皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
[ クライム/倒叙 ] さらば友よ |
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セバスチアン・ジャプリゾ | 出版月: 1980年01月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 2件 |
早川書房 1980年01月 |
早川書房 1980年01月 |
No.2 | 6点 | 蟷螂の斧 | 2021/10/23 18:09 |
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アラン・ドロンとチャールズ・ブロンソンが共演した映画のシナリオをジャプリゾ自身が小説化したものとあります。ブロンソンと言えば「雨の訪問者」(1970)この脚本もジャブリゾとありました。アラン・ドロンはやはり「太陽がいっぱい」(1960)。両作品とも音楽がヒットしました。本作内容は、それぞれ目的の違う二人が金庫に閉じ込められ、いがみ合ううちに友情が・・・というもの。ラスト2行は意味深です(笑)。(敬称略) |
No.1 | 6点 | 人並由真 | 2019/07/05 19:05 |
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(ネタバレなし)
ある年の冬のパリ。外地の戦場から戻った職業軍医の美青年ディノ・バランは、中年の外人兵フランツ・プロップから次の仕事(戦場)に誘われるが、バランはそれを辞退。かなり無碍にあしらい、相手の不興を買う。そんなバランに接触したのは「モーツァルト」なる名前の軍医を探す妙齢の美女イザベル・モロオだった。イザベルと男女の仲になったバランは、彼女が元恋人で医者のモーツァルトを頼りにある犯罪行為を企てていることを知り、同じ医者の立場でその代役を買って出た。だが計画が決行されるクリスマスの時期、バランが狙うビルの地下、そこの金庫に大金があるという情報を得て強奪を図るプロップもたまたま現場に現れた。やがて成り行きから地下の密閉空間にいっしょに閉じ込められた二人は、いがみ合い、騙しあいながらも一応の協力体制を結ぶが、事態は二転三転の思わぬ展開を見せていく。 1968年のフランス作品。同年公開の同じ題名(邦題)のクライムサスペンス映画、その台本を著した(監督ジャン・エルマンと共同執筆)作者セバスチアン・ジャプリゾ(ポケミスは「セバスチャン」表記)が、シナリオを脱稿後(たぶん映画の撮影後)に書いた自家製ノベライズ。作者自身、この書籍は通常の小説ではなく、台本に毛が生えたようなものだという主旨の文言を巻頭の前説で述べているが、実際に大筋は映画とほとんど変わらない。 端役の登場人物が登場したり、情事のあと映画では服を着ている場面のヒロインがオールヌードで描かれるとか、いくつかの細部の違いはあるが(なお映画はアラン・ドロンとチャールズ・ブロンソンという当時の二大大物スターの共演が売りなため、地下の犯行現場の場面もほとんど常時、煌々と照らし出されて主役2人をカメラが映し続けるが、小説の方は緊迫感を煽る意味も込めてか照明の落ちた暗い現場の中で物語が継続する)。 もちろん小説版独自の読みどころとして、映画ではなかなか踏み込めない各登場人物たちの内面描写や各キャラの過去の文芸設定なども開陳されるが、これはまあ、この映画に思い入れたファンが公式設定を探る程度の興味として捉えればいいもののような。 ただラスト、映画本編のあとの時勢にあたる、小説独自に追加されたエピローグはちょっと驚いた。エルマン監督や主演の2人までこれと同じ意向で映画のラストシーンを撮り終えたのかどうかはもちろん知らないが、少なくともジャプリゾがこういうエピローグを想定してシナリオを書いていたのだとしたら、評者なんかが映画のラストを観て感じたクロージングの解釈も大幅に変わってしまう。自分はもっとあの最後の(中略)は(中略)なものだと思っていたので。そうなると結構(中略)だよね。 まあ映画を先に観ていなければ、読んでもあまり意味はない一冊かもしれない。逆に言えば映画を観てなんか引っかかった人は、一読してもいいかも(評者も今回、久々に映画本編を再見してから読んだ。もともと好きな映画だったけどね)。 なおAmazonの現状のデータでは翻訳書(ポケミス)は、なぜか1980年の刊行になってるが、実際には1969年5月に初版発売。 |