皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
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文生さん |
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| 平均点: 5.88点 | 書評数: 514件 |
| No.314 | 5点 | 悲鳴だけ聞こえない- 織守きょうや | 2023/02/22 10:19 |
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| 木村&高塚弁護士シリーズ第3弾の連作短編。
民事の問題を専門家の観点から扱った物語はどれも興味深く、ためになります。ただ、ミステリーとしてはそれほどヒネリが効いているようには思えず、なんとなく着地点が想像できてしまう点が物足りませんでした。唯一例外なのは表題作で、会社でパワハラが行われているはずなのになぜか被害者が判明しないという謎と盲点を突いた真相はなかなか良かったです。それでもやはり、全体的には凡庸な印象。 |
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| No.313 | 6点 | オメガ城の惨劇 SAIKAWA Sohei’s Last Case- 森博嗣 | 2023/02/22 09:51 |
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| 『すべてがFになる』と同じ、クローズドサークルもので、クローズドサークルに対する固定概念を逆手にとったような仕掛けがユニークではあります。しかし、これを成立させるにはなかなか困難だし、その割に『すべてがFになる』ほどのスケール感はなくこじんまりしている点はものたりない。また、最後のサプライズに関しては描写に違和感を感じていたのでうすうす気がついてしまった。
悪くはないけれど、サプライズネタも含めてどちらかといえばファン向けの作品かな |
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| No.312 | 6点 | いけないII- 道尾秀介 | 2023/02/09 17:17 |
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| 連作ミステリーの底流をなすホラーテイストな味わいは悪くありません。しかし、各話のラストに用意された1枚の写真が何を意味するのか分かりにくいものが多かったのは残念。個人的には、明確な答えをあえて用意せずに読者に考えさせるタイプのミステリーは嫌いなので、写真を見た瞬間に衝撃的な事実がわかるような工夫がほしかったところです。
とはいえ、写真は謎解き要素の一部にすぎないのでそこがわからなくてもミステリーとして楽しむことは可能ですし、雰囲気的にはなかなか魅力的な作品ではあります。 |
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| No.311 | 5点 | キドナプキディング- 西尾維新 | 2023/02/09 16:49 |
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| 戯言遣いの娘・玖渚盾(くなぎさ・じゅん)が主役の戯言遣いセカンドシーズン第1弾。
文字通り女の子版戯言遣いといった感じで、シリーズを最初に触れたときのようなインパクトには欠けるものの、キャラクター小説としては安定の面白さです。 しかし、ミステリーとしてはいささか物足りません。まず、事件が起きるのが本編の半分を過ぎてからで、その後もあまり盛り上がりもなく解決してしまうので体感的な満足度は短編ミステリーを1作読んだ程度です。また、本作はシリーズ第1弾の『クビキリサイクル』を意識して同じ首なし死体の事件を扱っているものの、やはり短編程度の小ネタといった感じで元ネタと比べると仕掛けの面白さは大きく劣ります。したがって、過大な期待はせず、今後続くであろう新シリーズのキャラクター紹介編だと割り切って読むのが吉でしょう。 |
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| No.310 | 6点 | 地羊鬼の孤独- 大島清昭 | 2023/01/29 08:50 |
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| 中国に伝わる怪異を忠実に再現した残忍な連続見立て殺人に始まり、被害者同士の繋がりを探っていくミッシングリンク、密室黄金時代シリーズを彷彿とさせる密室殺人乱れうち、京極堂的な妖怪専門家、飄々とした女性警部補と頼りない若手刑事のバディもの、ミステリーの範疇におさまらないホラー要素、意外な犯人などといった具合に多彩な要素で楽しませてくれる作品です。しかし、その反面、面白さが分散し、ウリとなるインパクトには欠ける印象。また、動機がそれなら、もっと犯人の人格やら犯行に至るまでの背景を掘り下げてほしかったところ。本作の描写だけではなぜ犯人がそこまでの犯行に及んだのかが理解しづらく、もやもやします。 | |||
| No.309 | 7点 | 真珠湾の冬- ジェイムズ・ケストレル | 2023/01/16 03:31 |
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| 2022年アメリカ探偵作家クラブ最優秀長編賞(エドガー賞)受賞作品。
日米開戦前夜のハワイで白人男性と日本人女性の惨殺事件に遭遇した元軍人のホノルル署刑事が、犯人を追って香港に赴くも敵の罠に落ちて囚われの身となり、さらに進軍してきた日本軍によって東京へ送られるという国際色豊かなスリラー作品です。欧米作品にありがちなトンデモ日本人などの要素は微塵もなく、極めて正確に日本が描かれている点には好感を覚えますし、時代に翻弄される主人公のドラマとしても読み応えがあります。ミステリーとしては殺人事件がなぜ起きたのかという背景の解明に重きが置かれていますが、それよりもむしろ主人公と日本人女性とのラブロマンスが本作の魅力の大きな部分を占めています。特に、事件解決後のラストシーンが感動的。 |
