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kanamoriさん
平均点: 5.89点 書評数: 2426件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.33 6点 紅鱒館の惨劇- アンソロジー(国内編集者) 2016/04/15 21:20
昭和20年~30年代に発表された”幻の本格派作家”のシリーズ探偵ものを収録した鮎川哲也編アンソロジー、『殺意のトリック』『殺人設計図』に続く第3巻です。大阪圭吉「寒の夜晴れ」や天城一「ポツダム犯罪」などの有名作もありますが、ここではマイナーな初読の作品について寸評します。

表題作の岡村雄輔「紅鱒館の惨劇」は、シリーズ探偵・秋水魚太郎が初登場するヴァン・ダイン風の館ミステリ中編で、犯人のユニークな偽装工作や6つの疑問点からの推理がそれなりに面白い。水上幻一郎「火山観測所殺人事件」も典型的なコード型本格ですが、舞台設定があまり活かされていない感じがする。
九鬼紫郎「豹郎都へ行く」は、とぼけた探偵の不可解な行為から隠れた構図が暴かれるというプロットは、泡坂妻夫の亜シリーズを思わせる。これは連作で読んでみたい気もする。
香住春吾「間貫子の死」は、ユーモラスな語り口と”村の慣習”に起因する派手な殺人方法との対比が印象的で、編中で最もインパクトがあった。本作が犯人当てゲームのテキストだったというのがなんともw
坪田宏の「歯」は、機械的トリックが複雑で分かりずらく、重要情報の後出しも減点要素ですが、しっかりした文章力と精緻な描写は好印象。最後の千代有三「エロスの悲歌」は、思い切り意外な犯人を設定しているものの、それまでの錯綜した愛憎関係の話が浮いてしまっているように思う。
なお、現在では岡村雄輔や水上幻一郎、千代有三、坪田宏ら、収録作家のほとんどが論創社の”探偵小説選”シリーズで個人作品集が出ています。その論創ミステリ叢書が100巻に達しようとする時代が来るとは、さすがに鮎川センセーも想像していなかったでしょうね。

No.32 6点 古代史ミステリー傑作選- アンソロジー(国内編集者) 2015/07/04 22:45
河出文庫のテーマ別ミステリー傑作選シリーズの一冊。
古代史のミステリといえば定番の”邪馬台国の謎”しか思い浮かばないのだけど、弥生、古墳時代から奈良、平安朝前期まで、ほぼ歴史の流れの順に6編を収録したバラエティに富むアンソロジーです。

収録作は、(a)古代の遺品や遺跡を素材にした現代のミステリと、(b)古代を舞台背景にした歴史ミステリの2つのタイプに大別される。
対馬で偶然発見された弥生時代の中国製古銭が事件の発端となる石沢英太郎「貨泉」、奈良時代の幻の古楽器を巡る謎の森真沙子「蘭陵王の闇」、平安の”応天門の変”の真相に関わる古文書が殺人を引き起こす中津文彦「隠岐ノ島死情」が(a)のタイプといえる。いずれも面白いが、歴史の謎の興味に加え、アリバイ工作&意外な犯人像という本格ミステリ成分が濃い中津作品が一番読み応えがあった。
一方(b)のタイプでは、滝村康介の「剣の塔」が素晴らしい出来栄え。蘇我馬子が探偵役になって、高句麗大使の暗殺事件を謎解く。衆人環視下の不可能殺人のトリック、解明のプロセスともに時代背景が活かされている。
新羽精之「幻の馬は遥かなる邪馬台に」は、中国人が見た6世紀の日本という構成で、赤馬伝説に騎馬民族征服説を踏まえた歴史ロマンあふれる作品。もう少し小説が上手ければもっと楽しめたと思えるのが惜しい。

No.31 6点 ミステリマガジン700 国内編- アンソロジー(国内編集者) 2014/06/08 21:31
早川書房「ミステリマガジン」創刊700号記念の文庫アンソロジー、国内編。
翻訳ミステリ専門だったEQMMに最初に載った国内ミステリ・結城昌治の「寒中水泳」から、最近一部で話題の近未来警察小説、月村了衛「機龍警察・輪廻」まで、(田村隆一の”ミステリー詩”を含めて)20編収録されている。半数の10作品が個人短編集や他のアンソロジーで既読だったのは残念ですが、ほとんど内容を忘れていたので今回再読しました。

