皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
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メルカトルさん |
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| 平均点: 6.03点 | 書評数: 2040件 |
| No.2000 | 7点 | バラバの方を- 飛鳥部勝則 | 2026/04/20 22:34 |
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| もっと野卑で暴力的な小説かと思っていたら、意外と真っ当な本格ミステリでした。ただ登場人物のほとんどがクセの強い人ばかりで、雰囲気は殺伐としています。相変わらずの絵画に関する薀蓄は健在で、特に宗教画を模した腸を引き摺り出された死体や、歯が抜かれた死体など見立て殺人をどう解釈するかが事件の鍵ともなっています。本作は異色作の多い飛鳥部作品の中でも特異点に位置する作品だと個人的には思いました。これが飛鳥部勝則を初めて読む読者にとっての入り口であっても悪くないでしょう。
なかなか破壊力のある本書ですが、グロやスプラッターとしては控えめで飽くまで本格寄りに軸足を置いている様な気がします。特に動機に関して比重を高めにしていると思います。だからと言って必ずしも納得感の得られる動機とは限りませんが。 個人的に印象に残ったシーンは、久仁子の父親の逸話や実質的な探偵役であり、独特の魅力を持っている佐井光次と持田との邂逅ですね。 |
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| No.1999 | 5点 | この素晴らしい世界に祝福を! あぁ、駄女神さま - 暁なつめ | 2026/04/16 22:20 |
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| ゲームを愛する佐藤和真は女神を道連れに異世界転生。大冒険が始まる……と思いきや、衣食住を得るための労働が始まる。「安定」を手にしたい和真だが、女神が次々問題を起こし、ついには魔王軍に目をつけられ!?
Amazon内容紹介より。 コメディを多分に含んだファンタジー。魔法使い、冒険者、アンデッド、魔王討伐と一般的なラノベの定型を踏襲した極々ありきたりなファンタジーです。どこがどう受けたのか、Amazonでは完結編の17巻まで評価が800以上付いていて、いずれも高い評価が下されています。私にはありふれたラノベとしか思えませんが、その道の読み手には琴線に触れるものがあったのでしょう。全く理解不能な世界ですね。 主人公は引き籠りの佐藤和真。彼は少女を助けた代償に自身がトラクターに引かれて亡くなります。死後女神に天国を選ぶか、生き返りをを目指して魔王を討つ道を選ぶか選択を迫られます。後者を選んだ和真はその女神と共に二人の少女とパーティーを組み、冒険の道に足を踏み出すというお話です。 「ぱんつ返してください」のシーンは良かったですが、キャラもそれほど立っているとは思えませんし、ストーリーも物珍しいものではありません。和真の内面を抉っているとかもないです、どこを取っても平凡としか言いようがありません。世の中何が当たるか分からないですね。 |
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| No.1998 | 6点 | ハウスメイド- フリーダ・マクファデン | 2026/04/14 22:03 |
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| 前科持ちのミリーが手に入れた、裕福な家庭でのハウスメイドの仕事。だが、この家は何かがおかしい。不可解な言動を繰り返す妻ニーナと、生意気な娘セシリア。夫のアンドリューはなぜ結婚生活を続けていられるのだろうか? ミリーは屋根裏部屋を与えられ、生活を始める。しかし、この部屋には……。そして、家族にまつわる真相が明かされるや、それまでに目にしたものすべてがひっくり返る。恐怖と衝撃のエンタメ小説。
Amazon内容紹介より。 内容はなかなかへヴィながら文体はライトで読み易い、一般受けしそうな作品ではあります。私としてはもっとじわじわ来る様なサスペンスを期待していたのですが、恋愛要素もあったりして飽くまで大衆を狙った作風なのがやや残念でした。訳者あとがきにある様に、中盤そう来たかとの感想は全く同感です。流石に予想外でしたが、成程ね、そういう事か程度で、驚くほどではありませんでした。 割と長尺ですが、サクサク読めます。あまり長さは感じさせない面白さがあります。でもこれが本屋大賞第2位だと言われると、そうなのか、これがねえってなります。確かに良作ではあると思います。しかし、やはり翻訳物はこれが限界なのかと私には感じられてなりません。国内作家の手練れが書いたらもっと傑作になっていたのではないかと。続編は多分読まないでしょう。 |
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| No.1997 | 7点 | 拝み屋怪談 壊れた母様の家<陽>- 郷内心瞳 | 2026/04/10 22:36 |
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| 高鳥千草の元夫、謙二から娘に亡き妻が憑いたと相談を受けた拝み屋の著者は、さっそく原因の解明に動き出す。その過程で拝み屋の深町と桔梗、占い師の小夜歌、そして霊能師の美琴と浅からぬ縁で繋がり、行動を共にすることになった。一方で、こちらも著者と因縁深い老姉妹の一団が、ある“神さま”を目覚めさせようと暗躍していた……。過去と現在の点と点が線になり、膨れに膨れ上がった災禍の核心に迫る、シリーズ最終巻!
