海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

まさむねさん
平均点: 5.86点 書評数: 1195件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.35 6点 むかし僕が死んだ家- 東野圭吾 2010/04/16 22:14
舞台移転が基本的になし,登場人物2名のみ,あとは日記と手紙…。この限定的な状況下で読ませてしまうのは,さすがとしか言いようがありません。
(以下ネタバレあり)
ただし,当初から「出生(というか幼年期の)失われた記憶探し」という,結末が一定程度想像しやすい謎であるせいなのか,はたまた「猫」や「玄関脇の絵画」等の伏線が分かりやすすぎるせいなのか,それとも日記や手記の記述がいかにも“叙述トリックですか~”のせいなのか,いずれにしても驚愕の結末ではなかった。むしろ,「彼は結局のところ無関係なわけね。ある種騙された!」
でも面白かったですよ。

No.34 8点 秘密- 東野圭吾 2010/04/11 17:49
純粋なミステリではないので,この点数にしましたが,小説として見れば秀逸。素晴らしい。
切ないし,泣ける。
主人公も妻も娘も,結婚相手も,みーんな切ないなぁ。読み終えた後,「秘密」の真意を噛み締め,しばしため息が…。ホントにこれで良かったのかな~などなど考えながら…

No.33 7点 赤い指- 東野圭吾 2010/04/10 21:42
ミステリ要素云々は置いておきまして,純粋に良作。
教育・介護・家族…考えさせられますね。本当に東野さんは,うまい。
加賀恭一郎もピタリはまってますしね。いとこの松宮も良い。
後半はページをめくる手が止まりませんでしたが,ミステリ性を期待していた人はどうなんだろう?人間ドラマとして読んだほうが楽しめるかもしれません。
しかし,馬鹿餓鬼とその母には相当ムカムカしますよ。ご覚悟を。

No.32 5点 笑う警官- 佐々木譲 2010/04/10 21:25
テンポがよく,楽しめました。
ただ,実際の事件をヒントにしている割には,現実感がない。警察の隠蔽体質はそのとおりなのだろうが,百条委員会への証人出席阻止のために「射殺命令」を出しますかね。近未来国家が舞台ならいいのですが…完全に現在を舞台にしてるしなぁ。
それと,「うたう警官」から「笑う警官」と改題したことについては,他の方と同様に意味不明です。絶対に「うたう」の方がしっくりくる。あとがきに,角川春樹顧問から改題の打診を受けたと書いていますが,言い訳でしょうか?組織内(?)力学に弱いとすれば,作風と相当に違うような気が…ああ!むしろ弱いからこその,この作風なのか!
なんてことまで考えてしまいました。

No.31 8点 水車館の殺人- 綾辻行人 2010/04/03 17:35
全体の雰囲気は,大変素晴らしい。
まあ,主人が仮面をかぶっているあたりとか,死体がバラされているあたりとか,すべて「想定内」のトリックではありますが,その散らし具合、パズルのピースを丁寧に当てはめていくような解決までの構成力は,改めて評価されてもよいと思う。
現在と過去が交互に語られる構成も,私は好きです。

No.30 7点 背の眼- 道尾秀介 2010/03/24 23:13
「ホラーサスペンス大賞特別賞」受賞作品であるが,作品構成は,ホラーサスペンスというよりも「本格ミステリ」と言っても決して過言ではない。冒頭からのいくつもの謎,慎重な(むしろ慎重すぎるかな…)伏線,そしてそれらの謎と伏線を不足なく回収した上での理論的な解明。デビュー作品としては,特に構成力という面において,相当良質な作品であると思う。
無論,全体的に冗長すぎるし,表現の拙さも多々ある。さらには,某作家の某シリーズとの露骨ともいえる類似性など,否定的な視点で見れば,色々と意見はあるかと思う。
しかし,そこを敢えて脇においてこの作品を読んでみたい。この作家のその後の評価・活躍を十分に予測させる潜在能力を感じたのは私だけでしょうか。

No.29 5点 花と流れ星- 道尾秀介 2010/03/21 10:40
どの短編も決して悪くはないのだが,作者の他の長編に比べればキレもパンチ力も物足りない。
「流れ星のつくり方」は,作者らしさを感じたが。やはり「少年主人公モノ」に長けているのでしょうか?