「寒中水泳」は第1回EQMM短編コンテストの入選作で結城昌治のデヴュー作。ユーモアは控えめで割と正統なフーダニットなのが意外だが、乾いたシニカルな文体は後の作品と変わらない。
EQMMの初代編集長でもあった都筑道夫の「温泉宿」は、ややインパクトに欠ける怪談話。同じホラーであれば三津田信三の「怪奇写真作家」のほうが完成度が高い。
鮎川哲也「クイーンの色紙」は、推理作家・鮎川哲也が関わったF・ダネイのサイン色紙消失事件を、三番館のバーテンが謎解くという読者サービス溢れる作品で、ある自虐ネタが伏線になっているところが可笑しい。同じく消失トリックを扱った若竹七海「船上にて」もラストにニヤリとさせてくれる趣向が楽しい。
初読の米澤穂信「川越にやってください」は、枚数制限の関係もあってか、やっつけ仕事ぽい内容で残念でした。
そのほか、皆川博子と日影丈吉の幻想小説、原りょうの私立探偵・沢崎シリーズ短編第1作、小泉喜美子「暗いクラブで逢おう」、田中小実昌「幻の女」、片岡義男「ドノヴァン、早く帰ってきて」などの普通小説に近いものなど、ジャンルの多彩さはいかにもミスマガ的でしたが、本音のところは、日下三蔵氏の編集なら、もっと思いっきりマニアックな作品選定でもよかったのではと思う。

No.30 7点 ミステリマガジン700 海外編- アンソロジー(国内編集者) 2014/06/04 21:34
早川書房の「ミステリマガジン」創刊700号記念アンソロジー。前身の日本版「エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン(EQMM)」時代から通算して60年近く翻訳ミステリを訳載してきた中から、杉江松恋氏が選定した海外編の本書は、フレドリック・ブラウン、パトリシア・ハイスミス、クリスチアナ・ブランド、ボアロ&ナルスジャック、エドワード・ホック、ルース・レンデル、ピーター・ラヴゼイなど、ビックネームが揃う豪華なラインナップになっている。しかも16編全てが”本邦初書籍化作品”というのがポイント高し。

収録作をジャンル毎に見ると、〈心理サスペンス〉ではハイスミス「憎悪の殺人」とレンデル「子守り」が本書の双璧だろう。ジョイス・キャロル・オーツ「フルーツセラー」の何とも言えない後味の悪さも特筆に値する。
〈歴史ミステリ〉では、『名探偵群像』に未収録のシオドア・マシスン「名探偵ガリレオ」が読めたのが個人的に一番うれしい。落下実験中にピサの斜塔で起きた密室殺人という設定が魅力的です。
タイタニック号と”思考機械”のジャック・フットレルが登場するラヴゼイ「十号船室の問題」はやや期待外れか。
〈本格〉では、レオポルド警部もののホック「二十五年目のクラス会」と、ダルジール&パスコーが登場するレジナルド・ヒル「犬のゲーム」は、ともにお馴染みのシリーズ・キャラクターのプライベートな捜査と推理が楽しめる。
〈クライム・奇妙な味〉タイプでは、ロバート・アーサーの「マニング氏の金のなる木」がO・ヘンリーを思わせる好編。このようなタイプの作品を書いていたとは思わなかった。
ボア&ナル「すばらしき誘拐」とブランド「拝啓、編集長様」は、ともに皮肉の効いたブラックなオチが印象に残る作品。
その他、シャーロット・アームストロング、ジャック・フィニイ、ジェラルド・カーシュなど、ひとつひとつ取り上げたらキリがない、翻訳短編好きには堪らない良質のアンソロジーでした。

No.29 6点 世界鉄道推理傑作選2- アンソロジー(国内編集者) 2013/07/06 14:50
チャールズ・ディケンズの有名な怪奇幻想譚「信号手」、コナン・ドイルの非ホームズもの「消えた臨時列車」とつづく2巻目の本書のほうが、ミステリ作品のジャンルが分散されていて内容的にも充実しているように思えました。