Amazon内容紹介より。 正直、色々起こり過ぎて何を書いてよいのやら分りません。大筋は内容紹介の様に、椚木家の生き残りの謙二の娘に妻の千草が憑依したのを祓うべく、画策する拝み屋郷内。行動するうちに仲間が増えチームを結成します。一方シロちゃんの成れの果てが神様だと主張し復活の儀式を行う、怪しげな霊能者の一味が暗躍します。そして運命の糸で結ばれた両者が激突します。 本書の激流の如き紆余曲折に翻弄されながら、何とか話に付いて行くのがやっとだったのが、最終盤の異能者と、命を落としながらもその霊力は衰えない老姉妹とある重要な人物との激闘に痺れました。 まさに拝み屋率いるアベンジャーズと言えるでしょう。ここにアノ人がいないのは非常に残念ですが、過去のエピソードが語られるシーンに登場しているので良しのしましょう。それと前作に書いた『来たるべき災禍』を世事前に読むべきかどうかについては、とても微妙なところで、気にしなければ気にならないと思いますが、読んでいた方がよりストーリーに入り込めるのは間違いないと思いますね。 |
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| No.1996 | 7点 | 拝み屋怪談 壊れた母様の家<陰>- 郷内心瞳 | 2026/04/06 22:25 |
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| 昔、ある人が言った。呪いや祟りに期限など存在しないと。またある時、別の人がこう言った。人は自らの意思で、願いで、欲望で、神を造りあげることができるのだと――。10月半ば、拝み屋を営む著者の許に、電話で一件の相談依頼が舞い込んだ。依頼主は高鳥謙二。謙二は11年前、大きな災いにまつわる相談をしてきた女性で今は亡き、高鳥千草の元夫だった――。全てが終わったはずの忌まわしき災禍が、再び息を吹き返す……。
Amazon内容紹介より。 本作は『花嫁の家』に収められた『母様の家』の続編の様なものなので、そちらを先に読まないと人物相関図が十分に理解出来ない為、順序を踏んで読み進めるのは必須だと思います。『来たるべき災禍』の加奈枝は少しだけ出て来る程度なので、読まなくても支障はないでしょう。ただこれに続く<陽>の方はまだ分かりません。 この作品に対してこんな言い方は不謹慎かもしれませんが、エンターテインメントとして優れていると思います。怖さはそれ程でもありませんが、とにかく面白いです。特にシロちゃんの章は琴線に触れるものがありました。このエピソードがどう物語に影響して来るのか、最初はさっぱり理解出来ませんでしたが、後々効いてきます。前作と違って話が動くのがスピーディーで、各シーンの切り替えが早いので話がどう転ぶのかが読めません。まずはこれにて役者は揃い、プロローグはこれで打ち切りと云う訳でしょう。本書の真価は次巻で発揮されるものと思われます。それにしても途中意外過ぎる事実が明かされ、そんな筈はないと個人的に非常に驚かされました。 |
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| No.1995 | 6点 | 拝み屋怪談 来たるべき災禍- 郷内心瞳 | 2026/04/04 22:32 |
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| 虚実の境が見えなくなってしまった時、人にとってあらゆるものが、怪異となり得る危険を孕んでしまう――。現役拝み屋が体験した現世のこととも悪夢とも知れない恐るべき怪異。すべてのはじまりは20年以上前、ある日曜日の昼下がりに出会った一人の少女だった。その少女、14歳の桐島加奈江は果たして天使か怪物か、それとも……!? 訪れた災禍を前に恐れおののく一方で、必死に解決を図ろうとする拝み屋の衝撃実話怪談!