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| No.308 | 3点 | ディスコ探偵水曜日- 舞城王太郎 | 2023/01/15 14:59 |
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| 怪しげな蘊蓄とぶっ飛んだ推理が詰め込まれた平成版『黒死館殺人事件』というべき奇書。しかし、そもそも『黒死館殺人事件』に全くついていくことができなかった身としてはこちらも同様に楽しめず。
同じ舞城作品でも、切ない青春ストーリーにバカミス要素がほど良く散りばめられていた『世界は密室でできている。』はそのブレンド具合が絶妙で感動すら覚えたのですが、本作は濃厚すぎて味のくどさばかり気になり、面白さを感じることができませんでした。 |
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| No.307 | 4点 | 暗闇坂の人喰いの木- 島田荘司 | 2022/12/29 06:29 |
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| 話はすこぶる面白いのですが、やはり偶然の要素が多すぎるのはいただけません。
個人的に偶然の要素に対しては必ずしも否定的ではないものの、これだけ立て続けに起きるとさすがにしらけてしまいます。 それに、メイントリックが著者の過去作と同じというのも面白味に欠けます。 小さなトリックのアレンジならともかく、あれだけの大トリックを使い回さないでほしかったです。 |
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| No.306 | 5点 | 教誨- 柚月裕子 | 2022/12/16 10:34 |
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| 8歳の愛娘と近所の5歳の少女を殺害して死刑を宣告された母親の心の内を、関係者の証言から紐解いていく展開はよくできています。しかし、最後に明らかになるのは死刑囚の心の真実にすぎず、ミステリー的などんでん返しがあるわけではありません。どちらかといえば文学小説に近い作品です。一種のホワイダニットものといえなくもないですが、ミステリを期待すると、どうしても物足りなさを覚えてしまいます。作品自体は良作といってもいいと思います。 | |||
| No.305 | 6点 | 黒石 新宿鮫Ⅻ- 大沢在昌 | 2022/12/11 11:13 |
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| シリーズ第12弾。一匹狼だった鮫島も遊撃隊的なポジションながらチームで捜査を行うようになり、ハードボイルドっぽさは後退しています。その代わり、自らをヒーローと称し、毒猿とは別の意味でやばい殺し屋・黒石がインパクト大。また、その黒石を背後で操る徐福は終盤まで正体を現さず、ミステリー的な興味を牽引していきます。それだけに、徐福自体は意外と小者だったのが残念です。十分に面白い作品ですが、終盤の展開が少々物足りなかったのでこの点数で。 | |||
| No.304 | 7点 | 毒猿 新宿鮫II- 大沢在昌 | 2022/12/11 10:30 |
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| 台湾からやってきた殺し屋の毒猿が規格外の強さで、その暴れっぷりに血湧き肉躍ります。切ないラストにはグッとくるもがあり、滅茶苦茶面白い作品です。ただ、毒猿の強さが格闘少年漫画のラスボスレベルで世界観からやや浮いていたような気も。 | |||
| No.303 | 6点 | 新宿鮫- 大沢在昌 | 2022/12/11 10:21 |
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| キャリア組でありながら出世を捨てた一匹狼の刑事という主人公の設定が秀逸。そのことによって警察小説でありながらハードボイルドという独自のジャンルを構築することに成功しています。鮫島や晶をはじめとして登場人物も魅力的。緊迫感に満ちたストーリーも申し分なしですが、後続の作品と比べるとこじんまりとまとまりすぎている気がします。第1弾ということもあってキャラクター紹介に重きを置いているようでもあり、個人的にはその辺りがやや物足りませんでした。 | |||
| No.302 | 5点 | 密室狂乱時代の殺人 絶海の孤島と七つのトリック - 鴨崎暖炉 | 2022/12/09 06:46 |
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| 前作に続いて密室殺人がブームになった背景が語られるがやはり納得ができない。
密室の謎が解けない以上、容疑者の犯行が証明できないのだから無罪判決は当然。それを世間から愚かな判決だとみられて大炎上すること自体がありえない。犯行方法が不明のまま有罪にする方がどう考えても炎上案件でしょう。作中では「密室殺人の場合、犯行が不可能という点では全員条件は同じなのでその件は棚上げしてそれ以外の証拠で犯人を決めればよい」という意見が大勢を占めていた的な説明がなされていますが、そんな馬鹿なとしか思えない。作者は推定無罪の原則を知らないのだろうか。それに、現実でも密室殺人は起きているのに作中の事件を日本初の密室殺人として扱っているのも相変わらず引っ掛かりを覚えます。さらに、密室殺人が次々と起きるために、個々の扱われ方が軽いのも不満。 以上のように基本的な感想は前作とほぼ同じではあるものの、密室トリックが前作よりも奇想天外でバカバカしくなるほどに壮大になっている点は良かった。そのことによって、密室ミステリというよりも一種のバカミスとして楽しむことができました。トリックの発想も『斜め屋敷の犯罪』や『北の夕鶴2/3の殺人』のような島田荘的なところもあるし。今後はトリックの羅列ではなく、一つのトリックをじっくり掘り下げた作品に期待したいところ。 |
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| No.301 | 8点 | 地球の長い午後- ブライアン・W・オールディス | 2022/11/29 05:14 |
