海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

kanamoriさん
平均点: 5.89点 書評数: 2460件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.380 4点 天の上の天- 陳舜臣 2010/05/26 22:34
ノンシリーズ長編ミステリ。
殺人容疑をかけられた主人公の会社員が真犯人を突き止めようとする話。著者の小説では珍しく中国人が重要な役割で登場せず、作風も本格というより社会派よりのサスペンス・ミステリです。
内容はいたって平凡で、読み応えなく残念です。

No.379 5点 弓の部屋- 陳舜臣 2010/05/26 19:01
ノンシリーズの長編ミステリ。
ほぼ全編、神戸異人館の弓の部屋における推理劇の趣があります。数名で花火見物中に停電になり毒殺事件が起こるというストーリーで、毒殺トリックは単純ながらユニークです。
登場人物が次々と犯人だと名乗り出るプロットもなかなか面白い。

No.378 6点 獅子は死なず- 陳舜臣 2010/05/26 18:40
単行本「わが集外集」の文庫化に際し改題された短編集。
いままで単行本未収録だった歴史ものをまとめていて、ミステリ以外の作品もありますが、落ち穂拾い的な感じは受けません。
表題作「獅子は死なず」はインド独立運動の英雄チャンドラ・ボースの決死行を綴った歴史ネタで読み応え充分。
「狂生員」が特殊な状況における犯人当てを狙っていて一番ミステリ趣向に富んでいます。ほかにも名作「方壷園」のテイストに近い歴史ミステリが数編収録されていて、まずまずの作品集でした。

No.377 6点 三色の家- 陳舜臣 2010/05/26 18:25
陶展文20歳代の青春時代、昭和ひと桁の神戸を舞台とする本格ミステリ。
シリーズ第2作でいきなり番外編を書くのは異例だと思いますが、他の作品でもいくつかこの時代の神戸を舞台にした作品があるので、作者の思い入れがあってのことだと推測します。
密室からの二つの消失トリックは、あまり巧妙とは思いませんが、試行錯誤の上犯人を特定するロジックは面白いと思いました。

No.376 6点 影は崩れた- 陳舜臣 2010/05/25 21:46
六甲山の別荘での食品会社会長殺しから、過去の不審死事件が浮かび上がってくるというストーリーで、本格ミステリとしてまずまずの佳作だと思います。
第一容疑者のアリバイ崩しがメインとも読めますが、作者には珍しいミッシングリンクものでもあります。散りばめられた伏線と複雑な人間関係が最後にきれいに結びつく手際はさすがのひと言です。

No.375 4点 まだ終らない- 陳舜臣 2010/05/25 21:25
インドネシアの会社から日本に出張中の中国男性の失踪と殺人を描いていますが、正直あまり面白くない。
本格ミステリの様相で幕を開けますが、途中から経済小説風のクライムミステリに変貌したり、誰に感情移入して読めばいいのか分からなくなりました。
「白い泥」の竹森警部が登場しますが、この人は探偵役というには影が薄いですね。

No.374 6点 呪いの聖女- 藤本泉 2010/05/25 20:57
土俗伝奇ミステリ、「エゾ共和国」シリーズの第5弾。
珍しく東北が舞台ではなく、序盤は東京の財産家殺しと疑惑の養女を追う休職中の刑事の私的捜査が描かれていて、日常的風景から徐々にサスペンスを高めています。そこから破局に至る筆運びはさすがと思わせます。
物語終盤、岩手を目指す列車内の刑事に襲いかかる「東北の闇」はシリーズ屈指の恐怖を味わえるシーンだと思いました。

No.373 6点 ライン河の舞姫- 高柳芳夫 2010/05/25 20:32
ライン河の古城を舞台にした密室殺人を描いていて、これも乱歩賞最終候補作。最近は「乱歩賞受賞作」より「乱歩賞最終候補作」というレッテルの方に反応してしまう自分が悲しい。要は落選作なんだけど・・・。
密室トリックに加え、新本格でお馴染みのプロット上の仕掛けが工夫されて面白かったですが、前作「禿鷹城」の続編になっているのは新人賞の応募作としていかがなものか。

No.372 6点 『禿鷹城(ガイエルスブルク)』の惨劇- 高柳芳夫 2010/05/25 20:20
ドイツの古城を改築したホテルでの密室殺人といったコード型ミステリの趣向はいいんですが、登場する人物が類型的で魅力がなく、せっかくの舞台背景をいかせきれていない感じです。
密室トリックは複雑で面白かったですが、この年の乱歩賞受賞作「アルキメデスは手を汚さない」と比べて、斬新さに欠けるのは否めないです。

No.371 6点 「心の旅路」連続殺人事件- 中町信 2010/05/24 23:19
”心の旅路=記憶喪失”がテーマの初期長編ミステリ。
お約束の温泉は今回は水上温泉で、殺人目撃者がショックで記憶喪失になるという都合のいい設定。
例によってアレ系の仕掛けがあって、他にもいろいろ盛り込んでいますが、「作者のひとり合点が多すぎる」(乱歩賞選考委員、松本清張)に同感です。でも好きなんですよね、こういう仕掛けが。
「空白の殺意」というタイトルは本作のほうが合っている気がしますね。