線路上から列車が消失するというドイル作品と全く同じ設定で、別の回答を用意した、オーガスタ・ダーレスの似非ホームズもの”ソーラー・ポンズ”探偵譚「消えた機関車の冒険」は、本歌取りながら真相は本家より面白い。
衆人環視の密室状況の車両からの人間消失を扱った「寝台急行列車の謎」は、真相に意外性なく常識的なトリックですがクロフツらしい重厚な本格モノでした。
ほかに、「信号手」をクライム小説にしたようなロイ・ヴィカーズ「八番目の明かり」、アルゼンチンの鉄道モノで小品ながらシュールでブラックなオチの「とても静かな乗客」など、収録作品はバラエティに富んでいる。

No.28 5点 世界鉄道推理傑作選1- アンソロジー(国内編集者) 2013/06/30 20:10
タイトルが”世界”となっていますが、第1巻の本書の収録作すべて英国の鉄道ミステリで、いずれもシリーズ探偵が登場する作品で編まれています。
編者の小池滋氏には全く責任がないのですが、収録作のうちホワイトチャーチのソープ・ヘイズルもの2編とクリスピンの「列車に御用心」は、今年に入って論創社から本編の短編集が出版され読んだばかり。フリーマンの有名作「オスカー・ブロズキー事件」も既読だったので、残りの2編のみの読書になりましたw

作者不詳の「モアハンプトンの怪事件」に登場する探偵セクストン・ブレイクは、古くから複数の作者によって書き継がれ(解説によると200名以上作者がいるらしい)英国ではお馴染みのキャラクター。冒険スリラーものかと思いきや意外とトリッキィな作品だったのでちょっと驚きました。
M.M.ボドキンは、親指物差し(おおざっぱ)探偵ポール・ベックものが”クイーンの定員”に選ばれていますが、収録作「ステッキのキズは?」に登場するのは女探偵ドーラ・マールで、自転車による追跡劇が楽しい作品。のちに二人は結婚し子供とともに史上初の?家族探偵を構成するらしい。

No.27 6点 エラリー・クイーンの災難- アンソロジー(国内編集者) 2012/12/17 12:10
エラリー・クイーンの贋作&パロディを集めたアンソロジー。ホームズに関しては掃いて捨てるほど出ているのに、クイーンのものは”世界初”というのがちょっと意外でした。

贋作編のなかでは、エドワード・D・ホックが「インクの輪」と「ライツヴィルのカーニバル」の2編収録されていて、前者がミッシング・リンク(パターン探し)テーマの傑作。単なるパスティーシュにとどまらず、犯人特定のロジック展開など本家と比べても遜色ない出来です。クイーン名義の代作もしているホックですからパステーシュはいわばお手の物でしょうけど。
他の作家のものでは、”ダイイング・メッセージ探し”というような「本の事件」もマニアックでよく考えられた内容の作品です。クイーンが老齢なのにニッキィがなぜ若いのか?と思っていたら・・・オチも面白い。

パロディ&オマージュ編では、探偵クイーンだけでなく、ミステリ作家や編集者としてのクイーンもネタにされている。
ネタ的にはピンとこない微妙なものもありますが、面白かったのは、スティーブン・クイーン作の「ドルリー」で、『レーン最後の事件』の結末が許せない熱狂的ファンが、作者のバーナビー・ロスを監禁し復活譚を書かせようとする話。この作者名とタイトルといい、どっちかというとクイーンじゃなくてキングのパロディだろ(笑)。

No.26 6点 北村薫のミステリー館- アンソロジー(国内編集者) 2012/11/02 20:50
「ミステリー」の範囲をかなり広義に捉えていて、読書の達人・北村薫氏らしい”よくこんなもの見つけてきたな”というような作品が含まれていますが、ここではミステリーのプロパー作家の作品を中心に寸評します。

