皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
|
kanamoriさん |
|
|---|---|
| 平均点: 5.89点 | 書評数: 2428件 |
| No.228 | 5点 | 失われた背景- 陳舜臣 | 2010/04/29 15:08 |
|---|---|---|---|
| 香港の東方文明研究所から日本支部に派遣された2名の中国人青年が連続殺人に巻き込まれるというお話。
著者の本格ミステリでは珍しい文庫で600ページを超える大長編。序盤で語られる過去のエピソード(骨董贋作事件や中国大陸での将軍暗殺事件)が本筋の事件とどのように関わってくるかの興味で読み進めましたが、いつの間にか焦点が別の方向に向いてしまっています。新聞連載のためか、中盤は殺人容疑を受けた青年の逃亡サスペンスの様相で枚数を稼ぎ、結末のつけ方もあまり工夫が見られません。ファンであればある程度楽しめるかもしれませんが、平凡な出来という感想です。 |
|||
| No.227 | 5点 | 狂った信号- 佐野洋 | 2010/04/29 00:00 |
|---|---|---|---|
| 自動車教習所教官殺しを始めとする連続殺人を描いた、著者にすれば比較的派手な作品です。
ミッシングリングがテーマですが、動機はある程度予想がつき易くなっていて、本格というより「黒衣の花嫁」タイプのサスペンスという感じです。 短めの長編なので、物語に厚みがなく物足りないです。 |
|||
| No.226 | 6点 | おかしな死体(ホトケ)ども- 海渡英祐 | 2010/04/28 23:42 |
|---|---|---|---|
| 吉田茂警部補苦虫捕物帳、ユーモア連作ミステリ第1弾。
かつてのワンマン宰相似の主人公が、部下の佐藤富作部長刑事や田中角兵衛刑事を引き連れて、奇妙な死体状況の事件ばかりを解決します。 随所に出て来るクスグリは時代を感じさせて笑えませんが、不可解な謎とその合理的解答は少しも古びていないと思います。 |
|||
| No.225 | 7点 | 傷痕の街- 生島治郎 | 2010/04/28 23:25 |
|---|---|---|---|
| 国産ハードボイルドの路傍的作品、著者のデビュー作。
チャンドラーの影響を受けているといわれていますが、あまりそうは思わなかった。主人公が私立探偵でなく舞台が港湾近辺で終始しているという要因もあるかもしれませんが、、主人公の行動原理が、自身に降りかかった火の粉を払うというような、日本的な泥臭さがあります。 抒情性があって研ぎ澄まされた文体は、第1作にして既に完成されています。 |
|||
| No.224 | 6点 | 牙をむく都会- 逢坂剛 | 2010/04/27 20:54 |
|---|---|---|---|
| 現代調査研究所・岡坂神策シリーズの長編サスペンス。
シリーズの愛読者でないと、この内容にとまどうか場合によっては怒る人もいるかもしれません。 いちおう陰謀めいた話もありますが、スペイン現代史や西部映画のウンチクが延々と語られ、主人公は御茶ノ水界隈をぶらぶらするだけ。でも、こういったまったりした雰囲気がたまらないんです。 |
|||
| No.223 | 6点 | 突然の明日- 笹沢左保 | 2010/04/27 20:36 |
|---|---|---|---|
| 人間消失がメイントリックの本格ミステリ。
尾行していた主人公の目の前で対象人物が消える、いきなり提示される謎は強烈で魅力的ですが、終盤で明かされる解答には唖然というか脱力。読んですぐ「姑獲鳥」を連想しました。しかし、京極堂のほうは視点人物が精神不安定だとか、説得力を高めるため色々工夫されていたように思いましたが。 |
|||
| No.222 | 5点 | ぼくらの気持- 栗本薫 | 2010/04/27 20:16 |
|---|---|---|---|
| 学生ロックバンド<ポーの一族>のメンバー3人も卒業し、それぞれの道に・・・。青春ミステリ「ぼくら」シリーズ第2作は、漫画出版社勤務になったヤスヒコが女性漫画家殺しの容疑者にされ、薫と信が解決に奮闘するという話。
このシリーズに思い入れがないと、定番のミステリの構成に苦笑ものかもしれませんが、30年ぶりに続編を読む身にとっては、なかなか感慨深いものがありました。しかし、ヤスにとって、この苦い結末は重すぎる。 |