Amazon内容紹介より。 『壊れた母様の家<陰>』『壊れた母様の家<陽>』を読むには本作を読んでおいた方が良いとの意見がSNSで幾つか見られましたので、『花嫁の家』の再読と共に漸く読了しました。正直、今のところ別に読まなくても良かったのではないかと思っています。まあ取り敢えず先に進んでからその結果も書きたいと考えているところです。 さて本作は拝み屋郷内心瞳自身が体験した怪談であり、彼自身の物語でもあります。著者の心の中に棲み付く桐島加奈枝は果たして幻想なのか、実像を持った何かなのかが最初から最後まで延々と描かれています。郷内が様々なシチュエーションで加奈枝に救われたり、危険な目に遭わされたりと敵か味方かも判然としません。その中で彼は模索し煩悶します。こんな辛い目に遭いながら拝み屋など出来ないとまで思い詰めます。読者もそんな彼の心の揺らぎを嫌と言う程追体験することになります。箸休め的に他のサイドストーリーも少しは味わいたいものですが、それは叶いません。拝み屋の心の内を赤裸々に描いている為、読み手側も心理状態が不安定になりそうです。なかなか冷静ではいられない陰隠滅滅たる心境になりたい方にはお薦めしますが、気軽に読書を楽しみたい方には決してお薦めしません。 |
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| No.1994 | 6点 | もののけ本所深川事件帖 オサキ つくもがみ、うじゃうじゃ- 高橋由太 | 2026/03/30 22:42 |
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| 『このミステリーがすごい! 』大賞シリーズ。大人気の妖狐オサキ・シリーズ最新刊。今回は主人公・周吉が奉公する古道具屋の鵙屋に棲む“つくもがみ"たちが、オサキと本所深川を大暴れします。辻斬り事件が相次ぐなか、鵙屋から妖刀がなくなる。店に棲む付喪神たちは、身の潔白を証明すべく下手人捜しに乗り出した…「絵猫」。親方に勘当された簪職人の鶏太は、簪を刀と交換していった。しかし簪が包んであった木綿は、付喪神の一反木綿で……「一反木綿」。ほか、オサキが家出する「唐傘小僧」、番頭の初恋「小桜」の全4話を収録。
Amazon内容紹介より。 オサキシリーズ第五弾。今回は趣向を変え短篇集となっています。まあしかしこの作者の描く文章は一定のリズムがあって非常に読み易いですね。時代小説なのにそれを全く感じさせません。ただ、周吉とオサキ以外のシリーズの顔ぶれがほとんど出て来ないのがやや不満ではあります。お琴すら全然です。 さてこの作品、意外とミステリに近い内容でありそれぞれテーマが違っていて、付喪神、もののけが主役という訳ではなく、飽くまで人間の心の深奥を突いたものになっています。『猫絵』は江戸の本所深川で起こる連続首切り事件。大袈裟に言えばフーダニット、ホワイダニットもの。『唐傘小僧』は最も長く中編に近い人情話+ホワイダニット。『小桜』は最後の二段オチに意表を突かれます。『一反木綿』はあの鬼太郎が乗った空飛ぶ木綿が登場。叙述トリックが意外性を演出しています。 |
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| No.1993 | 6点 | 大好きな人、死んでくれてありがとう- まさきとしか | 2026/03/28 22:40 |
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| 解散した男性アイドルグループの一員、南田蒼太が何者かに殺された。
北海道Y市の廃ホテルで、めった刺しの遺体で発見されたのだった。 メディアは騒ぎ立て、警察は地道な捜査を開始する。 事件当夜に南田と会った同じ職場のパート女性、グループの元メンバーたち、十代で孤児となった南田を引き取った伯母とその娘……。 誰もが昏い秘密を抱えるなか、驚愕のラストが待ち受ける傑作ミステリ。 Amazon内容紹介より。 本を選ぶって本当に難しいんだなあ。第一章を読み終えた段階では、何これ無茶苦茶面白いじゃんと思いました。第二章もそれなりの出来でこれは傑作かも?となりましたが、その後トーンダウンして行きあーあやっぱりこんなものかという感じに。章ごとに視点が変わり話は拡散していきます。頭を整理するのに若干時間がかかりました。殺された南田蒼太の関係者が絡み合い、イヤミスの様相を呈して、かなり異色なサスペンスと云った印象になり、どんどんミステリと離れて行ってしまいます。 帯の惹句「驚愕のラスト」とはどれを指しているのでしょうか。何かしらのどんでん返しがあると思ったら大間違いでした。そうした出版社の戦略に見事に嵌ってしまった私が悪かったのです。まあ面白かったとは言えますが、期待を超える事はありませんでした。もう少し構成を変えるなり見せ方を工夫すれば、もっと秀作になったかも知れませんね、残念でした。 |
