皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
まさむねさん |
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平均点: 5.86点 | 書評数: 1195件 |
No.295 | 4点 | 僕と先輩のマジカル・ライフ- はやみねかおる | 2012/06/22 23:22 |
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児童向けミステリー界における超売れっ子作家(ちなみにウチの娘もよく読んでました)が,一般向けミステリーも書いていると知り,試読してみました。
感想としては,ズバリ“空気が合わない”。長曽我部先輩の存在意義もよく分からないし…。ミステリとしてのラインは保っていると思うのですがねぇ。 |
No.294 | 7点 | スイス時計の謎- 有栖川有栖 | 2012/06/16 18:47 |
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国名シリーズの前作「ペルシャ猫の謎」が(平凡な)変化球であったのに対し,この短編集はど真ん中の剛速球といった感じです。
特に,表題作はロジック全開。フーダニットとしても良質。読者を楽しませるのに,必ずしも派手な演出はいらないという好例。短編というよりも中編といった分量ですが,内容からすればベストの長さ。 他の3短編も,水準級以上にはあります。個人的には,「あるYの悲劇」も推したいんですけどねぇ。でも,これは評価が分かれるかぁ(笑)。 ともかく,「本格短編読みたいな」って方にはオススメでしょう。 |
No.293 | 6点 | わが身世にふる、じじわかし- 芦原すなお | 2012/06/09 10:58 |
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シリーズ第3弾ですね。たいへんに読み心地が良いです。主人公,奥さん,同級生刑事の軽妙な会話と食事シーンが,何とも言えない雰囲気を醸し出しています。癒されます。
ミステリ度は決して高くないですが,ゆったりとした読書は楽しめましたね。 |
No.292 | 6点 | 嫁洗い池- 芦原すなお | 2012/06/02 14:33 |
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前作「ミミズクとオリーブ」の雰囲気がよかったため,続編を手にした次第。
密室モノもあったりして,ミステリ度は,前作よりもアップしています。 でも,やはりこのシリーズの最大の魅力は,主人公,奥さん,同級生刑事の軽妙な会話と雰囲気。主人公が本当に羨ましく思えるんですよねぇ。立て続けにシリーズ第3作も読んでみます。 |
No.291 | 6点 | 覆面作家は二人いる- 北村薫 | 2012/05/27 21:14 |
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現実味のない,漫画的キャラ設定ではあるのですが,私には「割り切って読めちゃう」っていうメリットの方が印象に残りましたね。
ソフト・タッチとはいえ,ミステリ的味付けも効かせてますので,肩肘張らずに読書したい気分の方にはオススメですね。そんな気分のときに,続編も読んでみようかなぁ。 |
No.290 | 5点 | さみしさの周波数- 乙一 | 2012/05/26 17:16 |
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乙一らしい短編集。
収録作の中では,作者本人が「書きたいと思ったから書いた」と述べている「手を握る泥棒の物語」がベストでしょうか。 「失はれた物語」の世界も,ミステリ云々はさて置き,深い印象を与えてくれますね。 |
No.289 | 5点 | 遠まわりする雛- 米澤穂信 | 2012/05/26 17:00 |
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古典部シリーズの短編集。今回もホータロー君がご活躍です。
個々の短編の内容というよりも,高校1年生の1年間について,短編を時系列順に配置することで4人の「変化」を描こうとした試みを評価します。ラストも綺麗ですね。 |
No.288 | 5点 | 玉村警部補の災難- 海堂尊 | 2012/05/26 16:11 |
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「このミス!」に掲載された4作品を集めた短編集。
