皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
メルカトルさん |
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平均点: 6.04点 | 書評数: 1835件 |
No.55 | 5点 | 生首に聞いてみろ- 法月綸太郎 | 2010/06/15 00:41 |
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本格ミステリ大賞受賞、「このミス」第1位、「本格ミステリベスト10」第1位のこの作品。
さてこのサイトの評価は・・・やはり低いですな。 論理性に拘りすぎるあまり、ドキドキ感やワクワク感が極端に薄れてしまった皮肉な結果に。 まるでお堅い教科書を読まされたような印象を受けた。 |
No.54 | 5点 | 六色金神殺人事件- 藤岡真 | 2010/06/13 23:38 |
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入手困難との噂と伝奇ミステリという謳い文句を聞きつけ、読んでみた。
途中まではこの摩訶不思議な連続殺人事件をどう収束させるのか、と興味は尽きなかったのだが、中盤で明かされる意外な真相で脱力というより落胆させられた。 真面目な怪奇色の濃いミステリだと思っていたので、裏切られた気分だ。 なので個人的にはあまり評価できず、この点数に。 |
No.53 | 6点 | 虚無への供物- 中井英夫 | 2010/06/12 23:49 |
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著者自身が本作を評して、初めて「アンチミステリ」と呼んだといわれている。つまり元祖アンチミステリ、という事になるだろう。
みなさんおっしゃるように、三大奇書の中では格段に読みやすい。 しかし、その後のアンチミステリの進化を見てみると、もはや「元祖」という存在意義以外はそれ程の重要性や特化性を見出せない。 当時としては画期的だったと思われるアンチ形態も、現在では色褪せてしまっているようだ。 今や、ミステり界における過去の大いなる遺産となってしまったのだろうか。 |
No.52 | 8点 | 吸血の家- 二階堂黎人 | 2010/06/10 00:09 |
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冒頭から引き込まれる。
二階堂氏のその後の作品を読むにつけ、氏の中では個人的に最も好きな作品であることに気づいた。 二十四年前の足跡のない雪の密室のトリックは本書の白眉ではないだろうか。 江戸時代から遊郭を営んでいた旧家での殺人という、大時代的な雰囲気もなかなかのもの。 |
No.51 | 7点 | 六枚のとんかつ- 蘇部健一 | 2010/06/09 23:52 |
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確かにバカミスだが、単なるバカミスだとはどうしても思えない。
『占星術』の本家取りは決してモノマネではなく、オリジナリティを兼ね備えているし、他の作品も十分笑って許せる許容範囲内であろう。 酷評される気持ちも分かるが、どうか寛容な心で読んでもらいたいものである。 |
No.50 | 6点 | 樹のごときもの歩く- 坂口安吾 | 2010/06/08 23:53 |
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未完であった「復員殺人事件」を高木彬光氏が解決編を執筆し完成させた訳だが、実はこの結末、安吾が予定していた犯人とは別人物だったようだ。
高木氏は坂口安吾の奥様に犯人とトリックを伝えられたが、どうしてもそれが真相とは信じられず、死の間際まで婦人にすら真実を教えなかったと解釈し、高木氏オリジナルの解決編を「樹のごときもの歩く」と改題して完結させた。 リレー形式の難しさを一捻り加える事によって、上手く昇華させていると思う。高木氏ならではの「いい仕事」だろう。 |
No.49 | 6点 | 大相撲殺人事件- 小森健太朗 | 2010/06/07 23:44 |
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いわゆるバカミスの系列に属する作品。
くだらなさとトリックの安直さは頂けないが、取り組み中に爆死する力士、入浴中に切り取られた力士の頭など、謎の提示は意外と魅力的ではある。 これらの謎に十分納得の行く解決が示されていたなら、傑作になったであろう可能性が高いだけに残念。 小森健太朗にもこんな作品が書けるのだという、新たな認識を世に示した怪作。 |
No.48 | 4点 | 陰摩羅鬼の瑕- 京極夏彦 | 2010/06/06 22:23 |
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断っておくが私は京極夏彦氏のファンである。
しかし、本作に関してはどう考えても高評価は与えられない。 犯人は最初から分かっているし、ミステリ的な仕掛けもない。 犯行の動機がくどいほど繰り返し説明されるのもマイナス要因にしかならない。 唯一、見所は関口と横溝正史氏との邂逅であろう。 もう少しコンパクトにまとめられていれば、評価も変わったかもしれないが・・・無駄に長くした為、逆に中身が薄っぺらになっている気がしてならない。 この点数は大きかった期待の裏返しだと思っていただきたい。 |
No.47 | 8点 | わくらば日記- 朱川湊人 | 2010/06/06 22:10 |
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昭和30年代の東京が舞台。
ある特殊な能力を持った少女が、図らずも様々な事件に遭遇し、その能力で解決に導いていくのだが、その先に待っているものは・・・。 淡くノスタルジックな雰囲気に包まれた本書は、読む者の心を動かさずにはおられない、感動の連作短編集。 物語に登場する人物は、主人公の鈴音をはじめ、語り手である妹の和歌子、彼女らの母親、途中から加わる茜らがそれぞれ生き生きと描かれている。 ホラーともミステリともつかない文芸作品。 母親が茜を川原で背負い投げしながら、世の善悪を説く場面は涙なくしては読めない。 お薦めの一冊である。 |