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| No.1992 | 6点 | 死の絆 赤い博物館- 大山誠一郎 | 2026/03/25 22:54 |
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| コミュ障でニコリともしない美貌の持ち主、犯罪資料館館長の緋色冴子警視。過去の事件の遺留品や証拠品、捜査資料の不審な点を鋭く見抜き、部下の寺田聡と共に再捜査に乗り出すが……。
著者渾身の力で紡がれた6篇をぜひ、ご堪能ください。 「普通の上司のようにあれこれ喋りかける必要がないので、気が楽」という聡と、訊き込みを強引に終わらせるクセが抜けない冴子の(息ぴったりの?)コンビは健在です! Amazon内容紹介より。 如何にも玄人受けしそうな、凝ったパズラーの好編がラインナップ。 どれがと云うのではなく、どれも一定の水準をクリアしていて、しかも趣向を変えた作品ばかりで読者を飽きさせません。寺田聡と共に聞き込みに参加するようになったコミュ症の緋色冴子は相変わらずのクールぶりを発揮し、いかなる場面においても沈着冷静でスタンスを変えることはありません。これは一つの大きな武器でしょう。たまには焦る緋色、驚く緋色を見てみたいと望むのは私だけではないと思います。 そんなシーンが少しだけ見られるのが若き日の緋色冴子を描いた『春は紺色』ですね。ちょっとだけ意表を突かれています。それだけ意外だったんですよ。 人並由真さんが触れられている様に、あとがきが又ふるっていて楽しいです。其々の短編のジャンル分けに於いて、国内外の作品を引き合いに出して、タイトルをもじった元ネタを明かしたりしています。採点は厳しめですが、佳作揃いでトリッキーな作品集です。 |
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| No.1991 | 7点 | スノウマンの葬列 真々部律香の推理断章- 麻根重次 | 2026/03/23 22:21 |
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| 「令和の御手洗潔、推参」(ただし、ややメンヘラ)――中山七里(作家)
(島田荘司氏のシリーズ名探偵) 異様な死体、密室殺人、謎の暗号…… 女性探偵・真々部律香の〝推理無双〟! Amazon内容紹介より。 第一話を読み終えた時はときめきました。この表題作は点数で言えば8~9点。この分で行くと本作はとんでもない傑作になるだろう。そして最終話の『初めては毒殺』が又素晴らしく、こちらは7~8点。しかし他の二話が私のあまり好きではないジャンルのアリバイと暗号を扱ったもので、内容はイマイチ。第四話に至っては何これ?って感じで、全くもって凡作と言わざるを得ない出来であります。 私は悩みました。果たしてこれを6点にして良いのかどうか・・・考えた末7点にしました。余りにも一話目と五話目が突出しているので、これだけでも読む価値ありだとの思いからの結論でした。 探偵の律香は躁うつ病を抱えながら苦悩するタイプの天才型で、確かに御手洗潔に似ている面もない訳ではありませんが、個人的にはあまり好感が持てませんでした。それよりも助手の達希の苦労に同情を禁じ得ません。他のキャラも含めてそれぞれ個性的で面白いので、この四人のメンバーでのシリーズ化も十分あり得ると思います。 |
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| No.1990 | 7点 | 冷蔵庫婆の怪談- 大島清昭 | 2026/03/21 22:28 |
