皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
文生さん |
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平均点: 5.86点 | 書評数: 486件 |
No.426 | 4点 | さよなら妖精- 米澤穂信 | 2024/05/20 03:55 |
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確かにラストはグッとくるものがありますが、作者の他の日常もの学園ミステリーに比べると謎解きもキャラも弱く、全体としてはいま一つ響かない作品でした。 |
No.425 | 5点 | 毒入り火刑法廷- 榊林銘 | 2024/05/19 07:08 |
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審問官と弁護士の攻防は逆転裁判のような小気味よさがあって楽しめます。裁判に勝つためには手段を選ばない弁護士のスタンスも面白い。枝葉の部分は悪くないんです。でも、最終的な着地がどういうことなのかがよく分からない。まとめ方の悪さによって評価を大きく落としているという印象です。 |
No.424 | 6点 | 密室法典- 五十嵐律人 | 2024/05/17 05:46 |
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前作『六法推理』のように法律を使った推理を展開するものと思っていると、その路線はすっぱり切り捨てられ、単なる法律絡みのミステリーになっていました。そもそも、今回は六法推理の使い手である古城行成自体の出番も少なかったですし。まあ、個性的な趣向が失われた反面、古城の推理ミスがあからさますぎるという前作の欠点もなくなったので一長一短といったところでしょうか。
ちなみに、今作ではエピソードごとに主人公が交代し、前作ではサブキャラだった登場人物の掘り下げが行われている点も読みどころになっています。 個人的ベストは法律絡みのホワイダニットが見事な「閉鎖官庁」で、他の3作はまずまずといったところ。 |
No.423 | 8点 | 対怪異アンドロイド開発研究室- 饗庭淵 | 2024/05/14 11:11 |
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心霊現象を調査するのに人間が現地に赴くと精神がもたず、かといって、機械にまかせると心霊現象が発現しないということで、それなら人間に近い存在ながら心を持たないアンドロイドに調査をさせようという発想がユニーク。
心霊ホラーというと普通、登場人物が精神的に追い込まれていくのが見どころののひとつなのですが、本作の場合、アンドロイドのアリサが表情一つ変えずに淡々と調査を続けていくさまがシュールで逆に面白い。人間の研究員が悪霊に襲われて助けを求めているのに、研究員の安全確保より調査を優先しようとするシーンなどは笑いました。また、心霊現象を科学的アプローチで解明しようとするSFとしての側面も興味深く、SFホラーとして非常によくできた作品です。 |
No.422 | 4点 | 蠟燭は燃えているか- 桃野雑派 | 2024/05/11 05:29 |
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女子高生の真田周を主役に据えた『星くずの殺人』の続編です。前作は宇宙を舞台にしたSFミステリーだったのですが、今作はSFっぽさはきれいさっぱりなくなってしまい、京都を舞台にした連続放火殺人を扱っています。しかも、SNSによる誹謗中傷がテーマになっており、胸糞展開が続くのでとにかく読んでいて楽しくありません。謎解き要素もあまりなく、社会派ミステリーといっても差し支えないほどです。最後に意外な動機が明らかになり、終わってみればホワイダニットメインの本格ミステリだなということは理解できるものの、前2作に比べてエンタメ度が低くなっていることから点数は低めとなります。 |
No.421 | 7点 | ぼくらは回収しない- 真門浩平 | 2024/05/09 17:06 |
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全5編の短編集。
徹底したロジックのこだわりはデビュー作の『バイバイ、サンタクロース 麻坂家の双子探偵』と同様ですが、小学生の思考があまりにも大人びていて気持ち悪ささえ覚えたバイバイサンタクロースと比べると小説としてはこちらの方が断然読みやすかったです。本作の最大の特徴は現代の社会問題を謎解きに絡めた一種の社会派本格ミステリになっている点で、純粋な事件の謎とその背景にある謎の二段構えのプロットが良くできています。なかでも個人的に一番気に入っているのがお笑い芸人の世界を描いた「カエル殺し」です。意外な手掛かりから始まる推理がユニークですし、蛙化現象をテーマにした動機に唸らされてしまいました。 全体的に、本格としてのインパクトはバイバイサンタクロースの方が上ですが、こちらもなかなかの良作揃いです。 |
No.420 | 8点 | 冬期限定ボンボンショコラ事件- 米澤穂信 | 2024/05/01 06:38 |
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小鳩君と小佐内さんの物語は今後新作が発表される可能性もなきにしもあらずですが、春夏秋冬の4部作としては本作が完結編という位置付けになります。
