海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

kanamoriさん
平均点: 5.89点 書評数: 2460件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.840 7点 夢果つる街- トレヴェニアン 2010/07/23 21:29
覆面作家トレヴェニアンは一時、既存作家の変名という説(たとえば「暗殺者」のロバート・ラドラムの変名説)が流れましたが、今では正体が明らかにされています。
スパイ冒険小説で名を馳せた作者ですが、本書は一転して非常に地味な警察小説で、モントリオールの”ザ・メイン”という街が舞台であり主人公でもあるといえます。
退職間際の警部補の主人公がいて殺人事件が発生しますが、ミステリ的興味よりも、吹きだまりの様な街に住む人々の生きざまを活写することに重点が置かれ、その人間模様が読みどころ。
何ともいい難い重厚な雰囲気が漂っていて好みではありますが、エンタテイメント小説を期待すると裏切られる。

No.839 6点 このミステリーがすごい!’88年版- 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 2010/07/23 18:55
「東西ミステリーベスト100」が出た2年後、創刊号である「このミス’88年版」を本屋で見つけ即購入した。
アンケート回答者は国内編26名(団体)海外編13名で少数精鋭?の感がありますが、回答者に鮎川哲也や大沢在昌のビックネームも入っています。(アルバイト探偵シリーズが15位にはいっていますが、大沢は海外部門の投票のみに参加)

海外部門で、ベストセラーの「推定無罪」を差し置いて、渋めのトレヴェニアンが1位というのはいかにも「このミス」らしいところ。
国内部門は、時勢がら冒険・謀略ものが幅を利かせているものの、デビューしたての新本格第一世代2名がベストテン入りという快挙。

回答者・鮎川先生は6作全て新本格作品を挙げ、コメントに曰く「かつて本格ものの作家は文章力が劣るといわれたが、この新人たちは揃って達筆云々」というのは、当時の書評家の論調と比べると相当違和感があります(笑)。

No.838 6点 オデッサ・ファイル- フレデリック・フォーサイス 2010/07/23 18:11
一時期やたら”ナチス”ネタの冒険・陰謀ものが流行りましたが、本書がその先駆かもしれません。
元ナチ将校の行方とその援護秘密組織を追う記者を描いたドキュメンタリー風のサスペンスですが、作者の緻密な取材力を覗うことが出来るものの、題材にあまり魅力を感じなかったためこの評価です。

No.837 6点 中途の家- エラリイ・クイーン 2010/07/23 18:01
国名シリーズとライツヴィルものの中途の作品。
探偵クイーンの造形に厚みが感じられ、消去法によって論理的に犯人に至るロジックにもそこそこ満足できましたが、物語が地味でリーダビリティに少々欠けるように思います。

No.836 7点 血の絆- A・J・クィネル 2010/07/23 18:01
正統派の海洋冒険小説。
子供の生死を確認すべく未亡人がおんぼろのヨットでインド洋へ旅立つ。途中次々と仲間になる3人の男女との交情、インド洋の島々の情景など、印象に残るシーンに溢れています。
元傭兵もののバイオレンス・サスペンスもいいが、日常からの逃避の読書として最高の時間を過ごせる名作。

No.835 6点 歯と爪- ビル・S・バリンジャー 2010/07/23 18:01
返金保証付き一部袋とじミステリ。
魅力的なタイトルとサスペンス充分のプロットで、途中で投げ出す人はまずいないでしょう。
紹介文で煽る程の意外性は感じませんでしたが、奇術師の行動と法廷場面をカットバック方式で描く手法は新鮮で、トリックよりプロットで読ませる良質のミステリだと思いました。

No.834 7点 ジェゼベルの死- クリスチアナ・ブランド 2010/07/22 22:36
「東西ミステリーベスト100」海外編の90位は、「オランダ靴」と並んで、コックリル警部シリーズの第4作。
本書が、ブランドの持ち味が一番出た代表作ではないかと思います。
衆人環視状況の殺人の不可能性はいまいちピンとこなかったですが、首切断の動機は凄味を感じてしまった。仮説を立てては崩れ、コックリルの推理も外れ、終盤に容疑者が次々と”自白”していくところは、バークリーを彷彿とさせます。

No.833 7点 オランダ靴の秘密- エラリイ・クイーン 2010/07/22 22:08
国名シリーズの中では、とりわけフェア・プレイに徹したロジカルな作品という印象。
正に”読者への挑戦”を挟むにふさわしいパズラーですが、その分、「エジプト十字架」とか「ギリシャ棺」に比べると、ハッタリとか派手さがないので物語として起伏に乏しいと思いました。でも、解決編のロジックは非常に感心しました。

No.832 7点 リリアンと悪党ども- トニー・ケンリック 2010/07/22 21:52
疑似親子三人が企てる”誘拐劇”を基調に、スラップスティクスなドタバタが全編を覆っていて大いに笑える。
ウエストレイクの”不運な泥棒ドートマンダー”シリーズと同じテイストのクライム・コメデイの傑作。