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| 地方に住む小学生の間でかつて流行していた“冷蔵庫婆(れいぞうこばばあ)”の怪談。それを模倣したような、連続児童殺害事件が発生する。被害者たちの遺体は異様な状態で冷蔵庫の中に遺棄されていた。民俗学のフィールドワークの手法を用いて怪談を執筆する作家・呻木叫子(うめききようこ)は警察から捜査協力を要請されるが……表題作のほか、大足様(おおあしさま)と呼ばれる神の祟りで、娘が二十五歳になると必ず自殺してしまう蘆野(あしの)家のおぞましい秘密に迫る「蘆野家の怪談」など、四編の本格ミステリ×怪異譚を収録する。
Amazon内容紹介より。 全体的にホラーと本格ミステリを上手く融合させています。 第一話『ハザコ男の怪談』と第二話『蘆野家の怪談』はどちらも非常に謎めいた怪異譚は魅力的で惹き付けられるものがありますが、解決編となるとかなり拍子抜けです。『ハザコ男』の首の切断の理由はありふれたものであり、しかも何故そこまで推理できるのかが読み手としては解りません。一方『蘆野家』の密室殺人は私でも想像出来た単純なトリックであまり感心しませんでした。 更に第三話の表題作に至っては謎だけばら撒いて、何も解決していないじゃんと業腹ものです。しかし、最終話『満月館の怪談』ですとんと腑に落ちる見事な真相を呻木叫子が開示し評価は大幅にアップしました。私としては成程と大きく肯かざるを得ない結果に。なかなかやりますな、結局怪談もミステリも楽しめて、一粒で二度美味しい作品集なのでした。 |
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| No.1989 | 5点 | 大サービス- 評論・エッセイ | 2026/03/19 22:31 |
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| ハラダ家はなぜビーチサンダルがふえるのか? ハラダはこだわる。ハラダはウンチクする。ささやかなこと、大事なこと、みんなまとめて大サービス。買って納得、読んで満足。気前のいいエッセイ。
Amazon内容紹介より。 CanCam始め様々な雑誌に掲載された、原田宗典のエッセイ集。 何が大サービスなのか判りませんが、イマイチ笑えません。こうした何かに特化したエッセイでない場合、読者に笑ってもらってなんぼだと私は考えますので、その意味では優れているとは言えません。例えば貰ったサボテンに名前まで付けて話しかけたりして可愛がっていたのに、結局腐らせてしまった話とか、4歳の娘がリップクリームを塗るまでの顛末など、心に残るものもありました。私の好きな映画監督、フランシス・コッポラの話もちょっとだけ出てきて嬉しかったのも事実。 だから、そうした当方の琴線に触れる話題がもっとあればなあと言うのが正直なところ。娘の話がもっと収録されていれば合格点だったと思いますが。しかし幼い子供の考える事は摩訶不思議で、美味しいのにカエルは食べないものはなあに?という娘の出したクイズにトイレで考え込む原田の姿は流石に笑えました。その答えは・・・まさに不条理の世界でした。 しかし、原田宗典と云う人は真面目なんだろうなと実感しました。一つひとつのエッセイに著者の実直さが透けて見えてしまってるんですよ。 |
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| No.1988 | 6点 | MM9 destruction- 山本弘 | 2026/03/17 22:55 |
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| 地震、台風などと同じく自然災害の一種として“怪獣災害”が存在する現代。有数の怪獣大国である日本では、気象庁内に設置された怪獣対策のスペシャリスト集団“特異生物対策部”略して“気特対”が、日本を守るべく昼夜を問わず駆けまわっている。スカイツリーを襲った宇宙怪獣を辛くも撃破してから二日。一騎と亜紀子、そしてヒメは茨城県内のとある神社に護送された。そこで出会った美少女巫女・ひかるは、ヒメとの意外な関係を明かす。一方、日本近辺では透明怪獣が次々と出現。その裏には、地球侵略を企むチルゾギーニャ遊星人の恐るべき目論見があった。果たして一騎たちは、最強の宇宙怪獣を迎え撃てるのか? 本格SF+怪獣小説・『MM9』第3部!