No.46 | 8点 | 作者不詳 ミステリ作家の読む本- 三津田信三 | 2010/06/05 23:54 |
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もっと評価されて然るべき作品ではないかしら。
本作はこの作者の原点なのではないかと思う。 その読み応え、面白さは、刀城言耶シリーズにも劣らない。 作中作だけでも読む価値はあると断言したい。 |
No.45 | 4点 | 長い長い殺人- 宮部みゆき | 2010/06/05 00:36 |
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財布が語り手の必然性がどうしても見出せない。
別に普通に三人称で書けばいいのでは?と思ってしまう。 そうなると、ストーリー自体にも平凡だし、トリックらしいトリックも仕掛けられていないので、自分はあまり魅力を感じなかった、残念な作品。 |
No.44 | 5点 | 切断- 黒川博行 | 2010/06/05 00:23 |
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感情を可能な限りそぎ落としたかの如き文体が、異様なほどのクール感を醸しだしている。
しかしなあー、トリックは最初からネタ割れしているし。 よって高得点はあげられない、申し訳ないが。 |
No.43 | 9点 | 暗闇坂の人喰いの木- 島田荘司 | 2010/06/03 23:48 |
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御手洗シリーズの中で最も「雰囲気」のある作品だと思う。
特に少女が大楠に飲み込まれるシーンはショッキングである。 いかにも島田氏らしい大仕掛けも用意されているし、最後まで読者を飽きさせず読ませる筆力は賞賛に値する。 大作に相応しい、骨太な構成で読む者を圧倒する。 |
No.42 | 9点 | ラッシュライフ- 伊坂幸太郎 | 2010/06/03 00:09 |
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伊坂氏の作品の中では、ミステリ度の高さは随一。
一見バラバラに見える4つのストーリーが最終的に繋がりを持ってくる展開は、見事の一語に尽きる。 それと最も評価したいのは、後味の良さである。 素晴らしい読後感、清々しさすら覚えるラストシーンは、今でも忘れられない。 |
No.41 | 7点 | しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術- 泡坂妻夫 | 2010/06/03 00:02 |
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想像するに、作者はこのトリック(仕掛け)を思いついた為、わざわざそれに合わせたストーリーを考えたものと思われる。
だから、読者にはどうしてもありきたりな展開に写ってしまうのだろう。 はじめにトリックありきなので、ミステリの様々な魅力を端折る形になってしまっているのは残念だが、一読の価値があることは間違いない。 |
No.40 | 9点 | 姑獲鳥の夏- 京極夏彦 | 2010/06/02 00:39 |
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初版が刊行されると同時に読んだのだが、あの夏は一生忘れないだろう。
書店に平積みされていた時点で、この小説には明らかにこれまでに経験した事のないオーラを感じたし、新たな時代の到来を予感させるに十分な装丁を纏っていたように思う。 ただし本作にトリックはない。 見えるとか見えないとか、トリックだと思うから腹が立つのであって、エンターテインメントと割り切れば瑣末な問題だと気付くであろう。 純粋なミステリでないのでマイナス1点。 |
No.39 | 7点 | 星降り山荘の殺人- 倉知淳 | 2010/06/02 00:07 |
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これは騙されますわ。
決してアンフェアではないと思う。 ミステリ・マニアやミステリ・ファンの心理を逆手に取った、見事な仕掛けであろう。 その割に点数が低いのは、中身がやや希薄な為。 |
No.38 | 7点 | マジックミラー- 有栖川有栖 | 2010/05/30 23:57 |
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双子が出現した時点で怪しいのだが、双子をそのようなトリックで持ってくるか、と感心することしきり。
時刻表の苦手な自分にも納得できる、斬新な仕掛けだと思う。 この著者の作品の中でもひときわ異彩を放つ異色作。 |
No.37 | 6点 | 弥勒の掌- 我孫子武丸 | 2010/05/29 22:06 |
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なぜかパチンコ店での、主人公の刑事とオカマの情報屋とのやり取りのシーンが強く印象に残っている。
逆に言うと他の場面が薄いイメージ。 ラストのオチも強引過ぎるというか、偶然に頼りすぎな気がする。 残念ながらあまり驚けなかった。 |
No.36 | 6点 | 行方不明者- 折原一 | 2010/05/29 21:49 |
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折原ワールド全開とはいかないが、安定感はいつも通り。
しかし、その安心感が中だるみを生み出すのと、一家4人殺害事件の動機が弱すぎるのがマイナス要因となる。 全体を通して可もなく不可もなし、と言ったところ。 折原作品にしてはやや緊迫感に欠けるのは残念だが、並行する二つの事件を上手く収束しているのは流石である。 |