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kanamoriさん
平均点: 5.89点 書評数: 2426件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.346 6点 サム・ホーソーンの事件簿Ⅴ- エドワード・D・ホック 2010/05/22 17:43
本格パズラー短編集の第5弾。
看護婦のエイプリルが復帰し、女性獣医アナベルが登場して重要な役割を果たします。
各編トリックは分かりやすいものが多い様に感じましたが、「奇蹟を起こす水瓶の謎」の毒殺トリックがまずまずでしょうか。
ボーナス・トラックは「レオポルド警部の密室」ですが、同シリーズの他の未訳作品にしてほしかった。

No.345 7点 サム・ホーソーンの事件簿Ⅳ- エドワード・D・ホック 2010/05/22 17:33
本格パズラー短編集の第4弾。
看護婦のエイプリルに変わって一時的にメリー・ベストが登場します。
収録作では、「革服の男の謎」が抜群の私的ベスト。サム医師が知り合った男が突然消失し、目撃者である町の人々全員がその存在を否定するという不可思議性が非常に魅力的。ほかでは、「要塞と化した農家の謎」が久々の密室トリックものの秀作でした。
今作には、西部探偵ベン・スノウものが2作収録されているのも嬉しい。サム医師との共演「呪われたティビーの謎」と「フロンティア・ストリート」が読めたのは収穫。

No.344 6点 サム・ホーソーンの事件簿Ⅲ- エドワード・D・ホック 2010/05/22 17:15
本格パズラー短編集の第3弾。
ガチガチの本格ミステリを12編続けて読むと、さすがに疲れます。独創的トリックがそうそう案出できる訳もありませんので、過去のヴァリエーションになりますが、既読感を覚えるものもありました。
なかでは、「干し草に埋もれた死体の謎」が伏線の巧妙さで編中のベストでしょうか。
ボーナス・トラックは非シリーズもの「ナイルの猫」。これは動機が意表をつくホワイダニットの秀作でした。

No.343 7点 サム・ホーソーンの事件簿Ⅱ- エドワード・D・ホック 2010/05/22 17:02
本格パズラー短編集の第2弾。
今作も不可能トリックがてんこもりです。個人的ベストは、レンズ保安官の結婚式会場の密室殺人を扱った「八角形の部屋の謎」です。この作品は全体のプロットにも面白い仕掛けがあり楽しめました。
ボーナス・トラックはレオポルド警部ものの「長方形の部屋」で、これはホワイダニットの傑作です。

No.342 8点 サム・ホーソーンの事件簿Ⅰ- エドワード・D・ホック 2010/05/22 16:48
隠退したホーソーン医師が、過去に携わった事件を訪問客を相手に回想する形態をとっていて、シリーズほとんどが不可能犯罪を扱っている非常にパズラー志向の高い短編集です。
第1話の「有蓋橋の謎」はあちこちのアンソロジーに収録されていて、最初に読んだ当シリーズの短編なので思い入れが強い作品です。ほかでは、「十六号独房の謎」がフットレルの名作に挑戦した脱出トリックもの、「古い樫の木の謎」は空中スタントマン飛行士の不可能殺人で印象に残りました。
ボーナス・トラックの非シリーズもの「長い墜落」も秀作です。

No.341 5点 ミステリー歳時記- 評論・エッセイ 2010/05/22 16:13
海外ミステリガイド風のエッセイ集。著者は小泉喜美子。
1980年代初めの翻訳ミステリを毎月数冊紹介していて、新刊を評論する中で、チャンドラーやウールリッチへの敬愛ぶりが随所に覗えます。
本格ミステリぎらいで知られる著者ですが、S=A・ステーマンなどは評価していて、要するに魅力的な謎、洒落た会話、独創的なプロットなどがあれば、本格であろうが、ハードボイルドであろうが関係ないというスタンスの様です。ダメな本格としてヤリ玉に挙がっているのは、ジャックマール&セネカル「11人目の小さなインデアン」で、なんとなく分かります。
著者が翻訳したP・D・ジェイムスの初期作3冊についても触れられていますが、プロット上の気に食わない所はダメだししている点は好感が持てます。

No.340 6点 読まずに死ねるか!- 事典・ガイド 2010/05/22 15:38
月刊PLAYBOYに連載された冒険小説を中心にしたエッセイ風のオモシロ本ガイド、シリーズ第1弾。
著者は内藤陳氏。

