海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!
ログインもしくはアカウント登録してください。

[ 本格 ]
白薔薇殺人事件
クリスティン・ペリン 出版月: 2024年07月 平均: 5.25点 書評数: 4件

書評を見る | 採点するジャンル投票


東京創元社
2024年07月

No.4 6点 人並由真 2024/12/10 09:35
(ネタバレなし)
 <パズラーの大傑作>云々は誇大広告、ジャロロ案件だ、と読む前からさんざん聞かされていたため、かなり低い期待値で読み始めた。
 それが功を奏したのか、それなりに面白かった。序盤から前半までは、コージーミステリとかパズラーとか言う前に、一人称のヒロインが激動の運命に晒されていく形質のゴシックロマンみたいな外連味がある。

 で、一見、登場人物は多いようだが、ネームドキャラは、メモを取りながらカウントすると40人前後で、この厚さからすれば、実はそんなに多くはない。
 くだんのごとく、例によっての人物メモを作りながらの読書だったので、個人的にはわずらわしさなどは、ほとんど全く、感じなかった。

 ちなみに、日記をさっさと全部読んでしまえ、というHORNETさんのご指摘は、作品を読了後に、レビューを拝見して初めて気が付いた(笑)。いやおっしゃる通りで、作品を読んでる間はなんとなく、主人公のアニーがフランシスの日記を分冊で少しずつ入手しているような気分でいた。いや実際にはそんな作中事実はまったくなく、自然に脳内補完していたような感じだが(汗・笑)。

 犯人はなかなか意外で、動機の方もけっこう面白い。最後のアニーと某メインキャラとの対峙シーンの文芸も鮮烈で、自分的にはそんなに、二波目の評判ほど悪くなかったよな、という思い。

 ただ、あんまり書かない方がいいのかな? 第14章で起きるイベントって、英国の民法では成立するの? 昔、佐野洋が某・日本の大家の名作(本書の巻末の解説にも名前が出て起きますが)のソレについて、あれって民法上、ありえないでしょ、と言ったのを思い出した。いや、文芸設定の趣向としては面白いんだけど。
(以上、特に犯人ともトリックとも関係ない話ですが、前半のちょっとしたサプライズ? なのでこの程度にアイマイに。)

 つーわけでトータルとしては、そんなに印象悪くないです。
 
 ただ創元の編集部の推敲・校正がヘボで、本文中の「?」のあとを一字アケたり、そーでなかったり、マバラでバラバラなのには閉口した。
 作品の序盤で小説家志望ながら、作品の完成後に推敲も見直しもしないで出版社に自作の小説を送ってしまうトンチンカン(またはオッチョコチョイ)ヒロインを主人公にした作品で、そういうミスを残したら洒落にならないでしょ、と思うのだが。

No.3 5点 nukkam 2024/09/07 01:51
(ネタバレなしです) アメリカ出身で英国に移住した女性作家クリスティン・ペリンが2024年に発表した本格派推理小説です。英語原題は「How To Solve Your Own Murder」で、こちらの方が創元推理文庫版の日本語タイトルよりも内容に合っているとは思いますが魅力的なタイトルとは言い難いですね。約60年前に殺されると予言された大叔母のフランシスが怪死します。主人公のアナベルがこの事件を調べていくことになる一方で、予言を信じていたフランシスが殺された場合に備えて周囲の人間の言動を記録した日記を読むことになるという展開になります。児童書の書き手として活躍していた作者の初めての大人向け作品だからでしょうか、人物描写と複雑な人間関係の構築に随分と力を入れています。巻末解説での「人間模様の丁寧な描写の中に伏線を張り巡らせる」という評価はその通りであるとは思いますが重厚な人間ドラマの中に謎解きの面白さが埋没気味で、せっかく手掛かりを説明されてもそんなのどこにあったかなと微妙にすっきりできませんでした。

No.2 4点 HORNET 2024/08/31 22:39
ミステリ作家志望のアニーは、離れた村に住む資産家の大叔母の家を訪れた。16歳の時に占い師に「殺される」と告げられ、それを信じ続けていた大叔母は、訪れたときに本当に何者かに殺されてしまった。「犯人を指摘したものに遺産を授ける」という大叔母の遺言にも動かされ、犯人探しに挑むアニー。そこでは、60年前に起きた、大叔母の友人の失踪事件が絡んできて―

 明かされる最後の真相にはまずまずの仕掛けを感じるものの、何せ登場人物が多く、関係が複雑、しかも必要以上に長い。
 一番腑に落ちないのは、事件捜査に前のめりに乗り出しているアニーなのに、大叔母フランシスの日記をはじめに全部読んでしまわないこと。物語の構成上、大叔母の日記と現在を交互に進行させたいのは分かるが、いくらでもやりようはあったはず。
 「まだ全部読めていないが…」って、読めよ!と思った。

No.1 6点 文生 2024/08/03 10:52
16歳だった1965年に占い師から「お前はいつか殺される」と言い放たれて以来、ずっと何も起きなかったのに今になって何者かに殺害されてしまうというつかみは悪くありません。しかも、自分が殺されることを織り込み済みだった彼女の遺言状には「一週間以内に犯人の正体を暴けば、全財産を譲る」と書かれていたために犯人探しゲームの様相を呈してくるという流れも楽しい。ただ、犯人当てミステリーの大傑作と謳っている割にこれといった仕掛けやロジックが用意されていなかったのにはがっかり。ストーリーは十分に楽しめたものの、本格ミステリとしては物足りなさを感じてしまいました。


キーワードから探す
クリスティン・ペリン
2024年07月
白薔薇殺人事件
平均:5.25 / 書評数:4