No.831 4点 赤い館の秘密- A・A・ミルン 2010/07/22 21:36
のんびりした英国の田舎の雰囲気が漂う古典ミステリ。
トリック、プロットとも時代を感じさせる、もはや書誌的な価値しか見いだせない作品だと思います。

No.830 7点 九マイルは遠すぎる- ハリイ・ケメルマン 2010/07/22 21:28
ニッキイ・ウェルト教授シリーズの連作短編集。
表題作はあまりにも有名で、数語の会話文だけで思いもよらない結論を導き出す、安楽椅子探偵ものの名作。
収録作すべてがアームチェア・ディテクティヴではなく、「エンド・プレイ」など、正統派本格編としてよく出来ている。

No.829 7点 針の眼- ケン・フォレット 2010/07/22 21:13
第二次大戦終盤を時代背景に、英国潜伏中のドイツ人スパイを主人公にした冒険スパイ小説で、著者のデビュー作。
連合軍のD-デイ情報をヒトラーにいかにして伝えるか、サスペンス溢れる展開が続くが、孤島で出会う女性との交情は、後に、”ハーレクイーン冒険小説”と揶揄される片鱗も覗えて面白い。
本書のD-デイ情報を真珠湾攻撃情報に置き換えれば、佐々木譲「エトロフ発緊急電」になります(笑)。

No.828 5点 男の首- ジョルジュ・シムノン 2010/07/22 19:03
メグレ警視シリーズは、これと「黄色い犬」しか読んでいない(2作セットだったので)。たしか、脱獄囚を手引きする真犯人に罠を張るようなストーリーだったと思いますが、読書案内で紹介されている情感に訴えるような作風とは感じられなかった。
サスペンス小説としてはまずまずだったように思います。

No.827 6点 ナヴァロンの要塞- アリステア・マクリーン 2010/07/22 18:51
「東西ミステリーベスト100」海外編の80位は、戦争冒険小説の金字塔的作品。
おそらく団塊の世代のお父さん方にとって、冒険小説のバイブルでしょう。現在の人気は見る影もありませんが。
世界的登山家マロリー以下5名のミッション・インポシブルは非常にストレートな冒険小説。
最後の展開もマクリーンのお家芸でした。

No.826 6点 見えないグリーン- ジョン・スラデック 2010/07/22 18:34
素人探偵サッカレイ・フィン登場のシリーズ第2作。
70年代の米国では珍しい真っ当な不可能犯罪ものの本格ミステリで、最初のトイレの密室トリックなどユニークだと思います。
日本の新本格風のテイストもあるので、本格マニアには一定の評価を得られるのでは。

No.825 7点 別れを告げに来た男- ブライアン・フリーマントル 2010/07/22 18:22
チャーリー・マフィンシリーズの数年前に書かれた著者のデビュー作。
今作も、英国政府がソ連情報部に出し抜かれる様を描いたエスピオナージュの傑作で、短めの長編だけにキレは抜群。
ソ連からの亡命を求める二人目の科学者の目的はうすうす分かりますが、その方策が謎で物語のキモ。伏線がきっちり張られていて、まるでハウダニットの本格ミステリを読んだような感覚だった。

No.824 7点 復讐法廷- ヘンリー・デンカー 2010/07/21 21:55
スコット・トゥローの「推定無罪」以降、90年代に続々と出た法廷物のサスペンスですが、本書は、その数年前に出たリーガル・サスペンスの先駆的作品といえます。
これらは、いずれもメッセージ性を持つのが特徴で、本書のそれは”法で裁けない罪人”殺しでしょうか。被告人のリオーダン、青年弁護士ゴードンを始め裁判官、陪審員など造形も確かで、やはり法廷ものは人間ドラマの縮図を見るようで面白い。

No.823 5点 トレント最後の事件- E・C・ベントリー 2010/07/21 21:29
本格ミステリに恋愛を持ち込んでプロットの綾としたという事ですが、現在読めばごく普通のミステリ。
とりたてて、優れたアイデアはありませんでした。

No.822 6点 大穴- ディック・フランシス 2010/07/21 21:21
「東西ミステリーベスト100」海外編の73位は、競馬スリラー・シッド・ハレー初登場作品。
完成度では「利腕」に一歩譲るとしても、持ち前の英国冒険小説のテイストは同じで、”不屈の精神”を描いています。今作でのハレーが受けた肉体的苦痛はちょっと退きますね。

No.821 6点 ディミトリオスの棺- エリック・アンブラー 2010/07/21 21:03
トルコを訪問中の英国人作家が、死亡した国際的犯罪者・ディミトリオスの過去に関わるうち、謀略に巻き込まれるというストーリーでまずまず面白かった。
ディミトリオスの造形が少しづつ明らかになるにつれ、人間としてのスパイ像が浮き上がってきます。
荒唐無稽でないスパイ小説の先駆的作品。

キーワードから探す