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| 地球が自転を止め、永遠の昼が続く世界。地表は巨大な樹木で覆われ、滅亡した哺乳類に代わって巨大昆虫や肉食植物が跋扈する。
作品が内包するイマジネーションの豊かさに圧倒されました。ストーリーなどはあってなきがごとしですが、そんなことは気にならないくらいに世界観が魅力的です。1962年に発表された遠未来SFの名品。 |
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| No.300 | 7点 | 少女には向かない職業- 桜庭一樹 | 2022/11/28 02:08 |
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| ラノベ作家としてデビューした著者初の一般向け作品。
女子中学生を主人公にし、彼女たちの重い現実をラノベ時代に培ったライトな語り口で描いているのが印象的です。その軽さによって救いのない物語に屈折した爽快感を付与し、やがて訪れるやるせいないラストを引き立てることに成功しています。ミステリとしての魅力は乏しいながらも殺人を絡めた思春期小説として秀逸。 |
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| No.299 | 5点 | 変な絵- 雨穴 | 2022/11/27 14:38 |
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| さまざな絵に秘められたメッセージを解き明かしていくという趣向は興味深いものの、謎解きはどうとでも解釈できる恣意的なものが多い気がしていまひとつ魅力を感じられず。特に、山の絵はメッセージがひねくれすぎていますし、あの状況で悠長に絵など描けるだろうか?と思ってしまいます。個人的にはやはり、推理の対象を一枚の間取り図だけに絞り、畳みかける推理で否応なく納得させてしまうYouTube版『変な家』の方が好み。とはいえ、二転三転の末に歪な真相が明らかになる物語自体はそれなりに面白かったです。 | |||
| No.298 | 5点 | 栞と噓の季節- 米澤穂信 | 2022/11/25 05:39 |
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| 図書委員シリーズ第2弾
ほろ苦い味の青春ミステリーとしてよくできているとは思うものの、古典部シリーズや小市民シリーズに比べると、キャラクター小説として突き抜けておらず、かといって『儚い羊たちの祝宴』などと肩を並べるほどのダークさもなくて中途半端な印象を受けました。 また、伏線回収などはさすがの上手さですが、ミステリー的にこれといった仕掛けもなく、青春ドラマとして琴線に触れるものもありませんでした。 良作の風格を感じさせる一方で、個人的には響かなかった作品です。 |
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| No.297 | 4点 | 一千億のif- 斉藤詠一 | 2022/11/24 13:29 |
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| 歴史のifを研究する架空歴史学という学問には心躍るものがあります。しかし、ifの可能性をいかにして検証していくのか?といった方法論に目新しさが全くない点については物足りなさを覚えました。作中で現実には存在しない学問をでっちあげるのなら、そういった部分をもっと掘り下げてもらいたかったところ。
また、本筋である陰謀を巡っての攻防も、肝心の陰謀に説得力がないために今一つ盛り上がりません。少なくとも、個人的にはあの程度の計画で世界が牛耳れるとは思えませんでした。 その代わり、キャラは立っており、ライトなタッチで手軽に楽しむことができるのは美点かも。 |
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| No.296 | 6点 | ファイナルガール・サポート・グループ- グレイディ・ヘンドリクス | 2022/11/17 18:25 |
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| 登場人物が次々と血祭りにあげられるなか、ただ一人生き残って殺人鬼を返り討ちにするホラー映画のヒロイン・”ファイナルガール”。そんな彼女たちがもし実在していたとしたら?という発想で書かれた一種のオマージュ作品です。
事件によるトラウマから数十年間PTSDに悩まされてきた彼女たちの前に再び殺人鬼が現れるという話なのですが、「13日の金曜日」「ハロウィン」「悪魔のいけにえ」「エルム街の悪夢」「スクリーム」といった具合に、ファイナルガールたちが過去に体験した事件はすべて有名ホラー映画がモデルであり、(タイトルは異なっているものの)現実と同じように映画化されているというメタ構造が楽しい。それらの作品の映画レビューが挿入されていたりと、小ネタも効いており、スラッシャー映画のファンなら大いに楽しめるのではないでしょうか。ただ、ミステリーとしては大きな驚きはなく、フェミニスト論と絡めて教義的なまとめ方をしている点もいま一つ。 |
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| No.295 | 5点 | 真夜中の密室- ジェフリー・ディーヴァー | 2022/11/07 14:57 |
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| リンカーン・ライムシリーズ第15弾。
今回は、リンカーン・ライムが警察上層部の政治闘争の巻き込まれて窮地に陥るエピソードと、どんなに厳重に施錠された部屋でも侵入する怪人・ロックスミスの暗躍が並行して描かれています。しかし、前者はシリーズのパターンからなんとなくオチが読めてしまい、後者に関しては歴代の怪人と比べると小者すぎて物足りません。それなのに、ライムがロックスミスをウォッチメイカーと比較して妙に持ち上げているのが謎です。 リーダビリティの高さは相変わらずなのでそれなりに楽しめはしましたが、ミステリとしてはいま一つ魅力を感じることができませんでした。 |
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