ベイジル・トムスン「フレイザー夫人の消失」は、有名な都市伝説”パリ万博綺譚”をほぼ忠実に小説にしたもの。大昔に学習雑誌の付録かなにかで読んで、魅力的な謎と意外な真相で忘れられない物語です。ただ、本書では母娘の旅程がナポリ経由となっているが、記憶ではインドだったような気がする。
ヒュー・ペンティコーストのデビュー作「二十三号室の謎」もホテルの部屋からの人間消失という点で同じだが、こちらはガチガチの不可能トリックものの本格パズラー。錯覚の使い方がディクソン・カーの某作に通じるものがある。
あと、ともに再読ですが、ヘンリ・セシルのメルトン先生ものの落語の様なオチや、パトリシア・ハイスミスの最後の一行の衝撃度も印象に残ります。巻末対談で、宮部みゆき氏のこのハイスミス作品に対する感想「どっちかにしてあげてくださいー」には笑った。

No.25 6点 新・本格推理05九つの署名- アンソロジー(国内編集者) 2011/01/03 15:50
アマチュア投稿マガジン、新シリーズの5年目。
昨年に引き続き、青木知己氏、園田修一郎氏、鷹将純一郎氏の3名が頑張っています。毎年安定した作品を入選させるのですから、実力充分と言っていいのでは。
収録作の好みでは、青木氏の「九人病」の独創的なプロットを買います。鷹将氏の「モーニング・グローリィを君に」が準ベスト。独自の作風と文章力ではプロレベルです。

No.24 5点 新・本格推理04赤い館の怪人物- アンソロジー(国内編集者) 2011/01/03 15:36
アマチュア投稿マガジン、新シリーズの4年目。
青木知己氏、園田修一郎氏、鷹将純一郎氏など、入選者が常連化して多少マンネリ感があります。
なかでは、鷹将氏の「金木犀の香り」が篇中のベストで、文章がプロ・レベルに達しているように思います。
この時は、新しい感性をもった方の登場を期待したのだが。

No.23 7点 新・本格推理03りら荘の相続人- アンソロジー(国内編集者) 2011/01/03 15:22
アマチュア投稿マガジン、新シリーズの3年目。
3作入選した小貫風樹氏の「とむらい鉄道」がズバ抜けた傑作だと思います。推理作家協会が選ぶ年間ベストミステリ選集にも入るくらいですから(この方は、その後の消息を聞かないがどうしたんだろう)。
ほかに、青木知己氏「Y駅発深夜バス」、園田修一郎氏「作者よ欺かるるなかれ」など、この年は印象に残る佳作が多く充実したラインナップだと思う。

No.22 6点 新・本格推理02黄色い部屋の殺人者- アンソロジー(国内編集者) 2011/01/03 15:06
アマチュア投稿マガジンの新シリーズの2年目。
「樽の木荘の惨劇」の男女合作の方は、昨年の入選作ともども読ませる文章でプロレベルです。これが本書の個人的ベスト。
ほかには、天宮蠍人氏の不可能トリックもの「時計台の恐怖」、誘拐ミステリ「窮鼠の悲しみ」が印象に残った。
東川篤哉氏の家屋消失トリックも面白いが、独創性に欠けるように思います。

No.21 6点 新・本格推理01モルグ街の住人たち- アンソロジー(国内編集者) 2011/01/03 14:45
編集長が鮎川氏から二階堂黎人に変わり、枚数制限が倍増したこともあり、旧「本格推理」時代と比べて投稿作の質が格段にレベル・アップしているように思います。
好みでベスト3を選べば、いずれも物語性豊かな「暗号名マトリョーシュカ」と「ガリアの地を遠く離れて」に、不条理な謎が魅力的な「白虎の径」といったところ。
東川篤哉氏のはこれが初登場でしょうか、当時からテイストは変わりませんね。

No.20 6点 クイーンの定員Ⅳ- アンソロジー(国内編集者) 2011/01/03 12:47
「クイーンの定員」の短編集リストから各務三郎氏がセレクトしたアンソロジー。
最後の第4集は、当初の106冊に後になって追加された19冊から選出された50~60年代の作品が対象です。
英国新本格派のクリスピン、イネスに、短編の名手ジョン・コリア、スタンリー・エリン、ロアルド・ダールなど多才な顔ぶれが並びます。個人的には、今年邦訳予定のクリスピンの短編集が楽しみ。