監察医制度,Ai(死体画像診断),DNA鑑定,歯の治療痕照合…と,いかにもこの作者らしいテーマが揃っています。 一方,ミステリ的なレベルはまちまちで,個人的な判断基準でミステリと言ってよいのは「青空迷宮」くらいかも。「四兆七千億分の一の憂鬱」もギリギリセーフかなぁ…って感じでしょうか。その点は大きな期待をせずに,医療エンタメとしてお楽しみいただくのが無難かもしれませんね。 |
No.287 | 6点 | 消失グラデーション- 長沢樹 | 2012/05/26 15:58 |
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横溝正史ミステリ大賞受賞作。昨年度の各種ミステリランキングでも,なかなかの高評価でしたね。
この作品の「肝」は何点かあると思うのですが,そのうちの1点は,結構序盤からプンプンとした臭いが。とは言え,完全に見切ることはできず,大胆かつ巧妙な仕掛けには感心いたしました。 ちなみに,読後に検証してみたのですが,どうしても腑に落ちない「表現」がございますねぇ。そこがちょっと不満です。 |
No.286 | 6点 | ミミズクとオリーブ- 芦原すなお | 2012/04/30 22:21 |
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ミステリとしては相当に弱いです。
でも,楽しい。ひょうひょうとした主人公のキャラは勿論,奥さん,同級生刑事との軽妙な会話も良いですねぇ。とても羨ましくなる雰囲気。何というか,いいなぁ。 これでミステリ度が上がれば申し分ないのですが…。続編もそのうち読んでみます。 |
No.285 | 6点 | 中途半端な密室- 東川篤哉 | 2012/04/14 15:10 |
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プロデビュー前の作品を中心とした短編集。ユーモアや文章は,完成途上(?)との印象も受けましたが,内容自体はまずまず楽しめました。
良かったのは,表題作と「南の島の殺人」。前者はロジカルな展開が楽しく,後者は巧妙な仕掛けが楽しい。 「十年の密室・十分の消失」は,興味深い設定ではありますが,「そこまでやるか」感も。ラストの人物像の反転は結構好み。 |
No.284 | 5点 | 境遇- 湊かなえ | 2012/04/01 22:29 |
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ヒトコトで評すれば,「薄いコーヒー」。
湊サンお得意の複数視点。スラスラと読めるし,まぁ,飲める(読める)のではないでしょうか。 いや,コーヒーは好きなんですよ。でも,薄いなぁ。濃くしようとしているのが,むしろ薄さを助長しているような気も…。 って思いながら読み終えて知ったのですが,これってドラマありきの作品なのね?そうだったかぁ。なら,已む無し。 |
No.283 | 5点 | まどろみ消去- 森博嗣 | 2012/04/01 21:58 |
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短編集です。おそらくは,作者の実験場なのでしょう。そう!実験!
実験としては,「やさしい恋人へ僕から」と「悩める刑事」に一応の意義があったのでは。(あくまでも,実験の意図が分からない作品よりは良いという趣旨ですよ。念のため。) いや,実験ってのは,「失敗」をどう活かすかが重要なのでしょうなぁ。さすがは理系作家。勉強になりました。 |
No.282 | 5点 | 彼女はもういない- 西澤保彦 | 2012/03/25 22:53 |
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「R‐18ミステリ」と言うだけあって,グロテスクな犯罪シーンもあり,苦痛に感じる方も相当いらっしゃると思います。ご注意ください。
その点を別にすれば,一気に読ませるプロットで,思ったほどの嫌悪感は無かったです。あれ?いつもとはちょっと作風が違うのか?と思わせておきつつ,最終的には「やっぱり西澤サンだったよ!」って感じ(敢えて多くは語りませんが)。読後に振り返ってみると,タイトルと表紙にも味わいがあります。 惜しいのは,主人公の狂気発露の理由(同窓会名簿のヤツ)が常人にはピンと来ないこと,さらに城田理会警視の存在が中途半端なこと。 ちなみに,西澤さんは,同窓会名簿が好きですなぁ。きっと,短編集「必然と~」と同時期に構想したのしょうねぇ。 |