No.370 4点 攪乱者- 石持浅海 2010/05/24 22:50
反政府組織の末端メンバーの男女3人が社会不安を醸すべく実行する数々のミッション。
連作形式で、次々と社会撹乱活動が描かれていますが、これがしょぼい。それぞれの任務の真の目的が秘されているのがミステリとしての趣向ですが、作者のロジックが客観的に受け入れられるか微妙だと思いました。

No.369 5点 悪党パーカー/エンジェル- リチャード・スターク 2010/05/24 22:24
悪党パーカーシリーズ、復活の第17弾。
前作から23年ぶりにシリーズの続編が出て、心躍る思いで読んだ記憶があります。原題は"Comeback"。
後書きに曰く「パーカーの往く世界は暴力に満ちたお伽の国」というとおり、時代は変わってもパーカーは変わっていなかった。

No.368 7点 悪党パーカー/殺戮の月- リチャード・スターク 2010/05/24 22:13
悪党パーカーシリーズの第16弾。
シリーズ第1期の最終作で、質量ともに今までの作品を圧倒しています。これで打ち止めにする予定だったはずで、グロフィールドをはじめ過去の仲間が勢ぞろいし、遂に地元ギャングと決着をつけます。
ある理由によってパーカーが激昂するシーンが読みどころでしょう。シリーズ最高傑作だと思います。

No.367 6点 悪党パーカー/殺人遊園地- リチャード・スターク 2010/05/24 22:03
悪党パーカーシリーズの第14弾。
今作は屈指の異色作と言えると思います。地元ギャングに追われ休業中の遊園地に逃げ込んだパーカーひとりのサバイバル戦。
全編にわたって、複数の敵との壮絶な死闘が繰り広げられ、パーカーが一人また一人と倒していく描写は圧巻で、活劇サスペンスの秀作だと思います。

No.366 6点 悪党パーカー/襲撃- リチャード・スターク 2010/05/24 21:50
悪党パーカーシリーズの第5弾。
今回の標的は山間の町全部。仲間を集め、計画を練って、襲撃するが、思わぬアクシデントが発生し・・・という恒例のパターンが本書で確立します。
俳優強盗グロフィールドの初登場作でもあり、節目の一冊といえると思います。

No.365 7点 悪党パーカー/人狩り- リチャード・スターク 2010/05/24 00:56
非情の犯罪プランナー・悪党パーカーシリーズの第1弾。
新旧シリーズ併せて20作出ている長寿シリーズの第1作は、本国出版が50年近く前というのが信じられないほど、いま読んでも新鮮な徹夜本です。
本書は妻と仲間の裏切り、刑務所脱獄、組織との戦いというパーカー自身の物語で、犯罪プランナーという側面が表れていないハードボイルドの趣が強い作品だと思います。
これを読めば、シリーズ全篇読破の欲求に駆り立てられるのは避けられません。

No.364 5点 怪盗ニック対女怪盗サンドラ- エドワード・D・ホック 2010/05/23 23:13
怪盗ニック・シリーズの連作短編集第4弾。
しばらく出版がとぎれて久々にでたシリーズですが、全篇ニックの商売敵の女怪盗サンドラ・パリスが絡むプロットになっています。シリーズ中期の作品集で、さすがに意外性を追求する姿勢はゆるくなっているように思います。
なかでは、レオポルド警部との共演「レオポルド警部のバッチを盗め」が個人的ベスト作品。

No.363 6点 怪盗ニックの事件簿- エドワード・D・ホック 2010/05/23 23:01
怪盗ニック・シリーズの連作短編集第3弾。
引き続き本書のテンションも下がっていません。恋人のグロリアにニックの正体がばれてしまうという展開があります。
個人的ベストは、その「昨日の新聞」でしょうか。極めつけの価値のない昨日の新聞が何故依頼人には盗む価値があるのか、その理由はなかなか予想外です。
すでに終演した芝居のチケットの盗難依頼「劇場切符の謎」もホワイダニットの秀作だと思います。

No.362 6点 怪盗ニックを盗め- エドワード・D・ホック 2010/05/23 22:48
怪盗ニック・シリーズの連作短編集第2弾。
本書もいろいろなヴァリエーションで楽しませてくれます。
ハウダニットとホワイダニットともに意表をつく「プールの水を盗め」と「聖なる音楽」、ニック自身が誘拐される「怪盗ニックを盗め」、 <赤髪組合>バージョンかと思わせる「何も盗むな!」などが印象に残っています。

No.361 7点 怪盗ニック登場- エドワード・D・ホック 2010/05/23 22:24
無価値のものだけを盗む怪盗ニック・ヴェルヴェットの連作短編集、日本で独自に編集されたシリーズ第1弾。
ホックの数多いシリーズ・キャラクターの中でもレオポルド警部とほぼ同数の約90編の作品に登場する看板キャラです。
このシリーズの肝は盗難方法のハウダニットよりも、依頼人は何故無価値のものを盗ませるのかというホワイダニットにあります。
ニックが事件に巻き込まれ、その理由を追求せざるを得なくなるプロットは最初は新鮮でしたが、パターンが限られているだけに元々マンネリは避けられないプロットかもしれません。
本書は第1作の「斑の虎」をはじめ、盗難理由が意外な「真鍮の文字」と「陪審員を盗め」、何を盗むか分からない「からっぽの部屋」など秀作がそろっています。

キーワードから探す