No.28 6点 深追い- 横山秀夫 2010/03/19 21:03
お得意の県警+個人心理+短編モノ。
地味で渋い短編ぞろいだが,すべての作品が平均点を軽くクリア。この安心感というか安定感はすごい。

No.27 5点 ジーン・ワルツ- 海堂尊 2010/03/18 20:42
唯一といってもよいミステリー的要素の「答え」はすぐに察しがつく。ミステリーの色合いは相当に弱い。
しかし,さすが現役医師の作家らしく,非常にトピックでかつ国民的に関心が高いテーマについて,専門的知識をうまく織り込みながら構成されており,純粋にためになったし,楽しめた。
ロジカルな議論で相手を打ちのめすシーンとか,司法や某省庁をけちょんけちょんに書き落とす「海堂節」は,かなり食傷気味なのですが…まあそれはそれで。

No.26 6点 犬はどこだ- 米澤穂信 2010/03/08 21:30
基本的に探偵と助手の2視点での一人称ですが,何ら違和感なく入り込めます。(まあ,読者としては両視点での情報を入手しているだけに、「互いに報告しとけよ」っていうもどかしさもあるでしょうが…)また,時折織り込まれている,チャットやログなどの「電子的文章」がいいアクセントになっており,素直に読み進めやすいですね。
後半~ラストは,好みの問題もあると思いますが,私は「余韻」というよりも,やや中途半端なイメージが残りました。
しかし,各キャラクターがなかなか魅力的で,純粋に楽しめます。シリーズ化が楽しみ。

No.25 7点 動機- 横山秀夫 2010/03/05 21:41
さすが短編の名手。内面の葛藤を描く巧みさには脱帽です。
よかった順に,逆転の夏⇒動機⇒密室の人⇒ネタ元 でした。
特に「逆転の夏」は,横山氏にしては珍しく(?),「職業人」モノとは異なった視点で深みのある作品。
逆に「ネタ元」は標準レベルかな?ということで,総合的にこの採点となりました。

No.24 5点 そして名探偵は生まれた- 歌野晶午 2010/03/01 23:07
4つの中短編。作品ごとに差がありすぎ(?)と感じたため,採点は控えめになりました。
よかった順に書評を。(一部ネタバレあり)
①「生存者、一名」
 スリルもあり,「なるほど」と思わせる箇所もあり,超良作。中編でここまで表現できるのは素晴らしいのヒトコト。読後の余韻の中,「題名」について考えざるを得ないあたり,さすが歌野さん。
②「館という名の楽園で」
 結構前段階で「館」トリックが概ね分かってしまう方が多いのでは… 中編で「館モノ」にアタックした意気込みと,ラストの仕掛け(?)は買います。
③「夏の雪、冬のサンバ」
 トリックにかなり無理があると思いますが(傾きすぎ!),国際色豊かな点は悪くないかな?(まあミスリードの一部ですが)
④「そして名探偵は生まれた」
 作者の「ねらい」はどこにあったのか、ややつかみかねますね。中途半端な印象が…。

No.23 8点 葉桜の季節に君を想うということ- 歌野晶午 2010/02/22 21:52
例の叙述トリックのインパクトが強く(きれいに騙されました…),そこだけに目がいきがちですが,それ以外にも「歌野らしさ」が散りばめられており,楽しめました。
テーマも奥深いものがあり,非常によいですね。読み終えたあとに,改めてタイトルを噛み締めざるを得ないところもにくい。
サクッと読んで,サラッと騙され,ググッと考えさせられた,そんな印象です。

No.22 4点 名探偵の呪縛- 東野圭吾 2010/02/20 21:10
作者の“本格”に対する認識を伺う意味では,おもしろい。
ただし,導入部(第1章)が冗長すぎること,「結局この数ページが書きたかったのね」と最終的に思ってしまう点がやや残念でした。
天下一探偵モノとしては,前作のほうが良ですね。

