皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
まさむねさん |
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平均点: 5.87点 | 書評数: 1226件 |
No.1166 | 5点 | 最後のディナー- 島田荘司 | 2024/06/07 21:13 |
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石岡ファン(と犬坊里美ファン)のための短編集と言ってよいのではないかな。スウェーデンにいる御手洗は、②と③に電話出演するのみです。
①里美上京:里美が横浜の女子大に転入してきた…という近況報告。ミステリ度はゼロ。 ②大根奇聞:この短編集の中ではベスト。あくまでもこの短編集の中では。 ③最後のディナー:読み物として悪くはないが…。でも、石岡の情けなさぶりは素敵すぎてグッとくる。 |
No.1165 | 7点 | きこえる- 道尾秀介 | 2024/06/03 20:34 |
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各短編の結末に(時に冒頭や作中にも)ある二次元コードでYouTubeにアクセス。その音声…によって真相が…という趣向。臨場感も出て、この手法自体は面白いと思いましたね。もっと効果的な使い方もありそうだし、続編を期待したいところ。採点は短編ごとにマチマチだけれど、新鮮さと今後への期待を込めて加点。
①聞こえる:冒頭の短編なのに、分かりにくかったなぁ。 ②にんげん玉:ふむふむ。いかにも作者らしい仕掛け。 ③セミ:本作品中のベスト。ある意味で作者らしい内容と締め方。 ④ハリガネムシ:むしろ「その後」が気になった。 ⑤死者の耳:おっと。そういう使い方もアリだったか。 |
No.1164 | 7点 | 掲載禁止 撮影現場- 長江俊和 | 2024/05/29 23:09 |
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8編を収録した短編集。各編(文庫で)40ページ程度の文量で、序盤から終盤までグイグイ引っ張ってくれる引力があります。
マイベストは「ルレの風に吹かれて」。なかなか言葉では表しにくい雰囲気を纏っていて、記憶に刻まれそうな一品。次点は悩ましいけれど「カガヤワタルの恋人」か。こういった基本的な手法の組み合わせ方(見せ方)は、個人的には好きです。 切り上げてこの採点ということで。 |
No.1163 | 5点 | 木曜組曲- 恩田陸 | 2024/05/26 16:56 |
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小説家・重松時子が自宅の「うぐいす館」で薬物死してから、毎年その場に集い、宴を催す5名の関係者。全員女性で、物書きに関係する仕事に就いている。薬物死の際もこの5人は顔を揃えており、今回は死後4回目の集い。告発と告白を繰り返しながら、時子の死の謎に迫るが…
心理ミステリとして典型的とも言える流れで、悪くはないのだけれども、ハラハラ感はあまりなく、何より物語に入り込みにくい面があったかな…というのが正直な感想。私の感性が鈍いだけかもしれないのですが。 |
No.1162 | 7点 | でぃすぺる- 今村昌弘 | 2024/05/25 14:36 |
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剣崎比留子シリーズ以外の初長編。「ジュブナイル×オカルト×本格ミステリ」という謳い文句。
壁新聞作成を担う「掲示係」に属する3人の小学6年生(ユースケ、サツキ、ミナ)が「奥郷町の七不思議」の謎を追う…。ちょっと眉唾で読み始めたのですが、これがなかなか面白い。グングン読まされました。 結末としては、驚き半分、煮え切らなさ半分といったところ。3人それぞれの成長が清々しい一方で…という気がしないでもないかな。 |
No.1161 | 4点 | 木野塚探偵事務所だ- 樋口有介 | 2024/05/19 18:46 |
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ハードボイルド小説をこよなく愛する木野塚佐平氏が、警視庁(ただし経理一筋)を定年退職後に念願の探偵事務所を開業!
