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[ クライム/倒叙 ] ウサギは野を駆ける デイヴィッド・グーディス『狼は天使の匂い 』が原典 |
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セバスチアン・ジャプリゾ | 出版月: 1984年02月 | 平均: 5.00点 | 書評数: 1件 |
早川書房 1984年02月 |
No.1 | 5点 | クリスティ再読 | 2021/12/13 08:32 |
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ハヤカワの「世界ミステリ全集」って過激なまでにモダンな編集方針で、古参マニアに嫌われた全集なんだけども、この「ウサギは野を駆ける」、モンテイエ「かまきり」、エクスブライヤ「死体をどうぞ」の巻(フランス篇2)が、一番「外してる」感が強い巻に、なるんだろうなぁ。
巻末の座談会によると、本来はジャプリゾの新作「野蛮人年代記」が目玉になるはずだったのだけど、これが出なくて、代わりに自作シナリオをノベライゼーションした本作を収録(のちポケミス)。 というか、ジャプリゾ、「シンデレラの罠」が有名すぎて本サイトだと「ミステリ作家」のイメージが強いんだろうけども、実のところ、映画人としてのキャリアも同等くらいに、ある人だ。Wikipedia みたら、デビュー作の非ミステリが「続・個人教授」の原作、かつ本人が監督・脚本だそう。フレンチ・ノワールを語る上で外せないライターだしね。 というわけで、本作はグーディスの「狼は天使の匂い」を原作にして、ジャプリゾがシナリオを書いて、ルネ・クレマンが監督した映画がある。そのシナリオの本人によるノベライズ。もちろんノワールで、アウトローの「男の友情」が見どころ。映画だとトランティニャンとロバート・ライアン。ごめん未見。そのうち見て追記します。グーディスの原作の方もポケミスで訳があるから、こっちもそのうちして比較するのがいいだろう。 主人公のフランス人トニーは逃亡先のモントリオールで、行きがかりでギャングの一味とかかわりを持つ。結果的にその一人を事故死させることになるのだが、リーダーのチャーリーに見込まれて、一味の計画に加わることになる...はぐれ鳥のトニーと、チャーリーの間で育まれる微妙な友情。ついに計画が決行されるが、想定外の出来事が重なり、一味は.... フレンチノワールらしい小洒落たデテールが満載で、脚本家としての才気は感じるし、いろいろな綾が積み重なって、同行二人になるあたり、義理と人情で泣かせたりする。雰囲気がいいが、まあ映画を見た方が面白いよね、というのが一番の感想。子供時代カットバック、映画もやってるのかなあ...あざとくないといいんだが。 っていうかさあ、このフランス篇2で、マンシェットが収録できてたら、本当に凄いと思うんだ。そういうあたりでも、ちょっと惜しいよね、という気がする。 |