No.19 6点 クイーンの定員Ⅲ- アンソロジー(国内編集者) 2011/01/03 12:24
歴史的に重要な個人短編集のリスト「クイーンの定員」からのセレクト・アンソロジー第3集。
黄金時代後期1930~40年代の作品を対象にしていますが、クイーン、C・デイリー・キング、カーター・ディクスン、アイリッシュ、ハメット、チャンドラーなど、第2集と同様に各作家の作品集で読める作品が大半で、もう少し収録作に工夫が欲しかった。
個人的には、デ・ラ・トーレの歴史ミステリ短編集の翻訳を期待したいですね。

No.18 6点 クイーンの定員Ⅱ- アンソロジー(国内編集者) 2011/01/03 12:07
各務三郎氏による「クイーンの定員」からのセレクト・アンソロジーの第2集は、1900年から30年黄金時代前期の作品。
フットレル、フリーマン、オルツイ、チェスタトン、ポースト、セイヤーズ、クリスティなど、選ばれるべき作家が洩れなく揃っています。逆にいえば他でも読めるので書誌的目新しさはないですね。
ストリブリング、F・アンダースンなどその後に元本の連作短編集が出るとは思わなかったですが、このあたり日本の翻訳状況は世界一マニアックじゃあないでしょうか。

No.17 6点 クイーンの定員Ⅰ- アンソロジー(国内編集者) 2011/01/03 11:23
「クイーンの定員」(Queen's Quorum)とは、エラリー・クイーンが選定した歴史的に重要なミステリの個人短編集のリストです。
その125冊に及ぶ短編集の中からのダイジェスト版が、本書以下4冊にまとめたアンソロジーです。年代順に収録されていますが、”歴史的に重要な作品イコール面白い作品”でないのは止むを得ないところでしょうか。
第1集では、ポオ"Tales"から「盗まれた手紙」、ドイル「赤毛連盟」などの有名作のほか、ポオより100年以上前に書かれたヴォルテールの珍品などが楽しめます。

No.16 5点 世界短編傑作集5- アンソロジー(国内編集者) 2011/01/02 20:40
海外古典短編ミステリのアンソロジー。最終巻の本書は、戦後1950年までの作品が収録されています。
カーター・ディクスン、アイリッシュ、クェンティン、レックス・スタウト、フレドリック・ブラウンなど、馴染みの作家が多いぶん書誌的な興味がわかず、叢書のなかでは一番読んでいて楽しめなかった。
なかでは、ベイリーの「黄色いなめくじ」が読み応えのある力作中編。

No.15 6点 世界短編傑作集4- アンソロジー(国内編集者) 2011/01/02 20:40
乱歩が選んだ海外古典短編ミステリのアンソロジー。
この第4巻は、30年代前半の作品が対象で、本格ミステリ黄金時代の真っただ中ですが、収録作のジャンルは意外と多岐にわたっています。どうもラインナップは「クイーンの定員」を参考にしているように思われます。
ハードボイルド=ダシール・ハメット、奇妙な味=ウォルポール「銀の仮面」、怪盗サイモン・テンプラー=チャータリス、サスペンス=セイヤーズ「疑惑」など。
印象に残ったのは、トマス・バーグ「オッターモール氏の手」とアーヴィン・コップ「信・望・愛」。

No.14 7点 世界短編傑作集3- アンソロジー(国内編集者) 2011/01/01 17:47
海外古典短編ミステリ・アンソロジーの第3巻。
収録作は、1920年代の後半いわゆる”黄金時代”の幕開けの時期の作品群で、先にこうさんが書かれているように、叢書の中で一番の名作ぞろいです。
有名なところでは、バークリー”毒チョコ”の原型「偶然の審判」、ダンセイニ”奇妙な味”の代名詞「二壜のソース」、アリンガム「ボーダー・ライン事件」、クリスティの傑作サスペンス「夜鶯荘」など。
しかし、個人的ベストは、なんといってもおバカなトリックのノックス「密室の行者」ですけども。

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kanamoriさん
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