木野塚氏の語り口も含め、本人の理想と現実のギャップが楽しい。秘書の梅谷桃世クンともいいコンビだとは思うのですが、事件の真相自体はアレレな感じなので、この採点でご勘弁ください。 |
No.1160 | 6点 | 逆転正義- 下村敦史 | 2024/05/14 21:44 |
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6編が収録された短編集。個々の短編はメッセージ性も含めて好きなタイプなのですが、一貫する系統が見えてしまう分、続けて読むとどうかなぁ、という面もあります。①、⑤、⑥あたりに、作者の意思(主張?)が強く表れているのだと思います。
①見て見ぬふり:時代を反映した作品。 ②保護:おっと、見事にやられました。2作目に配置したのは正解。 ③完黙:本作品の中では最も凡庸か。 ④ストーカー:少なくともポイントの一つは容易に気づくかも。 ⑤罪の相続:恨みの連鎖という、古から現代に繋がる課題。 ⑥死は朝、羽ばたく:ふむ。突っ込みたい点や、①や⑤と重複する部分もあるけれど、短編集の締めとして好印象。 |
No.1159 | 6点 | ブラック・ショーマンと覚醒する女たち- 東野圭吾 | 2024/05/12 22:24 |
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シリーズ第2弾。今回は短編集ですね。
元マジシャンの神尾武史は、隠れ家的なバー「トラップハンド」のマスターに。姪の真世や客が持ち込む案件を…という流れです。全体に小粒との印象もありますが、「相続人を宿す女」には考えさせられましたし、「リノベの女」の続編も含めた流れだとか、「査定する女」への繋がりは。流石のストーリーテラーぶり。 ちなみに武史は、前作よりも何やら格好よくなっている気がします。もしかしてドラマ化あります? |
No.1158 | 5点 | 嘘でもいいから誘拐事件- 島田荘司 | 2024/05/09 23:04 |
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島荘には珍しい、コメディ・タッチの中編2本。会話部分が多いこともあって、あっという間に読了できます。
作者があとがきで「もしかするとこのシリーズは、僕にとって、最も一人よがりでない、最も肩の力の抜けた、最も読者本位の、正しいミステリーなのかもしれない」と語っているとおり、決して肩肘張らず、楽しんで書いている様が伺えます。この点ではなかなか興味深かったですね。 内容はというと…、ゴンドラからの人間消失であるとか、謎自体は作者らしいと言えるのかもしれませんが、まぁ、大きな期待はしない方がいいかも。島荘のユーモアを気楽に楽しもうということで。 |
No.1157 | 6点 | 帝国妖人伝- 伊吹亜門 | 2024/05/06 21:41 |
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明治~太平洋戦争終了直後までの時代背景を活かした連作短編。
売れない作家那珂川二坊が出会う5つの事件、その探偵役を務める五人の「妖人」の姿が読みどころ。各偉人(妖人)は誰なのかと想像するのも楽しいし、ストーリーへの偉人の絡め方も流石です。一方で、各事件の本格度は控えめ。歴史好きの方によりフィットするかも。 |
No.1156 | 8点 | 木挽町のあだ討ち- 永井紗耶子 | 2024/05/03 07:58 |
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舞台は江戸。木挽町にある芝居小屋のそばで、若衆による仇討ちが成された。その2年後、別の若侍が木挽町を訪れ、芝居に関わる複数の者たちから事件に関する話を聞いて回る…。
それぞれの語り手によって次第に事件の背景が見えてくる構成自体は、特段目新しいものではありませんが、それぞれの半生をも語らせているところがポイントで、グイグイ読まされます。結末は想定しやすいかもしれませんが、既にそういった視点のみで読ませていない上手さがあります。 純粋に良い小説を読ませていただきました。直木賞と山本周五郎賞のW受賞も納得です。 |
No.1155 | 7点 | ミステリー・オーバードーズ- 白井智之 | 2024/04/27 23:14 |
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バラエティに富んだ短編集で、本格度も高いです。白井度は作品によって格差アリ。耐性が無くても意外にイケるかも(責任はとれないけど)。
①グルメ探偵が消えた 舞台は英国。失踪したグルメ探偵の行方を追うお話。翻訳調の語り口が珍しいなぁ…と感じつつも、ラストはやはり白井智之。 ②げろがげり、げりがげろ タイトルからして白井智之。でも読み進めるほど、内容に即した、秀逸なタイトルであると気付く。ちょっと笑える、作者らしい特殊設定ミステリ。 ③隣の部屋の女 心理サスペンス風。多くは書かないけれど、作者としては珍しい展開。 ④ちびまんとジャンボ 本格度の高さとハチャメチャな内容のコラボが雑妙な味を醸し出している。作者らしさ全開。 ⑤ディティクティブ・オーバードーズ これは斬新。複数の「信頼できない語り手」から犯人を絞り込むロジックが見事。 |
No.1154 | 6点 | 村でいちばんの首吊りの木- 辻真先 | 2024/04/15 23:10 |
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短編集。大技が炸裂するものではないですが、作者が各短編に込めたメッセージも含め、意義深く読ませていただきました。特に表題作は、作者にとって思い出深い作だそうですので、益々意義深い。