No.21 6点 どちらかが彼女を殺した- 東野圭吾 2010/02/14 23:36
犯人を教えてくれないってのが,面白い発想ですよね。
私の場合,そのことを知っていたので,純粋に「犯人当て」として読み進めました。もちろん,単なる犯人探しではなく,加賀刑事と被害者兄との攻防(?)も楽しめるので,そのあたりはさすがといったところですが。
(以下ネタバレ有)
犯人は「袋綴じ解説」(文庫版で読んだので…)を読後に分かったのですが,「利き腕」だけで確信していいの?別の可能性も否定しきれないのでは?(犯人以外の方が,たまたま犯行時に☆手を使ったに過ぎないとか,むしろわざと☆手を使ったのではとか)そう考えると,実は…という「もやもや感」も正直ありました。まあ,絆創膏の件もあるし,犯人はあの人なんでしょう…と自分で納得させました。
以上はさておき,小説自体が面白い試みであることには間違いないですね。

No.20 9点 十角館の殺人- 綾辻行人 2010/02/14 11:52
やはりあの1行は,極上級。
1点マイナスしたのは…結末に関する個人的な印象(好み)によるもののみ。限りなく10点に近い9点ということで。

No.19 7点 名探偵の掟- 東野圭吾 2010/02/11 16:04
茶化し具合が本当に面白く,一気に読めてしまうのですが,読後,改めてミステリとは…そしてとそれに対する自分の心構えとは…などと考えさせられた作品でもありました。いろんな意味で,読む価値大の作品。

No.18 6点 看守眼- 横山秀夫 2010/02/11 15:23
様々な職業者を主人公にすえ,その心の葛藤を描ききる技量はさすが。謎の配置加減も見事。
6つの短編のうち,私は「秘書課の男」が何気に好きですね。一番渋い作品かもしれませんが,「分かるな~」って妙に納得する作品でした。

No.17 5点 プリズン・トリック- 遠藤武文 2010/02/08 22:14
帯の「乱歩賞史上最高のトリックだ」という東野圭吾氏コメント(?)を見て思わず購入しました。
刑務所内での密室殺人・入れ替わりトリック・ラスト1行の試みなど,ミステリとしての要素は十分で,「志が高い」と複数の選考委員が語るのも十分に理解できます。
ただし,登場人物名のわかりにくさ・視点がコロコロ変わっていく不均一感・そしてなんと言っても最後の1行の「これって…??」感など,突っ込みどころも満載です。特に,最後の1行は読者が不条理に自問自答すること請け合い。私などは、読後に講談社が実施した「真犯人からの手紙クイズ(のようなものだったと思う)」で,ネットで公開された真犯人からの「手紙」を読み,ようやく心のつっかえが取れた次第。ラスト1行の不完全燃焼感は痛い。前半の交通刑務所の描写などは,グイグイ引き込まれたのですが…惜しい!
色々書いてしまいましたが,それでも魅力は否定できない作品。今後の作品に期待です。

No.16 4点 不連続の世界- 恩田陸 2010/02/08 21:48
全ての短編について寓話的というか、感情移入しにくいというか、そんな印象を受けてしまいました。(それが魅力という考えもありますが。)
決して楽しめない作品ではなかったのですが、好みの観点から1点マイナスさせていただきます。

キーワードから探す
まさむねさん
ひとこと
ミステリとしての特別な知識なく乱読していますので、私の書評はあまりアテにしないでくださいね。
好きな作家
道尾秀介・東野圭吾・東川篤哉
採点傾向
平均点: 5.86点   採点数: 1195件
採点の多い作家(TOP10)
東野圭吾(56)
有栖川有栖(43)
東川篤哉(41)
森博嗣(37)
道尾秀介(27)
島田荘司(26)
伊坂幸太郎(26)
米澤穂信(23)
歌野晶午(21)
西村京太郎(20)