物語は冒頭で車に跳ね飛ばされた小鳩が病院のベッドで中学時代のひき逃げ事件について回想をするというもの。 この中学時代の事件はミステリーとして大きな仕掛けがあるわけでもなく、小鳩の探偵ぶりも未熟な部分が見え隠れしています。単体のミステリー小説と考えるならばパッとしたできではないのですが、それによって小鳩の思い上がりを浮き彫りにし、小市民というシリーズのテーマにつなげていく手管が見事です。同時に、現代進行形の小鳩ひき逃げ事件と対比しつつ、小佐内さんとの関係性の変化についても巧みに描き出しています。ラストの着地点も素晴らしく、本格ミステリというよりは青春ミステリーとして高く評価すべき傑作です。 |
No.419 | 6点 | スリー・カード・マーダー- J・L・ブラックハースト | 2024/04/27 07:56 |
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第1の事件では封鎖された5階の部屋から喉を切り裂かれた男が墜落し
第2の事件では誰も乗っていないはずのエレベーターで男が刺殺され 第3の事件は施錠されたホテルの一室で男が射殺される といった具合に不可能犯罪の尽くしの作品なのですが、重大犯罪班の警部である姉と詐欺師である妹の関係を描いたドラマに重点が置かれていて思ったほど本格していないのが惜しい。 とはいえ、現代の英国でこれほどまでに真正面から密室殺人を描いたミステリー作品は珍しく、それだけでもうれしいところ。 密室トリックとしては、第2第3の事件は凡庸で数合わせ感が強いののだけど、第1の事件における盲点を突いた仕掛けはなかなかではないでしょうか。 |
No.418 | 9点 | 化物語- 西尾維新 | 2024/04/26 07:27 |
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主人公の阿良々木暦が怪異に憑かれた少女たちと出会っていく連作短編。
西尾維新の最高傑作との呼び声高い有名作品だけに物語の完成度、キャラの魅力、シリアスとギャグの配分など、すべてが高水準。個人的にも『クビシメロマンチスト』と同じくらい好きな作品。 |
No.417 | 4点 | 鬼怒楯岩大吊橋ツキヌの汲めども尽きぬ随筆という題名の小説- 西尾維新 | 2024/04/26 06:35 |
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ペットシッターの主人公が世話をすることになったある猫について語る話なのですが、実のところ猫に関する描写はほんの少ししかありません。差別的表現に敏感な昨今の風潮を踏まえてページの大半が「そういう意味で言ったのではなく」という言い訳というか予防線で埋め尽くされています。西尾維新らしい実験的な作品あり、最初は面白かったのですが、そのパターンが割と終盤まで続くのでさすがに飽きてしまいました。 |
No.416 | 5点 | ウェルテルタウンでやすらかに- 西尾維新 | 2024/04/26 06:02 |
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町おこしのために自殺の名所をつくるという発想は非常に面白かったものの、そこからあまり話が膨らんでいかないのが良くも悪くも西尾維新です。
オチを含めて決して悪くはないのですが、シリアスな問題を含む今日的な問題をテーマにした作品としては掘り下げ不足に感じ、個人的には物足りなさを覚えました。 町おこしコンサルタントの生前没後郎(いくまえ・ぼつごろう)が狂気の町おこし構想を嬉々として語るところがピークかな。 |
No.415 | 7点 | ダブル・ダブル- エラリイ・クイーン | 2024/04/25 09:27 |
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世間的な評価はイマイチですが、童謡殺人の扱い方がユニークで、個人的にはかなり楽しめました。1950年以降の後期クイーン作品ではこれが1番好きかも。 |
No.414 | 5点 | ミノタウロス現象- 潮谷験 | 2024/04/23 18:48 |
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世界中にミノタウルスが現れて人を襲い始めるという展開は面白く、主人公である20代の女性市長の奮闘ぶりも楽しく読むことが出来ました。一方で、本格ミステリとしてはかなりもの足りなく感じます。デビュー当初のロジックに対するこだわりは何だったのかと思うほど推理や真相が雑です。大した仕掛けでもないのに「そんなにうまくいかないだろ」と思えてしまう点がいかにも厳しい。面白いのはケンタウロスに関することだけで本格としては全く魅力が感じられない作品でした。 |
No.413 | 6点 | 六法推理- 五十嵐律人 | 2024/04/16 02:50 |
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全5編の連作短編
法学部の学生である古城が法律の知識を駆使して事件の謎に迫っていくという設定がユニークで、従来のものとは異なる推理のプロセスが面白かったです。また、詰めが甘い古城を直感推理でアシストする戸賀とのコンビぶりも楽しく、学園ミステリーとしてもよくできています。ただ、古城の推理の詰めの甘さというのがちょっとわかりやすすぎて読み手側も「その推理はちょっとおかしいのでは?」とすぐに気付いてしまいます。その点が少々興醒めです。古城が推理に一定の説得力があり、読者も納得した後に戸賀がひっくり返していくという感じならもっと良かったのですが。 |