①村でいちばんの首吊りの木 謎の一部は「ありがち」だけれど、ラストの次男の考察には結構びっくり。 ②街でいちばんの幸福な家族 結末が何となく予測できるとは言え、軽快な展開が好印象。良かった。 ③島でいちばんの鳴き砂の浜 ミステリとしては平板。でも語り手の無主物たちの語りが結構楽しい。 |
No.1153 | 5点 | 博士はオカルトを信じない - 東川篤哉 | 2024/04/13 15:10 |
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(自称)天才発明家のアラサー女性博士と、両親が探偵事務所を経営している中2男子のコンビによる短編集。新シリーズとはいえ、何かどこかで見かけた雰囲気ですし、東山節も健在。コンビが変わっただけ?という気がしないでもない。
スラスラ読みやすいのですが、トリックは相当に小粒。すごく小粒。その中でも、最終話「天才博士と靴跡のアリバイ」の発想は嫌いではないです。 |
No.1152 | 6点 | 蔭桔梗- 泡坂妻夫 | 2024/04/07 16:20 |
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大人の恋愛を描いた短編集。ミステリの側面を期待して読むと肩透かしかもしれませんが、こういった短編集も悪くない。11篇で構成。印象に残った作品の短評を。
「遺影」:おっ、そう来たかという作品。全篇読み切ったうえで振り返ると、この短編集の中で特異的とも言える。 「簪」:それぞれの人情が沁みる。 「蔭桔梗」:職人と職人を取り巻く方々の心意気が響く。 「十一月五日」:歯医者のシーンから始まる構成の妙。 「竜田川」:最もミステリに近いか。 「くれまどう」:夫婦とは何かを問う短編。 |
No.1151 | 8点 | 地雷グリコ- 青崎有吾 | 2024/04/04 20:31 |
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まずは、対戦するゲームの設定が絶妙です。じゃんけんグリコ、神経衰弱、だるまさんが転んだなど馴染み深い遊びをベースとして、それに追加されるルールもさほど複雑ではないので、面倒くさがりな私でも、スッと頭に入ってきます。だからこそ、ゲームの奥深さも理解しやすい。
射守矢真兎の快進撃?に爽快感を抱きながらの、中盤以降の展開も好印象。頭脳戦のみならず、ルールの隅を突く戦略や心理戦の要素が抜群に面白かった。どの短編も楽しめたのですが、特に「自由律ジャンケン」と「フォールーム・ポーカー」が良かったかな。 |
No.1150 | 7点 | 爆弾- 呉勝浩 | 2024/03/26 23:04 |
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微罪で警察に連行され、取調室で秋葉原の爆発を「予言」した中年男性。自らを「スズキタゴサク」と名乗り、霊感が云々、記憶がない云々を語る、この人物のキャラがすごい。
彼は何者なのか、目的は何なのか。次の爆発を防がんとする警察との頭脳戦を経て、その全景が見えてくるのか…という興味でグイグイ読まされました。サスペンスとしても、警察小説としてもレベルが高いと思います。 |
No.1149 | 5点 | マイクロスパイ・アンサンブル- 伊坂幸太郎 | 2024/03/20 11:28 |
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もともとは、猪苗代湖を舞台とした音楽イベントの来場者に小冊子として配られた短編小説。イベントが毎年開催された結果、7年間で1冊の本にまとまったようです。
そういった経緯もあるからなのか、全体として見ると多少散漫な印象もございますが、お伽噺と現実世界との組み合わせ方は伊坂さんらしいし、温かい気持ちにさせてくれました。 |
No.1148 | 6点 | 五覚堂の殺人~Burning Ship~- 周木律 | 2024/03/16 23:15 |
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堂シリーズ第三弾。今回も「館×数学」ミステリであります。
前作を読んでから随分と月日が経ってしまったので、人物設定があやふやなまま読み進める形になったのですが、やっぱり某作者の某シリーズが思い浮かんじゃいますよねぇ。まぁいいけど。 密室のうち一つは、本当にできるのかという意味で、驚きました。でも、これは一般的な読者には分からないと思いますね。また、とある登場人物の特性については、「なぜ明言しない。なぜぼかす。何を狙っているのか?」と疑心暗鬼に。最終的には「そのままかい!」と、むしろ清々しく突っ込めます。 数学を介してはいるものの、全体としてはオーソドックスな館ものという印象。時間軸の設定等も面白かったかな。 |
No.1147 | 6点 | 聖母- 秋吉理香子 | 2024/03/10 22:46 |
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単にトリックとしてということではなく、テーマとの結び付け方も含めて、非常に上手く組み立てられていると思います。
一方で、「分かりやすそうだけど全体像として結びつかない…」という思いを継続しながら読み進めた割に、読後の(ある意味での)爽快感は思ったほどではなかったかな…という印象も。帯の惹起文言が悪影響を及ぼしているような気もするのですが…。 |