Amazon内容紹介より。 うーん、しかしここのところの花粉で鼻がムズムズして集中できませんでした。 シリーズ三作目ですが、二作目を飛ばして読んだので、あちこちで疑問符が頭の中に浮かんでしまいました。序盤、宇宙論や量子力学、神話等どうでも良いから早く気特隊を出してくれと思いながら読んでいましたが、その肝心の気特隊は脇役で最後にちょっと活躍する程度です。主役は案野一騎(誰やねん)で、重要な役割を果たすヒメの事は一作目である程度知識があったので、何とかなりましたが。それにしても、間に何があったのかさっぱり分からず、全く違う話を読んでいる様な感覚が常に拭えずに終わってしまった感じでした。 SFとしてよりも怪獣小説として楽しめました。特に最後のクライマックスであある怪獣大決戦みたいな描写は迫力がありなかなかの読み応えでした。それにしても気特隊は仕方ないとしても自衛隊にはもう少し活躍して欲しかったですね。でもヒメを復活させるための作戦は成程と思いました。 いずれにしてもいつかはシリーズ第二弾を読まなければ気が収まらないと言うか、やはり飛ばして読んだのは失敗だったとかなり後悔しています。 |
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| No.1987 | 6点 | 水の迷宮- 石持浅海 | 2026/03/13 22:36 |
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| 三年前、不慮の死を遂げた片山の命日に事件は起きた。
首都圏の人気スポット・羽田国際環境水族館に届いた一通のメール。 そして、展示生物を狙った攻撃が始まった。姿なき犯人の意図は何か? 自衛策を講じる職員たちの努力を嘲笑うかのように、殺人事件が起きた! ――すべての謎が解き明かされたとき、胸を打つ感動があなたを襲う。 Amazon内容紹介より。 手堅い文章で描かれる、水族館を舞台にしたある長い一日の出来事。決して派手ではありませんが、謎が多くて興味深く読み進められます。プロットもよく考えられていると思います。しかし気になる点もあります。現実ではあり得ない、不審死を警察に通報せず内部で解決しようとする姿勢がまず問題ですね。他にも○○と●●との繋がりが有機的でなく、偶然に過ぎるなども何故?と思います。 本作では探偵役が不在かと思わせて、徐々にその姿を現すと云うパターンを取っています。細かい伏線を回収して推理される真相は見事で、素人探偵とはとても思えません。全体的に飽きさせず、面白く読めるのは間違いありません。感動できるシーンもありますが、何か一つ突き抜けているものに欠けるので、どうしても地味な印象が拭えません。ただ事件後も未来に向かって歩もうとする水族館の職員たちの姿勢に心動かされ、余韻の残るエンディングは忘れがたいものがありました。 |
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| No.1986 | 6点 | をんごく- 北沢陶 | 2026/03/09 22:22 |
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| 大正時代末期、大阪船場。画家の壮一郎は、妻・倭子の死を受け入れられずにいた。
未練から巫女に降霊を頼んだがうまくいかず、「奥さんは普通の霊とは違う」と警告を受ける。 巫女の懸念は現実となり、壮一郎のもとに倭子が現われるが、その声や気配は歪なものであった。 倭子の霊について探る壮一郎は、顔のない存在「エリマキ」と出会う。 エリマキは死を自覚していない霊を喰って生きていると言い、 倭子の霊を狙うが、大勢の“何か”に阻まれてしまう。 壮一郎とエリマキは怪現象の謎を追ううち、忌まわしい事実に直面する――。 Amazon内容紹介より。 かなり評価の高い作品ですが、それ程でもありませんでした。第一幕で横溝正史ミステリ&ホラー大賞受賞として合格かなと思いました。しかし第二から第三幕ではあまり盛り上がらないし怖くない、ホラーと言うより文芸作品に近い感触で読みました。