|||
| No.221 | 7点 | 影の地帯- 松本清張 | 2010/04/27 18:50 |
|---|---|---|---|
| 著者が社会派ミステリの大家であることは間違いないでしょうが、本書や「黄色い風土」のような謎の集団が登場する陰謀ミステリのほうが、個人的には好きです。
個人カメラマンが好奇心から追求した謎が、信州山間部の村で終決するまでのサスペンスの盛り上げ方はさすがです。とくに石鹸工場の秘密にはゾッとします。 相変わらずご都合主義な点はありますが、理屈で読むのではなく、ダイナミックな物語性を楽しむタイプの小説です。 |
|||
| No.220 | 6点 | キリオン・スレイの生活と推理- 都筑道夫 | 2010/04/27 18:22 |
|---|---|---|---|
| 詩人の外国人を探偵役とした連作ミステリの第1弾。
各編の表題がすべて「なぜ・・」で始まる事から分かるように、不可能犯罪ものとして成立できる物語でも、あえて不可解犯罪もののミステリに仕上げていて、ホワイダニットにこだわっています。 作者の提唱する<論理のアクロバット>の実践として書かれたようなミステリで、探偵役を外国人にしたのも合理性を重んじる西洋人がふさわしいという考えからでしょうか。なかには、強引すぎる机上の空論めいた推理もありますが、まずまず楽しめました。 |
|||
| No.219 | 7点 | 偽りの街- フィリップ・カー | 2010/04/27 18:00 |
|---|---|---|---|
| ナチス独裁政権下のベルリンを舞台にしたハードボイルド、シリーズ第1作。
暗い政治の翳に包まれた卑しい街ベルリンに孤高の騎士を登場させる、これはもう設定の勝利でしょう。 私立探偵グンターの造形はマーロウを意識したものに間違いないと思います。当時の状況を考えれば失踪人探しは結構需要があったでしょうしね。最後が三部作を前提にしたような終りかたなのが少々不満ですが、かなり楽しめた私立探偵小説です。 |
|||
| No.218 | 6点 | 殺人者と恐喝者- カーター・ディクスン | 2010/04/25 21:30 |
|---|---|---|---|
| 非常に大掛かりなトリックが仕込まれていますが、アイデア倒れという感じでしょうか。
チェスタトンは短編なので不自然さは目立たず、逆説的奇想と評価されるのかもしれませんが、長編で同じことをやるとアンフェアなどと言われかねません。 原書房から出た新訳では、表現方法など相当工夫されていますが、やはり無理があるような気がします。 |
|||
| No.217 | 6点 | テキサスの懲りない面々- ジョー・R・ランズデール | 2010/04/25 20:55 |
|---|---|---|---|
| 落ちこぼれ白人ハップとゲイの黒人レナードのコンビが騒動を起こすシリーズ第5作。これ以後シリーズ作品が出ていないので最終話になるかもしれません。
ランズデールは多才な作家で、「ボトムズ」などのモダン・ホラー系のサスペンスやスプラッタ・ホラーなども書いていますが、ハップ&レナードのシリーズは無条件で楽しめるユーモア風味のノアール小説という感じです。今作は過去に出てきた面々が再登場したり、既読感のあるやり取りがあったりで、シリーズの集大成の様相でした。 |
|||
| No.216 | 6点 | 殺人ファンタスティック- パトリシア・モイーズ | 2010/04/25 20:34 |
|---|---|---|---|
| スコットランド・ヤード犯罪捜査課ティベット警部シリーズ第7作。
このシリーズはティベット夫婦の観光地巡りミステリのスタイルが多いですが、今作は一応「館」ミステリ。田舎の名士一族の変人ぶりが笑えるファース風味の強い作品で、トリックも従来の作品とは趣が異なります。 本格度は高くはないですが、幻想的雰囲気が漂う佳作だと思います。 |
|||
| No.215 | 5点 | 陰の告発者- 草野唯雄 | 2010/04/25 17:58 |
|---|---|---|---|
| 「主人公は、この物語の犯人であると同時に被害者であり探偵でもある。さらに・・・」
