベスト91位)死のアンデス越え(雪山)は迫力がありました。登場人物でのお気に入りは女性教師のポンスキイ(50代)。手作りの弓で最初に敵を殺さなければならない彼女の心情がよく伝わってきました。後に負傷し活躍の場面がなかったのは残念。



(ネタバレあり)
しかし、ラストで著者の憎いフォローがあったので、ついホロリ???(笑)。仲間の歴史学者が「わしは袖をめくり、傷を見せこうも言おう・・・いかなる手柄をその日にたてたか・・・生き残ったわしら、数少ない者が・・・」(シェークスピア)と大きな声で朗唱。「ポンスキイが学校に戻ったら、(生徒にシェークスピアを教える時)彼女が袖をまくって、傷をみせると思われますか?」と彼女のことに触れています。影の主役でしたね。なお、「男の中に熱い血が流れる限り不可能ということはない」というセリフは冒険小説の金言らしい。

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蟷螂の斧さん
ひとこと
ミステリーは、作家中心では読んでおらず、話題作や、ネットでのお勧め作品を読んでいます。(2013.6追加~本サイトを非常に参考とさせてもらっています。現在は、読後、類似なトリック・モチーフの作品を探した...
好きな作家
ミステリー以外で「石川達三」、短編で「阿刀田高」、思想家で「荘子」
採点傾向
平均点: 6.09点   採点数: 1667件
採点の多い作家(TOP10)
アガサ・クリスティー(53)
折原一(48)
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アンソロジー(国内編集者)(22)
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