No.281 | 5点 | ちょっと探偵してみませんか- 岡嶋二人 | 2012/03/21 21:22 |
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25個の推理クイズ集。ショートショートとして結構いい味を醸し出している作品から,なんだこりゃって作品まで,レベルは幅広いです。
全体的に難易度は低めですが,その辺の推理クイズ本と比べると,さすがというか,筆力の違いは明確。スキマ読書として丁度よかったです。 |
No.280 | 5点 | 必然という名の偶然- 西澤保彦 | 2012/03/18 19:01 |
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「櫃洗市」で起きる6つの事件を描いた連作短編。サクサク読めます。
大富豪探偵ヒロっち&オヤカタ&ケージの同級生トリオは,キャラも立っていて,今後も使い出がありそう。だから最終話の書き下ろしで再登場させたのでしょうが,コレはちょっと不発でしたか…。 他の単独作品も含めて,読み手によって評価が分かれるかもしれません。ちょっと強引過ぎると感じる方もいるかも。 |
No.279 | 4点 | 人面屋敷の惨劇- 石持浅海 | 2012/03/15 23:22 |
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「非日常的な空間又は条件におけるロジカルな心理戦」がこの作者の持ち味なのでしょうが,登場人物の行動倫理には共感しがたい点ばかり。そんな登場人物たちが語るロジックなんぞは片腹痛い,というか苦痛。
以上が,これまで蓄積してきた,作者に対する個人的な印象。本作を読み,その印象はさらに強いものとなりましたね。特にこの作品は,作者の意図がよくわからず(仮に予測どおりだとしても,成功しているとは言いがたい),ことさら空疎感を抱きました…。 |
No.278 | 4点 | 封印再度- 森博嗣 | 2012/03/11 20:02 |
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正直,微妙です。
「良かった」と言えるのは,壺・鍵・箱・凶器の謎,そしてタイトルくらい。強引過ぎる箇所が複数あるし,内容に比して無駄に長すぎます。 ちなみに,萌絵嬢ってこんなキャラだった?急激にイヤな感じに成長しちゃいましたねぇ。犀川センセの魅力まで吸い取る魔力。要するに,二人とも「おこちゃま」ってことで1点減点ですな。萌絵嬢は、この作品では不要というかもの凄く邪魔。 |
No.277 | 6点 | 贖罪の奏鳴曲- 中山七里 | 2012/03/08 22:47 |
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「どんでん返し」については,ミステリー的にそれほどでもないかなぁ…っていう印象(嫌いではないケド)。
しかし,小説全体を見通せば,オセロ的な白黒逆転自体に意味を含ませているのであろうし,ミステリーの「折込み具合」に難があるとも感じなかったので,私としてはこの位で丁度良いのだろうと感じました。 ちなみに,リーダビリティは高く,少年院での出来事や法廷シーンも(最高裁法廷であんな事があり得るのかは別として),なかなか面白いです。ちょっと未消化の伏線がないわけでもないですが…。 |
No.276 | 6点 | さよならドビュッシー- 中山七里 | 2012/03/03 11:13 |
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音楽青春小説としては,純粋に楽しめましたね。特に,ピアノ演奏シーンの描写力は素晴らしい。音楽的素養の全く無い私ですら,クラシックをじっくりと聴きたくなったほど。
一方,ミステリーとしては正直「分かりやすい」ですし,それほど評価することはできません。ミステリー要素だけで見れば,『このミス』大賞で同時に最終候補に残った「連続殺人鬼カエル男」(応募時は別タイトル)の方に軍配が上がる気がします。(勿論,同一作家の複数作品が最終候補に残ること自体が凄いコトですけれども。) しかし,「どちらの作品の方が惹きこまれるか」という観点で言えば,私はこちらの作品に1票。実際の受賞作も本作(まぁ,『このミス』大賞のコンセプトからすれば,妥当なのでしょうが)。 よくよく考えてみれば,「オチは分かっているけれども,ページをめくる手が止まらなかった」という事実は,私にとって珍しいコト。筆力は高いと思います。 |