倒叙形式でミステリ作家の妻である主人公のある犯罪計画を描いたサスペンスミステリ。読者を煽る紹介文とは裏腹に、出来はいたって平凡なサスペンスといったところです。 むしろ、文庫解説で類似趣向作品として「シンデレラの罠」や「猫の舌に釘を打て」とか辻真先のポテト&スーパーものを取り上げているのが興味深かった。「虚無への供物」のネタバレをしているのは問題ですが。 |
|||
| No.214 | 5点 | 結婚って何さ- 笹沢左保 | 2010/04/25 17:33 |
|---|---|---|---|
| 通俗ミステリの様なタイトルですが、キッチリ本格しています。
作者初期の本格ミステリ群は、乱歩の「類別トリック集成」の各トリック項目から順次消化しているような感じで、色々なトリックを駆使していますが、本書も密室トリックとある有名なプロット上のトリックを使用しています。 オリジナリティに欠けるかもしれませんが、本格に対する意欲は買えると思います。 |
|||
| No.213 | 4点 | 崖下の道- 飛鳥高 | 2010/04/25 17:22 |
|---|---|---|---|
| 昭和の下町工場を舞台にした暗めのクライムミステリ。
兄の強盗殺人を疑う主人公の懊悩と、その親類で所轄の刑事の捜査を交互に描いていて文芸的な香りがします。が、本格ミステリの趣向がほとんど見られないのと、あまりにも救いようがない結末なので後味がよろしくないです。 古書的価値ほどの面白みは感じられませんでした。 |
|||
| No.212 | 5点 | 奇術師の密室- リチャード・マシスン | 2010/04/25 15:00 |
|---|---|---|---|
| 半身不随で車椅子の元奇術師や息子で二代目奇術師とその妻など5人の登場人物のみで演じる舞台一幕劇。
それぞれの人物の思惑が交錯し、目が回る程のどんでん返しの繰り返しが炸裂しますが、それは本格ミステリの驚きとは異質なもの。マシスンの本領とはちょっと違うという感想を持ちました。 |
|||
| No.211 | 7点 | ナイトホークス- マイクル・コナリー | 2010/04/25 14:41 |
|---|---|---|---|
| ロス市警の刑事・ハリー・ボッシュ、シリーズ第1作。
現代ハードボイルドの到達点とも言われ、本国では人気のシリーズですが、日本では熱狂的なファンはいても、ディーヴァーのような一般的な人気はない感じがします(このサイトの書評も全くありませんし)。 一匹狼的な孤高の刑事を描いたハードボイルド系の警察小説ですが、各作品とも常にどんでん返し的な真相を設定していて、本格ミステリ読みにも受ける要素があると思います。 初期4作目までは、ベトナム戦争の後遺症、ボッシュ出生の秘密、過去のドールメイカー事件、過去の母親殺害事件など後ろ向きのテーマで、地味な印象もありますが、以降はエンタテイメント性が益々高くなっています。しかし、ボッシュの人物造形を深く知るためには、シリーズ第1作から順に読むのが吉だと思います。 |
|||
| No.210 | 7点 | 闇よ、我が手を取りたまえ- デニス・ルヘイン | 2010/04/24 21:13 |
|---|---|---|---|
| 私立探偵パトリック&アンジー、シリーズ第2弾。
前作より格段に完成度が高くなっている気がします。第1作だと、どうしても人間関係の説明が中心になる。パトリックと父親の関係、アンジーと夫の関係などが前提になっているため、今回すんなり物語に入っていけるのかもしれません。 男女の私立探偵もので、このような重厚な作品は珍しい。シリアル・キラー系統のハードボイルドですが、真相はサイコパスを超える衝撃的なものでした。 なお、角川文庫では作者名の表記は「レヘイン」になっています。 |
|||
| No.209 | 6点 | 死者の日- ケント・ハリントン | 2010/04/24 20:47 |
|---|---|---|---|
| メキシコの「死者の日」は日本の盆祭りを過激にした感じか。
その日を中心に、国境の町を舞台にした米国麻薬取締官の転落の過程を描いています。乾いた猥雑な筆致は「内なる殺人者」のジム・トンプソンを思わせ、デング熱で徐々に自分を見失っていく主人公の行動は異常な熱気を感じます。 読む者をもデング熱に罹患させた気分にさせるノワールの秀作だと思います。 |
|||