1978年から83年の5年間の読書日記が中心で、当時ブレイク中のデズモンド・バグリイやジャック・ヒギンズの新刊への過剰な敬愛ぶりがスゴイのひと言です。
初読当時は、ナンデモカンデモ褒めちぎりで評価に関して客観性に疑問符がありましたが、今再読してみると、マクリーンの後期作のひどさを嘆いているなど、意外とそうでもなかった。
当時このジャンルの読書ガイドはあまりなかったので重宝しました。たしか、バー=ゾウハーを知ったのもこの本だった。国内では、志水辰夫、船戸与一がデビューした直後でした。

No.339 5点 コンピューター検察局- エドワード・D・ホック 2010/05/21 21:53
21世紀半ばのカナダ・アメリカ合衆国を舞台にしたSFミステリ長編で、3作あるシリーズの第1弾。
物体高速移転装置の発明者殺しをめぐる端正な本格編で、コンピュータ信仰がはびこる世界ゆえに、装置のある秘密が巧妙なミスディレクションになってますが、物語そのものはあまり面白くありませんでした。

No.338 6点 こちら殺人課!- エドワード・D・ホック 2010/05/21 21:39
レオポルド警部もの8編を収めたミステリ短編集。
観覧車からの人間消失トリック「ヴェルマが消えた」と、絞殺死体が車を運転するという「不可能犯罪」は、ともに謎の不可解性が魅力的な作品。
「港の死」はクリスティ某作のヴァリエーションですが、シリーズものの特性を生かしたプロットが秀逸で編中の私的ベスト。
当シリーズは時系列があるため、出来ればホーソーン医師シリーズ同様に、第1作から順に出してもらいたいものです。

No.337 7点 密室への招待- エドワード・D・ホック 2010/05/21 20:51
自身の作品の中から不可能犯罪ものを集めた短編集で、「ホックと13人の仲間たち」ほどではありませんが、いくつかの探偵キャラが出てくるので楽しめました。
「レオポルド警部の密室」は、密室トリックの他に仕掛けがあり、無難にまとめた佳作。
「壁を通り抜けたスパイ」はジェフリー・ランドもの。厳重監視下の書類盗難のトリックがよく考えられている。
「魔法の弾丸」は秘密諜報員ハリー・ボンダーもの。移動中の車内の射殺を扱っていて不可能性が高いのが魅力的。
ほかに、オカルト探偵もの、インターポールものなどが収録されています。

No.336 6点 ホシは誰だ?- アンソロジー(出版社編) 2010/05/21 20:19
ちょうど30年前の昭和55年に編まれた犯人当てミステリの競作アンソロジーで16編収録。
当時の本格系作家オールキャストといっていい執筆陣ですが、各問題編が15ページほどなので、ものたりない感じもします。
陳舜臣「新・黄色い部屋」は、手掛かりが面白いが犯人当てとしては簡単すぎる。都筑道夫「夢の完全犯罪」はSFの設定自体が仕掛けになっていて巧い。島田一男「執念の島」はアリバイ&殺人トリックが凝っている。飛鳥高「分け前」は犯人絞り込みのロジックが良。鮎川哲也の鯉川先生ものはユーモアミステリとしは合格点。
菊村到「追悼パーティ」は犯人当てミステリとしては掟破りですが、その分一番意外性がある。
その他、三好徹、結城昌治、笹沢左保、戸板康二、海渡英祐、佐野洋など、それぞれの持ち味が出た作風で楽しめました。

No.335 4点 綺想宮殺人事件- 芦辺拓 2010/05/21 18:59
琵琶湖のほとりに建つ「パノラマ島」を彷彿とさせる建築群内での見立て風の連続殺人を扱っています。
登場人物のセリフ「ああ、もーう退屈っ。何なのよ、この蘊蓄合戦は!」が、そのままこの小説の読後感想です。
古今東西の科学、数学、文学、歴史、芸術などあらゆる分野の奇説・珍説の蘊蓄&ペダントリーが、探偵のみならず複数の登場人物から発せられ、この衒学趣向に辟易しました。それが伏線だとしても、真相に繋げられる読者はいないでしょう。
最後のメタ的オマケもなんだかなぁという感じでした。