No.412 | 6点 | 鏡は横にひび割れて- アガサ・クリスティー | 2024/04/13 09:30 |
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事件のシチュエーションがミステリーあるあるパターンなので犯人はすぐに見当がつきました。一方、分かりやすいフーダニットに対してホワイダニットはなかなか巧妙。パーティーでの毒殺で意外な動機といえば同著者の『三幕の殺人』を彷彿とさせますが、それとは全く異なる意外性を演出してみせたのが見事です。ただ、これは晩年のクリスティ作品全般にいえることですが、とにかく展開が単調すぎて退屈。特に、ミスマープルものはその傾向が顕著でそこが個人的には評価を下げる原因となっています。 |
No.411 | 8点 | サロメの断頭台- 夕木春央 | 2024/04/10 19:18 |
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大正ミステリーシリーズの第4弾であり、内容は、油絵画家の井口が未発表の自分の絵を誰かに盗作されたことを知って犯人捜しをしていると、贋作作りの集団に行き当たり、やがて戯曲サロメに見立てた連続殺人事件に巻き込まれるというもの。
エログロ色の強い乱歩的雰囲気を帯びながら、ミステリーとしてはあくまでも論理性にこだわった作りになっています。たとえば、盗作と贋作と見立て殺人の意外な関係性をロジカルに解きあかしていくところなどは思わず唸らされてしまいました。また、見立て殺人も単なる虚仮威しや単純なカモフラージュではなく、論理的かつ意外性満点の理由が用意されているのが素晴らしい。非常によく出来た本格ミステリです。一方で、残酷すぎて夢に出てきそうなクライマックスは、(好き嫌いは分かれそうですが)忘れ難いインパクトを読む者に与えてくれます。著者の作品としては『方舟』に次ぐ傑作ではないでしょうか。 |
No.410 | 7点 | 乱歩殺人事件――「悪霊」ふたたび- 芦辺拓 | 2024/04/06 22:32 |
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『悪霊』は江戸川乱歩久しぶりの本格作品ということで探偵小説専門誌の新青年が大々的に宣伝を行い、1933年11月号から連載が開始されました。しかし、わずか3回で休載に入り、そのまま未完に終わってしまいます。
そして、問題の本作ですが前半部分は新青年に掲載された『悪霊』がそのまま引用されており、後半から芦辺拓がその続きを書くという形をとっています。読んでみてまず驚いたのが乱歩の書いた前半部分から芦辺拓の書いた後半部分に移っても違和感が全くない点です。また、ミステリとしても前半部の意外なところから伏線を拾い上げ、おそらく乱歩が当初想定していたものよりも魅力的な真相を提示しています。 ちなみに、乱歩は当初の構想で想定していた真相を仄めかす発言をしていますが、それを逆手にとって新たな真相を上書きしていく手管も見事です。さらに、本作では単に作中内での真相だけではなく、『悪霊』が未完に終わった理由についても言及しています。しかし、個人的にこの部分はリアリティが感じられず、あまり好きではありません。『悪霊』自体の真相であれば少々リアリティに欠けていても問題ないのですが、『悪霊』の中絶という現実に起きた出来事の真相に関しては実際にあり得そうな答えを用意してほしかったところです。 |
No.409 | 8点 | 紅楼夢の殺人- 芦辺拓 | 2024/04/06 21:21 |
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中国4大名著として、『三国志演義』『水滸伝』『西遊記』と並び称される『紅楼夢』の世界を舞台にした連作ミステリです。毎回奇怪な不可能犯罪が起き、美少年貴公子・賈宝玉と司法官の頼尚栄がその謎を解いていくという趣向なのですが、個々のトリックは正直大したことはありません。そもそも、本作においてトリックはおまけのようなものであり、より根本的な問題は、なぜ犯人は無駄に手の込んだ犯行を毎回繰り返すのかというホワイダニットにあります。この解答がなかなかに衝撃的です。『紅楼夢』の世界観を活かした仕掛けが素晴らしい唯一無二の傑作。 |
No.408 | 7点 | 三幕の殺人- アガサ・クリスティー | 2024/04/03 04:24 |
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善良な牧師はなぜ殺されたのか?というホワイダニットに対する解答は、現代の読者には大きな驚きを与えることはできないでしょう。しかし、当時としては読者の意表を突くものであり、また、いろいろな角度から動機を検討していくくだりもなかなかにスリリングです。三幕仕立てのプロットもよく出来ており、古き良き時代の探偵小説として読み応えがあります。 |
No.407 | 5点 | 火曜クラブ- アガサ・クリスティー | 2024/04/01 07:02 |
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『黒後家蜘蛛の会』の雛型ともいえる推理合戦ものですが、今読むとたわいもないものが多くて物足りません。そのなかにあって「舗道の血痕」の巧妙さはなかなか |