文章が上手いとか美しいとか言われていますが、特別優れているとは感じません。クライマックスの第四幕は結構面白かったですけど。 壮一郎は語り手だし、巫女はなかなか良い味出していたりしますが、何と言ってもこの小説を大きく支えているのは、人の姿をした人ならざる存在のエリマキによるところが大きく、物語の半分は彼の魅力でもっていると思います。 それにしてもこの賞、受賞作も最終選考に残った作品もホラーばかりでミステリの敷居がそれほど高いのかと疑わざるを得ません。まあミステリの新人賞は他に沢山あるので、そちらに流れているのだとは思いますけどね。 蛇足ですが、最後に掲載されているホラー大賞受賞作をよく見ると結構読んでいるなと、私はそれ程ホラーが好きなのかと思い知らされました。 |
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| No.1985 | 6点 | 百年文通- 伴名練 | 2026/03/07 22:34 |
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| 扉の向こうに、永遠を見つけた。
女子中学生の小櫛一琉は、引き出しに入れたものが百年前に送られる不思議な机を発見する。そうして机を通じて手紙を送ってきた大正時代の少女・日向静と文通をすることになるが、仲を深める二人の間に時代の荒波が立ちはだかる――ふたつの時を越えて描かれる感動作。 Amazon内容紹介より。 惜しむらくはその短さ。折角の好編なのに、あまりにも纏めすぎてちょっと窮屈な感じになっている気がしてやや残念です。まだページが残っていると思っていたら、あっさり終わってしまいました。その分あとがきが長い、そんなSF作品の紹介なんていらないからもう少し本編を読みたかったなと言うのが正直なところです。 最初は些細な――と言っても実際は大事件なのですが――事柄が次第に時代を揺るがす、スケールの大きなストーリーに発展していきます。SFファンには勿論、例えばラノベ読者なんかにも読んでいただきたい作品に仕上がっていると思います。しかし主人公の一琉の妹美頼の性格の悪さには嫌悪感を覚えますねえ。それにしても時折訪れる高揚感は何なのでしょう、見知らぬ少女同士の時代を超えたやり取りに心を揺さぶられる何かがあったのかも知れません。感動したというのとはちょっと違う感情ですが、自分でも上手く表現できません。 |
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| No.1984 | 6点 | さよならダイノサウルス- ロバート・J・ソウヤー | 2026/03/05 22:49 |
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| あの『イリーガル・エイリアン』の作者ですからね、期待しない訳にはいきません。が、期待通りとは言い難く、面白い部分とそうでもない部分がはっきりしています。大半を占める私ことブランディの説明文はな難解ではないものの、恐竜好きには堪らないのかも知れませんが、普通の知識しか持ち合わせていない私の様な読者にとっては、拍手を持って迎えられるほどではありませんでした。しかしこの小説の設定上、永く記憶に残りそうな気はします。
特異な物語(SFとしてはありがち)ながら、何故恐竜は滅んだのか、又恐竜はどうしてあれ程巨大になり得たのか、等の謎が問いかけられています。そしてそれを意外な形で答えを出しているのには成程と思わされました。 登場人物は極端に少なく、ほぼ二人に限定されていますが、私が密かに注目していたある人物の行く末が余りにも悲惨で想定外だったのが痛々しく、残念でなりません。もう少し露出度を上げて欲しかったですね。結構重要な人物だし、もっと活躍するかと思っていたのになあ。 |
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| No.1983 | 6点 | 幻影城の奇術師- 吉村達也 | 2026/03/02 22:11 |
