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[ 本格 ]
白薔薇殺人事件
クリスティン・ペリン 出版月: 2024年07月 平均: 5.00点 書評数: 3件

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東京創元社
2024年07月

No.3 5点 nukkam 2024/09/07 01:51
(ネタバレなしです) アメリカ出身で英国に移住した女性作家クリスティン・ペリンが2024年に発表した本格派推理小説です。英語原題は「How To Solve Your Own Murder」で、こちらの方が創元推理文庫版の日本語タイトルよりも内容に合っているとは思いますが魅力的なタイトルとは言い難いですね。約60年前に殺されると予言された大叔母のフランシスが怪死します。主人公のアナベルがこの事件を調べていくことになる一方で、予言を信じていたフランシスが殺された場合に備えて周囲の人間の言動を記録した日記を読むことになるという展開になります。児童書の書き手として活躍していた作者の初めての大人向け作品だからでしょうか、人物描写と複雑な人間関係の構築に随分と力を入れています。巻末解説での「人間模様の丁寧な描写の中に伏線を張り巡らせる」という評価はその通りであるとは思いますが重厚な人間ドラマの中に謎解きの面白さが埋没気味で、せっかく手掛かりを説明されてもそんなのどこにあったかなと微妙にすっきりできませんでした。

No.2 4点 HORNET 2024/08/31 22:39
ミステリ作家志望のアニーは、離れた村に住む資産家の大叔母の家を訪れた。16歳の時に占い師に「殺される」と告げられ、それを信じ続けていた大叔母は、訪れたときに本当に何者かに殺されてしまった。「犯人を指摘したものに遺産を授ける」という大叔母の遺言にも動かされ、犯人探しに挑むアニー。そこでは、60年前に起きた、大叔母の友人の失踪事件が絡んできて―

 明かされる最後の真相にはまずまずの仕掛けを感じるものの、何せ登場人物が多く、関係が複雑、しかも必要以上に長い。
 一番腑に落ちないのは、事件捜査に前のめりに乗り出しているアニーなのに、大叔母フランシスの日記をはじめに全部読んでしまわないこと。物語の構成上、大叔母の日記と現在を交互に進行させたいのは分かるが、いくらでもやりようはあったはず。
 「まだ全部読めていないが…」って、読めよ!と思った。

No.1 6点 文生 2024/08/03 10:52
16歳だった1965年に占い師から「お前はいつか殺される」と言い放たれて以来、ずっと何も起きなかったのに今になって何者かに殺害されてしまうというつかみは悪くありません。しかも、自分が殺されることを織り込み済みだった彼女の遺言状には「一週間以内に犯人の正体を暴けば、全財産を譲る」と書かれていたために犯人探しゲームの様相を呈してくるという流れも楽しい。ただ、犯人当てミステリーの大傑作と謳っている割にこれといった仕掛けやロジックが用意されていなかったのにはがっかり。ストーリーは十分に楽しめたものの、本格ミステリとしては物足りなさを感じてしまいました。


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クリスティン・ペリン
2024年07月
白薔薇殺人事件
平均:5.00 / 書評数:3