No.334 5点 密室の奇術師 本格推理展覧会①- アンソロジー(国内編集者) 2010/05/20 20:55
密室ミステリ・アンソロジー。これも山前譲が編集。
やはり地味なラインナップで、既読作品も多かったですが、一部レアな作品を入れている点は好印象。
有栖川有栖の「死ぬ時はひとり」は山伏地蔵坊もの、天城一、飛鳥高、土屋隆夫、井沢元彦なども作者の短編集で既読。
収穫は藤村正太「残雪」と笠原卓「瀕死の密室」。出来はともかく珍品の部類に入る作品でしょう。

No.333 5点 真夜中の密室 密室殺人傑作選- アンソロジー(国内編集者) 2010/05/20 20:39
密室ミステリ・アンソロジー。編者は山前譲。
後発の密室ミステリ作品集なのでどうしても地味なラインナップにならざるを得ないですね。
泡坂妻夫「ナチ式健脳法」、山村美紗のミス・キャサリンもの「呪われた密室」、高木彬光の近松検事もの「影の男」、天城一「むだ騒ぎ」、鮎川哲也の星影もの「妖塔記」(改稿前版)などは、各作家の短編集で既読。
中町信「動く密室」は著者唯一の短編集「Sの悲劇」収録ですが、入手難なのでレアかもしれません。

No.332 4点 密室レシピ- アンソロジー(出版社編) 2010/05/20 18:52
密室ミステリ・アンソロジー。
泡坂妻夫、折原一、霞流一、柴田よしきの4編収録。
執筆メンバーからバカミス系トリックのオンパレードだと思ったが、そのとおりでした。
泡坂の「雪の絵画教室」が一番好みでしたが、トリックはやはりバカミスと言えます。

No.331 3点 密室殺人事件- アンソロジー(出版社編) 2010/05/20 18:44
密室ミステリ・アンソロジー。
連城三紀彦、折原一、黒崎緑の3作が面白かったですが、いずれも既読のもの。
初読の他の作品はどれもつまらなかった。

No.330 5点 密室- アンソロジー(出版社編) 2010/05/20 18:34
密室ミステリ・アンソロジー。
有栖川有栖の学生アリスもの「開かずの間の怪」が著者の短編集で出ていないという意味で目玉でしょうか。ゲームならではのトリックで江神部長の推理もさすがと思わせます。
若竹七海「声たち」もこのアンソロジーでのみ読める。編中の私的ベスト。
法月綸太郎「ロス・マクドナルドは黄色い部屋の夢を見るか?」は、タイトルはフィリップ・K・ディックから、内容はロス・マクのパロデイ。アーチャーはそんなに薄っぺらな探偵じゃないぞ(笑)。

No.329 6点 密室と奇蹟 J・D・カー生誕百周年記念アンソロジー- アンソロジー(国内編集者) 2010/05/19 22:12
ジョン・ディクスン・カー生誕百周年記念アンソロジー。
カー・マニアを自認する作家のバスティーシュ作品集で、必然的に不可能興味を取り扱った作品が多くなっています。
出来がいいのは、芦辺拓「ジョン・ディクスン・カー氏、ギデオン・フェル博士に会う」、二階堂黎人「亡霊館の殺人」、柄刀一「ジョン・D・カーの最終定理」の3作。
いずれもカーに対する敬愛ぶりが覗える凝った作品だと思いました。

No.328 5点 大密室- アンソロジー(出版社編) 2010/05/19 21:53
密室ミステリ・アンソロジー。
有栖川有栖、恩田陸、北森鴻、倉知淳、貫井徳郎、法月綸太郎、山口雅也と当代人気作家がそろっていて、内容も出来がいい作品が多いですが、いかんせんほとんどの作品が自身の短編集に既に入っていて、現在このアンソロジーの意義は薄れてしまいました。

No.327 4点 不可能犯罪コレクション- アンソロジー(国内編集者) 2010/05/19 21:37
密室に限らない不可能犯罪もののアンソロジー。
執筆陣は、いちおう気鋭の本格系の作家を揃えていますが、事件の状況設定が似ていたり、ダイレクトに不可能興味を味わえない作風だったりで、読後感はいまいちです。
加賀美雅之の「「首吊り判事」亭の奇妙な犯罪」のトリックが一番凝っていたように思います。

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kanamoriさん
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