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| 氷室想介の求愛を虚しく待ちつづけ、ついに彼のもとを去ったアシスタントの川井舞。
失意の彼女は国際的マジシャンとして活躍するノブ・オダと婚約した。 だが、その彼に突然浮上した22年前の一家惨殺事件の犯人疑惑。 しかも唯一の生き残りである女性カウンセラーが、ノブの訪問を受けた直後に変死体 で発見! Amazon内容紹介より。 読み易く面白いけれど、ミステリ的強さメーターはやや弱目な感じですかね。 アメリカに本拠地を持つ希代のイリュージョニスト、22年前の惨劇、探偵と助手の恋、双子、怪しげな教団、謎めいたQAZの正体等、これでもかとガジェットを盛り込んだ本格ミステリです。普通に読めばそれなりの出来だとは思いますが、もう一歩突き抜けたものが無いのがちょっと物足りません。でもこの人の作品でこれだけグロいシーンがあるのは初めてかも。 しかし、シリーズ物としても単独でもかなり楽しめます。途中でもやし炒めのくだりが出てきた時は、おおこれかと思いましたね。そこだけはよく覚えていました、いやシリーズ第一弾の話です。私が読んだ限りでは平均点の多い吉村達也、今回もそれを上回る事なく終わってしまいました。 それにしても、氷室京介の最初の推理はどこから来るものだったのかと思ってしまう程、伏線が張られていません。結局推理ではなく推測だったのですが、あまりに唐突で何故そんなことが解るのと疑問に感じました。 |
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| No.1982 | 6点 | ひとりかくれんぼ- TAKAKO | 2026/02/28 22:32 |
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| 真夜中、ちょっとした細工を施したぬいぐるみを相手に一人でかくれんぼをすると、何かが起こる?と言う都市伝説を実行した高校生達を襲う怪異とは。
読み始めてすぐに、ああこれはよくあるB級ホラーの典型的なやつだなと思いましたが、一味も二味も違いました。かなり本格的なホラー小説です。起承転結が確りしており、途中で『月刊ホラーミステリー』の編集者が登場する辺りから過去の事件との関連が見え始め、物語は大きく動き出します。 都市伝説と過去との因縁、意外な人間関係、ミステリ的仕掛けなど見どころが多く読み応えもあります。心理描写も良く出来ているし、それぞれのキャラも個性的であり、またリーダビリティも優れているのでノンストップで読むのも可能です。何より面白いのが一番ですね、怖さもそれなりでプロットもなかなかよく練り込まれた佳作だと思います。 |
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| No.1981 | 5点 | その血は瞳に映らない- 天祢涼 | 2026/02/26 22:18 |
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| 正直に書きます。まぁ楽しめた、その通り採点は5点です。基本短編用の話を無理やり引き延ばして長編に仕立てた感じがします。そのせいか、同じような事柄を何度も繰り返したり、余計な描写が目立ったりします。しかもこの作者に関してこれまで感じたことの無い文章の拙さが読み難さを増長させている様に思いました。あくまで個人の感想ですので、本稿はあまり参考にしないで下さい。
登場人物は少なくないですが、中身が薄いと感じました。事件は至ってシンプルで最後までそこ一辺倒で押しまくり、ストーリーの広がりはありません。折角の逆転劇もあまり効果的とも劇的とも言えず、カタルシスは得られませんでした。Amazonの評価でも意見は割れているようですので、中には私の様なへそ曲がりな読者がいても可笑しくはないと思います。本作に関しては作者の実力が十分に発揮されているとは思いませんでした。 |
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